<9月・素敵に年を重ねてみたい…>
| まずは、絵本から…。 |
| ■ 「ルピナスさん−小さなおばあさんのお話」 バーバラ・クーニー作 (ほるぷ出版) |
| ルピナスさん…そう呼ばれるおばさんの小さい頃の名前は、アリスと言い ました。夜な夜なおじいさんに、遠い国々のお話をしてもらったアリスが いつも言ってたこと、「おおきくなったら私も遠い国へ行く。そしておば あさんになったら海のそばの町に住む」。 そこで、おじいさんと、ひとつの約束をします。「世の中をもっと美しく するために、なにかしてもらいたい」。 世界中を旅した彼女は、自分にできることは何だろう…と、おじいさんと の約束を、考えます。そして彼女が見つけた答えは…。 年老いたルピナスさんは、遠い国々の話をしながら孫娘に言います。「も うひとつしなければいけないことがあるよ。世の中をもっと美しくするた めに、なにかしなくては」。 孫娘は彼女なりの答えを、見つけていくことでしょう…。 |
| ■ 「五助じいさんのキツネ」馬場のぼる(こぐま社) |
| 【amazon】1980.1月発行・1000円 |
| ずっとひとり暮らしだった五助じいさんに、きつねの子の友達が出来まし た。名前はコンコン。いつも、じいさんの後をついていくうちに、互いに 言葉が通じるようになりました。 ある晩、人間への化け方を教えに行くという、きつねの群れに会ったじい さんは、コンコンにも教えてやってくれと頼みます。でも、コンコンはい くら練習しても人間にはなれず、湯たんぽにしか化けられませんでした。 それが後に…。 「11ぴきのねこ」で有名な馬場さんの、ほんわかあったかい昔話です。 |
| ■ 「とっときのとっかえっこ」サリー・ウィットマン(童話館出版) |
| ネリーが小さかった時、バーソロミューおじいさんは、ネリーをカートに のせて散歩に連れて行ってくれました。そして、いろんなことを教えてく れました。でも、ネリーが助けてほしくない時は、ちゃんとわかっていた よ。だから、いざという時にしか手をかさなかったのね。 そのうちバーソロミューは年をとって、車椅子に乗るようになりました。 これで散歩はおしまいと、悲しむバーソロミューにネリーは言いました。 「私が連れていってあげるもん」…そう、やり方はよく知っているよね。 時は巡り、とっておきのとっかえっこと、なったのです…。 |
| ■ 「だいじょうぶ だいじょうぶ」いとうひろし(講談社) |
| 小さな“ぼく”は、いつもおじいちゃんと一緒に散歩に出かけます。世界 が広がっていくことは、楽しみも増えるよね。だけどそれと同時に、困っ たことや悲しいこともあることも知るのね。そんな時、おじいちゃんがぼ くの手を握り、おまじないのようにいつも言ってくれた言葉。「だいじょ うぶ、だいじょうぶ」。やがて年をとったおじいちゃん。そういってあげ るのは、今度はぼくの番だよね…。 ストーリー的には、前述の「とっときのとっかえっこ」に似ていますが、こ ちらの方が何度読んでも胸にグッと迫るものがあります。おじいちゃんが いつも言ってくれた「だいじょうぶ、だいじょうぶ」という言葉は、ぼく のこれからをも支えてくれる言葉となっていくのでしょう。 たくさんの愛情をもらってきたから、小さくても安定している“ぼく”。 ものごとには何かしら解決方法があること、そして、世の中そんなに悪い ことばかりじゃないってことに、ちゃんと気がつくし、もらった分の愛情 をたっぷりと返してあげられる。素敵な絵本です。年齢や境遇によってい ろんな風に感じられるでしょう。小さい人たちから年齢を重ねた方まで。 ぜひ手にとって欲しい一冊。 |
| ■ 「おじいちゃんの口笛」ウルフ・スタルク作 アンナ・ヘグルンド絵 菱木晃子訳 (ほるぷ出版) |
| ぼくの話を聞いているうちに、友達のベッラが、「ぼくもおじいちゃんが ほしいなぁ」と、つぶやきます。そこで、ぼくとベッラは、おじいちゃん を探しに、老人ホームに出かけることにしました…。 はじめは、好奇心旺盛・現代っ子のベッラのお遊びだったのに、機転良く すぐに受け入れてくれたのは、ニルスさん。そこから、はじまった二人の 交流を、ぼく(ウルフ)の視点から、描いていきます。 「おまえみたいな孫がほんとうにいたらなぁ」「おれにも、おじいちゃん みたいなおじいちゃんがほんとうにいたらなあ」 身よりもなく寂しかった生活に、ふっと入ってきてくれた少年との、関わ りを通して、逆に抱えていた孤独が浮き彫りになってくるところが、少し せつなかったなぁ。 必要以上に感傷的にならず、さらりとした語り口なのに、じわんわりとし た想いが残りました。ウルフ・スタルク、要チェッーク! 1994年ドイツ児童文学賞、受賞作品です。 |
