条例に基づき、各種集合住宅のコミュニティ形成支援ー金沢市
金沢市では、20年4月に「集合住宅におけるコミュニティ組織の形成の促進に関する条例」を施行した。これは、集合住宅に携わる事業者の協力を得て、市も協力し、地域が主体となったコミュニティを育む環境づくりを目指した取り組みだ。
具体的には、金沢市と金沢市町会連合会が協働して、「コミュニティ相談窓口」を開設。専任のコミュニティアドバイザーが「集合住宅の住民と地域とのつながりを形成するにはどうしたらよいか」「成功しているコミュニティ活動の事例は?」などのアドバスを実施している。
また、コミュニティづくりに配慮された集合住宅を市が認証する「あんしんコミュニティ集合住宅認証制度」
、コミュニティスペース整備費に助成する「整備費補助制度」や賃貸料を助成する「賃貸料補助制度」を設けたほか、コミュニティ活動に必要な用具の購入補助も創設した。
「集合住宅のコミュニティは、地域とのつながりを築くことから生まれます」という金沢市の取り組みは、全国的にも珍しい取り組みのひとつ。条例の理念がどのように実現されるのか、今後の成果が注目される。
新しいコミュニティのあり方に関する研究会が発足ー総務省
このほど、総務省が新しいコミュニティのあり方について、有識者による検討を行うこととし、「新しいコミュニティのあり方に関する研究会」を設置した。
昨年開催された「コミュニティ研究会」の提言も踏まえながら、コミュニティをめぐる環境が大きく変化する中で新しい形の人と人のつながり方、付き合い方に焦点を当てて検討を行い、コミュニティの機能についての理解を一層深め、今後、コミュニティが高齢者支援、防災等において発揮できる機能、そのための条件、支援の具体的手法等について、研究するとしている。
政府与党が、コミュニティ活動基本法の議員立法を計画しているが、その動きと一にしたもの。具体的な検討内容としては、地域によって異なるコミュニティの態様・機能・課題、連携・協力の場「プラットフォーム」の事例、機能する「プラットフォーム」のイメージ(デザインの観点から)、コミュニティによる高齢者支援のあり方、
新しいコミュニティの組織原理などを挙げている。
初回は、7月23日の開催されているが、コミュニティのあり方について取り上げられる町内会・自治会について、委員のお一人から、「自治会などコミュニティ組織の多様性をしっかり認識する必要があること、また、自治会は、
経験や想像以上に多様な実態で、適正規模論より、むしろ多様な類型に見合った対応が必要である」との指摘がなされていた(参考:辻中構成員提出資料)。
21年4月から宮崎市で地域コミュニティ税を導入へ
この6月議会で、宮崎市は、地域課題の解決に向けた財源にするため、「地域コミュニティ税」の導入を可決した。
少子高齢化、核家族化が急速に進む中、地域の連帯感が希薄になるとともに、地域が抱える課題は多様化し、個々の団体だけで課題を解決することが難しくなってきている。こうした課題解決に向けた住民主体のまちづくりを進めるために、個々の地域団体よりも広範囲な地域を単位とした地域自治区(地域協議会)を18地区に設置しているが、その活動費の一部を広く市民の皆様に求めるとして創設したもの。
課税は、21年4月からで、市民一人当たり500円とし、個人で市民税均等割が課税されている方(約37万市民のうち約16万人)を対象に、
市民税均等割超過課税方式(法定普通税)で課税する。交付対象は、地域協議会等の実践組織で、原則的に各地域自治区等に1団体ある「地域まちづくり推進委員会」とし、地域の課題解決のための活動
、例えば、地域の防犯防災、地域福祉、環境、地域再生等の活動に当ててもらう計画だ。全体では、8000万円になると想定されるが、使途のルールを定めこととし、新税の使途のルールを検討する使途研究会と使途の評価を行う評価委員会を設置し、新税の使途の適正化・明確化を図るとしている。
地域自治区に財源を本格的に委譲する、全国初の試みであり、地域自治組織としてどのように機能するか、今後の取組みが注目される。
協働と地域施策づくりの場として地域協議会を
ー豊島区委員会が中間報告
豊島区では、「豊島区自治の推進に関する基本条例」(平成18年4月1日施行)に基づき、条例の理念を発展させるための仕組みや施策を提言する機関として、「豊島区自治推進委員会」が設置されているが、このほど、その中間報告がまとまった。
委員会では、 「地域」を軸に参加・協働の仕組みを考える「地域協議会部会」と
