| 2002年12月読了 | ||
| 12/18 | プリンセス・ダイアリー メグ・キャボット(河出書房新社) | |
| 12/18 | プリンセス・ダイアリー ラブレター騒動篇 メグ・キャボット(河出書房新社) | |
| 12/16 | 黄色い目の魚 佐藤多佳子(新潮社)★ | |
| 12/9 | 炎のように 鳥のように 皆川博子(偕成社文庫) | |
| 12/1 | 西日の町 湯本香樹実(文藝春秋) | |
| 12月18日(水) 「プリンセス・ダイアリー」メグ・キャボット 金原瑞人・代田亜香子・訳(河出書房新社) 主人公のミアは、ハイスクールに通うごくフツーの女の子で、シングルマザー のママと、マンハッタンで二人暮らし。悩みといえば、新入生の女子の中で一 番背が高いことと、成長しない胸のこと。そして、なにより代数が苦手。最近 気になるのは、ママが代数のジャニーニ先生と初デートをしたこと! そんなミアが、実はヨーロッパの小さな公国ジェノヴィアの唯一の王位継承者 であることが発覚!!それからというもの…ボディガードに車で学校に送って もらう生活になっちゃうし、マスコミには追っかけられるし、パパでさえ恐れ ている怖いおばあさまからプリンセス・レッスンを受けなきゃいけないし。ミ アは、その思いを日記にぶちまける…。 軽〜い読み口。好き嫌いはあると思うけど、やっぱりこの生き生きとした語り 口が一番の魅力だね!ノリのよさで、軽快に読ませていきます。日記形式で話 は進んでいくのですが、彼女の日記を読んでいるというより、しゃべりだした らとまらないおしゃべりを、隣りでずっーと聞いているような感じでした。 読んでいて、ごちゃごちゃ言わずに腹くくれというところもあるんですが、プ リンセスだなんて、突然そんなこといわれてもー!!といいながら、ミアは、 あくまでも等身大なところに好感が持てる。 10代の女の子たちに薦めたいな。 この作品は、「プリティ・プリンセス」という題名で映画化もされているよう です。(第二作も、すでに映画化が決定されているとか) 「プリンセス・ダイアリー ラプレター騒動篇」メグ・キャボット 金原瑞人・代田亜香子・訳(河出書房新社) 「プリンセス・ダイアリー」第二巻。 フツーの女子高生ミアが、突然プリンセスだと知らされて、はや一ヶ月。相変 わらず、ミアの身辺は落ち着かず、次から次へと、たいへんなことが降りかか る。 なんと、ママとジャニーニ先生の間に赤ちゃんができちゃった!おばあさまは ママの結婚式を、豪華絢爛なものにと勝手に進め始めるし、田舎からフェロモ ンむんむんのいとこがやってくると、親友リリーの様子がなんだか怪しい。そ して、ミアのもとには匿名のラブレターメールが届く…。 あいかわらず文中にびっくりマーク乱発のドタバタぶり。なんだかB級のラブ コメ映画を見てるようでした(笑)。第三巻目も、もうすぐ出るそうですよ。 |
| 12月16日(月)「黄色い目の魚」佐藤多佳子(新潮社) とてもよかった。すっごく好きでした。図書館から借りて読みましたが、文庫 になったら即、買いますッ!! 短編集だと思って読んでいったら、連作の形になっていて、うれしい誤算! 1992年に新潮文庫から出された「新潮現代童話館」に掲載された、短編「黄色 い目の魚」を膨らませて、ひとつの物語が生まれた…。 一篇目は、この物語の主人公の一人・木島悟が小学生の時に一度だけ父に会っ た時のエピソード。表題作でもある二篇目の主人公は、友達とも家族ともうま くいかず、漫画家の叔父・通ちゃんのアトリエに入り浸っている女子中学生・ 村田みのり。三篇目以降は、その二人が交互に語り手となっていくんですが、 同じ高校の二年生になった木島とみのりは、美術の写生の時間をきっかけに関 わり合いをもつようになります…。 木島の絵の才能に気づくみのり。みのりによって自分を発見する木島。木島と 出会ったことにより、キライが減って好きが増えていくみのり…。二人が互い に出会ったことによって、少しずつ変わっていく過程、心を向き合わせていく 様子が、無理なく自然に受けとめられた。 