| 2002年5月読了 | |||
| 5/31 | 鳥の巣の本 鈴木まもる(岩崎書店) | ||
| 5/23 | 銭湯の女神 星野博美(文藝春秋)★ | ||
| 5/18 | 丘の上の牧師館 シルヴィア・ウォー(講談社) | ||
| 5/14 | コッケモーモー! アリソン・バートレット絵(徳間書店)★ | ||
| 5/14 | 北岸通りの骨董屋 シルヴィア・ウォー(講談社) | ||
| 5/13 | 屋敷の中のとらわれびと シルヴィア・ウォー(講談社) | ||
| 5/9 | ルート225 藤野千夜(理論社) | ||
| 5/5 | あかんべえ 宮部みゆき(PHP研究所)★ | ||
| 5/2 | ハードボイルド・エッグ 荻原浩(双葉社) | ||
| 5月31日(金) 「鳥の巣の本」鈴木まもる(岩崎書店) 図書館で、ふと手にしたこの本。なかなかおもしろかったのよ〜。 鈴木まもるさんといえば、「みんなあかちゃんだった」(小峰書店)などを描 いている絵本作家でもあるんですけど、ある日、山の中で見つけた鳥の巣に魅 せられていき、いつしか鳥の巣研究家になっていったようです…。すごい! 内容は、題名通り、イラストと写真で記す“鳥の巣”。わかりやすく、しかも 見ているだけで楽しい絵本図鑑になっています。 鳥の巣って、みんな同じようなものなのかなと思っていたら、鳥によって、巣 を作る場所も、使う材料も、形もみんな違うらしい…。それぞれの鳥たちが、 どんな風に巣を組み立てていくのかも、この本の中でよーくわかるようになっ ています。 巣の土台には、クモの糸やガのマユの糸を使っているんだと知ったり、都会で は木が減り、ハンガーや針金で巣を作るカラスもいるようで、カラスは苦手だ けど、なんだかちょっと気の毒になったり。 鳥の巣ひとつから、その鳥の生態など、いろんなことが見えてくるところがお もしろい!鳥たちの知恵と工夫が伝わってきます。 イラストの横に、小さくカタカナで表記されている鳥たちのつぶやきが、かわ いくて、クスクスと笑えます。 鈴木まもるさんによる同じ絵本図鑑シリーズで、「世界の鳥の巣の本」という 本も発売されているようです。小学生から大人まで楽しめる一冊。 |
| 5月23日(木) 「銭湯の女神」星野博美(文藝春秋) 著者である星野博美さんのことは 二ヶ月程前NHK-BS「週刊ブックレビュー」 の番組の中で、この本が取り上げられていたのを見て、初めて知った。 で、その経歴は…。 1966年生まれ。写真家・橋口譲二さんのアシスタントを経て、独立。その後、 中国返還をはさんだ二年間を香港で暮らし、その体験をもとにした「転がる香 港に苔は生えない」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。 そして、彼女が東京に戻ってきて三年。この作品は、帰国してから感じた、戸 惑いと違和感の日常の中で書かれたエッセイ集である。 なんだろ。エッセイなんだけど、星野さんの世界に引きずり込まれるようにし て一気読み。 まず惹かれたのは、「銭湯」や「ファミリーレストラン」という自分なりの視 点や切り口で、世の中を的確に見つめることができる力。具体的でわかりやす く、どこか静かで潔い。そして、「世代に関係なく、日本人は鈍感になってし まった」「プロセスを省かないで」と、繰り返し語られるその言葉が、自分自 身への自戒も含め、妙にすとんと納得できた。 彼女の文章を読んでいると、本業である写真の方もじっくりと見てみたいとい う気持ちにさせられる。初めて読んだけど、気になる作家の一人に仲間入り。 これまでの著作を遡って読んでみようと思う…。 |
