| 2002年6月読了 | |||
| 6/30 | この本、おもしろいよ!(およそ小学校3〜4年生くらい) | ||
| 6/13 | チョコレート工場の秘密 ロアルド・ダール(評論社) | ||
| 6/12 | 母恋旅烏 荻原浩(小学館文庫)★ | ||
| 6/11 | ともだちは海のにおい 工藤直子(理論社) | ||
| 6/10 | 魔神の指輪(シェーラひめのぼうけん 1) 村山早紀(フォア文庫) | ||
| 6/10 | うしなわれた秘宝(シェーラひめのぼうけん 2) 村山早紀(フォア文庫) | ||
| 6/3 | 家なき鳥 グロリア・ウィーラン(白水社) | ||
| 6月30日(日) この本、おもしろいよ!(およそ小学校3〜4年生くらい) 読書会の例会当番を担当して、取り上げた児童書です。題名の羅列だけで、す まぬ…。 「あらしのよるに」木村裕一・作 あべ弘士・絵(講談社) →感想 「なん者ひなた丸 ねことんの術の巻」斉藤洋・作 大沢幸子・絵(あかね書房) 主人公のひなた丸は、忍者の見習いの男の子。できる術といったら、忍者の衣 装から、すばやく猫のぬいぐるみに着替える“ねことんの術”だけ。そんなひ なた丸に、となりの国が雇った忍者を探れという仕事が舞い込み、はりきって 出かけますが…。 ひなた丸は、まだまだ忍者の見習なので、“なん者”。おとうさんのように一 人前になると、“忍者”。その忍者を究めると、隠居しているおじいちゃんの ように“ぬん者”になるという設定。くすくす笑いながら、テンポよく読めま す。おじいさんと父さんの教えを守り、一日も早く一人前の忍者になりたいひ なた丸と、それをしっかりと見守っているおじいちゃんがいい!<なん者ひな た丸>シリーズとして、以下16巻あり。 「火よう日のごちそうはひきがえる」ラッセル・E・エリクソン・作 ローレンス・D・フィオリ・絵 佐藤涼子・訳(評論社) ウォートンとモートンは、小さなひきがえるのきょうだい。ある日、ウォート ンは、おいしいカブトムシの砂糖菓子を、トゥーリアおばさんのうちまで届け に行こうとします。けれど、地面の上は真冬。カエルが飛び歩くなんて、とん でもない季節。ウォートンは、反対するモートンをふりきり、思いつく限りの 重装備で出発しますが、たちの悪いみみずくに捕まり、みみずくの誕生日であ る、次の火曜日におまえを食べるぞと宣言されてしまいます。 料理好きのモートンと、掃除が大好きなウォートンというひきがえるの兄弟の 話。シリーズものです。短いお話ですが、非常にうまくまとまっていて、二転 三転する展開が楽しい。 「ねことともだち」いとうひろし(徳間書店) →感想 「魔神の指輪」村山早紀・作 佐竹美保・画(フォア文庫) →感想 「大どろぼうホッツェンプロッツ」プロイスラー・作 中村浩三・訳(偕成社) おばあちゃんの大事なコーヒーひきが奪われた。それを取り返すため、孫のカ スパールと、その友人のゼッペルは、大どろぼうホッツェンプロッツをつかま えようとするが、逆につかまっちゃって…。 定番かな。この本の魅力は、とにかく楽しいでしょ。ちょっと間抜けな大どろ ぼうなんだけど、ハラハラドキドキする山場がちゃんとあるし、この物語自体 が、どこかとぼけてる感じがあって。 カスパールが、できるだけバカにみえるようにと、魔法使いに言いつけられた 仕事を、めちゃくちゃに言いかえる言葉遊びとか、物語の中にたくさんでてく るおいしそうな食べ物とか…細かいところに、楽しめる要素があるような気が します。 ピンチになったり、チャンスになったり、笑えて、スリルが感じられて、最後 には、満腹感も味わえるという一冊です。 「ポリーとはらぺこオオカミ」キャサリーン・ストー・作 掛川恭子・訳(岩波書店) こちらは、赤ずきんちゃんを下敷きにしたお話。 「ドリドル先生アフリカゆき」ロフティング・作 井伏鱒二・訳(岩波書店) 「黒い島のひみつ」エルジェ・作 川口恵子・訳(福音館書店) 「ルドルフとイッパイアッテナ」斉藤洋・作 杉浦範茂・絵(講談社) 「子ブタシープピッグ」ディック・キング=スミス 木原悦子・訳 メアリー・レイナー・絵(評論社) 「にんきもののひけつ」森絵都・文 武田美穂・絵(童心社) 「スクールバスの子ねこ」マージョリーとアンドリュー・シャーマット・作 乾侑美子・訳 はたこうしろう・絵(偕成社) 「びりっかすの神さま」岡田淳・作・絵(偕成社) →感想 「ともだちは海のにおい」工藤直子 長新太・絵(理論社) →感想 「ふしぎな木の実の料理法」岡田淳(理論社) 「バレエをおどりたかった馬」H・ストルテンベルク・作 菱木晃子・訳 さとうあや・絵(福音館書店) 「ペンギンハウスのメリークリスマス」斉藤洋・作 伊東寛・絵(講談社) →感想 「クラマ博士のなぜ」山中恒(理論社) 「よい子への道」おかべりか(福音館書店) 「正しい暮し方読本」五味太郎(福音館書店) 「ことわざ絵本」五味太郎(岩崎書店) 「ヨムヨム王国−子どもの本のガイドブック」斎藤次郎+増田喜昭(晶文社出版) →感想 |
