政策課題研修ー「行政評価を考える」 12.1.26

                                   札幌市自治研修センター

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 b1.gif (249 バイト) 論文骨子発表会

 政策課題研修も大詰めを迎え,講師の北大・山口二郎教授及び札幌市都市経営課・富樫主査を迎え発表を行った。

 発表についてのコメントは、次のとおり。


 (山口教授)
  • 目標の設定にあたっての問題は、水準をどこに置くかである。理想値、充足値、期待値,そして限界値等あるが、政策分野を特定して、A分野は理想値、B分野は充足値など使い分けを行うことも限られた財源を配分する上での政策判断により行っても良いのではないか。
  • 行政評価について,マスコミや一部市民の期待の大きさに比較して、職員や一般市民の多くが無関心である。評価は単なる見直しではなく、これによるメリットを強調して浸透させなければならない。
  • 行政の文化がそのままで、評価を導入しても労多くて益が少ない。行政文化そのものを変革するきっかけにすることを期待している。
  • 評価はあら捜しが目的ではない。改善していく動機付けを打ち出していくことに意味がある。

 (富樫主査) NEW

  • 行政評価は,単に行政経営ばかりではなく,もっと都市経営やまちづくりのためのシステムと捉えるべきである。
  • ベンチマークは,行政の目標ではなく,市民,行政が共有する目標で,それぞれの立場で,また協働して実現を図るべきものである。これをしっかり認識する必要がある。ベンチマークは,総体としての市民が札幌をどういうまちにしたいかを指標に表現したもの。市民の役割,企業の役割,行政(市,道,国それぞれ)の役割,外的要因など様々な要素が重なりあって実現されることを明確に。
  • 真のパートナーシップを進めるため、行政の意識改革とともに市民の意識改革をどうするかもポイント。
  • 限りある資源をどこにどう配分するか,政策,施策,事務事業の優先順位がどう決めるかを考える仕組みとしては,ベンチマーキングは限界がある。これをクリアする方法が大きな課題である。
  • 「小集団活動の奨励」や「内部評価マニュアルの充実」については,最も大切な点のひとつ。PDCAサイクルの実践と成功体験の積み重ねで組織の大きな活力にしていかなけらばならない。
  • 計画体系図については,札幌市の事務事業全体を網羅するものがないのが難点。目標を明確にしなければ,成果を重視した評価ができず,評価の前に最も大切な作業と言える。
  • 委員会形式による外部評価が本当に必要なのかどうかを考える必要がある。外部委員会による評価=「客観的に正当なものである」とは必ずしも言えない。市民意見をどう把握していくかがが外部委員会形式のポイントになる。

 論文骨子は以下のとおり。 また、説明用にパワーポイントを使用したが、説明原稿は こ こ をクリック。

 
平成11年度政策課題研究Aグループ 論文骨子


テーマ:「行政評価システムを考える
      〜市民に分かりやすい評価システムを目指して」
■サブテーマ:「事業・政策を的確に捉えた成果指標の確立について」


1 戦略的な行政経営を目指して

(1) 行政と取り巻く環境


 21世紀を目前に控え,社会状況は大きな変化を迎えている。少子・高齢化,情報化,国際化の進展や産業構造の変化,環境問題の重要性の高まりなど,こうした変化に的確に対応することが行政の大切な責務になっている。

 右肩上がりの経済成長の終焉は,歳入の伸び悩みや福祉対策経費の増加,公債費の急増などにより,毎年度多額の財源不足を生ずるなど,危機的な状態に陥っており,財政の健全性の確保が課題となっている。組織体制や施策・事業の進め方,財政運営のあり方などを,簡素で効率的なシステムに転換しなければならない。