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| 「ちいさいおうち」で有名なバートンですが、他にもステキな本があるんだよ〜。 |
| 機械だって、新しいものばかりがいいわけではないよね。 |
| ■ 「ちいさいケーブルカーのメーベル」バージニア・リー・バートン (ペンギン社) |
| 坂道の多いサンフランシスコの街を走る、ケーブルカーのメーベル。チン チンとかねを鳴らし、歌うように走っていました。しかし、時代の移り変 わりと共に、採算がとれなくなって廃止案が出されてしまいます。しかし 廃止に反対する人々は「ケーブルカーを守る市民の会」を作り、請願書に 署名を集め、住民投票に持ち込まれることになります…。 長い歴史の中にはそんなこともあったんですね。実話です。ケーブルカー の構造、住民投票など、子どもにはちょっと難しいかなぁ…と思うことを わかりやすく、軽快に語ってくれます。 いつも感じることなんですが、バートンの絵本からは、軽やかな音楽が聞 えてくるような…そんな気配が感じられませんか? |
| ■ 「マイク・マリガンとスチーム・ショベル」 バージニア・リー・バートン(童話館出版) |
| 坂道の多いサンフランシスコの街を走る、ケーブルカーのメーベル。チン チンとかねを鳴らし、歌うように走っていました。しかし、時代の移り変 マイク・マリガンと、メアリ・アンという名前のスチーム・ショベルは、 仲良しで、お互い力強い味方。二人はみんなと一緒に、たくさんの仕事を しました。しかし、最新式のショベルが次々と発明されて、仕事をとりあ げられてしまいました。市役所の地下室を一日で掘ってみせると、いきま いたマイクとメアリ・アンでしたが、たくさんの見物人の中、果たして本 当に一日で終わらせることができるのでしょうか?そして、メアリ・アン の運命は?? ハラハラ、ドキドキの後、きっと深い喜びを運んできてくれることでしょ う。 |
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| ■「あたまをつかった小さなおばあさん」ホープ・ニューウェル作 松岡享子・訳 山脇百合子・画(福音館書店) |
| 初版が1970年…と、私が子どもの頃からあった本ですが、今読んでもちっ とも古びていません。 小さな黄色い家に住んでいる小さなおばあさん。たいへん貧乏でしたが、 上手に頭を使って万事うまくやっています。 なにか困ったことが起きると“ぬれタオルで頭をしばり、椅子に座って、 ひとさし指を鼻の横にあてて、目をつぶる”。毎回お決まりのポーズで考 えます。すると、どうしたらいいか、ちゃーんと解決!?するんです…。 短くて、ほのぼのとしたお話が9話入っています。くりかえしのリズムも いいですね。 “つかわないなら、あたまなんかもってたって、なんのやくにたつね?” というおばあさんは、自分の頭を使って考えたものが、間違いだったり、 失敗だったりしても、決してめげません。“これでよかったんだよ。私は なんてあたまがいんだろうねえ”とご満悦!!なんてポジティブ!なんて 楽天的!このおばあさんの気持ちの持ち様には、学ぶとこありです。 挿絵は、『ぐりとぐら』や『そらいろのたね』の画を描いている、やまわ きゆりこさん。このおはなしの雰囲気にぴったりな、かわいらしいおばあ さんの画が、お話に彩りを添えます。 絵本から読み物に移行する時期の低学年くらいの子どもたちに。読んでも らうなら、幼稚園くらいでも楽しめるでしょう。 |
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| フィリッパ・ピアスの名作。児童文学です。 |
| ■ 「 トムは真夜中の庭で」フィリッパ・ビアス(岩波書店) |
| トムは、弟がはしかにかかり、親戚に預けられることになった。退屈で眠 れない夜…。トムは、アパートの廊下にある大時計が、真夜中に十三回、 時を打つのを聞きます。そっと降りて行き、誘われるように扉を開けてみ ると、そこには昼間にはなかった庭園が広がっていました。その場所で、 トムは、孤児のハティという少女に会い、友達になっていきます…。 十三回の時を打つ大時計と、庭園の見事な描写が、不思議な世界に誘って くれます。そして、ミステリーを解くかのように、あっ!という感動のラ ストを迎えることに…。 人は急に年をとるわけでも、ずっと老人だったわけでもないのよね。(子 どもの頃って、おばあさんは、ずっと昔からおばあさんでいたような気が してたけど)当たり前のことに、あらためて気づかされます。その人なり の、いろんな人生を歩んできて、今がある。年齢を重ねてもいい顔でいた いな。 |