| 5月18日(土) 「丘の上の牧師館(メニム一家の物語 5)」 シルヴィア・ウォー作 こだまともこ・訳 佐竹美保・絵(講談社) 【amazon】(現在在庫切れ)1997.11月20日発行・335P・1553円 <メニム一家の物語>第五作目。とうとう完結〜。 前作「北岸通りの骨董屋」での十月一日から、七ヶ月。メニム一家は、見覚え のない部屋の中で命をふきかえす。しかし、たったひとり、スービーの姿だけ が、家中どこをさがしても見つからない…。 一方、家主のデイジーは、愛するメニム一家の“真実”に、少しずつ近づき始 めていた…。 最終巻は、もし自分が彼らだったらどうするだろう…と、何度も考えながら、 読んだ気がする。 私がメニム一家の立場なら、悟られていると気がついた後、デイジーに対して どのような態度をとっただろうか?もし、私がデイジーなら、彼らにどう接し ただろう?そして、私がビリーだったら、デイジーに話してしまうかもしれな い…。 邦題と表紙の絵で、結末は、最初からある程度予想できてしまったんだけど、 どこかで、“いつまでも”生き続ける道を選んだ彼らは、幸せなのだろうか? うーむ、フクザツな気持ちだ。 訳者あとがきによると、このシリーズの絵を書いた佐竹美保さんは、メニムた ちに惚れ込んだあまり、アップルビーとピープーの等身大の布の人形を作った らしい!ひゃあ〜、すごい!まだあるのかなぁ、見てみたいなぁ。 それにしても、今までと全く違う状況に置かれた時の女性って、やっぱり強い よね。おしなべて、男性に比べて楽観的なのかもしれない…。なにはともあれ 最後まであっぱれ!のチューリップでした。そして、読み終えて、愛しいメニ ムたちに会えなくなるのが、なんともさみしいなぁ…。 ・「メニム一家」の舞台となったイギリス・ニューカッスルに住んでいたという、 まど・フォンさんのサイト The Mennyms では、“メニムスポット探し”−ストーリーに 登場しそうな建物や風景を写真に収めて紹介していますよ! |
| 5月14日(火) 「コッケモーモー!」ジュリエット・ダラス=コンテ文 アリソン・バートレット絵 たなかあきこ訳(徳間書店) わけあって、絵本を何冊かまとめ読みしたが、その中で、一番子どもたちが喜 びそうと思ったのが、これ! ある朝のこと。おんどりは、夜が明けたことを告げようと、息を大きく吸いま した。ところが…。「コッケモーモー!」 あれ?おんどりは、鳴き方を忘れてしまったのです。 「コッケガーガー!」「コッケブーブー!」いくらがんばっても思い出せない おんどりは、すっかり悲しくなりました。さて、その晩、みんなが寝静まった 頃に、おんどりが耳にしたあやしい物音は…。 シンプルなお話。くりかえしの楽しさ。そして、言葉は非常にリズミカル。 耳で聞いた方が、より魅力的なので、ぜひぜひ声に出して読んでみて! 色使いも鮮やかで、遠目もきく絵本だと思うので、集団の読み聞かせ(小学校 の低学年ぐらいでも充分楽しめると思います)にも使えそう。もちろん、小さ い子にも受けそうよ。 |
| 5月14日(火) 「北岸通りの骨董屋(メニム一家の物語 4)」 シルヴィア・ウォー作 こだまともこ・訳 佐竹美保・絵(講談社) 【amazon】(現在在庫切れ)1997.5月28日発行・311P・1553円 <メニム一家の物語>第四作目。 前作に続いて、追い詰められていくメニム一家!! 遺言により、メニム一家のひとたちが死んだり、引っ越したりした場合、次の 相続人となるのは、“あの”アルバート・ポンド(「荒野のコーマス屋敷」に 登場。だが今、アルバートはメニムたちに関する記憶を、すっかり消されてし まっている)の妻となったローナの母・ジェニファだった。 謎の住人メニム一家。このひとたちはまだ生きているのだろうか。ジェニファ の娘夫婦は、弁護士を通してジョシュア宛に手紙を送った…。マグナス卿の出 生証明書を送って欲しいというそれは、マグナム卿と息子のジョシュアの年齢 を確かめ、彼らが生きているのか探ろうというものだった。 そして同じ頃、マグナス卿は、恐ろしい予感に襲われていた。 マグナスの予告をどこまで信じたらいいのか?本当にそんなことが起こるのだ ろうか。誰もが信じられない中、メニム一家はその日に向けて準備を始め出し た…。 