わが国で「市民参加」が語られてから30数年が経過する。その必要性については、論をまたないところであろう。しかし、市民参加の手法は試行錯誤の段階で、未だ確固たる仕組みとしては言いがたいのが現状である。

 また、2000年の地方分権一括法施行の以降、地方自治の本旨のひとつである住民自治を志向した動きが急である。今、分権の第2ステージにあって、各自治体において、都市内分権などに絡み、コミュニティのあり方を問い直す動きも目だっている。

 このページでは、自治基本条例や市民参加の新たな試み、そして、コミュニティをめぐる取り組みを捉えながら、あるべき「市民自治の姿」を探ってみたい。

(トピックスなど)


全地区で地域自治区がスタートー上越市

 準公選制の地域自治区を導入した上越市だが、合併前の旧上越市でも、平成21年10月1日から、すべての地区で地域自治区がスタートし、3つのまちづくりセンターもオープンした。

  このセンターは、合併前の上越市の区域における地域自治区の事務所として設置したもの。それぞれ4〜6の区を担当し、地域協議会の運営のサポートや、担当する区の地域振興に関する事務を担う。合併した旧町村役場などを地域自治区の事務所にする例は多いが、メインとなる旧市の市域に事務所を設置するのは初めてではないだろうか。
 
 旧町村のアイデンティティを確保し、住民意見を合併市のまちづくりに反映するねらいをさらに拡大し、市民自治の実践に活用しようという上越市の方針が反映されている。

 地域自治区に設置される地域協議会は、単に、地域自治区の区域に係る事務などのうち市長や教育委員会などから諮問された事項を審議し、意見を述べるだけではない。区域内の課題について自主的な審議を行い、意見を述べることができるというその役割が大いに期待されている。

 ホームページにある「地域協議会の意見には、おおむね1か月以内に回答しています」という迅速な対応にも、その並々ならぬ決意が現れているのではないだろうか。


内容の認知は低い、(仮称)地域委員会
              ー名古屋市のネットアンケート結果から

 名古屋市では、新しい住民自治の仕組み「(仮称)地域委員会」を検討しているが、このたび、「地域委員会(仮称)の創設について」をテーマとする「平成21年度 第2回ネット・モニターアンケート」の結果がまとまった。

 調査対象は、インターネットを通じてアンケートに回答した499人で、 有効回収数389人(回収率 78%)。主な結果では、「地域委員会(仮称)の創設の検討を進めていることを知っている」と回答した人は4割強。地域委員会(仮称)の委員の選任方法については、選挙とそれ以外の方法で選んだ方がよいが、それぞれ3割強を占めている。

 また、地域委員会(仮称)において取り組むべき課題では、「防犯活動」81.0%、「町の美化活動」62.2%、「交通安全運動」60.2%、「防災活動」59.6%、「お祭りやイベントの開催」50.6%の順であった。住民自治を充実させる取り組みをさらに進めるべきだという人が55.3%に達し、その理由として、「住民の意見が行政に反映されやすくなる から」(78.4%)、「地域の実情に応じた行政サービスが行わ れるから」(64.3% )、「コミュニティ活動が活発になるから」(47.4%)をあげている。

 「小学校又は中学校の通学区域ごとに設置」「委員を地域内の住民の中から選挙で選ぶ」「公開の場で、「地域予算」(地域に密着した事業などの予算)の使い途を議論する」という(仮称)地域委員会の具体的な内容についてまで知っている市民は9.3%と、その認知度はまだまだ低いことが浮き彫りになった。


情報通信が社会関係資本の強化に寄与
                                      ―平成21年版 情報通信白書

 このほど、公表された平成21年度の情報通信白書では、情報通信が経済の成長になぜ結びつくのかをデータをもとに分析し、社会関係資本との関係についても述べているので紹介しよう。

 社会関係資本の特徴は、「外部性」が高く、市場で取引することが困難な社会の安心感や信頼感、透明性や公平性等の文化的・社会的側面が強い点にある。情報通信が社会関係資本の蓄積に、どのように寄与しているのだろうか。主なポイントは以下のとおり。

  • ひとつは、情報通信の活用によって地域における紐帯が深まり、社会の信頼や安定が増す「地域社会の紐帯」、もうひとつは、情報通信の普及を通じて組織や制度の透明性が高まり、非効率な経済活動が排除される「ガバナンス」の面がある。
  • 「世界価値観調査」によると「人は信用できるか」という質問に対して、多くの研究で経済成長との相関関係が報告されている。また、情報通信と社会関係資本との関係では、ネット上での情報共有を目的としたコミュニティ活動やオンライン上の寄付などのニーズが高まっており、場所や時間の制約がなく、人数に関係なく人とのつながりが確立・維持できるインターネットの役割は、その使用とボランティア団体や政治への参加には正の関係があるとの研究も 。
  • ガバナンスでは、インターネットの普及により、情報流通が飛躍的に高まり、情報公開や説明責任が明確に意識されて政治・行政・企業の透明性が向上したことは直感的にも理解できるし、「世界価値観調査」の信頼度とインターネット加入率との関係で正の相関が存在する 。
  • 情報通信の普及は、地域社会の紐帯やガバナンスといった社会関係資本の水準と密接な関係があることが示唆される。また、日本人は、諸外国と比較して、安全であっても不安に感じやすい傾向がみられ、安心・安全を求める社会風土が強い中では、この経路は特に重要性を増していくと考えられる 。
  • 情報通信を経済成長に確実に結びつけるには、この経路の存在を十分意識して、地域社会の紐帯を高めるための地域情報化プログラムや、組織や制度のガバナンスを高めるための情報公開の促進など、社会関係資本の蓄積を加速化するような施策を重視すべきである。

 ロバート・パットナムのイタリアの南北格差を例にあげた研究によれば、歴史的・文化的に蓄積、経験の差を上げていたが、この時間を埋めるのが情報通信である。最後の「社会関係資本の蓄積を加速化するような施策を重視すべき」という指摘がまさに至言である。


web紹介ーソーシャルキャピタルアーカイブ

 ソーシャルキャピタル(以下「SC」という。)は、「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「互酬性の規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴」であるが、今、コミュニティ政策の面でも大いに注目されている。

 そもそも、このSCがわが国で注目されるようになったきっかけは、内閣府「ソーシャル・キャピタル:豊かな人間 関係と市民活動の好循環を求めて(2003年)」という報告書といわれている。

 しかし、まだまだまとまった研究が少ない分野であり、研究の論文やリンクなど、大阪大学大学院国際公共政策研究科にソーシャルキャピタルアーカイブというホームページが設置されているので紹介しよう。

 このページには、発展途上のSCについて、その政策のガイドラインの作成を試みた「SC政策展開研究会報告書資料編」も掲載されている。SCの定量分析にもチャレンジした意欲的な試みであり、分析や今後の政策展開に参考になるであろう。

 定量的に関係が裏づけられている可能性が高い分野として、@ワークライフバランス、A身近で気軽 な活動、B経済格差の是正、C健康、D企業活動、E教育の6つを指摘。

 政策展開にあたって、

  • 地域の社会関係資本としていくため、現在のバラバラな人間関係をつ ないでいく仕組みとして、地縁的な活動やボランティア・NPO・市民活動を担う組織の役割、 位置づけを再確認していくことも必要
  • 地域の構成員の性格や能力の多様性を前提とし て、住民自身が望ましい地域像を作り上げていくことが望まれる
  • 地域のつながりを地域 の財産として定着させていくために、地域活動主体の形成過程を通して地域力を向上させてい くことが、SC を住民の身近なところで積み上げていくことにつながる。

と述べると共に、行政には、地域住民と個別具体の取組を重ねていくこ とが必要とし、

  •  国や地方公共団体がSC の重要性を認識し、公共的な財やサービスと不可分なものとし てその維持・再生の責任を持つこと
  • ハード中心の公共政策をソフト中心に改め、これまで重要性が謳われつつもしっかりし た予算措置が講じられてこなかった政策・施策を、今一度見つめ直すこと
  • 長い目で地域における「人と人とのつながりの再生や強化」の可能性を信じ、それなり の責任と権限を与えることで、地域分権を進めていくこと

を求めている。SC研究の一助に、ご一読をお勧めしたい。


新しいコミュニティのあり方に関する研究会報告書案まとまる
                                ー総務省


 このほど、総務省が設置した新しいコミュニティのあり方に関する研究会(座長:名和田 是彦・法政大学法学部教授、平成20年7月設置)において、今後のコミュニティ のモデル等を提示する「新しいコミュニティのあり方に関する研究会報告書案がまとまった。

 この研究会は、都市化等が進展し、コミュニティをとりまく環境は大きく変化してきている状況の中で、新しい人と人のつながり方、付き合い方について、大都市、地方都市、農村等の地域に応じたモデルを提示することを目的にこれまで10回の研究会を開催してきた。

 この報告書案では、まず、基本的な状況として、「公共」の守備範囲が拡大し、地域コミュニティやNPOなど多様な主体が力強く「公共」を担う仕組みや、行政と住民が相互に連携し、地域力を創造する新しい仕組みが必要と認識からスタート。

 「新しい公共空間」の形成する具体的な方策として、新しい地域協働の仕組み -「地域協働体」の構築を推進する、また、国において地域協働体の立ち上げや初期段階の運営に係る経費等について支援する実証的な事業を来年度から実施すべきなどの意見を集約している。

