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2001年11月読了 
★印は、おすすめ
11/30 イギリス 7つのファンタジーをめぐる旅 さくまゆみこ(メディアファクトリー)
11/30 ソリちゃんのチュソク イ・オクベ(セーラー出版)
11/30 金鉱町のルーシー カレン・クシュマン(あすなろ書房)
11/30 パートタイム・パートナー 平安寿子(光文社)
11/20 肩ごしの恋人 唯川恵(マガジンハウス)
11/17 シカゴよりこわい町 リチャード・ペック(東京創元社)
11/16 ミステリアス・クリスマス スーザン・プライス 他(パロル舎)
11/14 肩甲骨は翼のなごり デイヴィッド・アーモンド(東京創元社)
11/12 アリスの見習い物語 カレン・クシュマン(あすなろ書房)
11/10 逃れの森の魔女 ドナ・ジョー・ナポリ(青山出版社)
11/8 魔法使いはだれだ ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(徳間書店)
11/6 レヴォリューションNo.3 金城一紀(講談社)
11/5 桜さがし 柴田よしき(集英社)
11/2 幽霊の恋人たち  アン・ローレンス (偕成社)

 11月30日(金)  「イギリス 7つのファンタジーをめぐる旅」 
                   さくまゆみこ(メディアファクトリー)

amazon2000.2月18日発行・143P・1900円

イギリスで生まれた7つの物語…。

 ビアトリクス・ポター「ピーターラビットのおはなし」
 ルイス・キャロル「ふしぎの国のアリス」
 A.A.ミルン「クマのプーさん」
 J.M.バリ「ピーター・パン」
 チャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」
 ケネス・グレアム「たのしい川べ」
 ルーシー・ボストン「グリーン・ノウの子どもたち」

それぞれの作品紹介と物語が生まれた背景。それを描いた作家の生涯。
そして、作品の舞台となった場所及び作家のゆかりの地を訪ねる…という
三本立てで構成されている。

このようなガイド形式の本は数あれど…。淡々と且つ的確な語り口。誠実に
丁寧につくられている、この本のスタンスに、非常に好感が持てた。

ピーターラビットは、一通の絵入りの手紙がはじまりだったというのは、有
名な話だが、ひとり息子にしてあげたテディベアの物語を元にしたのが、
「クマのプーさん」。しかし、世界一有名な子どもになった故に、苦しむこ
とになった息子のクリストファー・ロビン。同じ様に「たのしい川べ」も、
父が息子に語ったお話であるが、グレアムの息子は父の過剰な期待に押しつ
ぶされ、悲劇を迎える…。今でいうロリコンだったキャロル。自分の分身で
ある「ピーター・パン」を書き上げたバリには、幼い頃の兄の死が、大きく
影を落としていた…。

偉大なロングセラーの魅力と、それが生まれた裏側を、興味深く読んだ。
どれも、またじっくりと読み直してみたくなるんだよね。たくさん使われて
いる写真も、本当にきれいで、うっとり〜。イギリスにいけない私は、この
本を読むことで、物語を追体験した気分になってみたりして。

どの風景も本当に美しくて、行ってみたい度満点なんだけど、私が特に気に
入ったのが、60歳を過ぎてから創作活動をはじめたという、素敵なパワフル
おばあちゃん、ルーシー・ボストンのマナーハウス!「グリン・ノウ」と同
じ頃に取り組んだというパッチワーク・キルトも実際に見てみたいなぁ。

図書館で借りたものですが、手元に置いておきたい!と思った一冊。

誰か、同じくイギリスのピアス、サトクリフ、ゴッデン、ファージョン、
トールキン、ダール…。ついでに、アリソン・アトリー、ダイアナウィーン
・ジョーンズ、アン・ローレンスあたりで、こういう本を出してくれない
かしら。