「政策」を軸に自治体経営の新しい仕組みを考える「協働・政策部会」を設置。
地域協議会部会では、協議会の設置エリアは人口2万〜4万人の小学校区より広い地域で、既存組織と公募の活用による組織づくりを提案した。また、役割としては、地域のまちづくりを協議する場、区民との協働による地域施策づくりの場、そして、条例に基づく協議組織という位置づけを行った。
一方、協働・政策部会では、新たな地域協働のパートナーとなる公益的活動を支援するため、活動の裾野を広げる創出支援型補助金の創出や区民活動組織に対する営利企業と異なる新たな委託メニューの整備を提案。政策を軸に自治体経営の新しい仕組みとして、区民ニーズに沿った施策の重点化や無作為抽出による「政策eモニター制度の新たな参加手法としての可能性などを指摘している。
なお、この中間報告に対する区民意見を反映させながら、21年2月には最終報告をまとめる予定だ。
仙台市で、地域コミュニティ活性化を目指し、
コミュニティビジョンを策定
このほど、仙台市は、この1月に公表された「コミュニティビジョン検討委員会」(委員長:吉原直樹東北大学大学院教授)のコミュニティビジョン最終報告を受けて、地域と行政が共有すべき、地域コミュニティの活性化指針である「仙台市コミュニティビジョン」を策定した。
昨今、産業構造の変化や少子高齢化・核家族化の進展など、社会経済環境は大きく変化し、生活スタイルや価値観の多様化が進む中で、地域では、子育て、教育、介護などの分野にお
ける対応が難しくなっている家庭も少なくない。このような状況下、誰もが豊かで幸せに暮らしていくためには、地域の人々の交流や助け合いが
不可欠であり、域コミュニティを活性化することの重要性が増している。
このため、地域コミュニティを活性化を行政の責務とし、(1)多様な価値観を認め合う開かれたコミュニティ、(2)コミュニケーションの豊かなコミュニティ、(3)理念を交友し資源を生かすコミュニティ、(4)共生のルールのあるコミュニティの4つの目指すべきコミュニティ像を設定。「担い手の発掘と育成」「地域情報の共有」「地域資源の有効活用」「理念の共有」「魅力ある事業の企画と実施」の5つの視点から具体的な施策を展開していく予定だ。
今後、地域と行政が地域づくりについて意見交換を行う機会を設けること、地域づくりコーディネーターの養成、新たな助成制度の創設、地域づくりの拠点施設としての市民センターの機能拡充、学校等公共施設の柔軟な活用など、このビジョンの基づく事業を計画している。
集合住宅のコミュニティ形成を目指す
全国初の条例を制定ー金沢市
集合住宅の町内会離れは、全国共通の課題で、地域の連帯力の低下が懸念されている。こうした課題を解決し、自発的なコミュニティ組織の形成が難しい集合住宅の住民を含む地域の連帯意識を醸成し、安全で
安心なまちづくりを進めること、また、地域自治の参画の機会の確保し、良好な地域社会の形成に資することを目的とした「
集合住宅におけるコミュニティ組織の形成に関する条例」が金沢市で制定された。
地域コミュニティを育むことは、地域住民が主体であることが基本であるが、地方公共団体が、ここまで踏み込んだ取組みは全国初と言えそうだ。
条例には、集合住宅の住民、町会その他の地域団体、建築事業者、そして、市それぞれの役割を規定。集合住宅の住民は、自主的に集合住宅におけるコミ
ュニティ組織の形成を図るよう努めること、町会その他の地域団体との連絡及び調整に努めること、などを定めている。
一方、町会その他の地域団体は、誰もが参加しやすい
開かれた活動の実施、当該活動への参加の呼びかけ等を通して、集合住宅の住民がコミュニティの必要性についての認識を深めることができるよう努めるとしている。
また、集合住宅の建築事業者は、良好な近隣関係を損なわないよう、 集合住宅の販売、賃貸又は管理に当たっ
ては、コミュニティの必要性について集合住宅に入居する者に説明するよう 努めるなどの義務を課している。
さらには、市の役割として、コミュニティ組織の形成の促進を図るために必要な施策を策定し、実施すること、
町会その他の地域団体と連携しながら、集合住宅におけるコミュニティ組織の形成に関する相談体制の整備を図ること、コミュニティ組織の形成を推進し、支援する人材及び団体の育成に努めることなどを定めている。
具体的な事業としては、(1)コミュニティ組織の形成及び活動の促進に対する支援として、
