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2005年6・7・8月読了 
★印は、特におもしろかったもの・好きだったものです。
8/2 となりのこども 岩瀬成子(理論社)
7/21 小説以外 恩田陸(新潮
7/21 『恐怖の報酬』日記 恩田陸(講談社
6/15 いつかパラソルの下で 森絵都(角川書店)
6/10 蒼路の旅人 上橋菜穂子(偕成社)

 8月2日(火)となりのこども岩瀬成子(理論

amazon2004年12月発行・238P・1575円

子どもたちの日常のひとコマを切り取った、七編から成る短編集。

一編目の『緑のカイ』を読んだ時は、「ふ〜ん…」という感想しかなかったの
が、二編目三編目と読んでいくうちに、だんだんと作品に対する印象が変わっ
ていく。そして、四編目の『夢のお告げ』で、初めてその仕組みに気がついて
嬉しくなった。(←遅すぎ)。七つの物語は、登場人物が少しずつ重なりつな
がりあう構成になっているのだ。次は誰がどこで顔を出すのか、楽しみになっ
てくる。

そしてその中で、友だちやきょうだいに抱く微妙な感情や、妙にあっけらかん
としたところなど、時代が変化しても変わらない子どもたちの普遍的な感情が
リアルに描かれる。子どもの目から見た大人の姿に気づかされることも多いだ
ろう。

野良猫に餌をやるうちに、親しくなった少年と関わりを描いた『ねむの木の下
で』、弟の視点から兄を書く『夜の音』が好きだった。老人ホームに入ったば
かりの花井さんというおばあちゃんが語り手となる『あたしは頭がヘンじゃあ
りません』もよかったなぁ。

不思議な話で始まって、不思議な話で終わるのも、子どもの心の世界をあらわ
しているのかも。


 7月21日(木)小説以外恩田陸(新潮
amazon2005年4月30日発行・315P・1575円

 7月21日(木)『恐怖の報酬』日記恩田陸(講談社
amazon2005年4月25日発行・211P・1470円

相次いで出版された恩田さんのエッセイ集。ご自分では、“エッセイは苦手”
と書かれているけれど、二冊それぞれ違った色合いをみせ、どちらも面白かっ
たです。

「小説以外」は、デビュー以来14年分のエッセイをまとめたもの。コミック、
児童文学から、本格推理小説、SFまでの幅広い読書遍歴、文庫の解説、創作の
裏側など、本に関するエッセイが多いのが特長。図書館で借りましたが、半分
も読まないうちに、絶対買おうと本屋に走りました。

この本を読むと、恩田さんは、いい書き手であることはもちろん、いい読み手
でもあるんだなぁと感じられます。かなりの読書家であることは知っていまし
たが、書評家としても優れていることがわかります。

もう一冊、「『恐怖の報酬』日記」のサブタイトルは、
         “酩酊混乱紀行 イギリス・アイルランド”。

こちらは、痛快!なエッセイに仕上がっています。

イギリスとアイルランドには行きたい。けれど、飛行機には乗りたくない…と
いう、重症な飛行機嫌いの恩田さんに親近感を持ち、自分も同病だというのに
その尋常ではない怖がり方に爆笑〜〜。決死の思いで搭乗しました!というの
が、離陸するまでに費やされるページ数の多さに表れていますよね。

そして、創作をする人って、こんなふうに風景をみてるんだ、こんなふうにイ
メージがわくんだと驚き、頭の中をのぞかせてもらった気分に。どこにいても
なにをしても、最後には本の話に発展するという…本の話題、満載です。

それにしてもビールがお好きとみえて、飲みまくっている様子の恩田さん。そ
んな意外な素顔が垣間見られるのもファンとしては嬉しいものですね。

水野理瀬がイギリスに!?なんて、これからの執筆予定なども語られていて、
今回の旅で得たイメージが、これから作品の中でどんな風に昇華していくのか
非常に楽しみです。


 6月15日(水)いつかパラソルの下で森絵都(角川書店

amazon2005年4月30日発行・247P・1470円

森絵都さんの最新作。

事故で亡くなった父の一周忌が近づいた頃。父が不倫をしていたという事実が
明るみになって、家族は動揺する。まさか、あの父が。ありえない。

厳格で堅物で、子どもたちを厳しく縛ってきた父親に反発し、二十歳で家を出
兄の春日と野々。
父に抗うことなく柏原家の正道を歩んできた妹の花。生前
父が口にしていたと聞いた「暗い血」とはなんなのか?
三人は、父の故郷・佐
渡に渡った…。

故郷になにかあるのか、父親の隠された過去が明らかになるのかと思いきや、
思いもよらない方向へと話が進む。いい意味で裏切られた。物語は佐渡に渡っ
てから、カラっとした明るい雰囲気に変わっていく。

ラストはうまくいきすぎ…の観がなきにしもあらずだけれど、きょうだいそれ
ぞれが、縛られてきたことやこだわってきたことに、しっかりとけりをつける
ことができた。それがとても気持ちがいい。

前作の「永遠の出口」と比べて、この「いつか〜」の方が、大人の読者を対象
にした初めての作品といってもいいのではないでしょうか。のっけからの性描
写にびっくりさせられたけれど、こちらの方がおもしろかった!


 6月10日(金)蒼路の旅人上橋菜穂子・作 佐竹美保・絵(偕成社

amazon2005年5月発行・366P・1575円

上橋菜穂子さんの待望の新刊!「虚空の旅人」の続編にあたる、チャグムの物
語です。

新ヨゴ皇国の皇太子となったチャグム。しかし、帝である父親に疎まれ、その
命さえ危ないという地位にある。

強大なタルシュ帝国。その圧倒的な力を前にして、チャグムは、どんな決断を
し、どんな道を選び取っていくのか??滅亡の淵にある故国の運命は、15歳の
チャグムの背にかかっていた…。


今回は故郷を離れ、シュガをはじめ、いつも自分を守ってくれた人たちと離れ
た、一人きりの試練の旅路となる。


チャグム自身の思いと、旅の途中で出会ったセナ(サンガル海賊船の若き女船
頭)とヒュウゴ(タルシュの密偵)の目を通して、チャグムが置かれている立
場と背負っているものの重さが描かれる。
 
物語のあちこちにチャグムの強い意志が感じられ、すっかり頼もしくなっちゃ
って…と感無量。チャグムが乗り越えてきたこれまでの道のりが、彼の血とな
り肉となっているのが嬉しい。

まずは第一部の幕が開いた…といったところでしょうか。「虚空の旅人」は、
「守り人」シリーズの外伝として出版されましたが、今後チャグムの物語は、
「旅人」シリーズとして、めでたく“独立”となったそうです。ここからまた
大きな広がりをみせていきそうな予感!続きが楽しみ〜。

児童書として出ていますが、このシリーズは、子ども(小学校高学年くらい)
から大人まで、幅広い年齢の方におすすめしたい。

シリーズ未読で、チャグムの物語を読みたい方は、「精霊の旅人」→「虚空の
旅人
」→「蒼路の旅人」の順に読みましょう。

  
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