2002年5月読了
★印は、おすすめ
5/31 鳥の巣の本 鈴木まもる(岩崎書店)
5/23 銭湯の女神 星野博美(文藝春秋)
5/18 丘の上の牧師館 シルヴィア・ウォー(講談社)
5/14 コッケモーモー! アリソン・バートレット絵(徳間書店)
5/14 北岸通りの骨董屋 シルヴィア・ウォー(講談社)
5/13 屋敷の中のとらわれびと シルヴィア・ウォー(講談社)
5/9 ルート225 藤野千夜(理論社)
5/5 あかんべえ 宮部みゆき(PHP研究所)
5/2 ハードボイルド・エッグ 荻原浩(双葉社)

 5月31日(金) 「鳥の巣の本鈴木まもる(岩崎書店)

amazon1999.4月20日発行・40P・1500円

図書館で、ふと手にしたこの本。なかなかおもしろかったのよ〜。

鈴木まもるさんといえば、「みんなあかちゃんだった」(小峰書店)などを描
いている絵本作家でもあるんですけど、ある日、山の中で見つけた鳥の巣に魅
せられていき、いつしか鳥の巣研究家になっていったようです…。すごい!

内容は、題名通り、イラストと写真で記す“鳥の巣”。わかりやすく、しかも
見ているだけで楽しい絵本図鑑になっています。

鳥の巣って、みんな同じようなものなのかなと思っていたら、鳥によって、巣
を作る場所も、使う材料も、形もみんな違うらしい…。それぞれの鳥たちが、
どんな風に巣を組み立てていくのかも、この本の中でよーくわかるようになっ
ています。

巣の土台には、クモの糸やガのマユの糸を使っているんだと知ったり、都会で
は木が減り、ハンガーや針金で巣を作るカラスもいるようで、カラスは苦手だ
けど、なんだかちょっと気の毒になったり。

鳥の巣ひとつから、その鳥の生態など、いろんなことが見えてくるところがお
もしろい!鳥たちの知恵と工夫が伝わってきます。

イラストの横に、小さくカタカナで表記されている鳥たちのつぶやきが、かわ
いくて、クスクスと笑えます。

鈴木まもるさんによる同じ絵本図鑑シリーズで、「世界の鳥の巣の本」という
本も発売されているようです。小学生から大人まで楽しめる一冊。


 5月23日(木) 「銭湯の女神星野博美(文藝春秋)

amazon2001.12月10日発行・261P・1524円

著者である星野博美さんのことは 二ヶ月程前NHK-BS「週刊ブックレビュー」
の番組の中で、この本が取り上げられていたのを見て、初めて知った。

で、その経歴は…。

1966年生まれ。写真家・橋口譲二さんのアシスタントを経て、独立。その後、
中国返還をはさんだ二年間を香港で暮らし、その体験をもとにした「転がる香
港に苔は生えない」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

そして、彼女が東京に戻ってきて三年。この作品は、帰国してから感じた、戸
惑いと違和感の日常の中で書かれたエッセイ集である。


なんだろ。エッセイなんだけど、星野さんの世界に引きずり込まれるようにし
て一気読み。

まず惹かれたのは、「銭湯」や「ファミリーレストラン」という自分なりの視
点や切り口で、世の中を的確に見つめることができる力。具体的でわかりやす
く、どこか静かで潔い。そして、「世代に関係なく、日本人は鈍感になってし
まった」「プロセスを省かないで」と、繰り返し語られるその言葉が、自分自
身への自戒も含め、妙にすとんと納得できた。

彼女の文章を読んでいると、本業である写真の方もじっくりと見てみたいとい
う気持ちにさせられる。初めて読んだけど、気になる作家の一人に仲間入り。
これまでの著作を遡って読んでみようと思う…。


 5月18日(土) 「丘の上の牧師館(メニム一家の物語 5)
      シルヴィア・ウォー作
 こだまともこ・訳 佐竹美保・絵(講談社)


amazon(現在在庫切れ)1997.11月20日発行・335P・1553円

<メニム一家の物語>第五作目。とうとう完結〜。

前作「北岸通りの骨董屋」での十月一日から、七ヶ月。メニム一家は、見覚え
のない部屋の中で
命をふきかえす。しかし、たったひとり、スービーの姿だけ
が、
家中どこをさがしても見つからない…。

