| 2001年12月読了 | |||
| 12/27 | 石川くん 枡野浩一(朝日出版社)★ | ||
| 12/22 | バレエダンサ− (上・下) ルーマ・ゴッデン(偕成社)★ | ||
| 12/14 | ローワンと黄金の谷の謎 エミリー・ロッダ(あすなろ書房)★ | ||
| 12/14 | ローワンと魔法の地図 エミリー・ロッダ(あすなろ書房) | ||
| 12/10 | さよなら、「いい子」の魔法 ゲイル・カーソン・レヴィン(サンマーク出版)★ | ||
| 12月27日(木) 「石川くん 〜啄木の短歌は、とんでもない!〜」枡野浩一 朝倉世界一・画(朝日出版社) 11月に出た“ほぼ日ブックス”。手軽に読めるし、ほぼ日のサイト自体が持つ勢い が伝わってくる。その中で読んだ4冊のうち、個人的に一番面白かったのがこれ! 副題からもわかるように、石川くんとは、石川啄木のこと。歌人である作者の枡野 浩一さんにより、「今の言葉」に変身させた石川くんの短歌を織り交ぜつつ、彼の 人柄、短かった生涯が語られます…。 …が、だいたい表紙からして啄木の顔にいたずら書き!!こんなことしていいんか い!?と心配になるほど、石川くん、いじめられてます(笑)いやいや、もちろん 愛情と尊敬をたっぷりとこめて…ですけど。 さぼり魔の石川くん。女にもお金にもだらしない石川くん。プライドが高い石川く ん。だけど、まったく石川くんたら、しょうがないんだからーと、どこか憎めない 童顔でおでこちゃんの石川くん。 浮き彫りにされている人間石川啄木は、遠い存在ではなく、ぐぐっと現代に引き寄 せられて、まじめな伝記を読むより、石川くんのことも、石川くんの短歌のことも ずっーと身近に感じられること請け合い! 思わずクククッと笑ってしまう、朝倉世界一さんのとぼけたまん丸顔おでこちゃん の石川くんの画も、文章の雰囲気を的確につかんでいて非常にいい味出してます。 函館にも、啄木が教壇をとった小学校や啄木一族の墓などがあるという。今度、こ の本を携えて、ゆかりの地を訪ねてみようっと! 巻末に石川くん年譜付き。 <ほぼ日で、連載されていた“石川くん”>は、こちらから。 ★ もう一冊…。 毎回、“オラ、アミーゴ!”ではじまる「カナ式ラテン生活」も好き! 読んでいくと、作者の湯川カナさん、あなたが一番ラテンしてるよっ!!と言いた いくらい、パワフル。ネットバブルで大金持ち確定の道を投げ捨て、雀荘で出会っ たダンナさんと二人で旅立った、愛してやまないスペインでの人情あふれる暮らし ぶり。時折、顔を出す長崎弁とともに、テンポ良く語られます。 <ほぼ日で、連載されている“カナ式ラテン生活”>は、こちらから。 |
| 12月22日(土) 「バレエダンサー(上・下)」ルーマ・ゴッデン 渡辺南都子・訳(偕成社) 〔上巻〕 〔下巻〕 面白かった〜。下巻に突入してから、やめられないとまらないで、一気読み。 兄弟の中でも一番存在感の薄い、末っ子・デューンは、姉・クリスタルのバレエの レッスンについていき、その魅力に取り付かれる。親の期待を担い、才能にも美貌 にも恵まれたクリスタル。しかし、彼女の心に大きな嵐が吹き荒れる。ずば抜けた 天性の才能を持っていたのは、実は弟のデューンの方だったからだ…。 まずは、うーむ、やっぱり本当に才能のある人って、周りがほっておかないわけね と思い、親のエゴがどんなに子どもの道を阻むのかと、よーく分かった気がする。 よかれと思うことは、子どもにとってちっともよくなくて、自分の子どものことっ て、実はよくみえていないものなのかも…と思い知らされるのだ。(そんな両親と は対照的に、バレエの先生たちの凛とした姿勢に、心打たれた) 男の子がバレエだなんて…というのは、映画「リトルダンサー」を彷彿とさせる。 自分が受けるはずだった賞賛を、いつもデューンにさらわれてしまうことに、苛立 ち、妬み、デューンの邪魔をしようとするクリスティ。まさに、この親にして、こ の子あり…と、ずっと腹立たしい思いで読んでいたのだが、いつしか彼女の気持ち に同化している自分に気がついた。なんて言うんだろ…自分の中の“子ども”が立 ち上がってくる感じかなぁ。下巻に入って、しっかりと描かれている、クリスティ の心の遍歴が、この本の吸引力(?)となり、目が離せなくなった。 結局は、壁を乗り越えるのも、つぶれるのも、自分自身の意思なんだよねと、つく づく痛感させられた。読み応えありよ! |