 11月30日(金)  「ソリちゃんのチュソク」 イ・オクベ 
                   みせけい・訳(セーラー出版)


amazon2001.5月20日発行・40P・1500円

韓国の絵本。
チュソクというのは、日本でいうお盆にあたるもの。3日間お休みとなって
多くの人が故郷に帰り、収穫の喜びを先祖に感謝し、お祭りが始まるの
だそうです。

ストーリーは、ソリちゃんの家族が、チュソクの期間中、ハルモニ(おばあ
ちゃん)の住む田舎に里帰りをして帰ってくるまで…という至ってシンプル
なもの。特に何が起こるわけではないんだけど、いいのよね〜。なんとも
言えわれぬ懐かしさでいっぱいになるのだ。なんかね、ほっとするのよ。
ソリちゃんたちを迎えてくれる、村の守り神が鎮座する大きな木(タンサン
ナム)の場面が、特に好きだったなぁ。

そして、ソリちゃんが住む街並み、バスを待つ長い行列、渋滞する道中、
たくさん集まった親戚たち…。そこに細かく描きこまれた人々の様子は、
子どもたちに“絵を読む楽しさ”をたっぷりと味わわせてくれる。隅々ま
でよーく見てみてね〜!いろんなことが発見できるはず。
そこから、日本と似ていてどこか違う韓国の風習も、読み取ることができ
ます。


 11月30日(金) 「金鉱町のルーシー」 カレン・クシュマン 
                   柳井薫・訳(あすなろ書房)


amazon2000.6月20日発行・254P・1400円

先日読んだ「アリスの見習い物語」に続いて、カレン・クシュマンの作品。

1849年、ゴールドラッシュに沸いた時代。12歳の少女カリフォルニアは、
父の死後、母と3人の弟妹と一緒に、西部のラッキーディギンズの町に
やってきた。帆船と蒸気船と荷車に揺られる6ヶ月の旅の末に…。

母親は、意気揚揚と下宿屋の賄いの仕事を見つけたが、いやいやなが
ら連れてこられたカリフォルニアは、祖父母のいる東部のマサチュー
セッツに帰りたくてしかたがなかった…。


とにかく最後が印象的。
東部が忘れられないルーシーが、ラッキーディギンズで懸命に過ごした
三年間。石の上にも三年…いや違うか(笑)そうきたか!というラストも
納得がいった。

皆が夢を抱いてやってきたカリフォルニアでの現実は、厳しい自然と、過
酷な暮らしの連続。大変な出来事が次々と襲うのに、その作風は非常に
明るい。

だいだい西部に憧れた両親が名づけた“カリフォルニア”という名前から
して気に入らないのよと、自分で勝手にルーシーと変える。周りは、がさ
つで汚らしい男たち。読む本もない、こんな岩とテントばかりの西部なん
てまっぴらよー。
絶対マサチューセッツに帰ってやるーと、その旅費のた
めに、自らパイを焼いては売り歩いて、お金を貯めたり…。
反発が、逆に強い意志となって、彼女をつき動かしていくバイタリティに
なっているところが、おもしろかった。めげないわけよ。

ただ、母親がどうして、周囲の反対を押し切り、子どもにそんな思いまで
させて、西部にやってきたのかがいまいち伝わってこないんだなぁ。
(いや、たくましいけど、なんにも考えはなかったのかもと思わせる母親な
んだけどね)もう一点、ゴールドラッシュとはどんなものだったのか、その
説明があまりないので、子どもたちにはわかりずらいかもしれないね。



 11月30日(金) 「パートタイム・パートナー」 平安寿子(光文社)

amazon2001.10月25日発行・302P・1700円

素晴らしい一日」で、デビューした平安寿子の二作目。
九編から成る連作短編集。

進藤晶生28歳。大学卒業後、三つの会社を転々とし、現在は、幼なじみ
がやってる
米屋の宅配業務で日銭を稼ぐ暮らし。口がうまくて、女の子に
優しくするのが好き。その日その場の女性をまるごと肯定し、持ち上げ、
励まし、いい気分にさせる。なんの苦もなく、それができる。それは持って
生まれた才能だと言いきる晶生は、天職だと思っている、デート屋稼業
を立ち上げるが…。