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| ■ 「夏の庭−The Friends」湯本香樹実(福武書店) |
| 家庭事情など、それぞれの問題を抱える少年たちと老人との関わりを、さ わやかに描いた一冊。 はじまりは、山下がおばあさんの葬式に行ったことだった。「オレたちも 死んだ人が見たい!」。ぼくたちは、近所の一人暮しのおじいさんが死な ないか、毎日見張ることにした。しかし、そんな少年たちの姿に気がつく と、おじいさんは逆にイキイキとしてきたのだ…。 ずっとテレビの前に座ったきりうごかなかった老人。尾行したり、見張っ たりしているうちに、いつしか老人の手助けをし始める少年たち。12歳の 3人の少年と1人で生きてきた老人との、ひと夏の関わり。「スタンド・バ イ・ミー」の児童文学版ってとこかな!?おじいさんは少年たちから“生” を感じ、少年たちは“死”の意味を知る…。一方方向ではなく、それぞれ に癒されていきます。夏が終わった時、少年たちはひと回り大きく成長し ていたに違いありません。 |
| ■ 「ポプラの秋」湯本香樹実(新潮文庫) |
| 「夏の庭−The Friends」は少年とおじいさんでしたが、「ポプラの秋」は、 少女とおばあさんを扱った作品です。個人的にはこちらの「ポプラの秋」 の方が、感情移入しやすかったかな。 夫を失った母と、もうすぐ7歳になる娘・千秋。ポプラの木に引き寄せら れるように引っ越したアパート、ポプラ荘。18年後、そのアパートの大家 さんのおばあさんが亡くなったという知らせを受け、葬儀に向かった千秋 は、ポプラ荘で過ごした3年間を思い出していきます…。 突然自分から父を奪い去った「死」に対する恐怖と不安、そして、小さい ながらも虚ろな母親を心配し、やがて反発する気持ち。自分も自然と 7歳 の千秋になって恐れ、おばあさんにより、心解き放たれた気持ちになって 読んでいきました。娘を見ていても、小さいながらも、いろんなこと考え て、親や周りのことも良く見えているんだろうなと思うことあるもんね。 表現の仕方はいろいろあるでしょうが、混沌としている自分の気持ちを言 葉…文章にすることで、だんだんと癒され、自分の気持ちの整理もついて いく…。そんなことって、ありますよね。どう受けとめていいか、わから なかった気持ちが、だんだんとほどけていく。それは、 7歳の子どもでも 同じなんですね。残されたものそれぞれの思いが、とってもよく描かれて いました。 おばあさんが、ほんとにいいの! 4年生のオサムくんも…。前半語ってき た断片が組み合わさり、後半あっと言わせるストーリーもマル。 ボロボロ泣きました。読後さわやか、心に染み入る作品です。 |
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| ■ 「おばあちゃん」ペータ=ヘルトリング(偕成社) |
| 【amazon】(現在在庫切れ)1979.1月発行・170P・880円 |
| 夫を失った母と、もうすぐ7歳になる娘・千秋。ポプラの木に引き寄せら れるように引っ越したアパート、ポプラ荘。18年後、そのアパートの大家 ヘルトリングは本当にうまい作家だと思う。(「ヨーンじいちゃん」も好き よ) 交通事故で両親を亡くして、おばあちゃんに引き取られたカレ。でも二人 の間には、ちゃんと信頼関係があるんだよね。子どもにとって、お母さん とおばあちゃんでは、感覚的にやっぱり違うと思うのですが、このおばあ ちゃんには、その自覚が明確にあるところがいいのね。 そして自分は、そのうち死ぬんだということを、自分にもカレにもはっき りさせる…。かわいいがためにあいまいにするより、残されるカレにとっ ては、愛情があることなんだと思う。カレはその後、おばあちゃんが亡く なっても、それを受けとめて乗り越えていくだろうなと思わせてくれます。 |
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