 町内会・自治会との関係については、これらが地域住民を比較的網羅的にカバーしていることなどを踏まえ、情報提供活動で連携することが有効とするほか、関係構築のため、例えば、地縁組織の代表者や推薦者を地域協働体のメンバーとすることなどが考えられるとしている。

 また、地域協働体とNPOなどの関係については、例えば、地域協働体の活動テーマごとに設けられた部門等の活動で連携することが効果的な連携の方策である、さらには、地域コミュニティ組織等は、活動の資金や人材面での深刻な資源不足に直面していることから、市町村や公務員OB、NPO等が地域コミュニティ組織等と協力・支援が重要と延べている。

 このほか、近年、特に農山漁村地域などにおいて、経済活動がコミュニティの活性化の重要な要素となりつつあり、新たな法人制度の検討の必要性なども示唆、コミュニティ施設の設計において、当該空間を利用する主体が「それぞれ独立していながらも、ゆるやかにつながる」という視点から検討すべきなど、9点にわたる具体的な方策をまとめている。今後、この報告を受けて、どのような施策が取り組まれるか注目される。


「地域委員会の創設」に向けて始動か?―名古屋市

  名古屋市・河村市長の公約の地域委員会とは一体どのような制度であろうか。

 巷に流れている情報を総合すると、 この委員会は、

  • 住民自らが地域課題を解決するための市予算(税金)の一部の使い途を議論し、その結果を市が予算措置から執行まで責任を持って実行する新しい住民自治の仕組み。
  • 地域の意見・要望の行政へのきめ細かな反映、地域内分権による住民の行政への参画及び地域コミュニティのさらなる活性化を目指すもの
  • 委員会は、まずモデル的に、各区に小学校または中学校区単位で一つの地域を設置
  •  年内にモデル地域や委員を決め、各地域委が決めた使い道を来年度予算に反映させる予定

などが言われている。  

   なお、市長の説明は、以下のYou Tubeのページから見られる。全国的にもコミュニティ再生に絡んで、様々な取組みが進められているが、公選制も視野に現在の議会制民主主義制度とどのような折り合いをつけていくのか難しく、どのように進められるのか注目される事例のひとつである。

河村たかしの看板政策、地域委員会(仮称)とはYou Tube

参考 21年8月4日中日新聞夕刊
     名古屋市が地域委の「モデル実施」計画案

   個人の社会的な力を育む会 ブログ(21.8.5)


依然ハードルが高い?認定NPO法人制度ー内閣府報告から

 このほど、市民や企業からNPOへの寄附を促す認定特定非営利活動法人制度(以下「認定NPO法人」という。)にかかる調査報告書(「平成20年度特定非営利活動法人の実態及び認定特定非営利活動法人制度の利用状況に関する調査」)がまとまったので概要を紹介する。

 この調査は、制度の利用促進に向けて、その実態調査を実施したもので、1万5千団体にアンケートを行い、2294団体から回答があった(回答率16.4%)。

 一般のNPOと認証NPO法人では、寄附金の受入額の差は歴然である。調査によると、一般のNPO法人の寄附受入額は、「0円」が35.9%、「1円〜50万円未満」が43.5%を占める。一方、認定NPO法人は、「1000万円以上」が46.5%、「500万円〜1000万円未満」が16.3%。直接 団体に寄附をして、寄付者が税制上のメリットを受けられる制度の利点がしっかりと発揮されている結果であった。

 しかし、認定取得希望があっても、「認定要件を満たすことができない」法人が約6割も存在し、「申請作業を行うスタッフが不足している」38.8%など煩雑な制度の実態を示唆する回答があった。

 NPO法人の認証数は、37,785法人(21年6月末)であるが、認定NPO法人は92法人(平成20年12月末)に過ぎない。 まだまだハードルが高い制度(?)と言えそうで、寄附促進のためには、さらなる要件の緩和が待たれるところだ。

(参 考)


トピックスー県民参加の計画づくりーいわて希望ネット

 市民参加でまちの基本計画をつくることは、今や標準形になっている。この指とまれ方式で参加を募り、市とパートナーシップ協定を結んで計画の提言を行った「みたか市民プラン21会議(市民21会議)」は、市民参加の流れに大きな影響を与えたことは記憶に新しい。市民に身近な基礎自治体ならではの取組みと言えよう。

 最近は、なかなか県民と直に向き合うことは難しいと言われる県でも取組みが広がっている。今回紹介するのは、「新しい長期計画」策定の経過や県民のメッセージなど を公開しながら、おおむね10年後の岩手の姿を県民と共に描き、共有し、希望ある岩手を実現する指針となる長期計画づくりを進める「いわて希望ネット」だ。

 当然ながら、総合計画審議会という附属機関は活用するが、県内各地で知事を中心として懇談会を開き、その様子をつぶさにネットで配信している。懇談ででた意見を紹介することはもとより、個々人の計画に託した夢、メッセージをネットで伝えている。また、高校生、大学生の作文、論文コンクール を公募するほか、参加できない方のためのメッセージフォームも用意するなど、ITを駆使した参加環境づくりが特徴である。

 参加といっても、すべての意見を集約するのは困難である。しかし、参加したい方の参加環境をつくり、いかに多様な意見を取り入れていくかが、直接参加の ポイントである。今、ようやく計画の素案がまとまって、パブリックコメントをしている真っ最中であるが、これら意見がどのように計画に反映されていくのかが注目される。 


コミュニティの方向性は
    地域ごとのプラットフォームと計画づくりの2つが標準形に                       

 全国各地でコミュニティのあり方を探る取組みが広がっているが、小田原市もその動きの一つ。平成20年11月に、小田原市地域コミュニティ検討委員会(委員長:名和田 是彦・法政大学法学部教授ほか委員9名)が設置され、この4月には、その中間報告が公表されている。

 参考:小田原市地域コミュニティ検討委員会中間報告

  同委員会の射程距離は、地域活動の基本単位となるコミュニティ・エリアで、新たな地域コミュニティ政策を推進すること。 (1)様々な組織や団体が連携し、地域の課題を共有し、解決に向けた共同作業を行う「地域運営協議会」についてと(2)地域コミュニティの機能を育て、地域住民が問題解決能力を持つ地域コミュニティ活動を支援する「職員の地域担当制」について検討することが主な取組内容である。

 中間報告では、地域の課題として、「活動の多くが限られた担い手によって支えられている」「誰でもが参加可能な交流の場が地域内に存在しない」の2点を提起し、「地域固有の課題を把握する」、「多くの人々が実態、目標を共有する」、「話し合い納得する」、「共に行動する(支え合う)」といったことを可能とする新たな各種団体の連携を図る機能が求められるとしている。

 また、地域の人材活用・育成のためのコーディネート機能として、分野別に束ねたり、地域全体に渡って横串を通したりする役割を担う人材としてコーディネーター(繋ぎ役)が地域に求められ、地域の実情を十分に把握した地域住民と行政職員が担い、それらの役割を分担することが重要としている。

 さらには、多くの住民に、まず地域に触れてもらう機会として、参加したくなる交流の場の創出を大切な要素と捉えている。

 なお、今後、平成23年度の新たな総合計画の策定に向け、平成21年度には自治会連合会単位で地域別計画の策定の検討組織として各地域に設立される予定の「まちづくり検討委員会」の活動や事務局の職員及び地域住民が担うことから、平成21年度及び22年度については、実証等を行うフィールドとして活用しながら、より具体性を有する最終提言へとつなげる方針である。

  全国の流れを見ると、まちづくり協議会、コミュニティ協議会など名称はともかく、コミュニティをネットワークする何らかのプラットフォーム組織づくりと、その組織を核にした地域内の計画づくりがスタンダードと言えそうだ。


トッピクスー高齢者の社会参加活動の実態は?
                     −21年度高齢者白書から

 高齢化の進展が加速する中で、高齢者は、社会参加活動をどのように捉えているのか、平成21年版高齢社会白書からその実態を探ってみた。

 まず、近所づきあいであるが、地域力の低下が懸念される昨今、60歳以上の高齢者の近所の人たちとの交流について、「親しく付き合っている」は 43.0%、「あいさつをする程度」は51.2%となっ ている。「親しく付き合っている」が減少し、「あいさつをする程度」が増加するなど、近所同士の結びつきが弱まっている。

 次に、社会参加活動に最も必要な条件は、「自分自身が健康であること」が44.4% と最も高く、「一緒に活動する仲間がいること」 17.5%、「時間や期間にあまり拘束されないこ と」13.9%、「活動場所が自宅からあまり離れていないこと」7.1%となっている。

 また、内閣府「高齢者の地域社会への参加に 関する意識調査」(平成20年)によると高齢者が参加する団体や組織としては、「町内会・自 治会」(40.9%)、「趣味のサークル・団体」 (20.0%)、「健康・スポーツのサークル・団体」(16.8%)、「老人クラブ」(14.5%)などに対して、「市民活動団体(NPO)」(3.0%)、 「シルバー人材センターなどの生産・就業組 織」(2.4%)はごく少数という結果であった。

 NPO 活動に対しては、地域の福祉や環境を改善することを目的とし たNPO(市民活動団体)活動に関心があるかについて、「既に活動に参加している」 が4.0%、「今後参加したいと思っている」が 9.1%、「関心があるがよく分からない」が 43.0%となっている。「関心 がある」が56.1%と関心が高いが、参加はごく少数であり、参加のためのきっかけづくりが大切である。