軽快な読み口で、はじめは、わくわくと読み出したのだが…。
主人公の姿が肉付けされればされるほど、私には、この進藤晶生なる人
物が好きになれず、素直に楽しむことができなくなってしまった。

この作品の背骨である、デート屋稼業を通しての、晶生の変化というのも
いまいちはっきりと見えてこないし。(ずっと自己満足男なんだもん)

だいだい28歳にもなって、自分の母親を“ママちゃん”なんて呼ぶマザコン
男に説教されたくないわい!口先ばかりでうまいこと言われても、不幸や
寂しさなんて癒されない(癒しって言葉は好きじゃないけどさー)よね。
だからなのか、それぞれのエピソードでも、釈然としない結末も多いし。
その都合のよさに、後半になればなるほど、なんだかもうアホらしくなって
しまったのだ。読み終わった後で、それでほんとうは何をいいたかったの
のだろうと言いたくなった。

前作が結構よかっただけに、残念…。


 11月20日(火) 「肩ごしの恋人」 唯川恵(マガジンハウス)

amazon2001.9月20日発行・293P・1400円

クールでしっかりしているが、いつも肝心なところで、手にしたものを取り
逃がしてきたような気がする萌と、美貌が自慢で男にしか興味がなく、
慢で自惚れ屋のるり子。全く照的な二人は、五歳の時からの腐れ縁。
二人の愛模を軸にした友情物語(あれっ?違う!?)


「本の雑誌」の先月号で絶賛されていたので、読んでみた。正直言って
2/3ぐらいまで、結婚しようが別れようが、私にとって全てがどうでもいい
ことに思えてしまって…。残り1/3を過ぎて、るり子が動き出し、ゲイバー
の文ちゃん(文ちゃんのキャラいいよ!)と絡み出すあたりから、読み手
として、やっと気持ちが動き出す。

何事にも自信たっぷりなるり子も、ぎりぎりのところで下品にもならず、こ
こまで突き抜けていれば、憎めないし、嫌いじゃない。むしろ痛快ですら
あった。読後感も悪くない。それなりに面白く読めるが、どこかで聞いた
ことがあるような設定や展開。最高傑作とか言われているけれど、これっ
て普通の恋愛小説よね??ラストは、何年か前に放送されていた、ある
ドラマの最終回の結末と同じだったし…。

るり子が文ちゃんに言う、
「…。だって私、いつだって幸せになるために一生懸命だもの。頑張って
るもの。そんな私が、幸せになれないわけがないじゃない」
このるり子の言葉に出会うために、私は、今まで読んできたわけねと思っ
た。彼女に対する感情が、いやな女だね〜という嫌悪感から、次第に変
化していくあたりが、この作品の読みどころかな。

全体的に、さらさらとした印象を残した。


 11月17日(土) 「シカゴよりこわい町」 リチャード・ペック
                   
斉藤倫子・訳(東京創元社)

amazon2001.2月28日発行・190P・1900円

いやー、面白かったぁー。もう痛快!痛快!

時は、アル・カポネが暗躍する禁酒法時代。シカゴに住むジョーイと2つ
年下のメアリ・アリスの兄妹が、毎夏、田舎の祖母を訪ね、過ごした1週
間。それは、なんて刺激的な休みだったのでしょう。その9歳から15歳
までの夏を、兄のジョーイが語
る…連作短編集。


この作品の魅力は、なんといっても、おばあちゃんに尽きるでしょう。
大柄で、口は悪くて人付き合いも悪い。したたかで、たくましく、豪快、
豪傑!とにかく強烈なキャラクターなのよ〜。