一方、家主のデイジーは、愛するメニム一家の“真実”に、少しずつ近づき始
めていた…。


最終巻は、もし自分が彼らだったらどうするだろう…と、何度も考えながら、
読んだ気がする。

私がメニム一家の立場なら、悟られていると気がついた後、デイジーに対して
どのような態度をとっただろうか?もし、私がデイジーなら、彼らにどう接し
ただろう?そして、私がビリーだったら、デイジーに話してしまうかもしれな
…。

邦題と表紙の絵で、結末は、最初からある程度予想できてしまったんだけど、
どこかで、“いつまでも”生き続ける道を選んだ彼らは、幸せなのだろうか?
うーむ、フクザツな気持ちだ。

訳者あとがきによると、このシリーズの絵を書いた佐竹美保さんは、メニムた
ちに惚れ込んだあまり、アップルビーとピープーの等身大の布の人形を作った
らしい!ひゃあ〜、すごい!まだあるのかなぁ、見てみたいなぁ。

それにしても、今までと全く違う状況に置かれた時の女性って、やっぱり強い
よね。おしなべて、男性に比べて楽観的なのかもしれない…。
なにはともあれ
最後まであっぱれ!のチューリップでした。そして、読み終えて、愛しいメニ
ムたちに会えなくなるのが、なんともさみしいなぁ…。


「メニム一家」の舞台となったイギリス・ニューカッスルに住んでいたという、
まど・フォンさんのサイト The Mennyms では、“メニムスポット探し”−ストーリーに
登場しそうな建物や風景を写真に収めて紹介していますよ!


 5月14日(火) 「コッケモーモー!ジュリエット・ダラス=コンテ文
            アリソン・バートレット絵 たなかあきこ訳(徳間書店)


amazon2001.11月30日発行・32P・1400円

わけあって、絵本を何冊かまとめ読みしたが、その中で、一番子どもたちが喜
びそうと思ったのが、これ!

ある朝のこと。おんどりは、夜が明けたことを告げようと、息を大きく吸いま
した。ところが…。「コッケモーモー!」

あれ?おんどりは、鳴き方を忘れてしまったのです。

「コッケガーガー!」「コッケブーブー!」いくらがんばっても思い出せない
おんどりは、すっかり悲しくなりました。さて、その晩、みんなが寝静まった
頃に、おんどりが耳にしたあやしい物音は…。

シンプルなお話。くりかえしの楽しさ。そして、言葉は非常にリズミカル。
耳で聞いた方が、より魅力的なので、ぜひぜひ声に出して読んでみて!

色使いも鮮やかで、遠目もきく絵本だと思うので、集団の読み聞かせ(小学校
の低学年ぐらいでも充分楽しめると思います)にも使えそう。もちろん、小さ
い子にも受けそうよ。


 5月14日(火) 「北岸通りの骨董屋(メニム一家の物語 4)
        シルヴィア・ウォー作 こだまともこ・訳 佐竹美保・絵(講談社)


amazon(現在在庫切れ)1997.5月28日発行・311P・1553円

<メニム一家の物語>第四作目。


前作に続いて、追い詰められていくメニム一家!!

遺言により、メニム一家のひとたちが死んだり、引っ越したりした場合、次の
相続人となるのは、“あの”アルバート・ポンド(「荒野のコーマス屋敷」に
登場。だが今、アルバートはメニムたちに関する記憶を、すっかり
消されてし
まっている)の妻となったローナの母・ジェニファだった。


謎の住人メニム一家。このひとたちはまだ生きているのだろうか。ジェニファ
の娘夫婦は、
弁護士を通してジョシュア宛に手紙を送った…。マグナス卿の
生証明書を送って欲しいというそれは、マグナム卿と息子のジョシュアの
年齢
を確かめ、
彼らが生きているのか探ろうというものだった。


そして同じ頃、マグナス卿は、
恐ろしい予感に襲われていた。

マグナスの予告を
どこまで信じたらいいのか?本当にそんなことが起こるのだ
ろうか。誰もが信じられない中、メニム一家はその日に向けて準備を始め出し
た…。

まずは、やっぱり、こういう状況になった時のおばあちゃん・チューリップの
たくましさを見よって感じ。さすが実業家の手腕発揮である。

読み手の私も、マグナス卿をのぞいたほかの家族と同じように、ただの思い込
みか、いやいやもしかしてありえるかもと、戦々恐々としながら、その日の場
面を迎えた。そして
、このシリーズの第一巻目「ブロックルハースト・グロー
ブの謎の屋敷
」を読み始めた時にはよもや思いもしなかった展開に、ショック
を受けてしまった。この四作目だけは、二部構成になっています。