 さらには、有償ボランティアについて、「地域活動だから、謝礼や報 酬などは受けるべきではない」が46.3%と最も 多く、「地域活動とはいえ、交通費などの実費 ぐらいは受けてもよい」が37.9%、「交通費な どの実費に加えて、謝礼の意味で日当ぐらいの報酬は受けてもよい」が6.1%となっており、賛否が分かれている。

 同白書は、「今後、一人暮らしの高齢者の割合は 加速的に上昇する可能性」を示唆している。このため、健康はもとより、スポーツ・文化から地域のボランティア活動まで、高齢者が孤立に陥 らないコミュニティづくりや見守りシステムの構築のほか、新たな居場所や地域社会とのつながりを持てる社会参加の環境整備が必要とされている。


トッピクスー商店街と地域コミュニティ

 シャッター通りという言葉に象徴されるとおり、商店街の衰退が著しい。一方、人口減少が現実となった今、商店街しかできない機能・役割を見直 すことが必要とされている。平成21年1月に経済産業省の中小企業政策審議会中小企業経営支援分科会商業部会がまとめた報告書「地域コミュニティの担い手としての商店街を目指して 〜様々な連携によるソフト機能の強化と人づくり」からそのポイントを紹介しよう。

 地域社会がもっていた高齢者や子育て家族への支援、防犯・防災、環境保全などのコミュニティ機能が低下しつつある。これに対し、地域の商店街がこの機能を担うことへの期待が高まりつつある。商店街は、買い物の場であると同時に、地域憩い・交流・娯楽の場、地域情報の宝庫、社会的・文化的な空間でもある。

 しかし、「商店街は地域に必要だが、買い物はしない」という地域住民が多い。そのギャップを埋めるよう、商店街本来の商機能を強化が必要である。このため、報告書では、明確な目標設定(PDCAサイクルの導入)や地域 における生活のパートナーとして、信頼を獲得するよう努めることが重要であるとしている。

 このため、高齢者支援・子育て支援施設の設置や買物カート・電動スクーターの貸し出し、買い物代行・宅配・配食、地域情報提供等の事業に積極的に取り組むべきである。また、安全・安心な地域づくりに資する防犯・防災面での取組みも重要であり、高齢者見守りネットワークに商店街が参画・協力することも有意義であること、需要者である地域住民を始め、積極的に地域の関連事業者、NPO等を巻き込んでいくことが望ましいことなどを指摘している。

 さらには、商店街が、観光資源、地元特産品、関連キャラクター等の地域資源を活用しながら、地域の個性(アイデンティティ)を発揮し、その魅力を対外的に発信すること、例えば、祭り、日曜市等のイベント開催、地域ブランド開発、モニュメント製作なども、「地域コミュニティの担い手」としての商店街に求められるとしている。 

 そして、商店街を規模、内容ともに地域の実態に応じた、魅力ある集積に再構築することがが必要であり、地域経済情勢、商圏人口、競争状況等を考慮し、場合によっては、商店街の街区すべての再生を図るのではなく、実情に即した現実的な規模へ縮小し(ダウンサイジング)、必要とされる店舗やコミュニティ施設(公共施設、子育て支援施設、デイサービス施設、クリニック、広場等)を備えたコンパクトな集積の形成を目指すことも必要であるとしている。

 このほか、店舗・施設の統一的な管理(テナント・マネジメント) 、土地・建物の有効活用(空き店舗対策) 、商機能の強化と個店の活性化、人材の育成・供給のほか、意欲的な取組みへの支援の強化することなど行政からの適切な支援を求めている。

 いささか、商店街に過重な期待にも見えるが、まず、日常の「買物の場」として、地域にとって無くてはならない存在として、魅力ある機能を再生するかが最大の課題ではないだろうか。


トピックスー「セーフコミュニティ」って何だろう

 最近、耳にした「セーフコミュニティ」。日本では、平成20年1月、京都府亀岡市(セーフティのページ)が、はじめてWHO(世界保健機関)のセーフコミュニティに認証された。これは、事故やけがは、偶然の結果ではなく、予防できるという理念の下、地域住民と行政等が協働して全てが健やかで元気に暮らすことができるまちづくりを進めようという取組みだ。発祥は、スウェーデンの地方都市で、住民自らの手による安心・安全な地域社会づくり運動と言われる。

「みんなが事故、自殺、犯罪がなく、安心して暮らしていくにはどうすべきか」を考え、一人ひとりが気づき、それが自主的な活動に広がっていくもの。例えば、事故の科学的なデータなどから、「いつ」「どこで」「どのように」発生したかを調べ、解決に向けた対策を考え、実行し、成果を評価し、改善していくことなども大きな特徴である。

具体的な対象は、犯罪・暴力 その他 交通事故、転落・転倒、溺水、不慮の窒息、火災、不慮の中毒などの事故、他殺・傷害、薬物中毒、児童虐待、ドメスティックバイオレンスなどの犯罪や暴力、そして、高齢者虐待、自殺、外傷後ストレス障害災害などで、安全全般である。

地域力が叫ばれる中、逆行するように人のつながりが希薄化している。これが犯罪、福祉、子育てなど、社会に大きな不安を投げかけている。地域の防災・防犯などの自主的な取組みが広がっているが、それらを包含する新たな市民運動として注目されるのではないだろうか。

なお、WHOセーフコミュニティ協働センターによる認証は次の6つ指標を達成し、「WHO 地域の安全向上のための協働センター」(スウェーデン)による審査の後、「セーフコミュニティ」として認証される。  

【セーフコミュニティの認証基準(6つの指標)】

  1. より安全な地域づくりを目指し、分野や領域の垣根を越えて協働で取り組む組織がある。
     

  2. 全ての性別・年齢・環境・状況を対象に、長期に渡る継続的なプログラムがある。
     

  3. 危険度の高い集団(年齢層や地域など)と、環境に焦点を当てたプログラム及び弱者とされる人たちを対象にしたプログラムがある。
     

  4. 傷害の頻度と原因を記録するプログラムがある。
     

  5. プログラム、取組みの過程、取組みの結果を評価するための基準がある。
     

  6.  国内・国際的な「セーフコミュニティ」ネットワークへ継続的に参加する。

※出典:以上は、以下のホームページを参照して作成

 (セーフコミュニティのリンク) 


自己決定、自己責任で地域コミュニティがまちづくり
          松山市地域におけるまちづくり条例が施行

 松山市では、「みんなでつくろう みんなの松山」を合言葉に、市民が主体的、自発的に参加し、互いに果たすべき役割を分担することによって「日本一のまち 松山」の実現を目指している。そうした市の方向を明確にし、地域の住民自治組織、NPO等の多様な「市民」が主体となり、行政と役割を分担しながら、協働による地域のまちづくりを推進するため、このほど、松山市地域まちづくり条例が施行された。

 この条例は、地域コミュニティが一定の裁量を持ち、自己決定・自己責任によるまちづくりに取り組めるような地域分権型社会の実現を目指し、制定されたもの。

 条例が定義する「地域におけるまちづくり」とは、生活基盤及び歴史・文化を 共有する地域において、市民が互いの合意に基づき当該地域の暮らしやすさの向上、活力の増進等を目的として行う活動をいう。

 そして、地域におけるまちづくりを総合的かつ 主体的に担うことを目的とする団体で、当該地域に住所を有する者、これらの者の地縁に基づいて形成された団体等で構成され、自律的な運営が行われるものを「まちづくり協議会」とし、市が認定した同協議会には、財政を含む支援を行い、協議会が策定した「まちづくり計画」を尊重すべき義務を課していることが特徴だ。

 また、地域におけるまちづくりの適正かつ円滑な推進を図るため、付属機関として、「松山市地域におけ るまちづくり推進委員会」を設置し、市長の諮問に応じ,地域におけるまちづくりの推進に関し必要な事項を調査審議し、市長に意見を述べることができると定めている。

 松山市は、これまでも住民主体のまちづくりを目指し、地域におけるまちづくり基本構想・基本計画の策定などを進めてきたが、この条例で、推進のツールがそろったことになり、いよいよ市民と行政がそれぞれ役割を分担しながら、連携・協力して取り組む”松山市流の協働によるまちづくり”が本格化する。

参考(1):まちづくり計画とは、地域におけるまちづくりを継続的かつ計画的に実施するためにまちづくり協議会が策定する方針及び中長期的な事業計画をいう。

参考(2):松山市地域におけるまちづくり条例施行規則


心の通い合う活発なコミュニテ ィ活動に向けて、
              コミュニティ方針を策定ー豊中市

このほど、豊中市は、平成19年4月に施行した自治基本条例に基づき、地域コミュニティを活性化し、それを基礎にした地域自治を実現していくため、これからの取組方向を明らかにした豊中市コミュニティ方針を策定した。

この方針では、まず、地域コミュニティの将来像として、「安心・安全に住み続けられるまち」、「共感を大切にするまち」、「人権と共生のまち」、「面識と交流のまち」、「連携と協働の市民自治のまち」の5つの理念を設定し、「自主性の尊重と対等」 、「民主性」、 「地域資源尊重」、 「補完性」 、「情報共有・参画・協働」の5つの基本原則を定めている。

