| 2003年11月・12月読了 | |
| 12/26 | 明治快女伝 森まゆみ(文春文庫)★ |
| 12/20 | 盗神伝 T M・W・ターナー(あかね書房) |
| 12/18 | 渚にて 久世光彦(集英社) |
| 12/16 | 無人島に生きる十六人 須川邦彦(新潮文庫) |
| 12/13 | 水の中のふたつの月 乃南アサ(文春文庫) |
| 12/5 | お話を運んだ馬 I.B.シンガー(岩波少年文庫) |
| 11/27 | 狐笛のかなた 上橋菜穂子(理論社)★ |
| 12月26日(金)「明治快女伝−わたしはわたしよ」森まゆみ(文春文庫) 明治生まれの52人の女性たちの列伝。 略伝ではあるが、ただの伝記ではなく、そこには森さん自身の視点でみた一人 一人の人物像が、無駄のない文章で的確にとらえられている。 清水紫琴/相馬黒光/羽生もと子/大塚楠緒子/佐藤輔子・佐藤冬子/ 平塚らいてう/尾竹紅吉/伊藤野枝/神近市子/岩野清子/高村智恵子/ 田村俊子/岸たまき・笠井彦乃・佐々木兼代/芳川鎌子/原阿佐緒/柳原白蓮 九條武子/波多野秋子/福田英子/管野すが/山川菊栄/山内みな/丹野セツ 梅津はぎ子/田沢稲舟/与謝野晶子/岡本かの子/宮本百合子/林芙美子/ 矢田津世子/杉田久女/山室機恵子/渋谷黎子/丸岡秀子/矢島楫子/ 上村松園/河崎なつ/荻野吟子/人見絹枝/高群逸枝/松井須磨子/三浦環/ 水谷八重子/東山千栄子/松本英子/出口なお/安藤照子/阿部定/金子文子 明治は、まだまだ身分というものが生きていた時代だし、女性は生きづらかっ た時代だろうと思うのだが、誰のものでもない、自分の人生を生きた女性たち がここにいる…。その人生は十人十色である。もちろん、どんな生き方がよい という答えはない。どんな風に生きても、人生は一度きりなんだなとしみじみ 思ったね…。 差別や圧力があった時代ではあったけれど、だからこそなのか、誰もが生きる ことに貪欲で、向上心の強い時代、上昇のエネルギーに満ちた時代でもあった ように感じる。自分の意志にまっすぐというか、ものすごいエネルギーを感じ る。なんだか読んでいるうちに、一度きりの人生、自分らしく、自分の思うよ うに生きなきゃ損!損!と思えてくる。 近代女性史の入門書として読むこともできる。もし、もっとこの人のことを知 りたい、この人の生き方に興味を持ったと思ったら、巻末にそれぞれの人物に 関わる読書ガイドがついているので参考になる。 -------------------------------------------------------- (付記) なお、この作品の作者である森まゆみさんは、現在 NHK人間講座の講師を務め ています。テーマは、来年度新5000円札になる樋口一葉の生涯。 「こんにちは 一葉さん−明治・東京に生きた女性作家」(2003.12月〜2004.1月) →講座内容・放送予定 ちなみに、新5000円札になる樋口一葉の肖像画ですが、若くして亡くなったた め、顔にしわなどの特徴がなく、原版の作成が難航し、新紙幣の発行は、当初 予定の来年7月から秋頃にずれこむらしいです。 →関連記事(YOMIURI ON-LINE) |
| 12月20日(土)「盗神伝 T−ハミアテスの約束」M・W・ターナー・作 金原瑞人&宮坂宏美・訳(あかね書房) 語り手は、代々盗人の家系に生まれついたジェン。「おれに盗めないものはな い」。町中で、そう豪語しているうちに捕まり、ソニウス国の牢獄に放り込ま れていた。ある日、ソウニス国王に仕える助言者・メイガスがジェンの前に現 れる。その腕を見込まれ、牢獄から出してやる代わりに、盗んでほしいものが あると言う。ジェンは何を盗みにどこに行くのか、その目的もわからないいま ま、翌日旅立つことになる。同行するのは、メイガスと、彼の二人の弟子・ア ンビアデスとソフォス、そして兵士のポル。彼らの旅が始まった…。 口が達者で態度もでかい。盗みの腕は天下一品だが、馬に乗るのはちと苦手。 ジェンは、同行した四人と、しょっちゅうぶつかりながら旅を続ける。 ジェンが盗み出さなければならないのは、不死と国を治める権利が約束される という伝説を持つ幻のハミアテスの石。この石を手にする者には、ソウニス国 の隣・エディス国の正式な後継者になるといわれていた。果たして、ジェンは うまく盗み出すことができるのか?? 隣接する三つの国の思惑が絡み合い、道具として利用されていたかに思えてい たジェンだが、最後にはあっと思える逆転劇が待っていた。あっ〜、気がつか なかったよぉ…。 生意気だけど憎めないジェンも魅力的だったけれど、個人的には、冷静で有能 なポルがよかったなぁ。 おもしろかったけど、全体の構成のせいなのか、翻訳文のせいなのか、正直わ かりにくいなぁと感じたところもありました。 1997年ニューベリー賞オナー(次点)ブック。 |