- コミュニティ組織形成のきっかけづくりや助言等を行う相談窓口の設置、
- 集合住宅におけるコミュニティ組織形成にかかる支援制度の創設
- 地域コミュニティの活性化を推進するリーダー的人材や団体の育成
- 集合住宅における住民のコミュニティ組織形成に貢献があった者へ の表彰
また、(2)コミュニティ組織の形成に配慮した集合住宅の普及対策として
- コミュニティ組織の形成に配慮した集合住宅の認証制度の創設
- 集合住宅のコミュニティスペースの設置にかかる支援制度の創設
- 集合住宅の建設の際における「コミュニティ担当者」の届出
- 集合住宅における住民のコミュニティ組織形成に貢献があった事業者の表彰
さらに、(3)地域コミュニティに対する理解の促進として
- 地域コミュニティの大切さを啓発する市民向け啓発パンフレットの作成・配付
- 地域コミュニティ活動の情報提供
などが想定される。
具体的な条例の効果は、今後の施策展開によるが、全国的に地域力の強化が必要とされる中で、ユニークな取組みとして注目される事例の一つである。
参考:集合住宅におけるコミュニティ組織の形成の促進に関する条例
条例検討経過
仙台市でコミュニティビジョン最終報告を公表
このほど、仙台市のコミュニティビジョン検討委員会(吉原直樹委員長・東北大学大学院教授、18年6月設置)が最終報告をまとめた。仙台市は、この報告を受け、今年度中に「コミュニティビジョン*」を策定し、今後の地域支援に関わる施策への活用を目指すとしている。
報告書の主なポイントは、安心して暮らせる地域づくりのためには、人々が、地域は自分たちのものという意識を持ち、地域のこ
とは地域で決め、主体的に地域づくりに取り組んでいくことが必要とし、@多様な価値観を認め合う開かれた地域コミュニティ
Aコミュニケーションのある地域コミュニティ B理念を共有し資源を生かす地域コミュニティ
C共生のルールのある地域コミュニティの4つの地域コミュニティ像を設定している。
また、活力ある地域コミュニティづくりには、@活動の担い手の発掘と育成 A魅力ある事業の企画と実践 B地域資源の有効活用 C地域情報の共有
D地域コミュニティを活性化する理念の共有の5つの視点からとりくむべきと提言。
さらには、取り組み方針として、 (1)役割分担に基づいた地域コミュニティ組織と行政組織の連携を進めること、
(2)地域課題を把握・共有する場の設定すること、 (3)新しい連携の取組みの促進すること、
(4)行政の支援体制の拡充すること、の4つを提示している。
*コミュニティビジョン=近年、コミュニティ意識の希薄化や機能の低下み、防災や環境、防犯などにみられるように地域課題が複雑化し、解決が
困難な状況となりつつある中、安定した地域社会を維持していくためには、どのような仕組みを構築していく必要があるかを検討し、仙台の土台となるいきいきとした地域社会の形成を実現するの指針とすることをねらっている。
町内会事業法人化制度の創設を答申か?−道の検討委員会
道の道州制特別区域提案検討委員会が、町内会の事業法人化制度創設について検討を進めている。
同委員会に提出された検討資料によれば、人口減少や高齢化が進む中で、地域コミュニティを再生していくのは、地域自らが、例えば、「乗り合いタクシー事業」や「一人暮らしの高齢者向けの食堂や弁当配達業」などを営む必要が出てくる。一方、町内会は地域において様々な機能を果たしており、コミュニティビジネスの担い手としても期待できる。現在の町内会・自治会の地縁認可団体制度は、主に町内会会館など不動産を取得することを想定したものであり、事業を進める
には、道州制特区を活用し、新たな法人化制度を北海道の条例で可能にすべきという主張である。
議論の詳細や答申でどのように書かれるかは未知数であるが、町内会もコミュニティビジネスの主体にという考え方は、特に過疎化が進む北海道においては、理解できるものであり、今後、道州制特区制度の中でどのような扱いがなされるのか、また、北海道がどのように取り組
むのか、その推移が注目される。
なお、同委員会は、18年に施行された「道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律」に基づいて、国への提案に関して意見を述べる道知事の付属機関で19年7月に設置されている。10月には第一回目の答申をまとめているが、現在第2回目の答申案提出に向けて審議中である。
地域コミュニティ税導入に向けて、最終報告書ー宮崎市
