季節やテーマ沿った絵本の紹介    

    <1月・辰・龍・竜・ドラゴン/お正月>  
    


「辰年」にちなんで、龍やドラゴンの絵本や読み物を集めてみました。
日本の昔話や民話が多くなりましたが、読んでいきながら、
語り伝えられてきた民
話の魅力をあらためて感じさせられました。

今回、このテーマを考えて、すぐ浮かんだのは、この2冊。娘が年長さんの時によく
読んだ「エルマー」と、私が小学生の時に読んだ「龍の子太郎」でした!

「エルマーのぼうけん」R・S・ガネット(福音館書店)
amazon1989年発行・116P・1100円
雲から、落っこちてきた小さなりゅうの子ども。どうぶつ島の動物たちは
りゅう
の首に
太いなわを巻きつけて、川渡りのための道具にしていたので
す。
若い頃、“りょこうか”だったというねこから、その話を聞いたエル
マーは、りゅうを
助けるために、どうぶつ島に向けて出発します…。

船の中に忍び込んだり、ぴょんぴょんいわを越えて入った暗くて気味の悪
ジャングルで、
トラや、サイ、ライオンに囲まれたり。ハラハラ、ドキ
ドキする要素がいっぱい!


ねこから教えてもらい持っていった道具で、ピンチを切り抜ける痛快さに
夢中になった子も
多いかな。三つ編みにリボン姿のライオンには、笑えま
す〜。
エルマーに助けられて、みかん島に向かって飛んでいくりゅうの歓
声と、読んでいる子どもたちの
喜ぶ声が聞えてきそう!
「龍の子太郎」松谷みよ子(講談社)
amazon1995.9月発行・209P・1400円
山合いの小さな貧しい村に、太郎という男の子がおばあさんと住んでいま
した。太郎には、不思議な形のあざがありました。うろこの形のあざが、
3つずつ左右のわきの下に、はっきりとついているのです。
「あれはりゅうのうろこだそうな」「太郎は、りゅうの子どもだそうな」
いつしかそんな噂が広がって太郎は、“龍の子太郎”とよばれるようにな
りました。

のんきぼうずのなまけんぼうでしたが、仲良しのあやが黒鬼にさらわれた
ことと、おばあさんから、「お母さんは、生きている。龍の子太郎がつよ
いかしこい子になって、私を訪ねてきてくれたら…と言う言葉を残して、
遠い北の国の湖で龍の姿で、待っている」という話を聞かされて、あやを
助け、母を訪ねる長い旅に出かけて行きます…。

信州の民話が土台となって、構想が膨らんできたという、この「龍の子太
郎」。昭和34年に書かれたというから、わっ!私より年上だ〜。でも今回
二十何年ぶりに読み直したけれど、おもしろかったですねー。

そうだった、龍は目が見えなくなってるんだったっけ…と思い出したりし
て、なつかしかったな。小さな村から、広い世の中に出てきて、自分で見
たこと、知ったことを糧に、知恵を授かり成長していく姿を楽しんでね。
これもいわば冒険モノなんだけど、昔話独特の底に流れているリズムが、
ゆったりとしていて、心地良かったです。                   

追悼…丸木俊さん。
「りゅうになりたかったへび」松谷みよ子・作 丸木俊・絵(大日本図書)
amazon1995.9月発行・209P・1400円
いつでもどこに行くのも一緒の、小さなおじいさんと小さなおばあさん。
ある日、おじいさんは、おばあさんに内緒で、おばあさんの誕生日のプレ
ゼントを買いに出かけます。歩きながらポーンと蹴った小石が、りゅうに
なろうと思って、長い修行をしていたへびの頭にぶつかったから、さぁ大
変…。

とってもかわいらしい様子のおばあさん。おじいさんをひと飲みにしてや
ると息巻くへびを、どのように対処したのか、それは、読んでからのお楽
しみ。

1/14、この絵を描かれた丸木俊さんの訃報が流れました。
絵本「ひろしまのピカ」や、「原爆図」など壮絶な絵をたくさん残されて
いますが、この絵本では、愛情たっぷりの老夫婦を軽快に描いているのも
素敵です。合掌…。                 

民話には、やっぱりいい絵描きさん!ここでは、赤羽末吉さんの世界を堪能してみて
下さい。
日本の神話 第三巻 やまたのおろち」赤羽末吉・絵 
                        舟崎克彦・文(あかね書房)
amazon1995.10月発行・1942円
格調高く仕上げられた絵本「日本の神話」シリーズの1冊。
この本の赤羽末吉さんの絵をながめているだけで、贅沢な気分にさせてく
れます。