みのりと木島の結びつきが、好きだの嫌いだの…そんな惚れたはれたじゃなく て、もっと深いところでの繋がりというものが感じられるところがいいね。み のりをみていると、あぁそうか…そういう形で自分の好きなもの、自分にとっ て大切なものの(みのりにとって、それは絵なんだけど)そばにいるのもあり だよなと思わせる。 苛立ちも心の揺れも、正直に真っ直ぐに語る二人。生来の性格というか、きっ とこういう風にしか、前に進めないんだろうなぁと思わせるところがあるんだ けど、みのりも木島もしんどくても、決してそこから逃げ出そうとせず、ちゃ んと向き合おうとする姿勢が、たまらなくいい。人におもねることなく、自分 の中で、どうしても譲れないものは譲らない−二人にはそういうものがきちん とある。うううっ、最後は泣けたなぁ。佐藤多佳子さんの作品って、登場人物 が悩んだり葛藤しても“閉ざされた感じがしない”ところが好きなんだよね。 読後も爽やか!!おすすめです! |
| 12月9日(月)「炎のように 鳥のように」皆川博子(偕成社文庫) 壬申の乱を経て、天武が権力を握っていった時代…。この物語は、身分も立場 も全く違う二人の少年が、交互に回想をするという形で進んでいく。一人は、 大海人皇子(のちの天武天皇)の子・草壁王子。もう一人は、草壁が父と共に 吉野にのがれている間に知り合った国栖(くず)の少年・小鹿。 草壁王子を主人公にした物語というと、梨木香歩さんの「丹生都比売」が思い 出されるが、静謐に美しく語られる「丹生都比売」に対して、こちらは(特に 小鹿が語る章において)泥臭くはあるけれど、リアルに力強く迫ってくる感じ があった。 壬申の乱の戦いのシーンで、権力を持つということは、多数の民の犠牲の上に 成り立っているのだ、そういう歴史は古代から脈々と続いてきたのだと、あら ためて気づかされる。 大王に反抗して、奴の身分に落とされる小鹿と、大王の息子でありながら、自 分の一存では何も決めることもできず、非力を感じている草壁王子。歴史は、 “権力を持った者から見たもの”を映すことが多いけれど、この物語の視点は 常に弱者の側にある。 小鹿はいつも心の内で草壁と対話し、草壁は心の内で自分と対話する。絶対的 な力をもつ存在のいる世界の中で、彼らは人としての誇りをどう保ち、次の自 分を選びとっていったのか。考えさせられる作品だった…。 読みながら自分がもったイメージと、挿絵とが重ならず、絵が出てくるたびに 戸惑ったところがありました。 |
| 12月1日(日)「西日の町」湯本香樹実(文藝春秋) 「夏の庭 −The Friends」や「ポプラの秋」などの児童書を書いてきた、湯本 香樹実さんの新作。この作品は、年齢を重ねた大人の方が、感じ入るところが あるだろうと思う。 今年の上半期の芥川賞候補作。静かで淡々とした語り口。ゆるやかに流れる時 間。芥川賞にノミネートされる作品って、こういう空気、雰囲気を漂わせてい る作品が多いよなぁというのが、一番の印象かな。(わかりにくいコメントで 申し訳ない) 昭和45年、僕が10歳だった春。両親の離婚後、母とともに西へ西へと向かい、 たどり着いた北九州の町「K」。母と二人で住むアパートに、ある日、祖父の “てこじい”が、ころがりこんできた。奔放な生活を続け、ずっと家族を顧み なかった“てこじい”に対する、母の複雑な感情。僕は、これまで一度も会う ことのなかった祖父へ、関心を寄せるようになる…。 語り手は、孫であり息子である“僕”。10歳の頃の目線と、42歳になった現在 の目線…。時間を行きつ戻りつしながら、僕が見つめた彼らの行動を丁寧に描 いていくことで、てこじいと母の人物像・親子の愛憎が、しっかりと浮かび上 がってくる。 うううっっ。満月の夜の病室でのシーンでは涙してしまったよ。“時はもう充 ちていたのだ”…。この言葉が心に染みたなぁ。 余談ですが、湯本さんは、数年前から北海道の美瑛町にも家を構え、東京と美 瑛を往復する生活を送っているそうですよ。 |