このほど、宮崎市で仮称・コミュニティ税の導入に向けた検討委員会の報告書がまとまった。
この報告書によれば、同市が平成18年1月の合併後、新たに設けた地域自治区と合併特例区を基礎として広がっている住民主体のまちづくりを後押しする目的に、仮称・地域コミュニティ税の創設が必要としている。
具体的には、地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりの推進を目的に、市内に住所を有する個人で、市民税均等割が課税されている方を対象とし、
年額一人当たり500 円の市民税均等割超過課税方式での課税を行い、年間約8 千万円を確保する。
その使途は、全額を地域へ交付金として助成し、交付金は、対象を一つの事業に限定することなく、地域協議会等での協議、判断により使用することができることとし、これを財源に、地域の様々な課題を解決することを可能とする。
また、新税の使途については、行政と市民委員から成る評価委員会を設置し、地域への交付金の使途を評価、配分は、均等割、人口割等を基に様々な方法を検討するとしている。
これにより、地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりの一層の推進、 「自助」「互助」「公助」の有機的連携による支えあう地域コミ
ュニティの形成、地域コミュニティの形成を目指すための市民意識の醸成や市民参画の推進などを目指している。
導入時期には、平成20年4月から実現してほしいとの意見も出されていたが、報告書では、明示していない。
なお、報告書の市民のアンケートでは、(仮称)地域コミュニティ税の導入については、「賛成」が18.8%、「やむを得ない」が46.3%と合わせて65%が支持しており、「反対」の17.4%を大幅に上回っているなど、市民も一定の理解をしている状況である。
この報告書を受けて、同市は、実施に向けた検討を進めることになると思われるが、地域自治の円滑な推進のために、税を創設し、かつ、使途を地域協議会に任せるという言わば財源委譲をともなった全国的にもはじめての”文字通り地域自治を推進する”ための試みであり、今後の推移が非常に注目される事例である。
「八王子における地域自治組織を考える」
-まちづくり研究はちおうじ第4号から
八王子市は、団塊の世代の地域デビュー促進などユニークな施策で有名であるが、市民と職員の共同研究「八王子における地域自治組織を考える」が「まちづくり研究はちおうじ第4号」で公表されている。
同報告は、「住民自治」の充実という観点から、「地域自治」の再検討という課題の重要性に改めて注目し、地域自治のあり方は、とりもなおさず自治のあり方全体を問い直すものという問題意識に根ざしている。
まず、同市の地域自治の現状を分析し、地域自治のイメージとして、既存の団体を新しい地域自治組織という枠に組み込むのではなく、行政側から地域自治に関わる基礎的な情報を提供する第1段階、市職員を配置した事務局が、さらなる活性化に必要な情報を提供や新しいネットワークづくりのための提案などを行う第2段階、こうした地域活動を媒介として各種団体から一つの地域自治組織が自主的・自発的に形成され、地域の課題解決などにあたっていく第3段階というステップアップの必要性について言及している。
地域の特殊性という面の配慮にも注目し、地域自治組織を全市的に構築する際には、基本的な仕組みは同一であっても、地域の特性を活かした組織、そして独自の運営方法を認める弾力性がなによりも必要としていると指摘する。
また、
効果的かつ運用可能な地域自治組織を構築するにあたり、現行の住民協議会を前提として考え、それを発展的に移行することを模索。情報・課題共有の場として「新タウンミーティング」を提案し、そこで出された意見を整理し決定を行う「総会」と具体案の検討や実際の活動を行う「テーマ別委員会」の2層構造からなる組織を考案している。そして、新組織が定着するまでの行政の支援については、地域事務所による支援の充実、組織運営や事業に資するための新しい補助金制度を中心とする財政的支援を挙げている。
さらに、地域自治組織の設置にあたって、市の独自条例の制定を念頭に置き、担う役割を「住民が行政を動かすことで地域課題を解決しようとする取り組み」とし、決定機関としての「地域市民会議」、実行機関としての活動が中心となる「テーマ別委員会」の設置を提言している。