散弾銃をぶっ放すおばあちゃんには、いきなり度肝を抜かれる。だけど
年を追うごとに、この兄妹も、読者も気がつくのだ。おばあちゃんは、
自分のものさしで、ものをみて、常識に惑わされることなく、自分を貫き
通しているだけなんだと。
ぶっきらぼうな中に見えてくる、その人間性に
次第に惹かれていくんだなぁ…。

毎年のエピソードのケリのつけ方も作品全体の流れも見事で、巧いなぁ
と思わせる。無駄がなく淡々としてる文章なんだけど、ところどころで、
ニヤリニヤリとさせられる。胸をすくような爽快感。スカッとするね。

そして、エピローグのような最終章のラスト、あぁホントにいいのよ。何度
読み返しても泣けてきてしまう…。やっぱり最高だよッ、おばあちゃん!

はじめは、驚きビビっていた妹のメアリ・アリスが、祖母の血を引くかのよ
うに、次第にたくましく成長していく様子も、また楽しい。

1999年ニューベリー賞次席作品。
そして、この続編となる「A Year Down Yonder」は、2001年ニューベリー
賞を受賞した。こちらの語り手は、16歳に成長したメアリ・アリス。家の事
情で祖母の家に身を寄せることになった1年間を、描いているようだ。
楽しみ〜〜!!早く翻訳本出してね、東京創元社さん!


 11月16日(金) 「ミステリアス・クリスマス」 スーザン・プライス 他
                  
安藤紀子・他 訳(パロル舎)

amazon1999.10月25日発行・222P・1600円

街のディスプレイも、そろそろクリスマス色だよね…ってことで、ここでも
来月のクリスマスに向けて1冊、紹介しちゃおー!

 静かな聖夜。暖炉の炎。
 さあ、サンタクロースが来るまえに、とっておきの怖い話をはじめよう。
                            
(帯より)

イギリスには、「クリスマスにゴースト・ストーリーをという慣習がある
うだ。クリスマス・イブの夜。明かりは、家族やその友人たちが囲んだ
暖炉
の炎だけ。やがて、部屋にいる人たちが順番に、さまよえる魂や
霊などの話を語りはじめる…。


そんな設定で集められた物語−原著短編集3冊28編の中から、訳者た
ちが
選んだ7編現在イギリスで活躍中の、児童文学作家7人によるアン
ソロジー
だ。

 「スナップドラゴン」ジリアン・クロス/安藤紀子・訳
 「切ってやろうか?」デイヴィド・ベルビン/依田和子・訳
 「果たされた約束」スーザン・プライス/西村醇子・訳
 「暗い雲におおわれて」ロバート・スウィンデルズ/高橋朱実・訳
 「狩人の館」ギャリー・キルワース/和田禮子・訳
 「ベッキーの人形」ジョーン・エイキン/夏目道子・訳
 「思い出は炎のなかに」アデーレ・ジェラス/嶋田のぞみ・訳

それぞれに違った色合いを見せてくれる短い物語の主人公は、全て子
どもたち。
いたずらから入りこんでしまった、あるいは引き寄せてしまっ
たものの恐怖。どんでん返しの驚きと、ざわりとする余韻…。
スーザン・プライスは、イブの夜の暖かい居間から、いきなり死人の
様・ウォ
ータンに
追いつめられるという、
お得意の?凍てつくような
暗い幻想的な世界へと連れていきます…。
ぞくぞくしたなぁ〜。

佐久間真人氏の装画が、とっても素敵なのよ!
クリスマス・イブの夜、他人の家の玄関ベルを鳴らしては逃げれる二
の少年が登場する、ジリアン・クロスの「スナップドラゴン」面に
違いないんだけど、ふだんひと気がなさそうな屋敷の中に灯るり。
招き入れるのように少し開かれた玄関のドア…が
これからる、
なんとも不思議で怖い物語の雰囲気を見事に醸し出していて、持ちが
高まっていく。