まずは、やっぱり、こういう状況になった時のおばあちゃん・チューリップの たくましさを見よって感じ。さすが実業家の手腕発揮である。 読み手の私も、マグナス卿をのぞいたほかの家族と同じように、ただの思い込 みか、いやいやもしかしてありえるかもと、戦々恐々としながら、その日の場 面を迎えた。そして、このシリーズの第一巻目「ブロックルハースト・グロー ブの謎の屋敷」を読み始めた時にはよもや思いもしなかった展開に、ショック を受けてしまった。この四作目だけは、二部構成になっています。 二部では 「L&P・ワゴンズ」という骨董屋を、ひとりで切り盛りしているデイ ジー・モームが登場する。そして、デイジーの甥の子どもとして、ビリーも再 登場。ビリーは、三年前、人の住んでいない荒野の屋敷から等身大の青い布の 人形を持ち出して、ガイ・フォークスデイの焚き火で燃やそうとした日の出来 事を思い出す…。 さて、次作五作目は、いよいよ最終巻。この四作目から、デイジーという魅力 的な人物が登場し、ラストでメニム一家自体も明るい兆しをみせはじめたよう だが、その運命やいかに!!ただいま読書中です…。 |
| 5月13日(月) 「屋敷の中のとらわれびと(メニム一家の物語 3)」 シルヴィア・ウォー作 こだまともこ・訳 佐竹美保・絵(講談社) 【amazon】(現在在庫切れ)1996.10月31日発行・327P・1600円 ブロックルハースト・グローブ五番地に住む謎の住人…メニム一家。彼らの正 体は、等身大の布の人形だった。不思議なことに命を得た人形たちは、40年以 上にわたって、人知れずひっそりと、人間そっくりの暮らしを続けてきた…。 シリーズ<メニム一家の物語>第三作目。 前作「荒野のコーマス屋敷」で、高速道路建設のため、ブロックルハースト・ グローブが壊されるという危機に瀕したとき、「グローブを救え」という運動 を先頭をきって行なっていたアンシア・フライヤーが、メニム一家に興味を持 ち、あれこれ詮索しはじめる。 しかも、メニムたちは「外の人間」たちと危ない接近を繰り返し、それぞれの 家族が引き起こすちょっとしたことが引きがねとなって、彼らを脅かす出来事 が相次いだ。 わが家族を外界から守らねば。マグナス卿は家族会議を招集し、すべての安全 が確信できるまで屋敷から出てはならんと言い渡す。 裏庭以外、どこにも出られず、いつも誰かが居間の窓から外を見張っている生 活。おじいちゃんのいうことは大げさ過ぎる!何日も何日も家に閉じ込められ て、イライラが増す家族たち。アップルビーは、自分が入れられた籠から逃げ 出す方法を探そうと、もがいていた。そして、大きな犠牲がはらわれた…。 三作目、四作目と続けて読んだが、あぁ〜、まさかまさかそんな展開になろう とは!!の連続で、しばし驚愕…。 この世でもっとも安全な場所だと信じこんでいたブロックルハースト・グロー ブ五番地での生活。平凡な営みが“永遠に”続くと思っていた彼らが、気づい たこととは??最後まで緊迫感の漂う展開。やんちゃでひっかきまわしてばか りのアップルビーが…あう〜〜。 親子三代、十一人の大家族。永遠に十代の若者でいなければならない運命にあ る三人の人形たちの、布の人形であるがゆえの哀しみやもどかしさ。またそれ ぞれに家族を守ろうとして衝突する年長者たち。ひとりひとりのキャラクター の中にリアルな人間くささが感じられ、読む年代によって、さまざまな人形た ちに感情移入をしながら読みすすめることができると思う。(今回私は、ヴィ ネッタに肩入れしてしまったよ…) この巻で、お父さんのジョシュアがいつになく、いや初めて、頼もしい姿をみ せてます。 そして物語は、怒涛のごとく、第四作目に突入だッ! |
