初秋がどっさり、信州の鎌倉


 暫く、海のほうにばかり行っていた、私たちの旅行。
久しぶりに山の温泉に行きたくなった。
今回は、東京からだと長野新幹線を使えば比較的簡単に行くことができる、「信州の鎌倉」と呼ばれている、長野県の別所温泉を選んだ。

 また、ここを選んだ理由は、それだけではない。
上田名産の「みすず飴」を買いたかったのである。
私はあまり好きではないのだが、両親、とくに、父はとても楽しみにしていたのだった。

 2003年9月6日、東京を11時少し前の長野新幹線に乗り、上田に着いたのが12:10ごろ。
新幹線ができて、本当に近くなった。
昼食は、車中でデパ地下のお寿司を食べる。

 上田駅に着いて、早速、すぐ近くにあるみすず飴のお店、「飯島商店」に行く。
駅から歩いて2・3分。
お店までは真っ直ぐな道で、信号を1つ渡る。
この信号、なかなか青にならない。じれったくなる。
そして、途中、工事中のため、道がでこぼこしていた。

 今日は、お天気がよく、暑い。
でも、風はさわやかで少しだけ秋を感じる。
お店の中は、エアコンがきいていて涼しかった。
みすず飴は、ゼリーのような飴。
水飴やジャムもあった。
これらは、デパートでも通販でも手に入るのだが、長野、いや、上田の名産なのだろう、朝鮮にんじんの飴はここでしか買うことができない。
その飴を買いにきたのである。
試食したこのにんじん飴、甘くて苦かった。
結局、私たちはにんじん飴と花梨ジャムを買って、お店を出た。

 そして、上田駅に戻り、今度は「上田交通」の電車に乗り、別所温泉駅へ向かった。
乗っている時間は約30分。

 2両編成の電車が入ってくるなり、母が、「あっ!」と叫んだ。
東急のロゴマークが付いた見覚えのある電車が入ってきたのである。
そう、家の最寄り駅を走っている電車と同じだった。
手すりの上には、「東急百貨店」と書いてあるとのこと。
なんか、この街に親近感が湧いてきた。
車両も、こんな形でリサイクルされているとは知らなかった。
意外な発見である。





 写真の説明:上田交通の電車の写真。
銀色の車体で窓の下に緑の横線が入っています。





 30分ほどの車中では、車窓の景色の様子を説明してもらう。
いつもはあまりそんなことはしないのだが、田園風景と色づき始めたりんごの木々がすばらしかったので、教えてくれたのだった。
冷夏だったこの夏、後半に暑くなったせいなのか、稲はちゃんとおじぎをしていたそうだ。
思うことはみんな同じなのか、他の乗客も似たようなことを話していた。

 午後1時半ごろ、別所温泉に到着。
ここは、古いお寺や美術館などがあり、それらをゆっくり巡るところ。
時間をかけて徒歩で周るのだろうけれど、1泊でもあるし、やはり温泉場、旅館でゆっくりしたかったので、タクシーで3箇所だけ見ることにした。

 駅前の八百屋には、秋の果物が並んでいる。
美味しそう、買うとしたら明日の帰りにしよう。

 駅前でタクシーを拾った私たちは、3箇所の観光をして旅館まで送ってもらうことにした。
まず最初に行ったのが、「北向観音」。
ここは、今日、泊まる旅館の「かしわや本店」の隣にある。
この北向観音は厄除けで、南に向いた善光寺と向い合い、両方をお参りすると願い事がかなうとのこと。
境内には、「愛染かつら」の大樹や数多い歌碑がある。
樹齢1200年のこの木は、葉っぱがハート型になっていて、縁結びの霊木として親しまれているとのこと。
私にも、良縁があるかな?





 写真の説明:愛染かつらの木の前に私が立っています。





 次は、「安楽寺」。
ここは、日本で唯一の国宝の八角三重塔。
純粋な中国様式のお寺。
本堂に安置されている肖像は、重要文化財とのこと。
「長い階段と中国式の八角の塔」ということで、去年行った
台北の、中正紀念堂

を、思い出す。
あのときも暑かったっけなあ。
そんなことを考えながら境内を歩く。

 さっき行った北向観音もそうだが、ここも静かで、蝉の声とかすかな秋の虫の声しか聞こえない。
写真を撮り、次の場所へと向かった。





 写真の説明:安楽寺の八角三重塔が写っています。





 最後は、「夫婦道祖神」。
ここは少し遠かった。
夫婦道祖神は、肩を抱き合い、手をつなぎあった男女の神像。
ひっそりとした場所にある。
男神には衣冠束帯、女神には十二単衣の服装だった。





