uk7.jpg (14212 バイト)   11月15日

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ベスト・バリューの具体的な進め方について

 今日は,昨日訪問したLGAに関連して,ベスト・バリューの具体的な進め方についてと今回訪問の主目的であるベスト・バリューの実際・ニューハム(11月15日・その2)をレポートする。

 地方自治法(1999)「Local Government Act 1999」にベスト・バリューの詳細な記述がされている。法律とは言っても何かマニュアルを読んでいるような印象を受けた。

 ベスト・バリューは,前述のフレームワークで説明したとおり,地域内の住民の生活を向上させ,民間企業が活力ある活動ができる環境を作り出すことにある。このためその将来の理想像を描くことが必要である。指標と言う客観的なデータをもとに地域の強み,弱みを明らかにすること,将来のあるべき姿を数値目標で示すこと,それを毎年,市民にさらし,協議する(直接の意見や市民満足調査,議会の関与など)ことが出発点になる。まさに,「Performance Mesurement」の流れを引くシステムである。

 将来のあるべき姿は,「Best Value Performanc Plan」として公表される。これは,毎年3月31日までに策定し,公表が義務付けられている。本年3月に各自治体から公表されている。

 計画は,

  • 自治体の理想的な将来像と達成に向けての戦略ビジョン

  • 行政サービスの現状(指標を用いて分析し,過去及び他自治体と比較する)

  • 効率的なサービス改善のプラン

  • サービス達成目標

 などが盛り込まれている。

 計画のサービス達成目標は,政府が示しているBVPI(Best Value Performance Indicaitor)と自治体監査機構(Audit Commission)が示すACPI,それぞれの自治体が独自に設定するもの3種類がある。業績指標を中央が強制的に決めているのが特徴だが,同じ指標で自治体間の比較ができるため,市民に分かりやすいシステムである(中央主導の指標の決め方の是非は別にして)。

2000年度の指標数

  BVPI  AUPI
ロンドン・バラ,ユニタリー自治体など 125 54 179
カウンティ 103 33 136
ディストリクト 67 26 93

  なお,2001年度の指標は次の協議書に公表されているので興味のある方は具体的に参照されたい(協議書は事前に市民,自治体などの意見を聴取するための案で確定ではない)。

Best Value and Audit Commission Performance Indicators for 2001/2002

(参考) ベスト・バリューに係る政府の介入について

 ベスト・バリューの監査は,Audit Commissionや消防,警察,補助金,教育などの監査部門が個別に実施するが,調整機関を設置してベスト・バリューのもとに調整が図られる。

 特に注目されるのは,サービス計画の達成に失敗した場合,政府の介入が行われること。介入の基準は,1999.9.15の「Protocol on Intervention Powers」に決められているが主な点は以下のとおりである。

 失敗については,地方自治体が自ら改善の措置をとるべきであるが,明確な根拠がある場合には介入が可能である。

 具体的には,手続きやプロセスで,

  • ベスト・バリューの必要事項を満たしていない,

  • 法律やガイダンスに違反,目標の設定に不適切な点がある

  • 実績の情報に誤りがある

 など,また,サービスの失敗で,

  • 全国的な到達基準に達していない

  • サービスコストが著しく高い

  • サービス向上に失敗している

  • 監査に対する十分な改善を怠った

などを明示している。

 次に介入の方法であるが,

  • 計画を改正させる
  • 指定された手続に従ってレビューをやり直させる
  • コンサルタントへ相談を受けさせる
  • サービス提供を強制競争入札に付す
  • サービス提供を別のプロバイダへ委譲させる

 を挙げている。しかし,本年4月にスタートしたばかりで介入の具体的な事例はまだない。

 この介入にもパートナーシップの考え方が貫かれており,Protocol on Intervention Powersには,今回訪問したLGA(地方自治協会)が政府と協力がうたわれている。具体的には,ベスト・バリューにかかる情報は事前にLGAに提供される,相互の情報を交換するほか,不完全なベスト・バリュー計画,サービスの品質の改善について,LGAやI&DeAがアドバイスやサポートを提供について委任している。LGAが単なる要請や研究機関ではなく,ベスト・バリューと言う政策において積極的に品質改善へ貢献していく機関と位置づけられている。

 (LGAでのお話から)
  •  政府が協力に地方に介入するイギリス。必ずしも自治体は快く思ってはいない様子。かなり統制の強い地方自治制度だが,過渡的な制度という見方をする人もいるようだ。
  •  だだ,お手盛り評価と言われかねない自己評価と違い,市民にとっては他の自治体との比較が容易で,分かりやすい制度と言えるのではないか。
  •  また,指標が決められても,何を重視するかは自治体の主体性が発揮できる。失敗すれば,首が飛ぶチーフ・エグゼクティブ(行政のトップ)にとっては,かなりのプレッシャーになり,真剣に政策について調査し,分析し,議論する機会が増えいるのは確かのようである。
  •  競争と比較,そして議論・協議(自治体内部,市民,企業,NPOなどと)というイギリスの風土に中でも,まだまだ根づいているとは言えない。自治体のベスト・バリュー・パフォーマンス・プランも数例を読んだだけだが,結構,自治体の格差が大きい。この点,政府の介入というムチが全体の底上げにつながるのかもしれない。

(破産寸前の自治体ーHacney)

 今,こちらでは,ロンドンの北のバラ・Hackneyの破産間近の話題が全国紙の一面をにぎあわせている。街角にうずたかく積み上げられたゴミの山を掲載。財政の緊急引き締めで,臨時雇いの清掃人を解雇したからだ。

 ニューハムのマネジャーは,「あそこは別格。無計画,放漫財政の結果だ。もし,政府が介入したら全国の自治体は激怒するだろう。みんな創意工夫しながら財政を立て直してのだから」と。上記のベスト・バリューの失敗によるものではない。しかし,英国が自治体の破産をどう扱うのか注目される。行ってみたい気がしたが,危険なところだから決していかないようにアドバイスを受けた。


11月15日その2