| 6月13日(木) 「チョコレート工場の秘密」ロアルド・ダール・作 田村隆一・訳 ジョセフ・シンデルマン・絵(評論社) チャーリーの家は、とても貧乏で、食糧を買うお金にさえこと欠き、いつもお なかをすかせていた。大好きなチョコレートも、年に一度の誕生日に買っても らうだけ。しかも、その板チョコを一ヶ月もかけて大事に大事に食べるのだ。 家の近くには、世界で一番大きなチョコレート工場があり、そこの煙突からは いつも甘い匂いが漂ってくる。しかし、そこに出入りする工員を、誰も見たこ とがない。 ある日、そのチョコレート工場長のウィリー・ワンカさんが、「ワンカチョコ レートの中に入っている、五枚の金色の券を当てた子どもたちを、工場見学に 招待します」と発表する…。 大人になってから読んだせいもあるんだけど、正直言って、個人的にはあまり 好きとは言えなかったんだけど…。(小学生の時に読んでたら、全然違う感想 をもったかもしれないが…) でも、このチョコレート工場の内部の様子には、度肝を抜かれた。まさに、奇 想天外の世界!!自分のちゃっちい想像力なんて、ぶっとばすほどのすごいも のだった。なんとも不思議で、思いもつかないようなお菓子がわんさか出てく る。これは、子ども心をくすぐるよねー。こりゃあ、夢中になるわけだ。チョ コレートの川から、ジョッキですくいあげたたっぷりのホットチョコレートが おいしそうでたまりませ〜ん。チャーリーに金券が当たったと知って、踊り出 す96歳のジョーじいさんが、かわいかったなー。 だけど、大人の目から見ると、これってなかなか辛辣だよねぇ…。実は私、む しょうにワンカさんがこわかったのだ。(挿絵も、ちょっと不気味)笑って、 人を斬るような。そ、そこまでもしなくても…と思うほど、徹底的にやっつけ る。善悪はっきりしてるよね。あと、それって人種差別じゃないのという表現 があったりして、ちょっとびっくり。 この「チョコレート工場の秘密」は、恩田陸さんの「三月は深き紅の淵を」の 冒頭に引用されてたよね。そして、最後に、ボタンだらけのガラスのエレベー ターの行き先が、「上と外」だったのに、嬉しくなった私です。 |
| 6月12日(水) 「母恋旅烏」荻原浩(小学館文庫) 書き下ろし文庫。 大衆演劇役者の花菱清太郎は、一座を飛び出し、自分で劇団を旗揚げするが解 散。その後、ころころと仕事を変えては、ことごとく失敗。そして、ふだんは 仲の悪い家族を巻き込んでレンタル家族派遣業を始めるが、増えるのは仕事で はなく、借金ばかり。やがて、取立てに追われ家にも帰れず、清太郎は、元の 大衆演劇の世界に戻ることになったが…。 くぅ〜、いいねぇ〜。笑わせて、胸にしみて…。年をとったのか、近頃こうい うのに、めっきり弱くなってしまった。 次男の寛二が中心となり、長女の桃代、長男の太一、清太郎と、語り手を変え ながら描かれる、ドタバタ家族劇。 主人公の清太郎は、カッコ悪くて、泥臭くて…。花菱清太郎に向かって、だは は、いまどきそんなの流行んないじゃないのーなんて、心の中で悪態をついて も、最後には、すっかり晴れやかないい気分にさせられている。この家族と離 れがたい気持ちになっているのだ。特に旅回り一座に戻ってからの後半部分か ら、よりぐぐぐっとひきつけられて楽しめました。 生き生きと描かれている寛二の存在がよかったなぁー。兄ちゃんの太一と一緒 に、レンタル家族派遣業の営業で、ヤクザの事務所に行った時のエピソードが 特に好きでした。 |
