| 2002年9月読了 | |||
| 9/25 | AはアフリカのA オニェフル(偕成社) | ||
| 9/21 | コンピニ・ララバイ 池永陽(集英社) | ||
| 9/15 | 樹上のゆりかご 荻原規子(理論社) | ||
| 9/7 | 海馬−脳は疲れない 池谷裕二 糸井重里(朝日出版社)★ | ||
| 9/3 | 謝々!チャイニーズ 星野博美(情報センター出版局) | ||
| おりがみ いちまい ひぐちみちこ(こぐま社) | |||
| 9月25日(水) 「AはアフリカのA」オニェフル作・写真 さくまゆみこ・訳(偕成社) 副題は、「アルファベットでたどるアフリカのくらし」。 Aは Africa(アフリカ)のA … Dは Drum(たいこ)のD… Hは House(いえ)のH… AからZまでのアルファベットを頭文字にして、その文字で始まるアフリカの暮 らしや文化を紹介している写真絵本です。(写真はナイジェリアで撮影) アフリカとはどういうところなのか、子どもにもわかる形で本を作りたい。 アフリカというと、動物や飢饉、内戦のことばかりとりあげられるけれど、 もっと良い面を伝えたい。 そんな作者の思いが詰まった一冊です。 木陰にゴザをひき、子どもたちに昔話をしているおばあちゃん(…にしては、 とても若い!)。色鮮やかな洋服やアクセサリーは、日本でも人気のあるビー ズ使いや、藍染めもしていたりして、なじみ深いところも。一枚一枚の写真か ら、彼らの日常生活が見えてくる…。最後の Zの場面の、ジクザクに続いた道 の写真が好きだったなぁ。 イギリスで出版された絵本の中で、最も優れた作品の画家に対して贈られる、 ケイト・グリーナウェイ賞次席作品です。 |
| 9月21日(土) 「コンビニ・ララバイ」池永陽(集英社) 目黒さんの強力な推しで、「本の雑誌」の“2002年上半期ベスト 1”に選ばれ ていた作品。 “賑やかだけど、乾いている”場所…。「ミユキマート」という小さなコンビ ニを舞台に、そこにあつまる人たちのさまざまな人間模様を描いていく。 息子と妻を相次いで亡くし、やる気をなくしている店長の幹郎。亡くなった妻 の友人で従業員の治子、万引きを繰り返す女子高生、ツケを踏み倒していなく なったホステス…など、語り手を変えて綴られていく連作短編集。 コンビニ=若者というイメージは、ここにはない。しみじみとした落ち着きで 中高年向け(?)の単発ドラマを見ているような感じでしたね。思いっきり、 ベタやね〜と思うけど、悪くはない。明確な解決はないけれど、どれも明るい 方向性をみせていて、ほっとする。 ただ…好き嫌いはわかれるかもしれません。う〜ん、それはあまりにも都合が よいのでは?というところと、ここに盛り込まれる女性観というか、女性の性 を語った部分になんだかなぁ…と思うところがあって、妙に気持ちがさめちゃ う場面がありました。オーナーは、やる気がないというより、商売っけのない 善人という印象でしたね。浅田次郎さんがお好きだといけるかもしれません。 |
| 9月15日(日) 「樹上のゆりかご」荻原規子(理論社) 「これは王国のかぎ」で、15歳だった主人公・上田ひろみのその後。…といっ ても、ファンタジーではないし、全く別なものと考えたほうがいいでしょう。 舞台となるのは、都立・辰川高校。男女の比率が3:1というような進学校。そ の辰川高校に入学した上田ひろみは、現在高校二年生。男子校の伝統を持つ学 校の中で、女子としての居心地の悪さを感じることがある。そんな中、ひろみ が不審な事件に関わるようになったのは、頼まれて合唱祭のパンの売り子をし たのがはじまりだった…。 読みやすいんですけど…。さくさくと読めてしまうんですけど…。うーん。 まず最初に、「これは王国のかぎ」のヒロミの語り口が、軽いノリだったせい か、“上田ひろみって、こんな感じの女の子だったっけ??”と、彼女に持っ ていたイメージと違うことに戸惑う。さらに、これは一体いつの時代設定で書 かれたものなのかが、ずっーと疑問で、半ば過ぎに、江藤クンがひろみに携帯 番号を教えておくよという場面が出てきて、“携帯!?現代のことなのかッ と、びっくり!どうもこの物語を、今時の高校生の感覚として読むことに、違 和感を持ってしまいました。 そして、これを読んでいると、どうしても恩田陸さんの「六番目の小夜子」を 思い出してしまうんだけど、「六番目〜」ほど、謎めいた雰囲気やゾクゾクし た気配が立ち上がってこないし、高校生たちの心情もリアルに感じることがで きなかった。きっと、理屈っぽく生きてこなかった私(なんだかずっと直感で 生きてきたような気がするんだけど)には、彼女たちの気持ちが、いまいちピ ンとこなかったのかもしれません…。 この作品に出てくる辰川高校は、荻原規子さんの母校が舞台といわれてますよ ね。ここの生徒たちは、頭がいい、頭がいいと、何度も何度も書かれているこ とにウンザリし、あ〜、あ〜〜、そうですか〜とヒガミモード入っちゃいまし た。 |