それにしても、文中に登場してくるクリスマス・プディングとミンスパイっ
て、どんな味がするんだろうと、気になって仕方がなかったわ〜。


 11月14日(水) 「肩甲骨は翼のなごり」 デイヴィッド・アーモンド
                  
山田順子・訳(東京創元社)

amazon2000.9月25日発行・180P・1450円

マイケルの家は、引っ越したばかり。荒れた庭と家の中は、片付けと改
の真っ最中。しかし今、この家の一番の心配は、生まれたばかりの赤
ちゃんの容態がおもわしくないこと。マイケル自身も落ちつかず、これま
でのように、サッカーに興じたり、友達と楽しく過ごすことができないでい
た。

引越し先の庭には、ほこりまみれのがらくただらけ、今にも倒れてしま
そうなガレージがある。危険だから近づいてはいけないといわれていた
そのガレージで、マイケルが
見つけたのは…。

これ好きです!リアルなのに、ファンタジックで、ちょっとグロテスク?な
ところも。初めて読んだ時は、そんなに強烈じゃなかった思いが、読み
返せば読み返すほど、どんどんどんどん好きになっていくから不思議。

そして、
読み返してみると、“ああっ、ここで、あそこで”と、読み流して
いた箇所が、きっちりと伏線になっている。ちゃんとそれぞれの出来事
につながっているのね。<一回で読み取れよ…ってば。

映像が浮かびあがってくるような文章。視覚的にも聴覚的にも嗅覚的に
も(だって臭そうなんだもん)ぱぁっと蘇ってくる場面がたくさんあった。
五感がとぎすまされるような感じだったなぁ。それは美しい場面ばかり
じゃなくて、なんともおぞましいところも、全て含めてね。

隣に住む個性的な女の子・ミナの存在が、きらりと光ってました。

1998年ウィットブレッド賞児童書部門受賞。1999年カーネギー賞受賞作
品。うーん、だけど、この本のつくりでは、児童書の匂いは全くしないよ
ね。
どうして、こんな表紙にしちゃったんだろうね。…と思いつつ、中身
はオススメです。


 11月12日(月) 「アリスの見習い物語」 カレン・クシュマン
           
柳井薫・訳 中村悦子・絵(あすなろ書房)

amazon1997.2月10日発行・159P・1339円

中世イギリス。親も家もなく、村から村へ。自分の名前さえ持たずに、
きることに精一杯だった一人の少女が、自らを“アリス”と名づけ、やが
て産婆見習いとして認められていくまで…を描いていく。

少女をとりまく社会は、決してやさしいものではないんだけど、作者がア
リスに向ける眼差しは、常にあたたかい。そして、ちっとも湿っぽくない
のよ。不思議なくらい明るさがある。

ここには、孤児だから…なんていう甘さはないのね。産婆のジェーンも村
の人たちにも、“そうかい、そうかい、かわいそうにねー”などと、簡単に
は受け入れてもらえないのだ。

そんな中で、笑うことも泣くことも知らなかったアリスが、自分の手で、
ひとつひとつ掴みとっていったもの。結局プラスにするにもしないのも
自分次第。そんな力強さを感じさせた。

アリスの唯一のなぐさめになる、ネコのグルルの存在も○。そして「作者
おぼえがき」に書かれている当時のお産婆さんの状況も、なかなか興味
深い。昔々のお産には、ハーブが使われていたんだとか。

アリスが、「あたしはいったいなにがしたいんだろう」と自問した答えに、
力がムクムクとわいてくる。“あきらめなければ、きっとできる”。最近た
るみがちな私に、ぴりりと喝を入れてくれた1冊。思春期の女の子たちに
出会って欲しいなぁ。