| 6月11日(火) 「ともだちは海のにおい」工藤直子 長新太・絵(理論社) わけあって、中学年ぐらいからの子どもの本をリストアップしていて、再読・ 積読消化の日々。 で…。いいよね〜〜、これ!! 暗い夜の静かな海で、偶然出会ったくじらといるか。コドクもいいが、“いっ しょ”も悪くない。詩と文章で綴る、ふたりの友情物語…。 ビールと本が好きなくじらと、体操とお茶が好きないるか。いるかがくじらに なわとびを教えたり、くじらがつくる詩や小説を朗読してもらったり、ふたり で人魚に手紙と贈り物を置いてきたり…。なんでもない日々の積み重ねなんだ けど、あったかくて、優しいやりとりに、肩の力が抜けるというか、ゆったり とした気分になってくるんだよね。長新太さんの挿絵が、これまたいんだ! 我が家では、娘も私もお気に入り。子どもだけではなく、大人も、ぜひこの世 界に浸って欲しいなぁ。 この本の中の、「うみとなみ」「いるかのてがみ」「雲の手紙」の三つの詩に メロディをつけて、新沢としひこさんが歌ってます!→CD「あいたくて」 |
| 6月10日(月) 「魔神の指輪(シェーラーひめのぼうけん 1)」 村山早紀・作 佐竹美保・画(フォア文庫) 「最後の戦い」で完結した、「シェーラひめのぼうけん」シリーズ第一作目。 まずは、物語の始まり−序章です。 遠い昔の遠い砂漠での出来事…。シェーラザード王国の全てものが、魔法使い サウードの野望のために、石に変えられてしまった。魔神の指輪に守られ、唯 一助かった世継ぎのひめ・シェーラと、幼なじみの魔法使いファリードの二人 は、王国を救うための旅に出る…。 「うしなわれた秘宝(シェーラーひめのぼうけん 2)」 村山早紀・作 佐竹美保・画(フォア文庫) シリーズ二作目。 さてさて…。シェーラザード王国にかけられたのろいをとくために、新たに加 わったハイルを含め三人は、賢者ハーシブから教えてもらった“七つのかぎ” の宝石をそろえるため、うしなわれた都・サラーブの遺跡にたどり着いた…。 シェーラひめの元気さがたまらない。アニメっぽいけど、テンポもいいし、コ ミカルな部分も見せて、なかなかおもしろい。ふだんあまり本を読まない子に も、とっつきやすいかも。小学生がはじめて自分で読む冒険ものとしても、楽 しめると思うなぁ。(どちらかというと、女の子向け。およそ中学年くらいか ら) おてんばな女の子に、幼なじみのちょっと情けない男の子と、不良っぽい男の 子の組合せ…とありがちな設定だけど、やっぱりこういうのが好まれるんだろ うなぁ。そういえばシェーラひめのように怪力な女の子って他にもいたなぁと 思ったら、リンドグレーンのピッピだった。アラビアンナイトも入ってるし、 ワクワクドキドキと読める要素がたっぷり。シェーラひめのまっすぐさが眩し いです。 |
| 6月3日(月) 「家なき鳥」グロリア・ウィーラン 代田亜香子・訳(白水社) 主人公は、インドに住む13歳の少女・コリー。彼女は、口減らしのため、相手 の顔も知らずにお嫁にいく。しかし、花婿の少年・ハリは重い病気で、結婚も 治療のための持参金目当てだったことがわかる。その上、ハリが亡くなり、コ リーはあっという間に未亡人になってしまった。 帰る場所はない。その後は、サス(義理の母親)から苛められるつらい日々。 やがて、サッサー(義理の父親)が死に、義妹のシャンドラがお嫁にいき、弟 のところに身を寄せることになったサスは、コリーを「未亡人の町」に置き去 りにする…。 日本の13歳の子どもたちと比べて、あまりに過酷な境遇に驚き、これは一体い つの時代の話なの??と思っていたら、途中で、現代のことだと気がつき、二 度びっくり。 一見、暗く重そうな設定なんだけど、意外にあっさりとした印象。きっと、い ちいちネガティブになっていたら、生き抜いてはいけないのかもしれない。ぐ いぐいと物語を読み進めさせる力がありました。 コリーの心の内をつぶさに描いていくなかで、彼女の自分の気持ちに正直で、 気負わず、素直にものごとを見ているというところに好感が持てました。 物語の中でコリーを勇気づけるのは、サッサーに習った文字と、マー(実母) から教えてもらった刺繍。 “手仕事というのは、自分の心の奥底と対面することでもある”と聞いたこと があります。コリーが、はじめてキルトを作ったのは、自分の嫁入り道具のた め、二枚目はハリが亡くなったなぐさめのため、三枚目は親友でもあったシャ ンドラの結婚祝いのため、そして最後は自分自身の喜びため…。節目節目で、 自らの体験や思いを、ひと針ひと針縫いこんでいく。向き合って、刺繍として 表現することで、その都度、気持ちに一応の決着をつけることができたのでは ないかと思ったりもしました。 そして、自分の身体で覚えたものが、最終的には、道を開いていく力になって いくのねと、しみじみ感じさせられました。 全米図書賞受賞作品です。 |