| 12月16日(火)「無人島に生きる十六人」須川邦彦(新潮文庫) 明治31年、漁業調査の目的で出帆した龍睡丸は太平洋上で座礁する。脱出した 16人を乗せたボートは、珊瑚礁の小さな島に漂着。彼らの無人島生活が始まっ た・・・。 これは作者である須川氏が、実習学生として練習帆船に乗り込んだ時に、実際 にこの漂流を体験した当時の船長・中川教官から体験談を聞いているという構 成になっている。帯に「実録痛快冒険記」と書かれているように、実話である。 「明治の海の男たち」、誇り高き男たち、ここにあり!って感じでしょうか。船 長以下、16人の乗組員は弱音を吐かず、あきらめず、もう、だだ、ただ立派で す。(あまりに立派すぎて、物足りない感もなきにしもあらず・・・ですが) おもしろかったのは、塩、水、食べ物、薬など生活に不可欠なものは、こうし て生み出していくのかぁ…。希望を失わず、集団で無人島で暮らしていくため の配慮や規則って、こんな風に構築していくんだ…と、そこには、船長ら年長 者の強さと優しさが感じられ、経験に裏打ちされた知恵、工夫、アイディアの 数々に感心しきり。トリビアさながら、“へぇ〜”の連発でした。 そして、なにより全編通して明るい!逆境にあったときの心のもちかたには、 教えられるものが多かった。 「椎名誠氏が選ぶ漂流記ベスト20で、堂々1位!!」(帯より)だそうです。 ---------------------------------------------------- 12月18日(木)「渚にて」久世光彦(集英社) 春休みを利用したクルージング・スクールには、中二から高一までの七十人が 参加していた。しかし、嵐に会い、船が座礁。七人の少年少女たちが、ゴムの ライフラフトで無人島に流れ着いた…。無人島に漂着した七人の男女の生活が 16歳の冬馬の目を通して語られる。 うーむ。冒険物、青春物かと思って手にとったけれど、違った。いわゆる漂流 物だけど、ちょっと異色。視点としてはおもしろいと思う。 でも、現代を生きる高校生や中学生が、なんにもない無人島での生活をこんな に簡単に作り上げていけるだろうか??思春期の彼らの間にはもちろん性の問 題も起きてくるのは想像つくけれど、高校生の女の子が会って間もない男の子 の前で、そんな行動とるかねぇ??と、細かいところにひっかってしまった。 ラストもなんだか納得できず。 「無人島に生きる十六人」のカラッとした明るさの方が好みだったかな。 |
| 12月13日(土)「水の中のふたつの月」乃南アサ(文春文庫) いつもバックな中に何かしらの文庫本を入れてあるんだけど、ちょうど手持ち の本を読み終わってしまい、JRに乗る前に何か本を〜〜思ったものの、時間が なくてキオスクで選んだ本。 OLをしている亜理子のもとに、11年ぶりに、小学校時代の友人・恵美から電話 が入る。梨紗も誘ってかつての仲良し三人組で会おうという。それは、亜理子 や梨紗にとって、決して待ち望んだ再会ではなかった。スケジュール帳をいっ ぱいにしないと落ち着かない亜理子。頻繁に手を洗いに立つ梨紗。嘘ばかりつ く恵美。再会した三人の中で、封印したはずの過去が少しずつ掘り起こされて いく・・・。 6年生の夏に何があったのか・・・。あの夏− 6年生の夏−の回想を織り交ぜなが ら、ストーリーは進んでいく。彼女たちが共有している秘密と、どんどん印象 が変わっていく梨紗のキャラクターにひっぱられるようにして一気に読み終え た。全部読み終わった後の感想は 5点満点とすると、★★★☆☆くらいかなと 思うんだけど、読んでる最中はすごく吸引力があって先が気になって気になっ て、やめられなくなるパターンの本でした。何が怖いって、三人の気持ちが誰 も相手の方を向いていないことね。ベクトルは全部自分にしか向いていないの よ。 小道具として、「留守番電話」は出てくるんだけど、「携帯電話」が出てこないの で一体いつ書かれたものなんだろうと後ろをめくったら、初出は1992年(角川 書店)でした。その後、角川文庫で文庫化されて、今回文春文庫から出てるよ うです。 |
| 12月5日(金)「お話を運んだ馬」I.B.シンガー作 工藤幸雄・訳(岩波少年文庫) 八編の物語が収められた短編集。どれも作者であるシンガーが生まれ育った、 ポーランドを舞台及び背景とするものである。 一番最初に収録されている、「お話の名手ナフタリと愛馬スウスの物語」が秀 逸。小さい頃からお話を聞くのが大好きだった主人公のナフタリは、本の行商 人となり、愛馬のスウスが引く馬車に本を積み込み、お話の本を売ったり、子 どもたちにお話を語り聞かせたり |