のっぽのサラ」を読んだ時もそう思ったけれど、中村悦子さんは作品の
イメージにびったり合った絵を描く人だよね。

1996年アメリカ・ニューベリー賞受賞作品。


 11月10日(土) 「逃れの森の魔女」 ドナ・ジョー・ナポリ
           
金原瑞人・久慈美貴・共訳(青山出版社)


amazon2000.2月25日発行・187P・1400円

グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」のパロディ。…と言っても、いわゆる
パロディという言葉から受けるイメージとは、全然違う雰囲気。全く別の
世界がつくりあげられていると言ってもいいでしょう。その想像力と独創性
には舌を巻いた。

主人公は、お菓子の家で、ヘンゼルとグレーテルを食べようとする、あの
魔女。けれども物語は、魔女が魔女になるずっと以前から始まります。

魔女は生まれながらにして、魔女だったわけではない。背中が曲がり、姿
は醜いが、かつては娘を愛し、腕のいい産婆だった。では、
なぜ故に魔女
にならなければならなかったか??そこには、孤高で美を愛した一人の
女性の哀しみがあった…。

いやー、ぞくぞくしたね。無駄のない畳み掛けるような文章が、たまらん
ぜー。読んでいるこちらまで、追いつめられて苦しくなるような緊張感に
満ちあふれている。

つぶさに描かれる“わたし”=“醜い女の心情。悪魔たちとの激しいせめ
ぎあい。
気高く、痛ましくて、ぐっと胸に迫ってくる。その恐ろしさ。あや
さ。美しさ。
そしてなにより迫力に圧倒されてしまった。読み応えあり!

装画・挿画は、出久根育氏。    


 11月8日(木) 「魔法使いはだれだ」 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
             
野口絵美・訳 佐竹美保・絵(徳間書店)

amazon2001.8月31日発行・298P・1700円

全四巻から成る“大魔法使いクレストマンシー”シリーズ、一作目。

舞台となるのは、私たちの世界と似てはいるが、異なる世界。そこは魔
に満ちているのに厳しく禁じられ、魔法使いは見つかると、火あぶりにさ
れるというようなところだ。物語は、2年Y組の地理のワークブックにまぎ
れこんでいた、1枚のメモから始まる。

「このクラスには魔法使いがいる」。いったい誰が魔法使いなのか?
2年Y組では、さぐり合いが始まった…。


ミステリーっぽい仕掛けで、あっという間にその世界に引きずり込まれて
いく。相変わらず、型通りに進まないストーリーは、なかなかスリリング。
予想がどんどん裏切られていくのが、非常におもしろい。一方で、構築さ
れている世界は、奥が深くて、フクザツ。最後の方は、何度も読み返して
しまいました(^^;;

それにしても、この作者が描く、容赦のないキャラクター!そのかわいげ
のなさも、クラスの中の力関係とかも…いやーな感じが、妙にリアリティ
があるのよね。

好みとしては、クレストマンシーより、ハウルの方が好きかな。(作品とし
ても、男性としても)まだ彼の全体像が見えてきてないしね。

ニ作目の「クリストファーの魔法の旅」も既に刊行済み。次作への期待を
膨らませながら、図書館へリクエスト中〜。


 11月6日(火) 「レヴォリューションNo.3」 金城一紀(講談社)
            
amazon2001.10月1日発行・277P・1180円

金城一紀氏、2冊目の単行本。印象に残るポップな装丁だ。

デビュー作で、小説現代新人賞受賞作「レヴォリューションNo.3」を含む
三編の連作短編集。

私は、「レヴォリューションNo.3」と「ラン、ボーイズ、ラン」が好き。

僕が通う高校は、典型的オチコボレの男子高。「君たち、世界を変えて
みたくはないか?」二年前のある日、生物教師のドクター・モローから
言われたひと言に感電してしまった僕らは、「ザ・ゾンビーズ」を結成。
男子高校生の憧れの的、聖和女学院の学校祭への潜入を試みる…。


なんとも馬鹿馬鹿しいことを大真面目に立案する潜入作戦が、笑える。
まさに発想はシンプル、行動はストレート!その躍動感に満ちた若さの
きらめきのようなものが、眩しい!

