JAZZ / QUEEN ( 1978 )

Album Cover Design : Jazz/Queen
Japanese 7inch Single Record : Bicycle Race/Queen

それまでのドラマティックな構成はやや薄れ、バラエティに富み、より多彩な構成となったこのアルバムが、サウンド面ではひとつの転換期であったのではないかと思います。もちろん、以前からクイーンのサウンドはかなり幅広いものではあったのですが、ただ、このアルバムでは、取り分け過去のスタイルからすると異色と呼べるような楽曲が多く収められていて、その事は、「コンテンポラリーな音楽という意味で、アルバムタイトルを"Jazz"と命名した」との言葉に凝縮されているようにも思えますし、又、この辺りは、マティスの切り紙絵を版画にした"Jazz"と同じような意味合いがあるのかも知れません。
と言う訳で、アルバムがジャズサウンドを意識して制作されている訳ではありませんが、個人的には大のお気に入りである、ジャジーな雰囲気漂う、"Dreamer's Ball"が収められています。しかしながら、一番驚かされるのは、やはり1曲目の"Mustapha"。いきなり「イ〜ブラヒ〜ム」との叫びからアラブ語で始まるこの曲は、クイーン至上でもトップクラスのインパクトがあります。しかも、単に奇をてらっているのではなく、楽曲自体の完成度も高く、ドイツやスペインではシングルカットもされています。又、シタール風ギターの音色が印象的なバラード、"Jealousy"もフレディらしい名曲で、"Bicycle Race"は、こんなタイトルの曲、クイーン以外の誰が作るだろうといった感じです。他にも、ジョンのポップセンスが素晴らしい"In Only Seven Days"は、アクの強い楽曲がひしめく中にあっては一服の清涼剤のようでもありますし、英米を始め多くの国々では"Bicycle Race"と両A面扱いでシングル発売された"Fat Bottomed Girls"や、セカンドシングルとなった"Don't Stop Me Now"とったクイーンらしい優れた楽曲も収められています。ただ、正直、中には全く聴かない曲も2、3曲ありますが、それでも、私にとっては心に残る大切なアルバムであることに違いはありません。でも、これだけアクが強いと、人によって好き嫌いが分かれるかも?

なお、"Fat Bottomed Girls"は、イントロ、間奏、エンディング部分が短く編集されたヴァージョンが、シングルや"Greatest Hits"には収められていますが、このアルバムでは、ブライアンのギターがたっぷりと楽しめるオリジナルヴァージョンが収録されています。

     AMARANTINE / ENYA ( 2005 )

Album Cover Design : Amarantine/Enya

これまでの中間色に彩られた印象派の香り漂うアルバムカヴァーデザインから一転して、原色に近いシンプルな配色よるポップなモダンアートを思わせるイメージに変わったことに、何やらサウンド面での変化を匂わせているのかと思いきや、実際に聴こえてくるサウンドはむしろ逆で、爆発的に売れた前作"A Day Without Rain"からするとポップ性はやや影を潜め、より繊細で深みのある方向へと向かっているように感じられます。その所為か、当初は多少地味な印象を受けていましたが、時がたつにつれ、ジワジワとその魅力に引き込まれていっているような気がします。

このアルバムでは、ゲール語、英語、日本語、そして架空の言語と、曲のイメージによって歌詞の言語が使い分けられていますが、中でも、芭蕉の句をイメージさせる文芸性とサウンドが一体となった"Sumiregusa"で表現されるその世界観は見事で、日本人でもこれだけのものを表現できる人はそうはいないのではないかと思えるような出来。派手さはないけれど、ヒット狙いの楽曲がひしめく昨今にあっては神聖な感じさえします。よりアーティスティックなサウンドへと進化したこのアルバムは時を経てこそ、その価値に気付くのかもしれません。これぞ岩に染み入るサウンド?

     THE WORKS / QUEEN ( 1984 )

Album Cover Design : The Works/Queen
Japanese 12inch Single Record : Radio Ga Ga/Queen
Japanese 7inch Single Record : I Want to Break Free/Queen

シンセサイザーを取り入れた以降の作品の中では比較的好きな一枚ですね。"The Game"や"Hot Space"ではシンセサイザーの音だけが浮いているような違和感を多少感じていましたが、ここではそのシンセサウンドもしっくりとクイーンサウンドに馴染んでいる感じで、このアルバムで後期のクイーンサウンドが確立されたと言ってもいいのではないかと思います。ただ、そういったモダンなサウンド処理がなされていながらも、収められた楽曲とコーラスワークやギターオーケストレーションを含めたアレンジなどはかつてのドラマティックなクイーンサウンドが帰ってきた感じで、その辺りの温故知新的バランスがこのアルバムの魅力でもあるかのようです。