 写真の説明:夫婦道祖神の前に私が立っています。





そのまわりには、コスモスなどの、花が咲いていた。
とてものどかなところである。





 写真の説明:ピンク・白・濃い紫色のコスモスの花が咲いています。





 そこからいよいよ、旅館に到着。
といっても、北向観音に戻ってきたことになる。
午後3時ごろだった。

 フロントでチェックインをするときに、抹茶とグリンピースのお菓子をいただく。
そして、別棟に移り、お部屋へ。
今日、泊まる部屋には露天風呂が付いていた。
この旅館は廊下も含めて全館畳で素足のまま歩くことができる。
とっても楽チン。

 部屋に入り、暫くしてから、大浴場に行く。
ひのきのお風呂だった。

そして、夕食前もう1度と、翌朝朝食前に、部屋の露天風呂に入る。
部屋の浴槽は木製のたる型。
大浴場と同じく、硫黄の匂がした。
久しぶり、温泉らしい温泉に入った気がする。





 写真の説明:部屋の露天風呂の浴槽が写っています。





 しかし、露天風呂といっても、開放感はなかった。
空気の感じから塀に囲われているような感覚。
あとで聞いてみたら、垣根で覆われていた。

 それもそのはず、ここは山里の温泉。
何かで覆わなくては外から見えてしまう。仕方ない。
ということで、部屋からの眺望はよくなかった。

あ、ちょうどよい機会だ。
旅行の計画の際の、部屋からの眺望について書いておこう。
全盲の私には、関係のないことと思うかもしれないけれど、やはり、窓を開けたら、開放感が欲しいもの。
ホテルによっては、海や渓谷側か駐車場や国道に面した部屋のどちらかになることがある
都会のホテルならまだしも、窓を開けたら、車の音しか聞こえないなんてこともあって、がっかり!
HPやパンフレットをよく読んで、場合によっては、予約時にリクエストすることもあるのだった。

 話しを元に戻そう。
そんなこんなで、時刻は午後5時半。
気がつけば、外で鐘の音が聞こえる。
北向観音でならしているもの。なかなか風流だなあ。

 そして、夕食。お食事どころで食べる。
川魚の他、山の幸がいっぱい使われていた。
お刺身は、海・川・里から選ぶことができ、私と母は鯉の洗いなどの川のお刺身、そして、父は馬刺しのある里のお刺身にした。
あと、いわなの塩焼きも美味しかった。
てんぷらや鉄板焼きには、シメジやえのきなどの茸、そして、さつまいもも使われていて、秋を感じることができた。
また、山芋も、もみじの形に切ってあるなど、手のこったお料理だった。
最後のフルーツには、きょほうが1人1房ずつと、バニラのアイスクリームが出てくる。
さすが、きょほうと松茸の産地。
だけど、まだ松茸は食べられなかった。





 写真の説明:鉄板焼きの写真。
串にささったお肉や椎茸がのっています。





 翌朝は5時に、北向観音の鐘の音で目が醒めた。
部屋のお風呂に入ったあと、朝市に行ってみる。
旅館から歩いて5・6分のところにあった。
朝の風はすがすがしくて気持ちよい。
朝市といっても、八百屋さんが1軒あるようなこじんまりしたもの。
欲しい野菜はあるけれど、重たいので、インゲンと細い下ろし大根となすを1袋ずつ買った。
さっきまで涼しかったのに、旅館に戻るころには、暑くなっていた。





 写真の説明:朝市の店先に私が立っています。
手には買った野菜を持っています。





 そして、朝食。
煮物・おひたし・温泉卵などの定番のメニューだったが、きゅうりとトマトがまるごと3つずつ、それから、小粒で緑色の葡萄が3房出てきた。
こんなに食べられないよう!
さすがに、野菜は持ち帰りができるように、ビニール袋が用意されていた。




 写真の説明:桶の中にきゅうり・トマト・緑色の葡萄が入っています。
その上には小さな四角い氷が6・7個のっています。





 朝食が終り、9時ごろ旅館を出て、帰ることにした。
別所温泉の駅前で、洋梨とネクタリンという、桃の1種を買って帰る。
9:40ごろの上田行きの電車に乗り、新幹線で東京に着いたのが、12時半ころだった。
東京は上田より涼しくて驚いた。

 日本を満喫した今回の旅行。
夏と秋を同時に楽しむことができ、この微妙な感覚がなかなかよかった。
「花よりだんご」の私、今度は、いやというほど、きょほうと松茸を食べてみたい。
それまでに、お金を貯めておかなくっちゃ!
そして今回も、「行きたいときに行きたいところへ行ける」幸せにあらためて感謝するのであった。



飯島商店



かしわや本店



別所温泉 斎藤旅館


ここのHPの観光地の説明は、音声パソコンでも大変わかりやすく、この旅行記を書くにあたり、参考にさせていただきましたので、ご紹介いたします。
みなさんも行くことがありましたら、ぜひ、ご活用ください。




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Last update: 2003/09/24