全篇を貫いている軽快さ、活きの良さ。「GO」を読んだ時と、基本的な
印象は変わらない。山田詠美さんの小説を彷彿とさせたなぁ。

中学時代は民族学校に通っていた舜臣、日本とフィリピンのハーフのア
ギー。差別にも触れているが、そのメンバーは、金城一紀氏らしい要素
がちりばめられている。将来シュショーになることを決めているヒロシ、
家の事情でアルバイトづくめの萱野。その誰もが魅力的だ。(ドクター・
モローもね)

そして、軽快にユーモラスに描かれてある底に流れている、怒り、いらだち
哀しみみたいなものが伝わってくる。

だからといって、彼らに暗さは微塵もない。ひねくれているわけでもない
し、投げやりなわけでも、捨ててるわけでもない。現実を受け入れ、前を
見据えているのが好き。ベタベタしない友情も。その気持ち良さに惹かれ
るのだ。

「GO」を読んだ時ほどの衝撃はなかったけれど、若い人たちにぜひ読んで
欲しいなー。


 11月5日(月) 「桜さがし」 柴田よしき(集英社)
            
amazon2000.5月30日発行・312P・1700円

とても好き。あぁ〜、京都に行きたい〜〜(叫)

表題作を含め、8編から成る連作短編集。

舞台は京都。中学の新聞部同窓生4人と、恩師で今は作家の浅間寺先生。
中学卒業から10年たった、彼らの恋模様と、それぞれが模索するこれから
の人生…。

先月読んだ「ふたたびの虹」と同じような路線です。あちらは、ミステリー
仕立ての恋愛小説。そしてこちらの「桜さがし」は、ミステリー仕立ての
青春小説として読みました。どちらも、おすすめよん!!

ミステリー色は薄いですが、関わることになった事件は、なんともやりきれ
なくて哀しい。

まり恵と綾の、迷い悩みながら揺れ動く心も、年月を経て、男女の関係その
ものの質が変わっていくあたりも、自分自身のあの頃と重なって、蘇ってく
る思いがありました。そうして、この作品を貫いているひたむきさと切なさ
にやられたーって感じ。ラスト、とってもよかったよぉ〜!!ううっ、泣け
てしまった。

“弘法さん”と呼ばれる市、吉田神社の節分祭、清水寺、詩仙寺…と、織り
こまれる京都の名所・風物詩にも風情が感じられ、絶対に京都に行きたい
と叫びたくなること請け合い!

また1冊、好きな本が増えました。


 11月2日(金) 「幽霊の恋人たち−SUMMER'S END−」 
           
アン・ローレンス作 佐竹美保・絵(偕成社) 

amazon1995.6月発行・301P・1700円

ある夏の終わり。ベッキー・リジー・ジェニーの三姉妹が暮らす宿屋オー
ク荘に、一人の旅人がやってきた。ひと冬の間、三人のお気に入りの「小
部屋」を借りることになった、そのレノルズさんは、彼女たちに「お家賃」
として、七つの不思議な恋物語を語ります…。


ある日、ふらりと現われた旅人が、いくつもの不思議な話を語る…という
設定は、「不思議を売る男」を思い出させる。「幽霊の〜」の方が、対象
年齢は少し上かな。個人的には、ラストも含めて、こちらの方が好み。

レノルズさんが語るどの物語にも、“この世のものではないもの”と、自分
の未来を自分で選びとっていく、意思のはっきりした若い娘が登場する。
様々な色合いをもつそれは、どれも魅力的で、物語を聞かせてもらうのっ
ていいなぁと、うっとりとした。

そして、季節はめぐり…。少女から大人へと変わっていく端境期を迎えて
いた一番上のベッキーが、物語とリンクしていくかのように、新たな道を
進んでいこうとする予感と期待がみえるラストも、また良し。
レノルドさんのお話を聞くことによって、養われていった力を感じさせる
ようでいんだよねー。          


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