そのほか、地域自治組織を担当する所管を本庁舎に新設し、同時に各地域を担当する職員(地域担当職員)を配置。これらの職員を通じて、地域に関する情報の蓄積、各担当所管への情報の周知、庁内の調整といった機能が向上する。また、行政が主導しすぎない範囲内での地域における人材育成についても提案している。
これらは、既存の全国的な地域自治組織の取り組みを踏まえ、特に新たな視点は多くはないが、他先進事例の分析を踏まえながら、最近、散見されるようになった、市民、学識経験者、市職員が集う「政策研究の交流拠点」をねらった「市民と職員の共同研究」としても参考になる事例のひとつである。
住民自治(地域分権)こそが21世紀のまちづくりの基本ー宗像市
宗像市は、このほど、コミュニティ活動の推進を図るため、市の基本的な指針となる新たな「コミュニティ基本構想・基本計画」を策定した。この構想・計画は、従来、市が進めてきた「住民と行政の協働」と「住民参加によるまちづくり」という理念に、地域分権の視点を加えたコミュニティづくりの方策と将来像を示すもの。
地域住民と行政との協働したまちづくりには、広域でのコミュニティの再構築を行う必要があるとして、コミュニティを「原則として、市立小学校の通学区域で、地域住民が共同体意識をもって、主体的につくられた地域社会」と定義し、まちづくりは、市民一人ひとりが考え、決定し、行動し、責任を持つ新たな時代を迎えているとしている。
このため、同市では、平成26年度を目標年次として、コミュニティ運営協議会を中心とした地域に、行政の持っている権限や財源を移譲していくこと、希薄になりつつある「相互扶助」意識の向上を図り、地域と行政が対等な立場で「協働」してまちづくりを進めていくことを宣言している。
主な政策としては、組織の確立のため、地域の特性を活かした組織づくりを進め、人材登用の促進や学校やNPO、他地区との連携・交流の促進、住民合意に基づく計画づくりを進めるほか、まちづくり交付金の充実などを行うほか、活動拠点の整備や生涯学習機能の充実を定めている。
えっ!。地域コミュニティ税の導入を検討−宮崎市
このほど、宮崎市で、地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりを一層推進することを目的として、経費の一部を広く市民に求める「(仮称)地域コミュニティ税」を創設する検討経過(中間報告)が公表された。これは、同市が19年3月に、「(仮称)地域コミュニティ税検討委員会」という市民会議を設置し、4回の協議を重ねてきた経過などを取りまとめたものである。
この税の基本的な考え方であるが、地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりの推進を目的とし、市内に住所を有する個人で、市民税均等割が課税されている方を課税対象に、年額一人当たり500円を課税するもので、全市で8千万円程度の額になる。課税方式としては、低所得者への配慮(非課税制度)や徴収コストに優れているなどの理由により、市民税均等割の超過課税とすることを想定している。
新税の使途の評価のために委員会(行政と市民)を設置し、地域への交付金の使途を評価し、市全域での「住民主体によるまちづくり」の成長・充実を図るため、地域協議会を通して、地域のまちづくり団体へ交付することなどを特徴としている。
導入の効果としては、(1)地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりの一層の推進
、(2)「自助」「互助」「公助」の有機的連携による支えあう地域コミュニティの形成
、(3)地域コミュニティの形成を目指すための市民意識の醸成や市民参画の推進、の3点を挙げている。
今後、(仮称)地域コミュニティ税検討委員会でのさらなる検討とともに、地域協議会、合併特例区協議会への説明
、自治会連合会、自治公民館連絡協議会、さんさんクラブなどの地縁団体への説明を経て、最終的な結論を出す予定になっている。
地域コミュニティの再生論議は、自民党の地方行政調査会が、5月末に、町内会など住民による地域活動の活性化に向け国や地方自治体、企業が支援する「コミュニティ基本法」(仮称)を制定する方針を決めている。
このように、地域コミュニティに関する動きは急であるが、本来、地縁に基づく自然発生的なコミュニティの支援を税という強制的な仕組みで行う取り組みは、市民の間でも、広く賛否をめぐって論議を呼びそうだ。
トピックス − 「ソーシャル・インクルージョン」って何?
