| 私のお気に入りの CD |
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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番・ピアノソナタ第2番小山実稚恵(SONY)
小山さんのレパートリーの中でも,外すことのできない1曲と認識しています.ラフマニノフの曲の中でも特に,技巧的にとても難しい曲にもかかわらず,聴き手にそう いった印象を与えず,メロディの美しさ,迫り来る切なさ,スケールの大きさといったイメージの世界を広げてくれる演奏です.それ は単に感傷的なだけではなく,ある枠のなかできちんと収まっている「シンプル」な演奏だからこそ,表現できているのではないかと感じます.2004年4月 23日(金)札幌交響楽団との定期演奏会で,この第3番を小山さんが演奏されます.生で聴くことができけることは,とても楽しみです.
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シューマン:謝肉祭・ピアノソナタ第1番エフゲニー・キーシン(PMG)
私のレパートリーでも取り上げたこの曲は,たくさんのピアニストがCDを出しています.ですから聴き比べるというおもしろさがあり,研究する楽しみも生まれます. そんな中,久しぶりにリリースされた謝肉祭のCDが,このキーシンの演奏です. まず出だし[前口上]から驚きました.大抵のピアニストがスピーディーに飛ばして演奏するのですが,キーシンは実に丁寧に,コ ントロールした音で,必要以上に勢いをつけないのです.それでいてきちんと,曲の持つ華やかさ,躍動感が表現できているのですから,すばらしいのです.そうかと思うと,ほかの場所では,びっくりするくらいゆったりとしたテンポを採り,シューマン特有 の二面性を充分に表現しています.これだけ,それぞれの曲に変化をつけると,全体の統一感がなくなりがちだと思うのですが,通 して聴いてみると,全くそんなことは感じません.神童といわれたキーシンが,正統派のピアニストとして私の中で,確信できたC Dです.
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シューマン 幻想曲スビャトスラフ・リヒテル(EMI)
シューマンのピアノ曲は,演奏するものにとっては,格別の難しさがあります. 左右の微妙なハーモニーのずれ,指の収まりが難しい和音. でも実はそこが,聴く人にとってたまらない魅力を感じるところ(シューマン独特の音楽)なのだと思います. その中でも,特に地味ながらも外すことのできない傑作のひとつが,この幻想曲です. リヒテルは,感情に流されやすいこの曲を,とても理知的に,しかも,シンプルに演奏しています。ロマン派(19世紀始めから,1890年頃の音楽)は,比較的自由に演奏されることが許されますが,その[自由]にもきちんとした裏づけが必要です.この演奏は,リヒテルが充分検討した上で,曲そのものがとても複雑なため,シンプルに弾くほうが,いかに効果があるかを,知り尽くしてのことだと思います.暖かくそして力強く,幻想曲のよさを本当に感じさせてくれた一枚です.
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FAVORITE SPANISH PIANO WORKS小山実稚恵(SONY)
このCDに出会うまで,スペイン音楽は私にとって遠い存在でした. これほど魅力的な曲がたくさんあるのだと,気付かせてくれたのが小山さんの演奏です. 聴く曲すべてが新鮮で,どこか懐かしい感じさえしました. 発売当時ちょうど,スペイン音楽がブームのようになっていましたが(それまでは,あまりスペイン音楽のCDは,出ていませんでした),ブームだけで終わらせることができない魅力がたくさんあります.それを教えてくれたのがこの一枚で,これをきっかけに,私も積極的に演奏するようになりました.スペインの音楽には,やはり,同じヨーロッパの作曲家でも,ドイツ人やフランス人のものとは違う,激しさや気だるさがあります.またCDジャケットも印象的で,赤と黒がシャープにしかも,品よく情熱的にデザインされています. インパクトのある一枚です.
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ベートーベン ピアノソナタ集フリードリッヒ・グルダ(ポリグラム)
数あるベートーベンソナタのCDのうちで,私がすばらしいと感じるのがこのグルダの演奏です.ベートーベンは,テンポの設定が非 常に重要だと思うのですが,なかなか本当に最適なテンポで,演奏することはできません.速すぎて意味が良くわからなかったり,(勢いに まかせて,細かい音が良く聴き取れない)逆にゆっくりすぎるために,緊張感が損なわれたりと本当に難しいものです.古典派(18世紀 中頃から19世紀始めの音楽)は,形式を重要視しているので,一度決めた速さを,途中で変えることはできません. それを天性の勘で,「こうなんだ」と感じさせてくれる演奏をしているのがグルダです. でももしかすると,それは勘ではなく,緻密な計算の上で,設定された速さなのかもしれません.そのくらい最適なテンポを,グルダ はいとも簡単に弾きこなしているのです.
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ブラームス ピアノ小品集ラドゥー・ルプー(ポリドール)
私が子供の頃,母にいろいろなコンサートに連れて行ってもらいました. そのほとんどが,あいまいな記憶として残っている中,今でも当時の情景がはっきりと思い浮かぶものがあります.それがラドゥー・ ルプーのコンサートです. 自分の座っていた席や,彼の演奏する姿,不思議なピアノの音,私の中では特別な感覚として今なお残っています.大人になって久し ぶりに聴いたルプーのCDは,当時の記憶を蘇らせるすばらしい演奏でした。すぐれたバランス感覚(左右の手それぞれが音の大き さ,質など十分に吟味している点),全く作為的なところのない素の演奏(自分本位の解釈で,作曲者の楽譜を無視したかのようなと ころがない点)が,たまらなく魅力的です。ブラームス晩年の作品をここまで,みずみずしく,しかも素朴に奏でることができるピア ニストは,ルプーが一番と個人的に思っているのです.
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シューベルト ピアノ作品集アンドラーシュ・シフ(ポリグラム)
シューベルトは,歌曲をたくさん残しているだけあって,ピアノ曲もほとんどがメロディーと伴奏のシンプルな形で,できています. 演奏者にとっては,簡素に書かれている曲ほど,その魅力を引き出すことが難しく,一つ間違えると本当につまらないものになってしまい ます. シフは,そんなシューベルトの簡素な美しさを,最大限に引き出すことのできるピアニストだと思います. 右手(メロディ)と左手(伴奏)がうまく掛け合うことによって,お互いがぶつかり合うことなく,それでいて,それぞれが主張してい ます.左手は,安定した演奏が難しく,目立たないようにと,ついどんどん小さくしがちですが,それでは,貧弱な音楽になってしま います.控えめながらも,深みのある音をだすことが必要で,シフの演奏はまさにそれが,丁度いい具合にできているのです.それか ら,右手(メロディ)の原点は常に[歌]であって,きちんと旋律として,聴こえてこなければいけません.ですから,どんなに音が増 えても,必ず美しいメロディラインがわかる演奏をしているのも,このCDのすばらしさです.
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