ノッティンガムのPFIを訪ねて(その1)
今日は,PFIの調査でNottinghamを訪ねた。札幌市は,火葬場の建設でPFIの導入を検討しているが,今後,あらゆる分野でこの手法の導入が選択肢として検討されてくるものと考えられる。
特に,電車事業で検討しているわけではないが,路面電車の環境や経済性が市民の間でも見直されており,身近な事例であること,事業規模としても中規模で地方都市の事業の参考例として,有効ではないかとの判断から選択したものである。

いかにも伝統的な佇まいを残すノッティンガムの議会
まず,ノッティンガムの概要を紹介しよう。
| (Nottinghamの概要) イングランド中部の都市。人口は30万人。古さと新しさが調和し,近代的なショッピングセンターも有した商業都市でもある。自治体の種類では,Nottinghamshireという県の中心にあるが,1998年Nottingham City Council
からユニタリー自治体に移行している。
700年以上前からロビンフット伝説でも有名な都市で,多くの映画がNottingham城を題材につくられている。街並みは,いかにも中世風の佇まいが感じられる。
現在,環境に配慮した交通手段として見直されている路面電車の建設が進められている。PFI(Private
Finance Initiative)の手法を導入して,2003年の開通を目指している。地方自治体が手がけるPFI事業では,草分け的な重要事業であり,その成否がイギリス国内でも注目を集めている。 |
では,ノッティンガムで,なぜLight Rail(路面電車)の導入を決めたか,その理由を説明しよう。
ノッティンガムは,Nottinghamshireと言われる県で,周辺の7都市と50万人規模の大都市圏を形成している。公共交通機関は,バスが中心で主要なバスターミナルでパークアンドライドを実施している。しかし,都心部の自動車交通の流入は増加傾向をたどっており,交通渋滞の発生,交通事故死の増加(年間300人以上が死亡),騒音,大気汚染などの諸問題を生じている。ロンドンに比べると道路幅員は広く,都心部の交通量が多い。ヨーロッパの街並み特有のサークル型の道路が多く,見通しが悪く,交通事故の多い原因も理解できる。英国では,5年に一度,国に地方の交通計画を提出することが義務付けられている。2001年からの計画にもこれら問題の解決を大きな課題として取り上げられている。
このため,1988年から交通問題の抜本的な解決のため路面電車の導入を検討してきた。1997年,地方自治法の改正により,自治体にもPFIの手法が認められるようになった。政府がPFIを奨励していたこともあり,その流れにのって路面電車のPFI活用による導入が,1998年に承認された。正直なところ,路面電車導入にPFI活用がかなり強く求められた事情にあるらしい。
将来的には5路線の計画だが,今回認められたのは,ノッティンガム駅から同市の北,Hucknallまでの約14キロ,24駅。沿線には5つのパークアンドライト駐車場5か所3000台分が所在する。2003年秋の開通を目指して,現在工事中である。
PFIの手法の詳細は,21日にお伝えするが,アウトラインを述べておきたい。
ノッティンガムは,路面電車の用地を買収して事業体に無償提供する。建設の資金は,次のとおり手当てする。交付金などの手続きや履行の確保は自治体側が行う。残りは,請け負った企業が銀行からの借入を行い,開業後の運行収入および自治体からのAvailability
Feesで27年間かけて銀行借入金の返済を終えて,路面電車の所有権は自治体側に移転するという仕組みだ。
請負業者は,建設後,別の業者と運営契約を結び,運行収入及び自治体からのAvailability
Feesから,返済金,運行契約業者への支払いを除いた額を利益として受け取ることになる。
| Sourser |
金額(100万ポンド) |
費 用 |
金額(100万ポンド) |
| EUからの交付金 |
27.4 |
建設費 |
162.5 |
| 政府交付金 |
10.8 |
その他開発コスト |
21.8 |
| 銀行借入金 |
182.7 |
財務コスト |
36.6 |
| 計 |
220.9 |
計 |
220.9 |
具体的には自治体がアウトプットの仕様をつくり,競争入札を実施。請負業者を選定する。この流れのなかに複雑な交渉や契約が介在している。詳細な流れは21日に説明したい。
本日は,夜ロンドンに戻ってきた。明日は,11時にI&DeA(ベスト・バリュー支援のシンクタンク)にアポイントがある。このため,本日の報告はこの辺で切り上げて休むことに。
中途半端な報告で申し訳ないが,皆さんおやすみなさい。
※ノッティンガムからは,時刻表より10分早い21:30に到着した。昨日は1時間半の遅れだから,どうも英国の鉄道は先が読めない。
トップへ戻 る 11月21日 ノッティンガムのPFI・その2