ソーシャル・インクルージョン(Social Inclusion) とは、一人ひとりが大切にされる、共生社会の新しい形を目指す考え方である。
社会的な「絆・つながり」を再構築し、全ての人々を孤独や孤立、排除から社会の一員として包み、支え合うという英国などの社会福祉の理念であり、例えば、
貧困者や失業者、ホームレスなどを社会から排除された人々として捉え、再び社会にもどることを目標とし、その実現に向けて公的扶助や職業訓練、就労機会の提供などを総合的に実施している。
〔市民自ら実践した代表事例〕
ブロムリ・バイ・ボウ(ロンドン東部のスラム街)
ジーンという若い女性が、ガンで公的な医療・福祉サービスも受けず、亡くなってしまう。整った医療・福祉制度のもとで、なぜジーンは早死にしたのか。地域の人々は、行政機関がなぜ援助してくれなかったのかを話し合い、追及を始めた。しかし行政機関や医療、福祉の専門家は、責任回避の態度に終始した。
住民たちは、明日はわが身と思い、行政に任せておけない、自分たちでこの問題に取り組まねばと立ち上がった。今から20年以上前のことである。
まず保健医療サービスが適切に受けられるように、地域住民で医療施設の建設に着手。建物のデザインや機能は、自分たちで議論して、日常の保健サービスも含めた包括的な医療施設にした。資金調達も自分たちで行なった。建設費は総額約2億2000万円のうち、約9000万円は、政府からの交付金をうけ、残りの約1億3000万円は、市中の銀行から30年返済で借り入れた。この返済には、医療施設を借りた医者からの賃貸料収入が充てられている。
行動は、さらに拡大する。子どもたちのために保育所をつくろうということになった。従来の画一的な建物でなく、木材を主体とし、芸術的なデザインの明るく親しみやすいものにした。これも行政に依存することなく、自分たちで企画、実行した結果である。
さらに子どもたちのバレエ教室もつくった。たくさんの子どもたちがここで練習している。なかには国を代表するようなバレリーナになった子もおり、住民の自信になっている。教師には、かつて経験のある地域の人がなり、レッスン料の収入も得ることができた。
(参考文献)
「地域住みよい会」と協働促進の「北見テーブル」設置などを提言
〜「協働のまち北見 」 (新しいコミュニティの創造をめざして)
最終報告書〜
このほど、地域との協働のあり方を検討していた「北見市タウン・ネットワーク懇話会」が、「協働のまち北見(新しいコミュニティの創造をめざして)」
と題した最終報告書をまとめた。
この懇談会は、北見市が平成17年8月、地域コミュニティの活性化や市民と行政の協働のあり方、地域自治意識の高揚策
などを検討し、地域の課題は地域で解決していくという力のあるコミュニティの創造を目指して設置したもの。市内の美山小学校区で開催した「美山地域住みよい会」
を実践の場として、ワークショップの手法を活用しながら「新しい協働の仕組み」などを検討した。
同懇談会では、今後の課題として、
(1)市民と行政が一丸となって協働のまちづくりに取り組んでいくために「協働のまちづくりを推進する基本条例」の制定をすること、
(2)「新しい協働の仕組み」として、地域内の様々なコ
ミュニティが連携し、「市民相互の協働」を進めることで、地域の課題解決能力を高めるとともに、「市民と行政の協働」を円滑に進めるために「地域住みよい会」を設置すること、
(3)「市民と行政の協働」を進めるうえで、協働する各主体が対等な
関係を構築していく場として、また、様々な団体等をつなげていき課題解決の可能性を高めていく場として、行政も参加した仲人会議として「北見テーブル」
を立ち上げること、
(4)市民と行政の協働を進めるためには、行政自らが、従来の縦割り行政から脱却し、全庁的な取り組みとして協働の事業を進めるため、専門の窓口として、また、コミュニテ
ィの活性化や協働に関して総合的な企画が出来る専門部署として「協働推進担当窓口」を立ち上げること、を提言している。
また、市民一人一人がコミュニティへの参加を通じて、主体的・自立的に地域づく
りに参画していくことで、市民の協働意識は醸成されことから、コミュニテ ィへの参加促進のため、イベントの重要性を訴えている。
