<8月・8月だから…考えてみたい平和>
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| まずは、絵本から…。 |
| ■「じゃがいもかあさん」アニータ=ローベル作 いまえよしとも訳(偕成社) |
| むかし、いくさをはじめた東の国と西の国の谷間に、ひとりのかあさんが ふたりの息子と住んでいた。広いじゃがいも畑と、むすこをいくさから守 るため、かあさんは、家の周り全てをとりかこむ塀をつくった。 ある日のこと。りっぱに育ったふたりの息子は、塀ごしに大勢の兵士たち をみる。あでやかな軍服ときらきら光る剣、ぴかぴかの勲章に憧れたニ人 は、兄は東の国へ、弟は西の国へと行ってしまった。 やがて、それぞれの軍隊で将軍と司令官になった二人は、いくさで食べ物 がなくなり、腹をすかせた兵士たちとともに、かあさんのもとへ戻ってき た…。 偕成社の復刊絵本。 使われているのは黒・赤・青の三色のみの色彩。地味めの本ですが、いく さの愚かさを、昔話仕立てで、わかりやすく描いていきます。 表紙に描かれているのは、かご一杯のじゃがいもを抱えて立っている、か あさんのふっくらと温かい姿。淡々したストーリーですが、そのかあさん の母親としての願いと嘆き、怒りが伝わってきます。 そして、それでも、もくもくと仕事をし、ひとりでじゃがいも畑を守り続 けるところに、母親というものをみたなぁ。 作者のアニータさんは、「どろんここぶた」や「ふたりはともだち」を書 かれた、故・アーノルド=ローベル夫人。1934年ポーランドに生まれ、子 どもの時、ユダヤ人の強制収容所に入れられ、命が助かったという経験を 持つそうです。 |
| ■「六にんの男たち−なぜ戦争をするのか?」マッキー作(偕成社) |
| この世に、なぜ戦争が起こるのだろう?…そんな問いに答えた絵本。 こんなつまんないことで争いが起きて、それが大きくなっちゃうの?? こんな人間のつまんない欲望のせいで、人が死んじゃうの?? 何かを手に入れるとまた、もっと欲しくなる。そして、またもっともっと 欲しくなる…。ある意味、争いの全ての根本的なことは、そんなものがは じまりなんだろうなと、思ってしまいました。色のついてない線画の絵本 です。むずかしい言葉は使っていませんので、1、2年生からでも大丈夫 でしょう。 |
| ■「風が吹くとき」レイモンド・ブリッグズ・作 小林忠夫・訳 (あすなろ書房) |
| 「さむがりやのサンタ」で、おなじみのブリッグズ。この絵本も、コマ割 形式で進んでいきますが、がらっと趣が違います。 定年後、田舎に引越し、静かな生活を送っていたイギリスの夫婦。 彼らは、政府のいうことを何の疑いもなく信じ、原爆が落ちた後も間違っ た知識のもと生き伸びようとアタフタします。核、原爆について驚くほど そして滑稽なくらいなんの知識もありません。だからこそ素直〜に信じ、 そして死んでいってしまう…。知識の詰め込みはつまらないけど、反対に 無知−知らないってこともほんと怖いです。やりきれなさが残りました。 なお、私は小林忠夫氏の訳で読みましたが、現在は、同じ出版社からさく まゆみこさんの訳ででています。 |
| ■「はらっぱ−戦争・大空襲・戦後…いま」西村繁・画 神戸光男・文 (童心社) |
| 東京のある町の、ある「はらっぱ」。そのはらっぱの移り変わりを描いた絵 本です。 遊び場がイモ畑になり、空襲にあい、また遊び場に戻る…。はらっぱが、 くぐり抜けてきた60年のさまざまな出来事を記録しておきたい、それを絵 本の形で広く伝えたい…。そして、自然がいっぱいで昔はよかったという 人もいるけれど、戦争の日々を考えると、そうともばかりは言えないので は…という作者の気持ちが伝わってきます。 |
| ■「絵で読む広島の原爆」那須正幹・文 西村繁・絵(福音館書店) |
| 長い時間をかけて書かれたという、同じ西村繁さんの絵本です。 原爆の開発から投下に至る歴史背景、広島の町の様子や人々の暮らし、核 兵器の原理など、知っておきたい資料もふんだんに使われています。大人 の方にも、一度目を通していただきたい本です。 |
| ■「ひろしまのピカ」丸木俊(小峰書店) |
| 20年以上前に書かれた絵本ですが、まだ現役です。 原爆の開発から投下に至る歴史背景、広島の町の様子や人々の暮らし、核 兵器の原理など、知っておきたい資料もふんだんに使われています。大人 7歳のみいちゃんが朝ご飯を食べていた時、ピカッというおそろしい光が、 空をつらぬきました。みいちゃんは、おかあさんと体に穴があいてしまっ たおとうさんと一緒に地獄の街をにげまどいます…。 あの日広島で、こんなことがあったんだよ…と伝える最適な本でしょう。 「ピカは、ひとがおとさにゃ、おちてこん」 おかあさんの言葉が、心に残りました。5〜6年生くらいから。 |
| ■「彼の手は語りつぐ」パトリシア・ポラッコ 千葉茂樹・訳 (あすなろ書房) |