次に、地域コミュニティの活性化に向けた取組みの方向としては、「人と人、人と地域の関係づくり」と「 団体のつながりづくり」、「地域活動のための環境づくり」の3つを掲げる。

具体的には、地域意識の醸成のため、地域を知り、関心を持つ きっかけづくりとなるような多様な事業を実施すること、また、「人財」の発見と育はぐくみが不可欠であり、若い世代や子育て世代、退職を迎えた団塊世代など、 多彩な層への働きかけを行うほか、地域活動のための環境づくりに、情報の共有と流通や、活動・交流する場の創出、そして、組織力・事業力・資金力の向上の必要性を指摘している。

地域コミュニティの活性化に向けた行政の取組みとしては、 地域コミュニティと行政の相互理解の推進を図るほか、地域自治組織が、地域の課題に対して主体的に協議し、解決に向けて取り組むため、いわゆる「人、 モノ、金、情報」などの活動資源を提供するなど、円滑な運営ができるように手立てを講 じるとしている。

最終的には、「市民力」「地域力」の発揮で、心の通い合う活発なコミュニティ活動が息づき、市民主権の理念に根ざした地域自治の実現を目指すもの。全国で多くの自治体が、コミュニティ再生に様々な取組を進められる中で、これら豊中流まちづくりの行方が注目される。


地域コミュニティ税の事前検証に、モデル地区の実績評価

宮崎市は、この4月から地域コミュニティ税という新税を導入するが、その効果を事前検証する「モデル地区事業評価報告書」を公表した。

地域コミュニティ税を原資とする地域コミュニティ活動交付金は、15か所の地域自治区、3か所の合併特例区を想定しているが、21年度の実施に先立ち、平成20年6月末に3地区(大塚台・生目台地域自治区、檍地域自治区、青島地域自治区)をモデル地区に選定し、モデル地区交付金(1地区130万円)を交付していたものである。

この3地区では、地域活動の実践組織である地域まちづくり推進委員会が交付金を活用して事業を実施した。その結果は、「地域コミュニティ税評価委員会」によって、住民主体のまちづくりにつながる取り組みが行われたか、また、適正に使われたかどうかを評価され、このほど報告書にまとめられたものである。

実施された事業は、コミュニティルーム運営、食育、子育て、地域防災、地域スポーツ・レクリエーション大会など16事業に及んだ。総括的な評価は、事業内容や使途は適切とし、「地域の各種団体の連携を深めて、だれでも参加できる事業を工夫した」「参加機会と住民意識の向上を図った。事務局機能をうまく発揮した」「離れた地域をまとめて成果をあげた」など、概ね好評価の結果であった。

事業そのものは、一般的に地域コミュニティが取り組んでいるもので、「税に頼る活動収入の確保は、自治会の弱体化と住民主体のまちづくりを後退させることにつながる」(「地域再生と町内会・自治会」自治体研究社2009年3月(中田実ほか著)、69頁)という声も聞こえる中、全国初の取り組みがスタートした。真の成果は1年後の評価が待たれるが、地域内分権をすすめ、自主・自立のまちづくりを目指す宮崎市の真価が問われている。


地域経営に「新たな結(ゆい)」の構築を探るー国交省の研究会

限界集落という言葉が聞かれる昨今、農山漁村地域等の地方において協働によるコミュニティ再生の取組として、新しい結(ゆい)という考えが浮上している。これは、国土交通省が、2008年6月に設置した「新しい結(ゆい)研究会(座長:大西隆・東京大学大学院工学系研究科教授)が検討を進めている「多様な主体の協働による地域経営」のことだ。

第五回の研究会では、「新たな結」による地域の活性化(案)」を協議したが、担い手不足が深刻な農山漁村地域等の地方において、核組織の設置とその支援のあり方が焦点となっている。多くの住民・組織が参加連携が不可欠な取り組みであり、まちづくりに共通する、社会貢献したい多様な人材を、主体的な参加にどう結びつけるかが最大の成功要因になりそうだ。最終的な報告を受けて、どのような政策が打ち出されるのか、今後の動きを期待したい。

参考 新たな結の定義(研究会資料から):地方の農山漁村地域の継続的な維持のためには、従来の行政主導・住民参加に留 まらず、地域住民の協議・活動組織を核とした行政、NPO、企業、営農団体など多様 な主体の協働による地域経営が必要である。このような地域経営を 「新たな結」と称する。


自治力向上に向けて、最終報告ー杉並区自治力UP推進協議会

板橋区が、このほど「自治力UP」推進協議会最終報告書を公表した。この協議会は、少子高齢化など社会状況が大きく変化する中で、地域社会の多様化・複雑化する課題を解決するために、「自分たちのまちは自分たちでつくる」という気概に溢れた自治力豊かなまち“板橋”を実現することを目的とする。区民公募委員、区内関連団体の代表者、学識経験者等で構成し、平成19年11月に設置。地域で活動している多様な主体の協働事例を通じて現状を把握し、さらに新しい協働関係を形成することによって、自治力を向上させていくうえでの課題等を整理してきた。

この報告書では、「自治力UP」に向けて、町会・自治会、商店会、企業、NPO・ボランティアなどの多様な団体がその特性を発揮し、身近な問題を解決する新しい協働の仕組みを形成。地域住民の自主的・自律的な活動を基本とし、区は、協働の活動領域における地域の多様な主体の活動を支援する環境づくりを進めること、協働を推進するため新たな条例・制度などの必要性についても検討していくこととしている。


道州から独立の「都市州」創設を提言―横浜、名古屋、大阪

■重複行政解消と効果的な地方分権改革に

地方分権推進の“次の一手”として、道州制の議論が進む中、横浜、大阪、名古屋の3市で設置した「大都市制度構想研究会(座長:伊藤滋・早大教授)」が、2月19日に、「日本を牽引する大都市−『都市州』創設による構造改革構想」を公表した。

この構想では、道州制下で独立した新たな大都市制度として、市と州の機能をあわせ持った「都市州」制度の創設を提言。3市の大都市機能を生かし、重複行政を全廃し、「都市州」は都市課題に迅速かつ効果的に対応する一方、道州も大都市以外の地域への対応に注力できるとしている。

■財源は、「大都市税」、道州から独立

この構想は、「都市州」の具体的な機能として、財源面で、市町村税と道州税を一元化した「大都市税」の創設を求める。一方、権限面で、就労支援から産業振興、義務教育のほか、都市計画、交通規制、警察権、河川管理権など、都道府県の権限を委譲。これら財源、権限によって「都市州」が、地域のニーズに合わせたより迅速で的確な対応が可能となり、地域主権型道州制の実現につながるとする。

このほか、構想では、大都市部の税収で「都市州」を含めた道州間の財政調整する仕組みも提案し、また、大都市の住民自治機能を強化するため、区に公選制の区民代表機関や地域レベルの自治組織の設置を検討すべきとしている。

道州制については、第28次地方制度調査会の「道州制のあり方に関する答申(平成18年2月28日)が最近の公式提言。この中で「都道府県に代えて、道又は州を置く、地方公共団体は、道州と市町村の2層制とする」、「道州との関係において、大都市圏にふさわしい仕組み、事務配分の特例及びこれらに見合った税財政制度等を設ける」との報告をまとめている。

しかし、大都市制度の具体的権限や役割分担については、まだまだ議論が不足し、3市の構想が、今後の道州制における大都市制度検討に、大きな一石を投じたものと言えよう。

 (参考HP)大都市制度構想研究会


人口減少社会に対応し、
              今後のコミュニティのあり方を提言―青森県

このほど青森県は、「人口減少社会に対応した持続可能な社会システムの構築に関する調査報告書」を公表した。

 この報告書は、人口減少社会に対応した教育、産業・雇用、健康・医療・福祉、社会資本整備とともに、コミュニティの今後のあり方が重要とした。

 具体的なコミュニティのあり方としては、まず、第一に、地域を「結ぶ」機能の再構築を重要とする。そして、再構築に必要な対策として、@集落運営や地域経営を専門的に行う「地域マネージャー」の養成、A「結ぶ」機能を担う組織として「集落支援センター」の設置、B地域の小売商業は、生活インフラの一つであり、社会福祉機能の付与を指摘している。

 次に、第二に、公民館を活用した住民自治能力の強化を提言する。公民館の活用方法としては、@地域を運営することの必要性や地域課題などを学習する場として活用する、A人的ネットワークの構築を支援する拠点として活用する、B地域固有の文化や伝統芸能を若い世代へ継承させる世代間交流や学習の場として活用する、の3点を提案している。

 すでに人口減少が加速化しているが、これは、地域経済の停滞だけではなく、教育、商業、交通、医療、防災、祭り、伝統文化など、地域コミュニティや生活の利便性にも大きく影響する大問題である。持続可能な社会システム構築の実現に向けて、コミュニティ再生は不可欠な事項であり、青森県はもとより全国各地で新たな挑戦が続いている。


福岡市が、今後のコミュニティの方向性を素案に

 地域コミュニティの再生が全国の自治体の課題となっているが、福岡市がこのほど、今後のコミュニティの方向性を定める素案(「コミュニティに関する今後の取り組みの方向(素案)」)をまとめた。

 この素案では、まず、住民が「住みよいまち」をつくって いくため、コミュニティが自ら考え、行動していくことが重要であること、また、コミュニティ と市が力を合わせて一緒に取り組んでいく必要であるとの認識から、平成16 年度に開始した「自治協議会制度」「各区役所への地域支援部 の設置」「校区担当職員の配置」などの施策継続を打ち出している。