二部では 「L&P・ワゴンズ」という骨董屋を、ひとりで切り盛りしているデイ
ジー・モーム
が登場する。
そして、デイジーの甥の子どもとして、ビリーも再
登場。ビリーは、三年前、人の住んでいない荒野の屋敷から等身大の青い布の
人形を持ち出して、ガイ・フォークスデイの焚き火で燃やそうとした日の出来
事を思い出す…。

さて、次作五作目は、いよいよ最終巻。この四作目から、デイジーという魅力
的な人物が登場し、
ラストでメニム一家自体も明るい兆しをみせはじめたよう
だが、その運命やいかに!!ただいま読書中です…。


 5月13日(月) 「屋敷の中のとらわれびと(メニム一家の物語 3)
        シルヴィア・ウォー作 こだまともこ・訳 佐竹美保・絵(講談社)


amazon(現在在庫切れ)1996.10月31日発行・327P・1600円

ブロックルハースト・グローブ五番地に住む謎の住人…メニム一家。彼らの正
体は、等身大の布の人形だった。不思議なことに命を得た人形たちは、40年以
上にわたって、
人知れずひっそりと、人間そっくりの暮らしを続けてきた…。
シリーズ<メニム一家の物語>第三作目。


前作「荒野のコーマス屋敷」で、高速道路建設のため、ブロックルハースト・
グローブが壊されるという危機に瀕したとき、「グローブを救え」という運動
を先頭をきって行なっていたアンシア・フライヤーが、メニム一家に興味を持
ち、あれこれ詮索しはじめる。

しかも、メニムたちは「外の人間」たちと危ない接近を繰り返し、それぞれの
家族が引き起こすちょっとしたことが引きがねとなって、彼らを脅かす出来事
が相次いだ。

わが家族を外界から守らねば。マグナス卿は家族会議を招集し、すべての安全
が確信できるまで屋敷から出てはならんと言い渡す。

裏庭以外、どこにも出られず、いつも誰かが居間の窓から外を見張っている生
活。おじいちゃんのいうことは大げさ過ぎる!何日も何日も家に閉じ込められ
て、イライラが増す家族たち。アップルビーは、自分が入れられた籠から逃げ
出す方法を探そうと、もがいていた。そして、大きな犠牲がはらわれた…。


三作目、四作目と続けて読んだが、あぁ〜、まさかまさかそんな展開になろう
とは!!の連続で、しばし驚愕…。

この世でもっとも安全な場所だと信じこんでいたブロックルハースト・グロー
ブ五番地での生活。平凡な営みが“永遠に”続くと思っていた彼らが、気づい
たこととは??最後まで緊迫感の漂う展開。やんちゃでひっかきまわしてばか
りのアップルビーが…あう〜〜。

親子三代、十一人の大家族。永遠に十代の若者でいなければならない運命にあ
る三人の人形たちの、布の人形であるがゆえの哀しみやもどかしさ。またそれ
ぞれに家族を守ろうとして衝突する年長者たち。ひとりひとりのキャラクター
の中にリアルな人間くささが感じられ、読む年代によって、さまざまな人形た
ちに感情移入をしながら読みすすめることができると思う。(今回私は、ヴィ
ネッタに肩入れしてしまったよ…)

この巻で、お父さんのジョシュアがいつになく、いや初めて、頼もしい姿をみ
せてます。

そして物語は、怒涛のごとく、第四作目に突入だッ!


