ロンドン到着ーPFIの代表例・Heatrow Expressに乗って
ハバロフスク付近の上空に差し掛かると下は雪景色。でも,シベリアに入ると雪はなく,平板的なダークグレーの大地が延々と続く。川筋だけが大地を蛇行するのみで,人の住む気配がないように見える。シベリアに沈む夕日を眺めながら,視線を下に移すと弱々しいまちの灯が何ヶ所か”点”で浮かび上がる。こんな荒涼とした大地にも人が住んでいる。人類のたくましさを感じた。飛行時間の12時間あまりがようやく過ぎ,ヒースロー空港に着陸した。
気温は,10℃。北海道とほとんど変わりはない。どんよりとした曇り空のイギリスに降り立った。札幌を出てから20時間。今はやりのエコノミー・シンドロームも大丈夫のよう。狭い機内からの開放感とはじめての地に緊張を感じながらの第一歩だ。
ヒースロー空港の入国審査は,1時間もかかった。セントラルステーションからHeatrow
Expressに乗ってセントラル・ロンドンに向かう。ヒースロー空港からロンドンのパディントン駅を15分で結ぶ。空港から,長いトンネルを抜ける。
ほんの10分程度でロンドンの都心部に入る。すでに夕闇の中に街並みは消えていた。パディントン駅で,ロンドンタクシーを見かけ,ようやくイギリスに到着した実感が湧いてきた。
そういえば,Heatrow Expressは,PFI(Private Finance
Initiative)の代表事例のひとつだ。研修の事前調査に読んだ資料にあった。バリュー・フォー・マネー追求の仕組みが最新鋭の高速電車に象徴されているようだ。”ニュー・パブリック・マネジメントへの旅”の初日に相応しい電車かもしれない。
ホテルに着くと早速インターネットの接続試験で,電車のチケットの裏にURLのあった運営会社・BAAにアクセスしてみた。イギリスに来てまでインターネットと離れられない自分にちょっと苦笑しながら画面を開いた。BAA(British Airports
Authority)は,ヒースローなどイギリス国内の14の空港を運営している。IR(投資家関係の情報)のページに,Heatrow
Expressは,今期利益を計上したと書いてあった。1998年6月に開通したが,都心部への交通渋滞緩和のために計画された。政府の投資額は,4億4千万ポンド。700億円を超えるジョイント・ベンチャー型のPFIの事業だ。開業2年で利益を計上とは,どんな仕組みか興味深い。
もともとイギリスは,97年労働党政権が廃止するまで,CCT(強制競争入札)という厳しい制度を課した国だ。行政のサービスは,現業部門ではDLO/DSOというサービス提供組織をつくり,民間と競争入札を行い,負ければ組織は廃止。よしんば勝っても,独立した組織は毎年6%以上の経常利益を出さなければならない。そんな厳しいお国柄だ。開業間もないHeatrow
Expressでも,利益を出すの当たり前のことかも知れない。イギリスのPFIのあり方を垣間見たような気がする。

ヒースロー・エキスプレス
イギリスとPFI
「Private Finance Initiativeは政府の重要な政策の一つである。高い品質,費用効率,それは競争によって培われた民間部門の資本とサービス,高度な設計が成し遂げる。適切なレベルの危険を管理する,
適切に, 長期ベースで資産を維持する」。 英国がPFIを評した言葉である。
PFIは,イギリスでも完成された手法ではない。1997年のベイツレポート(PFIの改善勧告)が29項目の課題を提示した。
具体的には,PFIには複雑かつ高度な商取引に関する知識が必要であるが,行政にはその知識がない。このため,新たなタスクフォースの設立をすること,また,標準手続き,規格やモデル契約などを確立して提供するなど,円滑な推進のためのデータ―ベースの構築,研修の充実,入札費用の減少のための努力など多面的な改善の必要性を示している。
構造,制度,手続きの改善,ケーススタディなどきめ細かな政府のフォローを求めたものだが,大蔵省に設置されたタスクフォースは,データベースである「PFI LIBRARY」の設置,ガイダンスの提示,研修など意欲的な活動を行っている。こうした政府の積極的なソフト面の貢献が,PFIの事業の拡大に寄与していると言えそうだ。
今回の研修では,イギリスのPFIもテーマのひとつ。イングランド中部でLight
Rail(路面電車)建設を進めている「Nottingham City Council」でのヒアリングを予定している。研修の後半のレポートで詳しくお伝えできると思う。
※PFIはイギリスで発祥しているが一口で言うと社会資本整備において,インフラや公共施設を政府が購入するのではなく、最終的に生み出されるサービスを購入するシステムと言える。公共サービスの提供に,「民間の専門性,創造性,管理能力を最大限に活用する」、「民間が設計,建設,資金調達,運営管理を行う」,「公共はそこから生ずるサービスを購入する」、「公共部門はプロジェクトの計画策定に特化する」ことに集約できる。計画立案が政府に残ることから,民営化とは異なる。
(イギリス一口余話)
長旅の疲労で,寝付けなさそうでだがゆっくり風呂に浸かって寝ることにする。でも,エコノミーのホテルなので,お湯がでるか心配だ。
トイレの鍵が壊れ,出られなくなったなどの旅行体験記も少なくない。
英国人が古いものを大切にするのは,「新しいものはすぐに壊れるからだ」という説もある。
ホテルの部屋は,古い調度品ばかり。アンティークの世界にきたようだ。
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11月12日英国の自治体の基本は,競争と説明責任,そして情報公開