| 5月9日(木) 「ルート225」藤野千夜(理論社) 先月読んだ「少年と少女のポルカ」が好きだったので、こちらも手にとってみ る。藤野千夜さんにとって、これが芥川賞受賞後の第一作目となるそうだ。 中学二年生のエリコは、ひとつ年下の弟ダイゴとともに、現実とは違う別世界 に迷い込んでしまった。そこは、もといた世界によく似てはいるけれど、微妙 に違う。前の世界がAだとすれば、ここはAダッシュ…。 実を言うと、なんの予備知識を持たず読み始めたので、最初、北村薫さんの 「ターン」のような話なのかなと思ってたのね。(あちらは誰もいない世界に 迷い込む話だけど)ところが、話は思わぬ方へ思わぬへと進んでいき、そこで ええっーと思ったら、急に気持ちがざわざわしちゃったよ…。 これって、すごく今っぽい。物語はエリ子の一人称で語られていくんだけど、 その語り口は、いかにもイマドキの女の子。クールな考え方もそうだし、なん かいろんなことが希薄な気がしてしょうがなかった。そして迷い込んだ原因も 理由も明らかにされないし、話にケリがつくわけでもない。あぁ、もう私は古 いタイプなのか、落ち着かなくなる。 「えっ?それでいいの??」と思っちゃったんだけど、それでもなんとか折り 合いをつけて生きていくというのが、イマドキの子の強さなのかもしれないな ぁ…。藤野さんの描くこの物語はテンポがよく、一見軽やかなんだけど、言葉 にできない怖さと不安感が残りました。 |
| 5月5日(日) 「あかんべえ」宮部みゆき(PHP研究所) 宮部みゆきさんの新作。長編時代小説。 主人公のおりんは、十二歳。両親が料理屋を開くことになり、深川に引っ越し てきたばかり。しかし、その料理屋「ふね屋」の宴席でお化け騒ぎが起こる。 お化けの姿が見えるのはおりんだけ。他の人には暴れまわる刀が見えるのみ。 この騒動の噂はあっという間に広がり、開業早々ふね屋は危機に陥ってしまっ た。 一方、そのお化けの一人に命を助けられたおりんは、ふね屋に巣くうお化けた ちと心を通い合わせるようになる。自分たちでも、何にこだわってこの場所に いるのか思い出せないお化けたち。彼らはなぜ成仏できずいるのか?おりんは その謎を探る手伝いをすることを申し出る…。 あぁ、なんて優しさに満ちているんだろう…というのが一番の感想。物語は、 “人の心の中に潜む闇”を浮き彫りにして、人の愚かさ、醜さをえぐっていき ながらも、作品全体の印象としては明るい。お化けがたくさん登場してくるの だが、おどろおどろさよりも、どこかほのぼのとした気持ちにさせられる。亡 者もいろんなものを抱えながら生きている人も、全て包む込むような温かさが 感じられるのだ。 ジブリアニメを彷彿とさせる雰囲気。(おりんの、利発で真っ直ぐなキャラク ターは「となりのトトロ」のサツキのイメージで読んじゃった)玄之介やおみ つさんをはじめとする幽霊たちも、映像が浮かんでくるようで楽しかったな。 おさきおばちゃんが好きでした。 |
| 5月2日(木) 「ハードボイルド・エッグ」荻原浩(双葉社) 「誘拐ラプソディー」で気に入った、荻原浩氏の作品。 敬愛するのはフリップ・マロウ。私は探偵になるために生まれてきた。三十三 になる今でも、そう信じている。めざしているのは、危険な犯罪捜査も辞さな いタフな私立探偵だ。 けれど、持ち込まれる依頼は、飼い主のもとを逃げ出した動物の捜索ばかり。 探偵稼業に足をつっこんで三年。私は決意した。そうだ。秘書を雇おう。円滑 な探偵活動とうるおいのある職場環境のためのパートナーを。 …で、秘書募集の貼り紙を見て電話をかけてきたのが片桐綾。(物語は、この 片桐綾が登場してくるあたりから、俄然おもしろくなってゆくのね)そして私 は、ある殺人事件に巻き込まれることになる…。 一人称でのその語り口は、あくまでもクールにハードボイルドで。けれど、そ の現実は、滑稽なくらいずっこけまくり。そのギャップがなんとも可笑しいの だ。 片桐綾については、たぶんこうなんだろうなぁと想像できたりするところもあ るんだけど、探偵とのいい相棒ぶり(?)と、その活躍には拍手〜。 笑わせ、ハラハラさせて、最後にはホロリとさせられる。読後感良し。遅れ馳 せながら、この作者にハマりそうな予感。 |