全国的に進められているコミュニティ活性化などの取組みと機を一にしたものであるが、市民と行政の橋渡し役として、市民と行政の協働で設置する「北見テーブル」が特徴の一つである。モデル事業では、役割が不十分だったという評価であり、真の「北見のローカルスタンダード」となりうるかは、この「北見テーブル」がいかに円滑に機能するかが大きいと言えそうだ。

出典:上図は、同報告書 9頁
旧市の地域協議会委員にも準公選制の維持を
上越市の調査研究報告書
このほど、上越市における地域協議会のあり方や地域自治区の展開などに関する「上越市における都市内
分権及び住民自治に関する調査報告書」がまとまった。
これは、同市が合併前の上越市の区域に、地域協議会を導入することに向けて、地域自治区を基軸にしつつ、専門家による
議論を通して都市内分権及び住民自治のあり方を探ることを目的に18年4月に研究会を設置し、
6回の議論と1回の視察などを通じて、地域協議会の位置付け、同協議会と住民の関係、議会の関係、設置形態について検討したきたものである。
この報告では、上越市の地域協議会の委員選任において「準公選制」を採用したことなどは、「上越市方式の生命線」であり、今後も維持していくべ
きであること、総合事務所には、地域が固有に持ち、地域が主体的に取組む「地域的公共事務」
があり、住民自治の充実の視点から、これらについても協議会と同事務所が関与していくことが望ましいこと、地域協議会のみを設置するのではなく、地域自治区を導入することが望ましいこと、などをまとめている。
地域協議会は、地方自治法上は長の附属機関である。しかし、この報告書は、上越市の場合、委員の選任過程において、全国で唯一投票を組み込んだ「準公選制」を採用し、これによって住民代表性を有
し、コミ ュニティの視点からも、自らの総意を形成する機関がコミュニティレベルにおいて創出された捉えていることが特徴である。
また、地域自治区にしても、地域協議会の「ゆるやかな拘束力」をシステムの中に落としこんでいくために、地域自治区独自の事務執行及び予算要求権を付与していくことを視野においたシステムを構築が必要としている。
このほか、地域自治区は、市長の分掌された事務のほか、地域の公共事務を担うことから、所長に求められる資質として、
必ずしも専門的知識を持たない地域協議会委員を先導していく、という役割が
事務所長には求められており、市役所や地域協議会とのコーディネーター型の人材をどう得るか、が課題としている。 具体的には、「一般職の任期
付職員」としての採用や、庁内公募による採用等、広く人材を登用することが考えられるとしてる。
コミュニティに、自主的な運営という統治性を見出し、これからの地域運営を支えていくうえでの重要性を強調しているが、法制度の地域自治区や地域協議会から、さらに一歩を踏み出した新たな地域自治の取り組みといえよう。
「私たちのまちは私たちの手で」
−松山市で地域のまちづくり構想策定
松山市が、このほど同市が取り組むべき住民主体のまちづくりの方向性を示すため「地域のまちづくり基本構想」を策定した。
この構想では、コミュニティを取り巻く現状と課題として、公民館が果たしてきた役割を評価しつつ、「自治意識、帰属意識の低下」「行政への依存体質」を課題として捉え、また、行政側としても、「社会環境の変化への対応や庁内連携(横断的連携)」、「コミュニティへの活動支援」など
の必要性を指摘している。今後の具体的な方向として、住民主体のまちづくりに向けて、「私たちのまちは私たちの手で」と地域におけるまちづくりの基本理念とし、住民自治の強化や官民協働の促進を進めるとしている。
このようなコミュニティ政策の流れは、市町村が先行しており、全国各地でさまざまな取り組みが進められてきた。古くは、コミュニティセンターの管理・運営を地域住民組織にゆだねるなど、地域住民の自主的活動の重要性を認識しはじめた1970年代にはじまる。
その後、コミュニティを重視しながら、特定の政策テーマを設定したテーマ型コミュニティが登場した1980年〜1990年代を経て、現代は、「地域の共通課題の解決や政策決定を自らになう自治的コミュニティ」という考え方が登場している。
一方、国の地方制度調査会でも、第26次答申「地方分権時代の住民自治制度のあり方及び