 行政がさまざまな施策や事業を展開するにあたっては,住民に対し,その必要性や効果を明らかにする説明責任を果たすことが時代の要請となっている。この行政の説明責任(アカウンタビリティ)を果たすためには,住民と行政情報を共有しなければならない。より市民の視点に立った,公正で透明性の高い行政を実現するためには,施策や事業の成果についての行政自らの評価を明らかにすることが重要になっている。
 厳しい財政状況にもかかわらず,不正支出が明らかになり,税金の使途への市民意識が向上し,税金の払いがい"Value For Money"が叫ばれるようになった。行政が,有効性・効率性などを追求しているのか,適切に事務事業を選択しているのかを示すことが急務になっている。

 今日,全国の地方自治体は産業振興だけでなく,地方の個性の創造が求められるようになった。地域資源を活用した創造的な施策などの戦略的な行政運営が求められている。平成12年4月にいよいよ具体的な地方分権の動きが本格化する。自らの責任と判断で地域運営に取り組む経営体としての体制の確立が早急に求められている。

 また,市民と行政とのパートナーシップが一層重要になってきている。地域資源を有効に活用するためにも,施策・事業の必要性等を市民が判断するための十分な情報を提供し,市民意見を反映して施策・事業を選択・重点化していく必要がある。


(2) 札幌の現状

 市債残高は,近年の経済対策や減税補填債の発行などにより,大幅な伸びを続けている。本市全会計における市債残高は2兆円に達している。一般会計でも約1兆円になる。これは市民一人あたりに換算すると約57万円である。市債残高の増加に伴い,起債制限比率も上昇してきている。市債の元利償還金の増大が弾力的な財政運営を阻害する要因となる。健全で弾力的な財政構造の維持や,財政基盤の強化に向けて一層努力していかなければならない。

 平成10年度から推進している行財政改革推進計画の取り組みにより,事務事業全般にわたって見直しや再構築を行うなど,財政運営の一層の効率化を図り,132億円の見直し効果が見込まれている。しかし,市税収入は,厳しい状況にあり,なお一層の見直しが重要であるとともに,限られた予算の中で創造的な施策を行うため,サービスの質的向上の努力が必要である。

 行政評価は新時代に対応した行政運営を進めていくうえでの手段の一つとして注目されている。行政評価の一形態として札幌市としても11年度から事業評価を試験導入した。行政資源(財源,人員等)の効率的・効果的な配分に有効なシステム作りを模索しているところである。


(3) 行政評価とは?

 行政評価とは,行政の個々の事業,施策,政策を評価して,業務の改善や向上に寄与するものである。その目的は,行政への信頼確保,行政サービス向上,市民満足向上であり,職員間へPDCA(Plan−Do−Check−Action)の実践を根付かせ,行政の効率化・事業の効率性の向上,政策の有効性向上をはかる。また,情報を分かりやすく提供し,市民と行政のコミュニケーション手段として活用することにある。

 行政評価は一般的に,行政の政策の体系=「政策-施策-事業」に対応して政策評価・施策評価・事務事業評価に分類されている。行政評価は,行政改革の推進,行政の実情を説明するアカウンタビリティの実践,市民との対話促進に対する有効な手段として注目され,全国の自治体に浸透しつつある。職員が,事業の必要性,効果,コストなどを常に意識して事業の企画・運営を行うことにより,その政策形成能力などを一層高め,行政の財産である人材の有効活用が図られる。また,市場競争原理の導入により,他都市との比較,競争による3E(効率性,有効性,経済性)の向上も期待される。

 しかし行政評価は行政経営手法としては未成熟の状況であり,効果的なものにしていく必要がある。

2 行政評価の導入状況

(1)行政評価の類型と特徴

  別紙1参照

2)事例紹介

 行政評価の導入事例は,次のとおり。
 ベンチマークは,オレゴン州に代表され,東京都,青森などに導入の動きがある。まちの課題と方向を明確にして,具体的な目標を定めることにより,市民に分かりやすく,また設定の過程に市民参加を行うことで,目標の共有化が図られるなど,政策レベルでの評価手法として有効性が注目されている。