この時期は一部に解散説もあったほどメンバー間の関係もあまり良い状態ではなかったようですが、メンバー4人がそれぞれ持ち寄った楽曲はどれもが魅力的でクオリティの高いものであることを考えると、逆にそのことがソングライターでもある4人に緊張感をもたらし(競い合い?)、結果的にクオリティの高い楽曲が集まったのではないかという見方もできるのではないかと思います。ただ、共作という形が少ないクイーンにおいて、"Mercury & May"、"May & Tayler"という異色の組み合わせによる楽曲が収録されていたり、制作された"PV"への力の入れようや、アルバム内では個々の個性がバランス良く生かされている辺りを考えると、巷で言われているほど関係は悪くはなかったのではないかという気もします。何れにせよ決定的な確執や亀裂が生じたわけではないのはこの後の活動により証明されるわけですが、このアルバムが前作を大きく上回るセールスを記録したことも良い方向に流れが向く結果になったのかもしれません。

意図的か偶然かは分かりませんが、シングルカットされた4曲のソングライターが、 "Radio Ga Ga"(英2位、米16位)/Roger Tayler、"I Want to Break Free"(英3位、米45位)/John Deacon、"It's a Hard Life"(英6位、米72位)/Freddie Mercury、"Hammer to Fall"(英13位)/Brian May、と均等に分かれているのは興味深いところです。
なお、"Radio Ga Ga"はリミックスされたロングヴァージョンが12inchシングルとして発売され、B面にはそのインストゥルメンタルヴァージョンと、「もうクイーンなんて見たくない」というフレーズが面白い、アルバム未収録の、"I Go Crazy"が収められています。又、"I Want to Break Free"と"Hammer to Fall"は、シングルや"Greatest Hits II"に収められたシングルヴァージョンとは違うオリジナルヴァージョンが収録されており、"I Want to Break Free"はシングルヴァージョンに比べるとかなりシンプルで、"Hammer to Fall"は、間奏のギターソロとエンディングが若干違うヴァージョンになっています。
アルバムは英1位、米23位(ビルボード)、日7位(オリコン)を記録。

     TURN BACK / TOTO ( 1981 )

Album Cover Design : Turn Back/Toto

TOTO至上最もハードロック色の濃いサウンドアプローチでありながらも、バラエティー豊かで良質な楽曲が揃ったサードアルバムです。個人的には次作の"TOTO IV"と並んで好きなアルバムなんですが、セールス的にはビルボードチャートで最高位41位、シングルカットされた"Goodbye Elenore"にいたってはチャートインすらせずと、いまひとつだったようです。印象的なアルバムアートワークと相まって、他のアルバムに無い独特の雰囲気も持ったトータルバランスに優れた力作だったと思うんですが、ベストアルバム等でも殆んど無視される存在となっているのは如何に?

しかしながら、そういった世間的な評価は別にして、このアルバムに収められた楽曲は今でも比較的良く聴いている方で、今、あらためて思うのはTOTO至上最もカッコいいアルバムだということ。売れたアルバムが必ずしも良いアルバムとは限らず、クオリティーの高い充実したアルバムでありながらも残念ながらセールスには結びつかなかったアルバムは数多く存在するのも事実。

それにしても、今見ても存在感のあるアートワークですね。個人的に最も好きなアルバムジャケットのひとつで、大きな影響を受けたアートワークです。

     BAT OUT OF HELL III - THE MONSTER IS LOOSE / MEAT LOAF ( 2006 )

Album Cover Design : Bat Out of Hell III/Meat Loaf

"U"から13年、ベストセラーシリーズ"Bat Out of Hell"の第3章。今回はジム・スタインマンに加え、デズモンド・チャイルド、ダイアン・ウォーレン、ホーリー・ナイトといった売れっ子ソングライターを起用し、プロデュースもデズモンド・チャイルドということもあってか、我々日本人にはこれまでよりも受け入れやすいサウンドになっているのではないかと思います。"U"はそれほどなかったものの、正直、1作目の"Bat Out of Hell"は今でもとっつきにくい感じで、何故、アレ程までに欧米で支持されたのか、中々理解できない部分もあるのですが、このアルバムをきっかけに日本での認知度と評価も上がればいいですね。

例によって、随所にコーラスを配した5分〜10分と長めの曲が目白押しですが、どの曲も一本調子にならない起伏に富んだアレンジで、全編を通して壮大な物語が展開される様は、前2作よりロック色も増した感じで圧巻。肉料理のミートローフにかける訳ではないですが、聴き終えた後、これ程までにお腹いっぱいになるアルバムにはそうお目にかかれないのではないでしょうか。ヴォーカルアレンジャーにトッド・ラングレン、ゲストミュージシャンにブライアン・メイ、スティーヴ・ヴァイ他と、こちらもお腹いっぱいになるくらい豪華。

     BARK AT THE MOON / OZZY OSBOURNE ( 1983 )

Album Cover Design : Bark at the Moon/Ozzy Osbourne
Live Video : Bark at the Moon/Ozzy Osbourne