 また、コミュニティとの共働によるまちづくりを推進するにあたり、「職員の認識不足」「コミュニティに一 方的にさまざまな依頼を行っている」「施策実施にあたって、コミュニテ ィの主体性を十分尊重していない」など課題を捉え、市職員の意識改革や市がコミュニティに行っ ている依頼等(協力依頼、連絡、提案)の見直しを必要とし、コミュニ ティとの「対等なパートナー」としての関係づくりを進め、校区担当職員、公民館を中心としたコミュニティ活動支援の強化を図るとしている。

 このほか、 コミュニティ活動支援の強化として、ほとんどの校区で設立された自治協議会について、さまざ まな手段で広報を行い、市民の自治意識の醸成を図るほか、自治協議会、自治の基礎となる自治会・ 町内会の活性化や組織強化にを図り、活動を担う人材の確保に取り組むこととしている。

 なお、最終案は2月ごろにまとめ、21年度から具体的な施策をスタートさせる予定だ。コミュニティの弱体化が懸念される中、既存の町内会・自治会を大切にしながら、いかに組織活性化を図るかが重要な鍵になっている。


コミュニティへの提案・依頼のあり方や活動の環境づくりを提言
 「福岡市コミュニティ関連施策のあり方検討会第2次提言(素案)」

 福岡市は、校区ごとの「自治協議会制度」など、新たなコミュニティ関連施策を展開しているが、これらの施策の検討と今後のコミュニティ施策のあり方について検討してきた「福岡市コミュニティ関連施策のあり方検討会」の第2次提言素案の全体像が明らかになった。

 提言の柱は、「コミュニティと行政の共働」と「 (コミュニティ活動の環境づくり」の2つ。具体的には、市とコミュニティは対等なパートナーとして、コミュニティへの依頼等の見直しについて言及したほか、活動支援強化として、校区担当職員や公民館による支援、自治の基盤として、「魅力的な自治協議会、自治会・町内会づくり」「自治会・町内会加入の促進」「コミュニティ活動を担う人材の確保」などを掲げている。 

 町内会の加入促進では、先進的な取り組みや成功事例の把握、校区担当職員を通じた情報提供や「加入促進ちらし」の作成の支援を行い、区役所窓口などにおける転入者などへの配布など の支援を明記。

 また、「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」に基づいて集合住宅新築時における管理規約に入居者のコミュニティ活動への参加を促す内容の作成を指導するほか、加入促進への協力の働きかけなどの仕組みづくりを目指して業界団体との協議も行うよう求めている。

 まだ、素案の段階であるが、文章の手直しを行い、10月には第2次提言がなされる予定だ。

第13回福岡市コミュニティ関連施策のあり方検討会


条例に基づき、各種集合住宅のコミュニティ形成支援ー金沢市

 金沢市では、20年4月に「集合住宅におけるコミュニティ組織の形成の促進に関する条例」を施行した。これは、集合住宅に携わる事業者の協力を得て、市も協力し、地域が主体となったコミュニティを育む環境づくりを目指した取り組みだ。

 具体的には、金沢市と金沢市町会連合会が協働して、「コミュニティ相談窓口」を開設。専任のコミュニティアドバイザーが「集合住宅の住民と地域とのつながりを形成するにはどうしたらよいか」「成功しているコミュニティ活動の事例は?」などのアドバスを実施している。

 また、コミュニティづくりに配慮された集合住宅を市が認証する「あんしんコミュニティ集合住宅認証制度」 、コミュニティスペース整備費に助成する「整備費補助制度」や賃貸料を助成する「賃貸料補助制度」を設けたほか、コミュニティ活動に必要な用具の購入補助も創設した。 

 「集合住宅のコミュニティは、地域とのつながりを築くことから生まれます」という金沢市の取り組みは、全国的にも珍しい取り組みのひとつ。条例の理念がどのように実現されるのか、今後の成果が注目される。


新しいコミュニティのあり方に関する研究会が発足ー総務省

 このほど、総務省が新しいコミュニティのあり方について、有識者による検討を行うこととし、「新しいコミュニティのあり方に関する研究会」を設置した。

 昨年開催された「コミュニティ研究会」の提言も踏まえながら、コミュニティをめぐる環境が大きく変化する中で新しい形の人と人のつながり方、付き合い方に焦点を当てて検討を行い、コミュニティの機能についての理解を一層深め、今後、コミュニティが高齢者支援、防災等において発揮できる機能、そのための条件、支援の具体的手法等について、研究するとしている。

 政府与党が、コミュニティ活動基本法の議員立法を計画しているが、その動きと一にしたもの。具体的な検討内容としては、地域によって異なるコミュニティの態様・機能・課題、連携・協力の場「プラットフォーム」の事例、機能する「プラットフォーム」のイメージ(デザインの観点から)、コミュニティによる高齢者支援のあり方、 新しいコミュニティの組織原理などを挙げている。

 初回は、7月23日の開催されているが、コミュニティのあり方について取り上げられる町内会・自治会について、委員のお一人から、「自治会などコミュニティ組織の多様性をしっかり認識する必要があること、また、自治会は、 経験や想像以上に多様な実態で、適正規模論より、むしろ多様な類型に見合った対応が必要である」との指摘がなされていた(参考:辻中構成員提出資料)。


21年4月から宮崎市で地域コミュニティ税を導入へ

 この6月議会で、宮崎市は、地域課題の解決に向けた財源にするため、「地域コミュニティ税」の導入を可決した。

 少子高齢化、核家族化が急速に進む中、地域の連帯感が希薄になるとともに、地域が抱える課題は多様化し、個々の団体だけで課題を解決することが難しくなってきている。こうした課題解決に向けた住民主体のまちづくりを進めるために、個々の地域団体よりも広範囲な地域を単位とした地域自治区(地域協議会)を18地区に設置しているが、その活動費の一部を広く市民の皆様に求めるとして創設したもの。

 課税は、21年4月からで、市民一人当たり500円とし、個人で市民税均等割が課税されている方(約37万市民のうち約16万人)を対象に、 市民税均等割超過課税方式(法定普通税)で課税する。交付対象は、地域協議会等の実践組織で、原則的に各地域自治区等に1団体ある「地域まちづくり推進委員会」とし、地域の課題解決のための活動 、例えば、地域の防犯防災、地域福祉、環境、地域再生等の活動に当ててもらう計画だ。全体では、8000万円になると想定されるが、使途のルールを定めこととし、新税の使途のルールを検討する使途研究会と使途の評価を行う評価委員会を設置し、新税の使途の適正化・明確化を図るとしている。

 地域自治区に財源を本格的に委譲する、全国初の試みであり、地域自治組織としてどのように機能するか、今後の取組みが注目される。


協働と地域施策づくりの場として地域協議会を
                   ー豊島区委員会が中間報告

 豊島区では、「豊島区自治の推進に関する基本条例」(平成18年4月1日施行)に基づき、条例の理念を発展させるための仕組みや施策を提言する機関として、「豊島区自治推進委員会」が設置されているが、このほど、その中間報告がまとまった。

 委員会では、 「地域」を軸に参加・協働の仕組みを考える「地域協議会部会」と 「政策」を軸に自治体経営の新しい仕組みを考える「協働・政策部会」を設置。

 地域協議会部会では、協議会の設置エリアは人口2万〜4万人の小学校区より広い地域で、既存組織と公募の活用による組織づくりを提案した。また、役割としては、地域のまちづくりを協議する場、区民との協働による地域施策づくりの場、そして、条例に基づく協議組織という位置づけを行った。

 一方、協働・政策部会では、新たな地域協働のパートナーとなる公益的活動を支援するため、活動の裾野を広げる創出支援型補助金の創出や区民活動組織に対する営利企業と異なる新たな委託メニューの整備を提案。政策を軸に自治体経営の新しい仕組みとして、区民ニーズに沿った施策の重点化や無作為抽出による「政策eモニター制度の新たな参加手法としての可能性などを指摘している。

 なお、この中間報告に対する区民意見を反映させながら、21年2月には最終報告をまとめる予定だ。


仙台市で、地域コミュニティ活性化を目指し、
                 コミュニティビジョンを策定

 このほど、仙台市は、この1月に公表された「コミュニティビジョン検討委員会」(委員長:吉原直樹東北大学大学院教授)のコミュニティビジョン最終報告を受けて、地域と行政が共有すべき、地域コミュニティの活性化指針である「仙台市コミュニティビジョン」を策定した。

 昨今、産業構造の変化や少子高齢化・核家族化の進展など、社会経済環境は大きく変化し、生活スタイルや価値観の多様化が進む中で、地域では、子育て、教育、介護などの分野にお ける対応が難しくなっている家庭も少なくない。このような状況下、誰もが豊かで幸せに暮らしていくためには、地域の人々の交流や助け合いが 不可欠であり、域コミュニティを活性化することの重要性が増している。

 このため、地域コミュニティを活性化を行政の責務とし、(1)多様な価値観を認め合う開かれたコミュニティ、(2)コミュニケーションの豊かなコミュニティ、(3)理念を交友し資源を生かすコミュニティ、(4)共生のルールのあるコミュニティの4つの目指すべきコミュニティ像を設定。「担い手の発掘と育成」「地域情報の共有」「地域資源の有効活用」「理念の共有」「魅力ある事業の企画と実施」の5つの視点から具体的な施策を展開していく予定だ。