| 9月7日(土) 「海馬−脳は疲れない」池谷裕二 糸井重里(朝日出版社) 科学…。一番苦手な分野です。私には無縁の世界と思っていたのですが、読ん でみたら、おもしろい、おもしろい!その一番苦手な分野から、たくさんのヒ ントや力がもらえたような気がしました。 テーマは、“「よりよく生きる」ことと「より頭をよくする」ことのつながり を見つけていこう”。東大薬学部助手で、脳の中で記憶を扱う部位「海馬(か いば)」の研究をしている池谷裕二さん(31歳)と、糸井重里さんの対談形式 になっています。 池谷さんが脳の仕組みについて語り、糸井さんはそれが実際の生き方とどう結 びつくのか、つなぎあわせる役目を担っていきます。ちなみにここでいう「頭 のよさ」とは、勉強ができるとか、難しいことをよく知っているということで はない。イキイキと生活できること、的確な状況判断や対応ができることを指 しています。 「京都、オトナの修学旅行」を読んだ時もそう思いましたが、対談という形は 二人で話すことによって、違う視点や発想が加わり、やりとりの中で気づくこ とが、どんどん広がっていくんですねー。 脳の仕組みは生き方につながっている。脳の仕組みを知ることで、使い方が わかってくる。 “年を取ったからもの忘れをするというのは、科学的には間違いなんですよ” という話から始まります。のっけから、おおおっっーって感じ。“30歳を過ぎ てからの方が、脳が活発になる”といわれると、なーんだ、そうだったんだ、 これからの人生、衰える一方だと悲観することはないんだと、むくむく勇気が 湧いてくる!!ねねね、知ってた?といってまわりたくなるわよッ。 知るとおもしろいし、それを活用して生活すると、きっともっとおもしろい。 まずは池谷さんが、脳にはやる気を生む場所があるんですと科学的に説明して いる「やりはじめないと、やる気がでない」。これ、実践中です…。脳にしっ かりと刺激を与えてくれた嬉しい一冊でした。 表紙カバーをめくると、背表紙の題名が、“海(うみ)”と“馬(うま)”の 絵になっているところが…おちゃめです! <「ほぼ日刊イトイ新聞」での連載 「海馬」のページは、こちらから> |
| 9月3日(火) 「謝々!チャイニーズ」星野博美(情報センター出版局) 「銭湯の女神」→「転がる香港に苔は生えない」と、遡って読んでいる星野博 美さんの、これがデビュー作にあたる。副題は、「中国・華南、真夏のトラベ リング・バス」。ベトナムとの国境の町・東興から上海までの、華南沿岸を北 上する旅。自分の目で見て、自分の耳で聞いたこと、自分の肌で感じたことを 書いていくというスタンスは、デビュー作から変わらない。 私が出会った人たちは、道を歩いていたら偶然ぶち当たった普通の人々だ。 もし、その時、別の道を歩いていたら、一本あとのバスに乗っていたら、隣 の食堂に入っていたら、彼らと出会うことはなかっただろう。 一人旅は、思いも寄らぬことの連続だ。決してボケッとはしていられない。中 国の人たちのたくましさと強さが、ひしひしと伝わってくる。 偶然バスに乗り合わせただけの人間を招き入れ、ごちそうまでしてくれるよう な(心開かせるなにかが、星野さんの方にもあるんだと思うが)人たちとの出 会いを通じて、彼女は、そのなんともたくましい生きざまに向き合うことにな る…。 ただ、この作品の中で、ひとつひとつの出会いや体験を通して星野さんが思う ことと、私自身が読みながら感じることに、若干のズレがあった。それをおも しろがって読めるとよかったんだけど、「転がる香港に〜」では納得できたこ とが、日本のやり方を全て悪者にしちゃうのはどうかなとちょっと引っかかっ てしまったところがあった。(…そう思う私は、たぶん枠というものにとらわ れているのだろう) これが出版されたのは、1996年。改革開放の波に乗って、変わりゆく中国の姿 が描かれているが、状況はさらに変化しているんだろうなぁ…。 参加している読み聞かせグループの活動で、幼稚園前(二歳前後かな)の子ど もたちに絵本を読む。(行ったのは二人)。 今回、私が読んだのは、 「おりがみいちまい」ひぐちみちこ(こぐま社) “おりがみいちまい はんぶんにおったら”で始まる、この絵本。さぁ、なに ができるでしょう。ピンクの折り紙を半分にすると、おうちのドア。そこから いぬやきつねやぞうがでてきて、こんにちは。茶色の折り紙を半分にすると、 はたけです。白いおかおのだいこんさん、赤いおかおのにんじんさんが、こん にちは。オレンジ色の折り紙を半分に折って、さんかくにしてみたら、めんど りさん。ピィピィピィ。たまごの中から、かわいいひよこがこんにちは…。 折り紙を半分にしただけで、いろんなかたちができて、そこからいろんなもの が生まれてくるんだよー、いろんなお話ができるんだよという展開の絵本。 全て、折り紙で作られていて、とってもかわいいのよ。文章もリズミカルで、 読みやすい。 この本を使って、なにか工夫できないかなぁと思って、事前に相談。週末、娘 が手伝ってくれて、この本の中にでてくる動物やどんぐりや太陽を、折り紙と 色画用紙で作った。(不器用な私でも、折り方が書いてなくても、見ただけで すぐわかる!)それを、ホームセンターで買ってきた板に、読む絵本に合わせ て、横でペタペタ貼ったりとったりしてもらう。そのあと、子どもたちに折り 紙を配って、おかあさんと一緒に一番簡単そうないぬを作ってもらい、マジッ クで顔を書いて、おしまい。 ひぐちみちこさんがつくる絵本って、あったかい匂いがする。絵本を使って、 親子で一緒に楽しめる遊べる一冊。小さいお子さん向け。 ひぐちみちこさんといえば、娘が小さかった時、何度も読んだ「かみさまから のおくりもの」(こぐま社/【amazon】)を思い出す。(こちらは、貼り絵)。 誰もがそれぞれに、いいところをもって生まれてくるんだよというお話に、救 われたっけなー。 |