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 ベスト・バリューの実際(ニューハム)・その1

 今日は,ニューハムを訪問して,実際のベストバリューがどのように行われているのかを2名の担当者から伺った。本日から3日に分けて報告する。お一人は,「Corporate Strategy Manager」というの肩書きがついていた。ベスト・バリューがまさに戦略的なマネジメントツールということを如実に物語るものではないか。

 ロシアからの訪問団と重なり,2名の職員が交代での説明。ロシアも都市経営の見なおしに必至ということらしい。

 ブレア政権における自治体改革の大きな柱が「ベスト・バリュー」と言われる業績評価手法である。この手法の導入を目的に,1997年,制度の試行と効果的な方法を探るため,イングランドとウェールズからパイロット自治体を募集して,試行と検証を行い,多くの課題を整理し,本年4月からの全国自治体への本格導入に際してノウハウを提供している。ニューアムは,37あるこのパイロット自治体のひとつ。イギリスの多くの自治体に情報提供をすることを使命と考えており,今回の訪問にも快く応じていただき,長時間を割いて説明いただいた。

 情報提供は,ひじょうに充実し,これまでの取り組み内容や成果は,ホームページにまとめて発信している。Local Government Chronicle という自治体を対象にした新聞(週2回発刊)のCouncil of year 2000も選ばれ,高い品質の市民サービスで定評がある。

 さて,冒頭にニューハムについて若干説明しておこう。

【Newhamの概要】

 ロンドンは,最近,GLA(Greater London Authorithy)=大ロンドン市と言われる自治体が誕生して,5月4日ロンドン市長に下院議員のリビングストン氏が当選した。東京都をイメージするのが近いと思われるが,32のBorough(特別区のような自治都市)とCityから構成される。

 Newhamは,ロンドンの東に位置するBoroughと呼ばれる自治体である。人口は 228千人,約91000世帯(1998年)。ロンドンの中では,失業率が高いのが特徴である。(1998年で15.3%。ロンドン平均は9.1%)。これは,住宅費が比較的低廉であり,経済基盤の弱い少数民族の割合が高いことに起因しているように思われる(ロンドン平均が24.9%であるのに対して52%を超えている=1999)。

    ロンドンの地図(ニューアムは,City and East地域に所在)

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 したがって,保険,所得,住宅環境,雇用を総合した貧しさの指数で言えば,全国で下から2番目の位置にある。しかし,移民が多いことは,人口の年齢構成が若いことにつながっている。20歳以下の市民が31%,30歳以下では47%と若く,活力がある。先日,まちの中を歩いて活気がある印象を受けたのはこのためかもしれない。

1 ベストバリュー導入のバックグラウンド

 本日うかがった背景は次のとおり。

 ニューハムは,ドックや鉄道労働者の住む街であったが,1980年代以降相次ぐ企業の閉鎖により深刻な失業など雇用問題を抱えることになった。6年ぐらい前までは,毎年サービスのカットを繰り返すのが常態。もはや小手先の改革ではどうしようもない状況に追い込まれた。どこか日本の現状を髣髴させるものがある。

 当時の財政部長(現在のチーフ・エグゼクティブ=行政の長)は,財政の安定化が先決と考えた。このため,予算の大幅な見直しを行い,毎年のマイナスシーリングなどはやめ,1年のうちに一部大幅な事業の廃止など断行した。主要なサービスには手を入れることなく,大胆なカットを実施。それとともに全体を見通したマネジメントの必要性を感じ,パフォーマンス・インジケータ(業績指標)の導入を行った。

 政府がベスト・バリューを言い出す前にすでにニューハムでは,業績評価法を導入,サービスのパフォーマンス向上,他に振り向けられる予算の5%調達を目標に取り組みを進めていた。ニューハムには,ベスト・バリューを取り入れる素地がすでにあったということを強調していた。

 また,ニューハムは伝統的に労働党が強く,60人すべての議員が同党で占める。本来,改革のインセンティブが働かない環境ではあるが,改革のカルチャーが大きく育っていたのが成功の要因である。

(ニューハムでのお話から)

 「システムのためのシステムにしないこと。明確な政治的な意思をもって取り組むことが必要だ」。最後に伺ったこの言葉が,日本の行政評価導入ブームの問題点を鋭く指摘されたような気がした。

 イギリスの場合,議会の議長が自治体の代表者であり,公選制の首長とことなり,議会がかなりの主導権を握っている。しかし,全国の最低レベルという厳しい現状を踏まえ,議員ばかりではなく,行政の内部にしっかりと改革のカルチャーが根付いていることが伺えた。

 11月16日は,取り組みの大枠と協議(Consult)の実際ー4つの方法,17日はベスト・バリューパフォーマンスプランについて詳細を報告する予定(今回の調査のメインであり,多くの資料をいただいたので,若干読みこなすのに時間がかかります。ご容赦を)。


 (ちょっと独り言)

 つたない英語の私にとって通訳は唯一の頼り。調査の要否は通訳の手腕によると言っても過言ではない。今日は,昨日の男性から女性に交代した。ひじょうに英国の行政事情に詳しい人で,話してして勉強になる。

 ところで,昨日のヒアリングのメモで「コスト利益」と訳された部分が気になった。録音してあったので聞きなおした。よく聞くと「cost benefit analysis」といっている。「費用便益分析」のことではないか。また,一般の人はこんな用語はつかわないか。と自分を納得させた。

 ところで,23日のエセックスは,2日前に日程が確定した。通訳がまだ決まっていない。ちょっと額に汗がでてきそうだ。


(イギリス一口余話)

 ロンドン市民の民族構成は多彩だ。75%が白人,その他が24.9%を占めている。一番多いのがインド系,ついで黒人(カリブ系),同(アフリカ系),パキスタンなど。街を歩くとと,エスニック料理のレストランも目に付く。概しておいしくないと言われるイギリス料理なのだが,本当においしくない。

 今日は,変化のある食事が楽しもうかと思った。通訳の方の「先日訪れた企業の人たちはインド料理を食べてお腹をこわし,視察の最中みんなお腹を押さえていたので場所を選んでね」というアドバイスに迷いを生じた。影響されやすいタイプなので,今日は日本食にしてしまった。

 ロンドンの人口 PDFファイル(ロンドン・リサーチセンターのHP)


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