 5月9日(木) 「ルート225藤野千夜(理論社)

amazon2002.1月発行・282P・1500円

先月読んだ「少年と少女のポルカ」が好きだったので、こちらも手にとってみ
る。藤野千夜さんにとって、これが芥川賞受賞後の第一作目となるそうだ。

中学二年生のエリコは、ひとつ年下の弟ダイゴとともに、現実とは違う別世界
に迷い込んでしまった。そこは、もといた世界によく似てはいるけれど、微妙
に違う。前の世界がAだとすれば、ここはAダッシュ…。


実を言うと、なんの予備知識を持たず読み始めたので、最初、北村薫さんの
ターン」のような話なのかなと思ってたのね。(あちらは誰もいない世界に
迷い込む話だけど)ところが、話は思わぬ方へ思わぬへと進んでいき、そこで
ええっーと思ったら、急に気持ちがざわざわしちゃったよ…。

これって、すごく今っぽい。物語はエリ子の一人称で語られていくんだけど、
その語り口は、いかにもイマドキの女の子。クールな考え方もそうだし、なん
かいろんなことが希薄な気がしてしょうがなかった。そして迷い込んだ原因も
理由も明らかにされないし、話にケリがつくわけでもない。あぁ、もう私は古
いタイプなのか、落ち着かなくなる。

「えっ?それでいいの??」と思っちゃったんだけど、それでもなんとか折り
合いをつけて生きていくというのが、イマドキの子の強さなのかもしれないな
ぁ…。藤野さんの描くこの物語はテンポがよく、一見軽やかなんだけど、言葉
にできない怖さと不安感が残りました。


 5月5日(日) 「あかんべえ宮部みゆき(PHP研究所)

amazon2002.3月29日発行・509P・1800円

宮部みゆきさんの新作。長編時代小説。

主人公のおりんは、十二歳。両親が料理屋を開くことになり、深川に引っ越し
てきたばかり。しかし、その料理屋「ふね屋」の宴席でお化け騒ぎが起こる。
お化けの姿が見えるのはおりんだけ。他の人には暴れまわる刀が見えるのみ。
この騒動の噂はあっという間に広がり、開業早々ふね屋は危機に陥ってしまっ
た。

一方、そのお化けの一人に命を助けられたおりんは、ふね屋に巣くうお化けた
ちと心を通い合わせるようになる。自分たちでも、何にこだわってこの場所に
いるのか思い出せないお化けたち。彼らはなぜ成仏できずいるのか?
おりんは
その謎を探る手伝いをすることを申し出る…。


あぁ、なんて優しさに満ちているんだろう…というのが一番の感想。物語は、
人の心の中に潜む闇”を浮き彫りにして、人の愚かさ、醜さをえぐっていき
ながらも、
作品全体の印象としては明るい。お化けがたくさん登場してくるの
だが、おどろおどろさよりも、どこかほのぼのとした気持ちにさせられる。亡
者もいろんなものを抱えながら生きている人も、全て包む込むような温かさが
感じられるのだ。


ジブリアニメを彷彿とさせる雰囲気。(おりんの、利発で真っ直ぐなキャラク
ターは「となりのトトロ」のサツキのイメージで読んじゃった)玄之介やおみ
つさんをはじめとする
幽霊たちも、映像が浮かんでくるようで楽しかったな。
おさきおばちゃんが好きでした。


 5月2日(木) 「ハードボイルド・エッグ荻原浩(双葉社)

amazon1999.10月20日発行・393P・1600円

誘拐ラプソディー」で気に入った、荻原浩氏の作品。

敬愛するのはフリップ・マロウ。私は探偵になるために生まれてきた。三十三
になる今でも、そう信じている。
めざしているのは、危険な犯罪捜査も辞さな
いタフな私立探偵だ。


けれど、持ち込まれる依頼は、飼い主のもとを逃げ出した動物の捜索ばかり。
探偵稼業に足をつっこんで三年。
私は決意した。そうだ。秘書を雇おう。円滑
な探偵活動とうるおいのある職場環境のためのパートナーを。

…で、秘書募集の貼り紙を見て電話をかけてきたのが片桐綾。(物語は、この
片桐綾が登場してくるあたりから、俄然おもしろくなってゆくのね)
そして私
は、ある殺人事件に巻き込まれることになる…。 


一人称でのその語り口は、あくまでもクールにハードボイルドで。けれど、
の現実は、滑稽なくらいずっこけまくり。そのギャップがなんとも可笑しいの
だ。

片桐綾については、たぶんこうなんだろうなぁと想像できたりするところもあ
るんだけど、探偵とのいい相棒ぶり(?)と、その活躍には拍手〜

笑わせ、ハラハラさせて、最後にはホロリとさせられる。読後感良し。遅れ馳
せながら、この作者にハマりそうな予感。


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