神々の国に住む須佐之男の命(すさのおのみとこ)は、彼の荒くれものぶ
りを見かねた神様たちによって、地上へと送られてしまいます。
       
やがて、たどり着いた出雲の国。そこでは、8つの頭と8つのしっぽを持つ
大蛇「やまたのおろち」が、村人たちを苦しめていました。それを聞いた
須佐之男は、やまたのおろちに、お酒を飲ませて酔っ払わせ、そのすきに
退治。櫛名田姫(くしなだひめ)を助け出します…。

この機会に、絵本で、日本神話をじっくり読んでみるのもいいかもしれま
せんね。
「ほしになったりゅうのきば」君島久子・再話 赤羽末吉・画
                             
(福音館書店)
amazon1976年発行・1200円
こちらは力強さとロマンを同時に味わうことができる魅力的な民話です。

昔々、南山と北海に住んでいた兄弟の龍が繰り広げた激しいけんかによっ
て、天が破れてしまいました。破れてしまった天のさけめからは、雨が滝
のように降り、ひょうが石のように落ちてきます。ちょうどその真下にあ
る村に住む、石から生まれたというりっぱな若者のサンは、天を繕うため
の、旅に出かけていきます…。

一緒に天を繕うことになったクマ王の末の娘・白ひめのターバンが、天の
さけめを覆い、それが後に「ぎんが」と呼ばれ、天をやぶった罰として、
龍からとってきた龍の牙の釘は、空に打ちつけられ、きらきらと光る様子
が、のちに、「ほし」と呼ばれるようになりました…。

翻訳絵本。洋風のドラゴンです。
「ドラゴン」ウエイン・アンダースン・作 岡田淳・訳(ブックローン出版)
amazon1992.9年発行・1360円

海に落っこちてしまった、ひとつのたまご。そこから生まれた赤ちゃんは
自分が何物なのかがわからない。海で探しても、陸に上がって探しても、
自分と同じ動物は見つかりません…。「ぼく自分がなんなのか、わからな
いの。かあさんに会って、それを教えてもらいたいの」
        
さぁ、ウエイン・アンダーソンの幻想的な絵と共に、自分自身とお母さん
を探す旅に出てみて下さい。ちょっぴりせつなくって、ラスト暖かい気持
ちになれますよ。


最後に“龍”とは関係ないですが、お正月気分いっぱいの絵本を…。
「十二支のお節料理」川端誠(BL出版)
amazon1999.12年発行・1300円

お正月は、新年を祝い、お節料理を食べて、年神さまから一年の力を授か
ろうとする行事です。お節料理を作るため、年神さまは十ニの動物を選び
それぞれ順番に係を決めました。まず、ねずみたちに声をかけ、家の掃除
と正月の飾りつけを頼みました。鏡餅を作るため、さっそく餅つきが始ま
ります。牛は米や野菜などの材料を運ぶ係、うさぎは器や箸などを揃える
係と、着々とお正月を迎える準備が進んでいきます…。

動物たちが忙しく立ちまわった後に、掃き清められた囲炉裏のある部屋、
シンシンと降る雪、床の間に飾られた鏡もち、色鮮やかな料理…。ページ
をめくるたびに、新しい年を迎える華やかさと荘厳さに満ちていきます。
大晦日のにぎやかさと、元旦の朝の凛とした空気が伝わってきますよ。発
色が綺麗で、ここでお見せできないのが残念なほど、とっても素敵な川端
さんの版画。ぜひぜひ手にとって欲しいオススメの1冊です。


落語絵本 はつてんじん川端誠(クレヨンハウス)
amazon1996.12年発行・1200円
えー、初笑いの絵本を一冊…というわけで、川端誠さんの落語絵本シリー
ズの中の一冊。初天神(はつてんじん)とは、菅原道真公をまつってある
お宮・天満宮に、新年になってから、はじめておまいりに行くことをいう
そうです。

初天神に行こうとしているおとうさん。悪さばかりする息子の金坊を連れ
ていけの、いかないのと、おかみさんとの言い合いの末、しぶしぶ一緒に
行くはめになります。案の定、金坊は屋台店の前で、「あれ買って」「こ
れ買って」…。

とんちが働く金坊と、おとうさんとのかけ合いが愉快痛快!次第にどっち
が親だか、子どもだかわからなくなったりして…。川端さんの力強い線と
ハッキリした色使いの絵もいいよ!

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