地方税財源の充実確保に関する答申(平成12年10月25日)」の中で、「住民の意向を反映させるための取組の先導的な例として、地域住民や自治会の代表者をはじめ、専門家、NPO等が主体的に参加し責任を持ってまちづくり計画をとりまとめることにより、行政主導のまちづくりでは期待できないきめ細やかな事業実施を確保しようとするまちづくり協議会があげられる」などと例示し、「我が国にとってふさわしいコミュニティレベルでの自治組織のあり方やその法的な位置付け等について、引き続き検討していくべきである。」という動きもでている。
さらには、第27次の答申「今後の地方自治制度のあり方に関する答申(平成15年11月13日)」の中では、「地域における住民サービスを担うのは行政のみではないということが重要な視点であり、住民や、重要なパートナーとしてのコミュニティ組織、NPOその他民間セ
クターとも協働し、相互に連携して新しい公共空間を形成して いくことを目指すべきである」という考え方が示されている。
いずれにしても、松山市の取り組みは、こうした時代の流れと期を一にしたもので、作成中の「地域におけるまちづくり基本計画」の中で、どのような具体的な施策が位置づけられるのか、楽しみな事例のひとつである。
なお、同市は、その総合計画の中で、計画の推進姿勢として、第一に「市民との協働によるまちづくりを推進する」ことを掲げ、「市民の主体的な地域づくりの推進」「市民参画の推進」を柱にしている。これまでのユニークな取り組みとしては、学生の政策提言を促し、優れた提言を事業として実施する「学生による政策論文募」を8年前から実施するなど、市民参画には積極姿勢を示すリーディング自治体のひとつである。
(参考)
新たな市民参加手法の実験ーみたかディスカッション2006
このほど、市民参加の先駆的な取り組みで知られる三鷹市で、新たな市民参加手法の実験に関する報告書(「みたかまちづくりディスカッション2006実施報告書」)がまとまった。
この報告書は、三鷹市青年会議所と三鷹市との協働によって、18年8月26日(土)・27日(日)の両日で開催された実験結果を検証・評価したもの。参加者は、無作為抽出の18歳以上の市民1000人に参加依頼書を送付し、希望のあった87名から抽選で選ばれたこと、また、謝礼(両日で6000円)も支払われたなど、その選定などが非常にユニークなものだ。
こうした手法は、ドイツのヴパタール大学のペーター・H・ディーネル名誉教授が考案したプラーヌンクツェレ(計画細胞)に由来する。ドイツの実施されている手法の特徴としては、「(1)解決
が必要な、真剣な課題に対して実施する。(2)参加者は住民台帳から無作為で抽出する。(3)有償で一定期間参加する(4日間が標準)。(4)中立的独立機関が実施機関となり、プログラムを決定する。(5)ひとつのプラーヌンクツェレ(計画細胞)は原則25名で構成し、複数回開催する。2名の進行役がつく。(6)専門家、利害関係者から情報提供を受ける。(7)毎回メンバーチェンジしながら、約5人の小グループで、参加者のみが討議を繰り返す。(8)「市民答申という形で報告書を作成し、参加した市民が正式な形で委託者に渡す。」*1という点が挙げられる。
三鷹市は、この手法を参考に、4日間の標準手法を2日間に変更し、「安全安心なまちづくり〜子どもの安全安心〜」をテーマに、これまで行政に声を届けるきっかけの少なかった一般市民の参加を促し、まちづくりに生かすとともに、新たな参加手法の実証実験を行ったものだ。
従来の参加は、公募委員が自らの意思で応募したもので、それぞれの分野に興味をもち、時間的にも比較的余裕がある市民であることが想定された。一方、この手法は無作為抽出で、会社員や学生、子育て中の”普通の市民”の声を反映させることが最大の特徴と言える。また、一定の報酬を支払うことで、参加者が責任のある仕事として、取り組むことが可能になっている(ちなみに、謝礼は両日で6000円)。
はじめての試みに最終的に参加した方は、52名(翌日は1名欠席)と予想を超えた多数となり、質の高い話し合いで提案の内容は実現可能性が高いものだったという。参加者の満足度も高く、「市民としての意識をもつきっかけとなった」「市民が話し合う場をもっと設定すべき」と前向きの回答が寄せられていた。「市民自治による協働のまちづくり」実現に有効性が実証され、今後、多様な行政課題をテーマに活用の余地が高いと評価している。
わが国では、東京青年会議所が取り組んだ事例があるほか、まだまだ手法としての蓄積はこれからであるが、多様な市民参加の試みとして注目すべき事例と言えそうだ。