| 舞台は、南北戦争。 戦場で傷を負った15歳の北軍白人兵士・セイは、同じ北軍として戦ってい る黒人の少年・ピンクに助けられる。ピンクは、セイを支えながら、長い 距離を歩き通し、自分の家に連れていく。そこには、母親のモーモー・ベ イが、息子の帰りを待っていた…。 作者のポラッコは、セイの子孫にあたる。物語は、この黒人の少年・ピン クのことを忘れないように…と、ポラッコの家に 130年もの間、代々語り 継がれてきた実話だという。地味な絵本だけど、淡々と語りかけてくるも のは、深くて大きい…。ピンクが戦いに参加していた意味を、このような 少年が生きていたという証を…ひとりでも多くの人に読んで欲しいと思わ せる作品である。タイトルも、いいよねー。 実話というのは、それだけで力がある。だからこそもう少し、その背景に あるものを(時代背景や、奴隷制度、南北戦争について説明が)盛り込ん であると良かったかなぁと、個人的には思う。 小学校中学年くらいから読めると思うけど、ちょっと難しいところもある かもしれない。まぁ、わかるより、感じて欲しいというところだが、その 子に合わせて、さりげない大人のホローも必要かと思う。(そういう私も 黒人のピンクが、どうして北軍の兵士として戦ってるんだろう??と、訳 者あとがきを読むまでは、わからなかったんだけど(^^;; |
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| 児童文学では…。 |
| ■「あのころはフリードリヒがいた」ハンス・ペーター・リヒター (岩波少年文庫) |
| 作者のポラッコは、セイの子孫にあたる。物語は、この黒人の少年・ピン クのことを忘れないように…と、ポラッコの家に 130年もの間、代々語り 継がれてきた実話だという。地味な絵本だけど、淡々と語りかけてくるも のは、深くて大きい…。ピンクが戦いに参加していた意味を、このような ユダヤ人の友だちと遊んだ少年は、ヒトラー・ユーゲントに入団する…。 “目撃者ではなく、自分は戦争に加担した”と語る、著者リヒターの苦 悩から、生まれた作品です。 こおりつくような衝撃でした。法律や公示などで、ユダヤ人を次々と束縛 していく。 “私だったら、どうする?”と、常に考えながら読みました。 巻末にユダヤ人に公布された法律が、年表になっているので、見比べなが ら読んでみて。中学生くらいから大丈夫でしょう。 |
| ■「弟の戦争」ロバート・ウェストール(徳間書店) |
テレビで流されていた、その映像は、まるで花火を見ているような…。そ んな感覚にさえ陥った湾岸戦争の報道でしたよね。覚えていらっしゃる方 も多いはずです。 「弟の戦争」は、その湾岸戦争を題材にした児童文学です。 トムの弟フィギスは、遠く離れた人の心を読み取る不思議な力を持ってい た。そんな弟が、ある日奇妙な言葉を話し出し、「自分はイラクの少年兵 だ」と言い出す。それはイラクがクウェートに侵攻、湾岸戦争が始まった 夏のことだった…。気がついたのは、兄のトムひとりだけ。イラクの少年 ラティーフがフィギスにとりついたなら、フィギスの魂は戦場のラティー フの中にあると気がついたトムは、それからは、今までと全く違った目で この戦争を見ることになります…。 弟にとりついたものでしかなかったイラクの少年ラティーフが、次第に生 きた少年として、読んでいる方にも迫ってきます。こういう形での戦争文 学(…といっていいかわかりませんが)もあるんだなと、目からウロコの 思いです。 イラクに暮らす人たちは、ぼくらと同じ、普通の人たちでした。そして、 つらい思いをするのは、いつだって普通の人たちなのです。(訳者あとが きより) きれいな戦争なんてあるわけがなく、やっぱりあの花火のような爆弾の下 には、たくさんの人々の命が、生活があるわけなんだよね。そこを、ごま かされないようにしたいな…。 読むとしたら、中学生以上なら大丈夫でしょう。 |
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| 写真と文章で綴る戦争…。 |
| ■「子どもたちの戦争」マイア・オーセイミ著 落合恵子・訳(講談社) |
| ■「トットちゃんとトットちゃんたち」黒柳徹子(講談社) |
| “大人になったら、もう一度子どもになりたい。だって、ぼくには子ども 時代がなかったのだから” 戦争・内戦・虐殺・飢え・貧困…。それは遠い昔の話ではありません。今 現在も、世界のどこかで苦しんでいる子どもたちが、たくさんいるんだよ ね。子ども時代を奪われ、心も体も傷ついている子どもたち…。 1枚、1枚の写真が静かに、そして多くのことを語ってくれます。あまりの 実情に言葉を失います。人って、生まれて来る時、親も選べないけど、生 まれてくる国だって、選べないんだよね。こういうことが起こった、今起 こっているんだと、まず知ることからはじめること。大事なことなんじゃ ないかなぁ。 |