 今後、地域と行政が地域づくりについて意見交換を行う機会を設けること、地域づくりコーディネーターの養成、新たな助成制度の創設、地域づくりの拠点施設としての市民センターの機能拡充、学校等公共施設の柔軟な活用など、このビジョンの基づく事業を計画している。


集合住宅のコミュニティ形成を目指す
        全国初の条例を制定ー金沢市

 集合住宅の町内会離れは、全国共通の課題で、地域の連帯力の低下が懸念されている。こうした課題を解決し、自発的なコミュニティ組織の形成が難しい集合住宅の住民を含む地域の連帯意識を醸成し、安全で 安心なまちづくりを進めること、また、地域自治の参画の機会の確保し、良好な地域社会の形成に資することを目的とした「 集合住宅におけるコミュニティ組織の形成に関する条例」が金沢市で制定された。

 地域コミュニティを育むことは、地域住民が主体であることが基本であるが、地方公共団体が、ここまで踏み込んだ取組みは全国初と言えそうだ。

  条例には、集合住宅の住民、町会その他の地域団体、建築事業者、そして、市それぞれの役割を規定。集合住宅の住民は、自主的に集合住宅におけるコミ ュニティ組織の形成を図るよう努めること、町会その他の地域団体との連絡及び調整に努めること、などを定めている。

 一方、町会その他の地域団体は、誰もが参加しやすい 開かれた活動の実施、当該活動への参加の呼びかけ等を通して、集合住宅の住民がコミュニティの必要性についての認識を深めることができるよう努めるとしている。

 また、集合住宅の建築事業者は、良好な近隣関係を損なわないよう、 集合住宅の販売、賃貸又は管理に当たっ ては、コミュニティの必要性について集合住宅に入居する者に説明するよう 努めるなどの義務を課している。

 さらには、市の役割として、コミュニティ組織の形成の促進を図るために必要な施策を策定し、実施すること、 町会その他の地域団体と連携しながら、集合住宅におけるコミュニティ組織の形成に関する相談体制の整備を図ること、コミュニティ組織の形成を推進し、支援する人材及び団体の育成に努めることなどを定めている。

 具体的な事業としては、(1)コミュニティ組織の形成及び活動の促進に対する支援として、

  • コミュニティ組織形成のきっかけづくりや助言等を行う相談窓口の設置、
  • 集合住宅におけるコミュニティ組織形成にかかる支援制度の創設
  • 地域コミュニティの活性化を推進するリーダー的人材や団体の育成
  • 集合住宅における住民のコミュニティ組織形成に貢献があった者へ の表彰

また、(2)コミュニティ組織の形成に配慮した集合住宅の普及対策として

  • コミュニティ組織の形成に配慮した集合住宅の認証制度の創設
  • 集合住宅のコミュニティスペースの設置にかかる支援制度の創設
  • 集合住宅の建設の際における「コミュニティ担当者」の届出
  • 集合住宅における住民のコミュニティ組織形成に貢献があった事業者の表彰

さらに、(3)地域コミュニティに対する理解の促進として

  • 地域コミュニティの大切さを啓発する市民向け啓発パンフレットの作成・配付
  • 地域コミュニティ活動の情報提供

などが想定される。

 具体的な条例の効果は、今後の施策展開によるが、全国的に地域力の強化が必要とされる中で、ユニークな取組みとして注目される事例の一つである。

参考集合住宅におけるコミュニティ組織の形成の促進に関する条例

    条例検討経過


仙台市でコミュニティビジョン最終報告を公表

 このほど、仙台市のコミュニティビジョン検討委員会(吉原直樹委員長・東北大学大学院教授、18年6月設置)が最終報告をまとめた。仙台市は、この報告を受け、今年度中に「コミュニティビジョン」を策定し、今後の地域支援に関わる施策への活用を目指すとしている。

 報告書の主なポイントは、安心して暮らせる地域づくりのためには、人々が、地域は自分たちのものという意識を持ち、地域のこ とは地域で決め、主体的に地域づくりに取り組んでいくことが必要とし、@多様な価値観を認め合う開かれた地域コミュニティ Aコミュニケーションのある地域コミュニティ B理念を共有し資源を生かす地域コミュニティ C共生のルールのある地域コミュニティの4つの地域コミュニティ像を設定している。

 また、活力ある地域コミュニティづくりには、@活動の担い手の発掘と育成 A魅力ある事業の企画と実践 B地域資源の有効活用 C地域情報の共有 D地域コミュニティを活性化する理念の共有の5つの視点からとりくむべきと提言。

 さらには、取り組み方針として、 (1)役割分担に基づいた地域コミュニティ組織と行政組織の連携を進めること、 (2)地域課題を把握・共有する場の設定すること、 (3)新しい連携の取組みの促進すること、 (4)行政の支援体制の拡充すること、の4つを提示している。 

コミュニティビジョン=近年、コミュニティ意識の希薄化や機能の低下み、防災や環境、防犯などにみられるように地域課題が複雑化し、解決が 困難な状況となりつつある中、安定した地域社会を維持していくためには、どのような仕組みを構築していく必要があるかを検討し、仙台の土台となるいきいきとした地域社会の形成を実現するの指針とすることをねらっている。 


町内会事業法人化制度の創設を答申か?−道の検討委員会

 道の道州制特別区域提案検討委員会が、町内会の事業法人化制度創設について検討を進めている。

 同委員会に提出された検討資料によれば、人口減少や高齢化が進む中で、地域コミュニティを再生していくのは、地域自らが、例えば、「乗り合いタクシー事業」や「一人暮らしの高齢者向けの食堂や弁当配達業」などを営む必要が出てくる。一方、町内会は地域において様々な機能を果たしており、コミュニティビジネスの担い手としても期待できる。現在の町内会・自治会の地縁認可団体制度は、主に町内会会館など不動産を取得することを想定したものであり、事業を進める には、道州制特区を活用し、新たな法人化制度を北海道の条例で可能にすべきという主張である。

 議論の詳細や答申でどのように書かれるかは未知数であるが、町内会もコミュニティビジネスの主体にという考え方は、特に過疎化が進む北海道においては、理解できるものであり、今後、道州制特区制度の中でどのような扱いがなされるのか、また、北海道がどのように取り組 むのか、その推移が注目される。

 なお、同委員会は、18年に施行された「道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律」に基づいて、国への提案に関して意見を述べる道知事の付属機関で19年7月に設置されている。10月には第一回目の答申をまとめているが、現在第2回目の答申案提出に向けて審議中である。


地域コミュニティ税導入に向けて、最終報告書ー宮崎市

 このほど、宮崎市で仮称・コミュニティ税の導入に向けた検討委員会の報告書がまとまった。 この報告書によれば、同市が平成18年1月の合併後、新たに設けた地域自治区と合併特例区を基礎として広がっている住民主体のまちづくりを後押しする目的に、仮称・地域コミュニティ税の創設が必要としている。

 具体的には、地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりの推進を目的に、市内に住所を有する個人で、市民税均等割が課税されている方を対象とし、 年額一人当たり500 円の市民税均等割超過課税方式での課税を行い、年間約8 千万円を確保する。

 その使途は、全額を地域へ交付金として助成し、交付金は、対象を一つの事業に限定することなく、地域協議会等での協議、判断により使用することができることとし、これを財源に、地域の様々な課題を解決することを可能とする。

 また、新税の使途については、行政と市民委員から成る評価委員会を設置し、地域への交付金の使途を評価、配分は、均等割、人口割等を基に様々な方法を検討するとしている。

 これにより、地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりの一層の推進、 「自助」「互助」「公助」の有機的連携による支えあう地域コミ ュニティの形成、地域コミュニティの形成を目指すための市民意識の醸成や市民参画の推進などを目指している。 導入時期には、平成20年4月から実現してほしいとの意見も出されていたが、報告書では、明示していない。

 なお、報告書の市民のアンケートでは、(仮称)地域コミュニティ税の導入については、「賛成」が18.8%、「やむを得ない」が46.3%と合わせて65%が支持しており、「反対」の17.4%を大幅に上回っているなど、市民も一定の理解をしている状況である。

 この報告書を受けて、同市は、実施に向けた検討を進めることになると思われるが、地域自治の円滑な推進のために、税を創設し、かつ、使途を地域協議会に任せるという言わば財源委譲をともなった全国的にもはじめての”文字通り地域自治を推進する”ための試みであり、今後の推移が非常に注目される事例である。


「八王子における地域自治組織を考える」
            -まちづくり研究はちおうじ第4号から

 八王子市は、団塊の世代の地域デビュー促進などユニークな施策で有名であるが、市民と職員の共同研究「八王子における地域自治組織を考える」が「まちづくり研究はちおうじ第4号」で公表されている。

 同報告は、「住民自治」の充実という観点から、「地域自治」の再検討という課題の重要性に改めて注目し、地域自治のあり方は、とりもなおさず自治のあり方全体を問い直すものという問題意識に根ざしている。

