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2001年10月読
★印は、おすすめ
10/31 ひかりの国のタッシンダ エリザベス=エンライト(フェリシモ出版)
10/31 バッテリーW あさのあつこ(教育画劇)
10/27 ジェリコの夏 ジョハナ・ハーウィッツ(BL出版)
10/26 ゼブラ ハイム・ポトク (青山出版社)
10/24 ジョコンダ夫人の肖像 E・L・カニグズバーグ(岩波書店)
10/17 風に桜の舞う道で 竹内真(中央公論新社)
10/12 ふたたびの虹 柴田よしき(祥伝社)
10/9 これは王国のかぎ 荻原規子(中央公論新社C・NOVELS)
10/5 歴史上の本人 南伸坊 (朝日文庫)

 10月31日(水) 「ひかりの国のタッシンダ」 エリザベス=エンライト
                  久保田輝男・訳(フェリシモ出版)

            
amazon2001.9月21日発行・155P・1238円

遠い遠い世界の果て。誰も知らないタトラジャンという山にある、豊かで平
和な国・タトラン。ある日、靄の壁の向こうから、ワシにさらわれて、一人
の少女がやってきた。タッシンダと名づけられたその少女は、そこに住むタ
トラン人とは、髪の色も目の色も違っていた。やがて、この国一番のトート
ル織りの名手となったタッシンダには、ひとつの願いがあった…。

フェリシモからの復刊本。あぁ、小さい頃に読んだ本って、そうそう、こん
な風に美しいカラーの挿絵がはさみこまれていて…と、非常に懐かしい思い
で読んだ。

ストーリーは、ファンタジーというより、昔話風かな。水晶で作られた家や
宮殿。美しい庭。不思議な動物。タッシンダが織るトートルの美しい色彩。
魔法使いのタンダ・ナンの空色の魔法の粉。もやの壁の中から聞こえてくる
恐ろしい足音…。懐かしさだけではなく、細部までしっかりと描かれた小さ
な喜び?が、子どもの五感の記憶の中にしっかりと残る…というのは、こう
いう作品のことを言うんだ…と、よくわかるような気がした。


 10月31日(水) 「バッテリーW」 あさのあつこ・作
                      佐藤真紀子・絵(教育画劇)

            
amazon2001.9月15日発行・223P・1500円

バッテリーも、早 4巻目。話は前作の続き。巧VS門脇、横手ニ中との練習試
合がはじまった…。

どんなに必死にがんばっても、かなわないやつに出会ってしまった二人の心
の内。それぞれが、自分の弱さに向き合っていく…。

それにしても、豪は、毎度同じようなことを堂々めぐりで悩んでいるような
気がするのは、気のせいか??

正直言うと、この巻、あまり好きじゃなかったんだよなぁ。まぁ、作品自体
に勢いがあるので読まされちゃうんだけど。
巧と豪が、ぐじぐじしてて…。
自分からちっとも動かないのが、気に入らない。毎度毎度、仲間からお膳立
てしてもらうっていうのが、どうかと思う。最初はよくてもさー、もう 4巻
目なんですけど。自分の足で踏み出せよって感じ。まぁ、不器用なキャラク
ターだからといえば、それまでだけど。どんどんマンガチックな世界に入っ
てきてるような気がしてなりませぬ。

このシリーズで好きなのは、脇役がみんなちゃんと描けてること。海音寺・
野々村・沢口・吉貞。みんないいやっちゃ。横手ニ中の門脇・嫌いだけど、
こういうやつっているだろうなぁと思わせる瑞垣。今回は、巧と豪より、脇
役の人たちの方が、光ってます。

今までとは、違ったノリも随所に見られる。会話はおもしろいけど、うるさ
すぎて、くたびれる感じ。

最後に、青波。うちの娘と同じ年の設定だけど、こんなに幼い10歳の少年は
いないと思うよ。もっとひねてるって…。


  10月27日(土) ジェリコの夏」 ジョハナ・ハーウィッツ・文
            メアリー・アゼアリアン・絵 千葉茂樹・訳(BL出版)


amazon2001.7月発行・172P・1300円

1910年、夏。12歳の少女・ドーシは、夏休みの2週間をバーモント州のジェリ
コで過ごすことに。ホームスティの日々を日記形式で綴っていきます…。


作中に、「赤毛のアン」「若草物語」の題名や、実際にジェリコに暮らして
いたという“雪の写真家”ベントレーが登場したりするあたりが、ニヤリと
させられる。

だけど、うーん。私には、伝わってくるものがあまりなかったんだなぁ…。
(以下、辛口)