 静岡県に代表される業務棚卸表は,業務の「目的・手段の樹木的(連鎖的)構造」が特徴で,漠然とした日常業務を体系化することによって目的と手段が明確となり仕事を分析するのに役立つシステムである。

 イギリスは,市民憲章で行政がなすべきことを公約するとともに,税金に見合う成果という視点で,市場競争原理を導入したり,全国の統一した指標を設定して,市町村のサービスを同じ土俵で競わせるなど,中央主導のシステムである。

 三重県が先駆的に取り入れた事務事業評価は,指標を設定して,目標達成度を図る目標管理型のシステム。簡便で専門的知識が不要なことから,全国の自治体に波及している。札幌市の試行している事務事業評価もこのタイプ。

 このほか,成果指標を設定する目標管理型に対して,評価の視点を5段階,ABC評価するなど,ある程度の基準を設定して定性評価するタイプの評価システムも一部の自治体で導入している。成果と事業の結果について,因果関係を実証することが困難な分野において特に活用されている。

 さらに,行政評価を外部評価,内部評価に分類すると,前者の代表例がベンチマークである。委員会を設置し,市民主体に指標の設定を行う外部委員会型で,オレゴン州のプログレスボードが有名。道の政策アセス委員会も,評価のみを行う外部委員会タイプと言える。

(3) 行政評価の傾向

 国内では,三重県が先駆けて目標管理型の事務事業評価システムを取り入れている。その影響もあって,評価システムは目標管理型が主流で,かつ厳しい経済情勢を反映して,評価の目的が事業の見直しに重点がおかれている。

 また,行政の目的は市民満足の向上が第一であるが,その視点での評価がほとんど取り入れられていない。世界の行政評価に大きな影響を与えたのは,米国オレゴン州のベンチマークスである。住民自治の政治風土があるオレゴン州では,住民主体のプログレスボードがベンチマーク指標を設定し目標を定め,州がその目標に向かって努力するスタイルがとられている。この評価形態はフロリダ州やミネソタ州,バージニア州などにも広がった。

 国内の本格的な行政評価は,三重県が「みえ国づくり宣言」にあわせて目標管理型の事務事業評価システムを取り入れた。その影響もあって,地方自治体の評価システムは,事務事業の活動量や成果に目標値を設定しどれだけ達成したかを測る目標管理型が主流となっている。
 評価表の主な視点は効率性・経済性・成果などとなっており,厳しい財政状況を反映し,評価の目的が事業の見直し等に重点が置かれている。ただ,事業の再構築や人員配置・予算の重点配分といった行政資源の有効活用の視点ではまだあまり利用されていないといえよう。

 国内の自治体と海外が大きく違うのは,一番重要な「市民満足」の視点である。行政は市民利益を上げるのために働くのであり,行政活動がどれだけ市民に満足を与えたかを測る必要があるといえるが,その視点で評価を取り入れているところがほとんどない。実際に市民満足を正確に測ることは難しく,各自治体が現在その測定方法を模索中である。

(4) 今後の課題

 現在全国の自治体で取り入れられている主な行政評価手法は,目標管理型の事務事業評価である。これは行政の内部評価の色彩が強く,評価表を公開しても専門用語や数値の羅列など専門家でないと理解できない部分も多い。また,総合評価が管理職のコメントや5段階評価など主観的で行政の視点での評価となっている部分も多く,主役である市民主体の評価とは言えないし,評価への市民参加が弱い傾向にあるといえる。

 また,目標管理型評価は財政悪化により事業の効率化で予算削減を図ることを主な目的としており,カットするための手段として認識されがちである。評価の本来の役割は人員や組織・予算といった行政資源を効率よく配分すると同時に,政策目標をもとに策定された長期計画とリンクさせていくツールであるといえよう。削減や見直し中心である現状の評価を,長期計画の管理や予算査定へ活用していくことはこれからの課題といえる。