 まず、同市の地域自治の現状を分析し、地域自治のイメージとして、既存の団体を新しい地域自治組織という枠に組み込むのではなく、行政側から地域自治に関わる基礎的な情報を提供する第1段階、市職員を配置した事務局が、さらなる活性化に必要な情報を提供や新しいネットワークづくりのための提案などを行う第2段階、こうした地域活動を媒介として各種団体から一つの地域自治組織が自主的・自発的に形成され、地域の課題解決などにあたっていく第3段階というステップアップの必要性について言及している。

 地域の特殊性という面の配慮にも注目し、地域自治組織を全市的に構築する際には、基本的な仕組みは同一であっても、地域の特性を活かした組織、そして独自の運営方法を認める弾力性がなによりも必要としていると指摘する。

 また、 効果的かつ運用可能な地域自治組織を構築するにあたり、現行の住民協議会を前提として考え、それを発展的に移行することを模索。情報・課題共有の場として「新タウンミーティング」を提案し、そこで出された意見を整理し決定を行う「総会」と具体案の検討や実際の活動を行う「テーマ別委員会」の2層構造からなる組織を考案している。そして、新組織が定着するまでの行政の支援については、地域事務所による支援の充実、組織運営や事業に資するための新しい補助金制度を中心とする財政的支援を挙げている。

 さらに、地域自治組織の設置にあたって、市の独自条例の制定を念頭に置き、担う役割を「住民が行政を動かすことで地域課題を解決しようとする取り組み」とし、決定機関としての「地域市民会議」、実行機関としての活動が中心となる「テーマ別委員会」の設置を提言している。

 そのほか、地域自治組織を担当する所管を本庁舎に新設し、同時に各地域を担当する職員(地域担当職員)を配置。これらの職員を通じて、地域に関する情報の蓄積、各担当所管への情報の周知、庁内の調整といった機能が向上する。また、行政が主導しすぎない範囲内での地域における人材育成についても提案している。

 これらは、既存の全国的な地域自治組織の取り組みを踏まえ、特に新たな視点は多くはないが、他先進事例の分析を踏まえながら、最近、散見されるようになった、市民、学識経験者、市職員が集う「政策研究の交流拠点」をねらった「市民と職員の共同研究」としても参考になる事例のひとつである。


住民自治(地域分権)こそが21世紀のまちづくりの基本ー宗像市

 宗像市は、このほど、コミュニティ活動の推進を図るため、市の基本的な指針となる新たな「コミュニティ基本構想・基本計画」を策定した。この構想・計画は、従来、市が進めてきた「住民と行政の協働」と「住民参加によるまちづくり」という理念に、地域分権の視点を加えたコミュニティづくりの方策と将来像を示すもの。

 地域住民と行政との協働したまちづくりには、広域でのコミュニティの再構築を行う必要があるとして、コミュニティを「原則として、市立小学校の通学区域で、地域住民が共同体意識をもって、主体的につくられた地域社会」と定義し、まちづくりは、市民一人ひとりが考え、決定し、行動し、責任を持つ新たな時代を迎えているとしている。

 このため、同市では、平成26年度を目標年次として、コミュニティ運営協議会を中心とした地域に、行政の持っている権限や財源を移譲していくこと、希薄になりつつある「相互扶助」意識の向上を図り、地域と行政が対等な立場で「協働」してまちづくりを進めていくことを宣言している。

 主な政策としては、組織の確立のため、地域の特性を活かした組織づくりを進め、人材登用の促進や学校やNPO、他地区との連携・交流の促進、住民合意に基づく計画づくりを進めるほか、まちづくり交付金の充実などを行うほか、活動拠点の整備や生涯学習機能の充実を定めている。


えっ!。地域コミュニティ税の導入を検討−宮崎市

 このほど、宮崎市で、地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりを一層推進することを目的として、経費の一部を広く市民に求める「(仮称)地域コミュニティ税」を創設する検討経過(中間報告)が公表された。これは、同市が19年3月に、「(仮称)地域コミュニティ税検討委員会」という市民会議を設置し、4回の協議を重ねてきた経過などを取りまとめたものである。

 この税の基本的な考え方であるが、地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりの推進を目的とし、市内に住所を有する個人で、市民税均等割が課税されている方を課税対象に、年額一人当たり500円を課税するもので、全市で8千万円程度の額になる。課税方式としては、低所得者への配慮(非課税制度)や徴収コストに優れているなどの理由により、市民税均等割の超過課税とすることを想定している。

 新税の使途の評価のために委員会(行政と市民)を設置し、地域への交付金の使途を評価し、市全域での「住民主体によるまちづくり」の成長・充実を図るため、地域協議会を通して、地域のまちづくり団体へ交付することなどを特徴としている。

 導入の効果としては、(1)地域コミュニティにおける住民主体のまちづくりの一層の推進 、(2)「自助」「互助」「公助」の有機的連携による支えあう地域コミュニティの形成 、(3)地域コミュニティの形成を目指すための市民意識の醸成や市民参画の推進、の3点を挙げている。

 今後、(仮称)地域コミュニティ税検討委員会でのさらなる検討とともに、地域協議会、合併特例区協議会への説明 、自治会連合会、自治公民館連絡協議会、さんさんクラブなどの地縁団体への説明を経て、最終的な結論を出す予定になっている。

 地域コミュニティの再生論議は、自民党の地方行政調査会が、5月末に、町内会など住民による地域活動の活性化に向け国や地方自治体、企業が支援する「コミュニティ基本法」(仮称)を制定する方針を決めている。

 このように、地域コミュニティに関する動きは急であるが、本来、地縁に基づく自然発生的なコミュニティの支援を税という強制的な仕組みで行う取り組みは、市民の間でも、広く賛否をめぐって論議を呼びそうだ。


トピックス − 「ソーシャル・インクルージョン」って何?

 ソーシャル・インクルージョン(Social Inclusion) とは、一人ひとりが大切にされる、共生社会の新しい形を目指す考え方である。

 社会的な「絆・つながり」を再構築し、全ての人々を孤独や孤立、排除から社会の一員として包み、支え合うという英国などの社会福祉の理念であり、例えば、 貧困者や失業者、ホームレスなどを社会から排除された人々として捉え、再び社会にもどることを目標とし、その実現に向けて公的扶助や職業訓練、就労機会の提供などを総合的に実施している。

〔市民自ら実践した代表事例〕

 ブロムリ・バイ・ボウ(ロンドン東部のスラム街) ジーンという若い女性が、ガンで公的な医療・福祉サービスも受けず、亡くなってしまう。整った医療・福祉制度のもとで、なぜジーンは早死にしたのか。地域の人々は、行政機関がなぜ援助してくれなかったのかを話し合い、追及を始めた。しかし行政機関や医療、福祉の専門家は、責任回避の態度に終始した。 住民たちは、明日はわが身と思い、行政に任せておけない、自分たちでこの問題に取り組まねばと立ち上がった。今から20年以上前のことである。

 まず保健医療サービスが適切に受けられるように、地域住民で医療施設の建設に着手。建物のデザインや機能は、自分たちで議論して、日常の保健サービスも含めた包括的な医療施設にした。資金調達も自分たちで行なった。建設費は総額約2億2000万円のうち、約9000万円は、政府からの交付金をうけ、残りの約1億3000万円は、市中の銀行から30年返済で借り入れた。この返済には、医療施設を借りた医者からの賃貸料収入が充てられている。

 行動は、さらに拡大する。子どもたちのために保育所をつくろうということになった。従来の画一的な建物でなく、木材を主体とし、芸術的なデザインの明るく親しみやすいものにした。これも行政に依存することなく、自分たちで企画、実行した結果である。

 さらに子どもたちのバレエ教室もつくった。たくさんの子どもたちがここで練習している。なかには国を代表するようなバレリーナになった子もおり、住民の自信になっている。教師には、かつて経験のある地域の人がなり、レッスン料の収入も得ることができた。

(参考文献)


「地域住みよい会」と協働促進の「北見テーブル」設置などを提言
  
〜「協働のまち北見 」 (新しいコミュニティの創造をめざして) 最終報告書〜

 このほど、地域との協働のあり方を検討していた「北見市タウン・ネットワーク懇話会」が、「協働のまち北見(新しいコミュニティの創造をめざして)」  と題した最終報告書をまとめた。

 この懇談会は、北見市が平成17年8月、地域コミュニティの活性化や市民と行政の協働のあり方、地域自治意識の高揚策 などを検討し、地域の課題は地域で解決していくという力のあるコミュニティの創造を目指して設置したもの。市内の美山小学校区で開催した「美山地域住みよい会」 を実践の場として、ワークショップの手法を活用しながら「新しい協働の仕組み」などを検討した。

 同懇談会では、今後の課題として、

(1)市民と行政が一丸となって協働のまちづくりに取り組んでいくために「協働のまちづくりを推進する基本条例」の制定をすること、

(2)「新しい協働の仕組み」として、地域内の様々なコ ミュニティが連携し、「市民相互の協働」を進めることで、地域の課題解決能力を高めるとともに、「市民と行政の協働」を円滑に進めるために「地域住みよい会」を設置すること、

(3)「市民と行政の協働」を進めるうえで、協働する各主体が対等な 関係を構築していく場として、また、様々な団体等をつなげていき課題解決の可能性を高めていく場として、行政も参加した仲人会議として「北見テーブル」 を立ち上げること、

(4)市民と行政の協働を進めるためには、行政自らが、従来の縦割り行政から脱却し、全庁的な取り組みとして協働の事業を進めるため、専門の窓口として、また、コミュニテ ィの活性化や協働に関して総合的な企画が出来る専門部署として「協働推進担当窓口」を立ち上げること、を提言している。