まずは、主人公のドーシーとエマのキャラクターがよく見えてこないのね。
えっ?どうしてそういう態度に出るんだろう?どうして、いきなりそんなこ
とを考えるの?と寄り添えないまま、置いてきぼりをくってしまった気分。
いまいち葛藤が、見えてこないのだ…。知らない環境に、初めて入っていっ
た時の不安な気持ちというのは、誰でも覚えのあるもの。共感できる題材な
ので、もっとドーシとエマの心の動きを丁寧に描いてくれたらなぁ。

そして、読みながら感じていた違和感が「著者あとがき」を読んで、あー、
そうかと思ったんだけど、作者があれとこれとそれは、どうしても物語の中
に入れたいと配置した、まずは設定ありきの、作者の意図が透けてみえちゃ
うのね。田舎のよさも、いまいちイメージとして伝わってこないし。ふくら
みが感じられなかったんだよなぁ・・・。

さらっとは読めるけれど、薄っぺらい印象はぬぐいきれず。うーん、残念。   


 10月26日(金)ゼブラ」 ハイム・ポトク
                       金原瑞人・訳(青山出版社)


amazon2001.5月発行・221P・1500円

今を生きる6人の少年少女たちの、6つの短い物語…。

1つ読み終えるたびに、しばし手を止め 余韻に浸り、思いを巡らせる。そん
な短編集だった。

大切な誰か、大事な何かを失う…。理不尽につきつけられた現実…。小さな
胸に抱えている、持っていきようのない気持ちがリアルに伝わってきて切な
い。彼らの体温が感じられ、胸の鼓動まで聞こえてくるようだ。そして、そ
こに垣間見られる強さに、胸を突かれる思いがした。

静かに淡々と流れていく。たけど、確かな手応えがある。心にじんわりと染
み入ってくる…。この雰囲気が、たまらなく好き。

個人的には、特に「BB」がお気に入り。

ヤングアダルト向け。              


 10月24日(水) 「ジョコンダ夫人の肖像」 E・L・カニグズバーグ作
                      松永ふみ子訳(岩波書店)

            
amazon1975.12月発行・166P・1100円

“天才”レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は、なぜうそつきでどろぼうだった
年・サライを、終生そばに仕えさせたのか?そして、なぜ名もない商人の
妻の肖像を描いたのか?サライを中心に据え、カニグズバーグなりの解釈で
ここに解き明かされる…。

サライは、レオナルドにとって、どんなに大事な存在だったのか?カニグズ
バーグが考える、芸術に必要な要素とは何なのか?その辺が、児童文学とい
うより、歴史小説を読んでいるみたいで、おもしろかったなー。

姉のように美しくはなかったが、自分のものさしで、ものをみることができ
たミラノ公妃ベアトリチェ。そして、彼女とレオナルドを繋ぐ役割を果たし
たのが、粗野で才能はないが、常識に惑わされることな、相手を見抜く
もって
いたサライ。三人の想いが、ひとつの作品へと物語を引っ張ってい
く…。
ただ、少年から若者へと変わっていくサライの変化が、もう少し浮き
彫りにされていたらよかったのになぁと思う。

「クローディアの秘密」のようなカニグズバーグ“らしさ”は、みえなかっ
たけれど、おぉっ、そういうことだったのかぁーと叫びたくなった最後の一
行!さすがに巧い!と唸ったね。

現在在庫切れ。図書館で探してみてね。


 10月17日(水) 「風に桜の舞う道で」 竹内真(中央公論新社)
            
amazon2001.5月発行・340P・1850円

アキラは大学受験に失敗し、予備校の特待生として寮生活を送ることになっ
た。10人の仲間と共に過ごした桜花寮。そして、10年後…。リュータが死ん
だという噂の真相を確かめるため、アキラとヨージは、かつての仲間に連絡
をとりはじめる…。

浪人生活を送った10年前の回想と2000年の現在とを、交互に描いていく青春
物語。

ちょっぴり不満を挙げみると…。寮での生活のひとつひとつのエピソードに
目新しさは感じられないし、軸になっていたリュータの消息も、突然あっさ
りと解決したりして、ちょっと拍子抜け。(別にミステリーじゃないからい
んだけどさー)良くも悪くも、きれいにまとまりすぎている…というのも気
になった。

だけど、だけどだ。ここには、ある時期を一緒に過ごした仲間の絆の強さ。
1年間が決して無駄ではなく 後々まで多少なりとも影響を与えた関係が生き
生きと描かれているのだ。なんだかすごく楽しそうなんだよなぁ(笑)そし
て、その延長上に今の彼らがいると感じられて、なんとも気持ちよく読み終
えることができた。

誰もが感じた受験の時の不安やプレッシャー。浪人生に限らず、何者でもな
い宙ぶらりんな立場な自分に対して抱く、漠然とした劣等感や疎外感に、あ
の頃の自分の姿を重ね合わせることができるし、懐かしい気持ちが蘇ってき
た。
 