| 12月14日(金) 「ローワンと黄金の谷の謎」エミリー・ロッダ さくまゆみこ・訳 佐竹美保・絵(あすなろ書房) シリーズ第二作目。 リンの村に、<旅の人>がやってきた。数年に一度しか訪れない彼らの、予想外に 早い再来に、村の人たちは疑惑を抱く。そしてローワンは、不吉な夢を見て怖がっ ているシバから、不可解な詞を聞いた…。 一作目より、おもしろさも深みも、グ〜ンとアップ!!やっぱり、このシリーズと は、相性がいいみたい。 謎めいた詞を紐解くおもしろさ(いやー、今回は読めなかったぞ)も、充分に楽し める。 怖いという感情は、決して自分だけのものでない。誰しもが持っているものなんだ と認めることができたローワンが、大切な人たちを守るために、必死になる姿が共 感を呼ぶ。前回よりも、ちょっぴり成長したねー。 さらに、<旅の人>の血を半分引くアランの、村での居心地の悪さ。語り部オグデ ンの養女だというジーンの思い。様々な価値観と文化を持つ民の狭間での、それぞ れの苦脳と誇りがきっちりと描けているところも、好感が持てた。 物語は、リンの村の外の世界にも広がりを見せ、今後が楽しみ♪ |
| 12月14日(金) 「ローワンと魔法の地図」エミリー・ロッダ さくまゆみこ・訳 佐竹美保・絵(あすなろ書房) 原作は、オーストラリアで、子どもたちに人気のファンタジー。本国では、もうす ぐ五作目が出版されるというシリーズの、第一作目。 ローワンは、リンの村で家畜のバクシャーの世話係をしている、心優しくも、内気 で臆病な少年。ある日、リンの谷を流れていた水が止まった。このままでは、川の 水しか飲まないバクシャーが、死んでしまう。バクシャーがいなければ、村の生活 も成り立っていかないのだ。 不安にかられた村人たちは、水源のある<禁じられた山>で何かが起こったに違い ないと、竜がいるというその山に登ることを決定する。村の魔女・シバから不思議 な地図を渡されたローワンは、我こそ強くて勇気があると名乗り出た六人の大人と 共に、山に向かわなければならなくなった…。 先は予想がつくし、型通り…というのは、否めない。だけど、私は、これ好きだっ たんだよね〜。 平素でわかりやすい文章。シンプルなストーリー。今だとなぜか新鮮に感じてしま うんだなぁ。 父の死に対する負い目と、強いこと勇敢なことを重んじるリンの村で、ローワンが 感じていた孤独感。恐怖におびえながらも立ち向かい、なすべきものを果たすこと ができたローワンの気持ちに、無理なく寄り添っていけた。 ローワンだけではなく、六人の大人がそれぞれ弱さをみせていくところもいい。氾 濫する昨今のファンタジーのように、長々と描かなくたって、このボリュームで、 きっちりとおもしろいものができるんだと再確認させられた気分。 佐竹さんの挿絵も、これまたいい味出してます。 |
| 12月10日(月) 「さよなら、「いい子」の魔法」ゲイル・カーソン・レヴィン 三辺律子・訳(サンマーク出版) 読む前は、この題名と出版社のイメージに、ちょっと引いてしまうところがあった が、中身は面白かった〜! 主人公のエラが住むのは、魔法があって、オグルやノームや巨人、妖精が当たり前 に暮らしているような世界。エラは、生まれたばかりの頃に、考えなしの妖精ルシ ンダから、“従順”という魔法をかけられてしまう。ルシンダは、よかれと思って 贈ったものだが、どんな命令にも必ず従うというそれは、エラにとって、呪い以外 の何ものでもなかった…。 これは、「シンデレラ」を下敷きに、その魔法の呪縛から、なんとか逃れようと悪 戦苦闘する一人の女の子を描いたファンタジー。作者のゲイル・カーソン・レヴィ ンは、デビュー作となったこの作品で、1998年ニューベリー賞オナー賞を受賞して いる。 エラは、命令の形で何かを言われると、どんな人のどんな命令でも、イヤでもそれ に従わなければならない。拒絶しようにも、体が言うことをきかないのだ。しかも とんまなルシンダに、さらに追い討ちをかけられるように、命令の中に喜びを見い 出すようになる魔法をかけられたりして…。 考えてみると、とても恐ろしい設定なんだけど、エラは、題名から想像されるよう な、いわゆるいい子ちゃんではない。明るくユーモアに溢れ、おてんばで、おちゃ めなキャラクター。呪い故に、意地悪なハティの言うことにも従わなければならな いが、しっかりと仕返しするのを忘れない(笑) 命令に逆らおうとしながらも、それが果たせない理不尽さと(いや、これって全く 身に覚えがないわけじゃないよなと、思わず我が身を振り返ってみたりするんだよ ね…)、シャーへの愛に悩み苦しむ切ない気持ちが、リアリティを持って心につき ささってくる。 だからこそ、その大きな苦悩の後にみえる爽快感は大きい!自分の道は自分で切り 開くしかないのだという意志にあふれてるところが、痛快だ。料理人のマンディの 肝っ玉母さんのような人柄も、すごく好きだったなぁ。 最後に、「魔法使いはだれだ」もそうだったけど、この本も、いろんなフォントを 使っているのね。かえって読みづらいのでやめて欲しい〜。 |