 また、市民一人一人がコミュニティへの参加を通じて、主体的・自立的に地域づく りに参画していくことで、市民の協働意識は醸成されことから、コミュニテ ィへの参加促進のため、イベントの重要性を訴えている。

 全国的に進められているコミュニティ活性化などの取組みと機を一にしたものであるが、市民と行政の橋渡し役として、市民と行政の協働で設置する「北見テーブル」が特徴の一つである。モデル事業では、役割が不十分だったという評価であり、真の「北見のローカルスタンダード」となりうるかは、この「北見テーブル」がいかに円滑に機能するかが大きいと言えそうだ。

 
出典:上図は、同報告書 9頁


旧市の地域協議会委員にも準公選制の維持を
                    上越市の調査研究報告書

 このほど、上越市における地域協議会のあり方や地域自治区の展開などに関する「上越市における都市内 分権及び住民自治に関する調査報告書」がまとまった。

 これは、同市が合併前の上越市の区域に、地域協議会を導入することに向けて、地域自治区を基軸にしつつ、専門家による 議論を通して都市内分権及び住民自治のあり方を探ることを目的に18年4月に研究会を設置し、 6回の議論と1回の視察などを通じて、地域協議会の位置付け、同協議会と住民の関係、議会の関係、設置形態について検討したきたものである。

 この報告では、上越市の地域協議会の委員選任において「準公選制」を採用したことなどは、「上越市方式の生命線」であり、今後も維持していくべ きであること、総合事務所には、地域が固有に持ち、地域が主体的に取組む「地域的公共事務」 があり、住民自治の充実の視点から、これらについても協議会と同事務所が関与していくことが望ましいこと、地域協議会のみを設置するのではなく、地域自治区を導入することが望ましいこと、などをまとめている。

 地域協議会は、地方自治法上は長の附属機関である。しかし、この報告書は、上越市の場合、委員の選任過程において、全国で唯一投票を組み込んだ「準公選制」を採用し、これによって住民代表性を有 し、コミ ュニティの視点からも、自らの総意を形成する機関がコミュニティレベルにおいて創出された捉えていることが特徴である。

 また、地域自治区にしても、地域協議会の「ゆるやかな拘束力」をシステムの中に落としこんでいくために、地域自治区独自の事務執行及び予算要求権を付与していくことを視野においたシステムを構築が必要としている。

 このほか、地域自治区は、市長の分掌された事務のほか、地域の公共事務を担うことから、所長に求められる資質として、 必ずしも専門的知識を持たない地域協議会委員を先導していく、という役割が 事務所長には求められており、市役所や地域協議会とのコーディネーター型の人材をどう得るか、が課題としている。 具体的には、「一般職の任期 付職員」としての採用や、庁内公募による採用等、広く人材を登用することが考えられるとしてる。

 コミュニティに、自主的な運営という統治性を見出し、これからの地域運営を支えていくうえでの重要性を強調しているが、法制度の地域自治区や地域協議会から、さらに一歩を踏み出した新たな地域自治の取り組みといえよう。


「私たちのまちは私たちの手で」
      −松山市で地域のまちづくり構想策定

 松山市が、このほど同市が取り組むべき住民主体のまちづくりの方向性を示すため「地域のまちづくり基本構想」を策定した。

 この構想では、コミュニティを取り巻く現状と課題として、公民館が果たしてきた役割を評価しつつ、「自治意識、帰属意識の低下」「行政への依存体質」を課題として捉え、また、行政側としても、「社会環境の変化への対応や庁内連携(横断的連携)」、「コミュニティへの活動支援」など の必要性を指摘している。今後の具体的な方向として、住民主体のまちづくりに向けて、「私たちのまちは私たちの手で」と地域におけるまちづくりの基本理念とし、住民自治の強化や官民協働の促進を進めるとしている。

 このようなコミュニティ政策の流れは、市町村が先行しており、全国各地でさまざまな取り組みが進められてきた。古くは、コミュニティセンターの管理・運営を地域住民組織にゆだねるなど、地域住民の自主的活動の重要性を認識しはじめた1970年代にはじまる。

 その後、コミュニティを重視しながら、特定の政策テーマを設定したテーマ型コミュニティが登場した1980年〜1990年代を経て、現代は、「地域の共通課題の解決や政策決定を自らになう自治的コミュニティ」という考え方が登場している。

 一方、国の地方制度調査会でも、第26次答申「地方分権時代の住民自治制度のあり方及び 地方税財源の充実確保に関する答申(平成12年10月25日)」の中で、「住民の意向を反映させるための取組の先導的な例として、地域住民や自治会の代表者をはじめ、専門家、NPO等が主体的に参加し責任を持ってまちづくり計画をとりまとめることにより、行政主導のまちづくりでは期待できないきめ細やかな事業実施を確保しようとするまちづくり協議会があげられる」などと例示し、「我が国にとってふさわしいコミュニティレベルでの自治組織のあり方やその法的な位置付け等について、引き続き検討していくべきである。」という動きもでている。

 さらには、第27次の答申「今後の地方自治制度のあり方に関する答申(平成15年11月13日)」の中では、「地域における住民サービスを担うのは行政のみではないということが重要な視点であり、住民や、重要なパートナーとしてのコミュニティ組織、NPOその他民間セ クターとも協働し、相互に連携して新しい公共空間を形成して いくことを目指すべきである」という考え方が示されている。

 いずれにしても、松山市の取り組みは、こうした時代の流れと期を一にしたもので、作成中の「地域におけるまちづくり基本計画」の中で、どのような具体的な施策が位置づけられるのか、楽しみな事例のひとつである。

 なお、同市は、その総合計画の中で、計画の推進姿勢として、第一に「市民との協働によるまちづくりを推進する」ことを掲げ、「市民の主体的な地域づくりの推進」「市民参画の推進」を柱にしている。これまでのユニークな取り組みとしては、学生の政策提言を促し、優れた提言を事業として実施する「学生による政策論文募」を8年前から実施するなど、市民参画には積極姿勢を示すリーディング自治体のひとつである。 

(参考)


新たな市民参加手法の実験ーみたかディスカッション2006

 このほど、市民参加の先駆的な取り組みで知られる三鷹市で、新たな市民参加手法の実験に関する報告書(「みたかまちづくりディスカッション2006実施報告書」)がまとまった。

 この報告書は、三鷹市青年会議所と三鷹市との協働によって、18年8月26日(土)・27日(日)の両日で開催された実験結果を検証・評価したもの。参加者は、無作為抽出の18歳以上の市民1000人に参加依頼書を送付し、希望のあった87名から抽選で選ばれたこと、また、謝礼(両日で6000円)も支払われたなど、その選定などが非常にユニークなものだ。

 こうした手法は、ドイツのヴパタール大学のペーター・H・ディーネル名誉教授が考案したプラーヌンクツェレ(計画細胞)に由来する。ドイツの実施されている手法の特徴としては、「(1)解決 が必要な、真剣な課題に対して実施する。(2)参加者は住民台帳から無作為で抽出する。(3)有償で一定期間参加する(4日間が標準)。(4)中立的独立機関が実施機関となり、プログラムを決定する。(5)ひとつのプラーヌンクツェレ(計画細胞)は原則25名で構成し、複数回開催する。2名の進行役がつく。(6)専門家、利害関係者から情報提供を受ける。(7)毎回メンバーチェンジしながら、約5人の小グループで、参加者のみが討議を繰り返す。(8)「市民答申という形で報告書を作成し、参加した市民が正式な形で委託者に渡す。」*1という点が挙げられる。

 三鷹市は、この手法を参考に、4日間の標準手法を2日間に変更し、「安全安心なまちづくり〜子どもの安全安心〜」をテーマに、これまで行政に声を届けるきっかけの少なかった一般市民の参加を促し、まちづくりに生かすとともに、新たな参加手法の実証実験を行ったものだ。

 従来の参加は、公募委員が自らの意思で応募したもので、それぞれの分野に興味をもち、時間的にも比較的余裕がある市民であることが想定された。一方、この手法は無作為抽出で、会社員や学生、子育て中の”普通の市民”の声を反映させることが最大の特徴と言える。また、一定の報酬を支払うことで、参加者が責任のある仕事として、取り組むことが可能になっている(ちなみに、謝礼は両日で6000円)。

 はじめての試みに最終的に参加した方は、52名(翌日は1名欠席)と予想を超えた多数となり、質の高い話し合いで提案の内容は実現可能性が高いものだったという。参加者の満足度も高く、「市民としての意識をもつきっかけとなった」「市民が話し合う場をもっと設定すべき」と前向きの回答が寄せられていた。「市民自治による協働のまちづくり」実現に有効性が実証され、今後、多様な行政課題をテーマに活用の余地が高いと評価している。

 わが国では、東京青年会議所が取り組んだ事例があるほか、まだまだ手法としての蓄積はこれからであるが、多様な市民参加の試みとして注目すべき事例と言えそうだ。

*1「まちづくりと新しい市民参加 ドイツのプラ−ヌンクスツェレの手法」  2006.11イマジン出版(篠藤明徳 著)、13〜14頁。

(計画細胞(プラーヌンクツェレ)関係のHP)

(計画細胞(プラーヌンクツェレ)関係の書籍)