さわやか。読みやすい。そして、さっぱりあっさりとしてる。それが、この
作者の持ち味なのかもしれない…。


 10月12日(金) 「ふたたびの虹」 柴田よしき(祥伝社)
            
amazon2001.9月発行・289P・1700円

表題作を含む、七編から成る連作短編集。

オフィス街の片隅。女将が一人で切り盛りしている、小さな小料理屋「ばん
ざい屋」。そこを訪れるなじみの客の哀歓のストーリーと、少しずつ明らか
になっていく女将自身の過去と、恋愛…。


この本、とってもとっても好きでした。私のつたない柴田よしき体験?の中
でも、一番好み。そして、いわゆる日常の謎的な色をもつミステリの中でも
かなり上位で好き!

別に、目新しいストーリーなわけでもないし、鮮やかなトリックや、驚愕の
どんでん返しがあるわけでもない。だけど、こんなに心を打つのは、なぜだ
ろう…。

「ばんざい屋」のもつ雰囲気が、読者の心を掴んで離さないし、女将の作り
出す
料理が、
食べる人の気持ちをなごませると同時に、読み手の心をも、
ぐして
くれるような気分になる。さらに、この料理屋に訪れる人たちの様々
な思いと、女将自身の気持ちが丁寧に刻み込まれているからかもしれない。

しっとりと(だけど、ねっとりしているわけではないよ!)綴られていく
の恋は、恋愛小説が苦手な私の心にも染み入っていく。

そして、この物語に欠かせないのが、四季を感じさせるおかずの数々。あぁ
日本って、こんなに豊かな季節を持ってるんだと再認識したなぁ。

そう言えば、市内の中学校に御衣黄(ぎょいこう)の木があって、桜の季節
には一般公開もしてるよう。来年の春、見に行ってみよう…。


 10月9日(火) 「これは王国のかぎ」 荻原規子
            イラスト・佐竹美保(中央公論新社C・NOVELS   

amazon1999.9月発行(1993年/理論社刊)・260P・900円

“あたし”上田ひろみは、15歳。失恋して、泣きつかれて眠ったあたしが目
覚めたら、なんとそこはアラビアンナイトの世界。目の前には、ターバンを
巻いた青年。なぜか不思議な力を持つ魔人族(ジン)となったあたしは、彼
からジャニという名前を与えられる…。


おしゃべりしてるような、ノリのいい語り口。女の子は好きだろうなー、こ
ういうの。もうとうの昔に“女の子”の時代を過ぎちゃった私には、ちと気
恥ずかしいところもあるのだが、おもしろかった。ただ、10代の頃に読んで
いたら、もっと違った感覚で読めたかもなぁ…と思う。

いやそれでも、波瀾万丈の冒険、不思議な力を持つ魔法、謎解き…。そして
ハールーンの格好よさ!一緒になってワクワクドキドキと楽しめることは、
請け合い。

それにしても、荻原さんって、どうしても恋愛路線に、話が進んでいくわけ
なのね(^^;;


 10月5日(金) 「歴史上の本人」 南伸坊 
                    写真・南文子(朝日文庫) 

amazon2000.11月発行(1997年/JTB出版事業局刊)・255P・940円

「外見の似た人は、考え方も日常の習慣も似ている。だから、外見をある人
に似せれば、本人の考え方も体験できる」

このような、伸坊流「本人術」の理論に基づいて、自分の顔を歴史上の人物
の顔に似せ、扮装する。そして、ゆかりの地を訪ね、その人の気持ちを“思
い出してみる”という、なんとも画期的??な企画。

まずは、パラパラと中身を見て欲しい…。もう、わっはっはーなのだ!織田
信長・西郷隆盛・二宮尊徳・清水次郎長・松尾芭蕉…から、金太郎・沖縄の
シーサー・キジムナーまで。

あの大きなおむすび顔の伸坊さんが、かなり強引でございますが、見事にな
りきっております。おっほっほ。

私が樋口一葉なら、暴れます(笑)天狗と運慶の仁王像は、はまってます!
(それって、人間じゃないけど)そして、大村益次郎氏本人の肖像画のイン
パクトに驚いた私であります。

カツラと衣装と小道具を用意し−時には金太郎のしょいこだ、天狗の鼻だと
自ら手作りし−カメラマン兼、衣装係の奥さんと共に、とことん楽しんで、
とことん真剣な?様子が、非常にいい!

写真だけではなく、本人になってみて、“思い出したこと”にも、妙に納得
させられたりして。

とにかく笑える、このなりきりぶりを、ぜひ見てみて欲しい♪


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