緻密で繊細なサウンドを奏でるランディ・ローズを「静」とすると、野太く力強いサウンドイメージがするジェイク・E・リーは「動」といったところでしょうか。それはステージ上でのパフォーマンスに於いても言えることですが、ここではそのジェイクもランディ同様、メロディーラインに重点を置いたプレイに徹している感じもします。まぁ、新参者が好き勝手にプレイできるはずもなく、当然そこにはオジーの意向が大きく働いているのでしょうが。それでもここで提示されたサウンドと収録曲はかなり気に入って聴いていました。それにしてもジェイクのパワフルなリフは今聴いても痺れますね。

一般的には、このアルバムでのハイライトと言えば、タイトルトラックでもあり、ファーストシングルにもなった、オープニングを飾る"Bark at the Moon"ということになるのでしょうが、個人的にはスローバラード"You're No Defferent Me"、"So Tired"の2曲と、"Now You See It (Now You Don't)"辺りがお気に入り。中でも"So Tired"は故美空ひばりさんが歌ってもおかしくないようなバラードで、仮に美空ひばりさんが歌っていたならば「川の流れのように」と並ぶ名曲になっていたんじゃないかと思える位の曲。いや〜、アルバムジャケットからは全く想像できませんよね。(笑)

それと、このアルバムを語る上で欠かせないのが、翌年にアルバムと同タイトルで発売されたライヴビデオ。今はDVDで発売されているのでしょうか?日系人ギタリストであるジェイク・E・リーのお披露目ツアーともなったこのライヴ。ジェイクが主役の座をオジーから奪う位目立っています。(笑)
テクニックも然ることながら、とにかくステージアクションがカッコいいですね。かつてアン・ルイスさんもジェイク・E・リーのギターを弾く姿が凄くカッコいいと絶賛されていましたが、未だに彼ほどカッコ良く弾くギタリストにはお目にかかっていません。
内容的にはこのビデオ、"Mr. Crowley"では肝心な所でジェイクを写してなかったり、演奏シーンが小さかったりと多少不満もありますが、サウンドの方は今聴いても身震いがするほど。又、一部、編集(被せた歓声)が下手でうっとおしく、そのままで良かったのにと思う箇所もある"Rock'n Roll Rebel"はスタジオヴァージョンより数段カッコいいですし、ジェイクのギターソロが存分に堪能できる"Suicide Solution"は必見。シリアスなバンドが多い昨今ですが、やっぱりロックには魅せる要素も重要だと認識させられる内容です。

     TOTO / TOTO ( 1978 )

Album Cover Design : Toto/Toto

"TOTO"と最初に出会ったのがこのファーストアルバムでした。きっかけは、ファーストシングル"Hold the Line"に惹かれてアルバムを購入したことからでしたが、当初はその"Hold the Line"の重厚なサウンドとジャケットイメージからして、比較的"Boston"に近いサウンドを想定していたので、実際にアルバムを通して聴いた印象はかなり違ったものでしたね。しかし、それは良い意味での裏切りだった訳ですが、彼らを好きなバンドのひとつにならしめた最大の理由はといえば、何といっても1曲目のインストゥルメンタルナンバー、"Child's Anthem"に心奪われたからでした。なので、私の中では、今でも"TOTO"と言えば、"Rosanna"でも"Africa"でもなく、この曲が一番にイメージされます。続く2曲目、"I'll Supply the Love"のギターソロパートでのメロディーラインのカッコよさに再びシビレ、決定的に好きになった訳ですが、当時はソウルフルなイメージがする"Georgy Porgy"、"You Are the Flower"といった曲や、フュージョンサウンド的な"Takin' It Back"はあまり好きではなかったのに、今では「いいな」と思うあたり、当時は表面的な派手さに多くを奪われていたガキだったんだなと思う次第です。個人的にはこのアルバムから"Isolation"までが"TOTO"との付き合いになってしまった訳ですが、あらためてこのファーストアルバムを聴いてみると、幅広い音楽性と可能性を秘めた充実したアルバムだったことを再認識させられます。

シングルカットされたのは、"Hold the Line"(5位)、"I'll Supply the Love"(45位)、"Georgy Porgy"(48位)の3曲で、結果的にヒットシングルとなったのは"Hold the Line"1曲だけだったにも関わらず、アルバムはビルボードチャートで最高9位を記録していることからも、このアルバムの充実度が窺い知れますね。

"Turn Back"のコメントで、"IV"と並んでこの2枚が好きと書いてましたが、あらためて聴いてみると、このファーストアルバムも負けず劣らず好きかもしれません。というか好きです。ここで訂正。(笑)


■ 掲載しているジャケット写真は、私個人が所有しているCD、レコードからのもので、著作権及び知的財産権は、それぞれのレコード会社、プロダクション、アーティスト、アートワーク制作者等にあります。

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