 行政評価は予算削減という短期的視野で利用されているため,自治体の評価の多くは事務事業評価にとどまっており上位の政策評価まで至っていない。

 自治体は政策目標に向かって仕事を進めるのであり,本来の事務事業は政策実現のための手段であると言える。よって,長期的視野にたって作成された戦略や計画を職員が整理・認識し,その上で事業をからませ評価する必要がある。

 そして一番の問題は行政活動の「対象」である市民の評価への関与であり,市民の声をどのように反映させていくのかの視点が全国の自治体の行政評価に欠けている。専門的で内部的な事務事業評価だけでは市民の関心も低く参加も弱い傾向になってしまう。市民の声をいかに評価に取り込むかが大切であり,自主的参加のみならず市の側から積極的に接近するようにしなければならない。場面に応じて適切な手段を選択して市民の意思が行政に具体的に反映するシステム作りが求められている。

 我々職員の意識も改革しなければならない。現状の評価主体は行政であるため,職員の評価能力や仕事の進め方に関する意識がしっかりしていなければ市民に信頼される評価は確立できない。地方分権や財政悪化など現状の課題を認識して事務にとりかかる姿勢が必要である。同時に,住民に対する成果を認識し,体系的な評価の導入を目指すことで個々の事務事業も正しい成果の捉え方ができると考えなければならない。

3 札幌市が導入すべき行政評価手法

(1)外部評価−市民の意見を取り入れる


 市民と行政がまちづくりの方向性を共有するため,ベンチマーク指標を数値目標として設定することが適当と考える。そのために設定に関わる組織を新たに始動させる。市長,各分野の代表,公募委員など10名程度で構成するベンチマーク指標設定委員会と市民(委員会選出・公募・ボランティア・NPOなど)多数にて構成し,行政の意向は介入させないよう工夫し,行政はあくまでサポーターに徹した指標選定部会である。

 ベンチマークはあくまで市の目指すべき方向性を示すものである。行政側が市民のニーズを把握して選定するよりも,市民中心で選定することが望ましい。

 ベンチマーク指標設定委員会は,多数の市民が参加する各行政分野ごとの指標選定部会に分かれる。

 まず,指標選定部会にて,どのような指標・項目が市民にとって重要か,行政が取り組むべきかを議論し,どんな指標を数値目標として選定するのか候補を選ぶ。同時に,その指標はいつまでにどれだけの成果を上げるのか具体的数値目標を掲げる。各部会の指標選定のための調査・分析にかかる経費は行政が負担するだけで,行政からは何も働きかけない。

 指標選定部会から提案された指標候補と目標値は部会代表者が集う設定委員会で全体討議され,最終的な指標とその数値目標が決定される。
 行政は市民の代表から提出された目標数値を尊重し,それが達成できるよう適切な施策や事業を選択し行政活動を行う。また,市民も自ら選んだ目標数値に責任を持ち,行政と協力して数値達成を目指すようにする。これにより,市民と行政は同じ目標を持ち行動することが期待できる。
 目標値に対して現状はどれほど達成されているかを毎年チェックしていくことにより,行政と市民がどのレベルにあるのか常に監視するよう心掛け,現状値の理由や目標を達成する方策を市民と行政で考えなければならない。指標選定部会は指標に関連するデータの収集や分析を行った後,よりよい指標への改善とその目標値の設定作業を進めていくようにする。
 このように,[指標設定→目標値設定→達成度測定→成果の検証]の一連の作業が進むにつれて,指標の数や目標値は一定のレベルに収束していくものと思われる。つまり,市民と行政がベンチマーク指標を通じて議論することにより,限られた資源をどこに投入していくかが明らかになり,まちとしてどの方向に進みどれだけの水準を目指せばいいのかが明らかになってくるからである。年数が経れば成熟していくシステムと言えよう。

 大型プロジェクトなど特殊で専門的な事業の事前評価は専門評価会を設け,科学的分析手法を活用する。技術的な要素の穴埋めとして求められる。

 議会には,本来市政に対する調査権があるが,時間的制約により,あらゆる面にわたり細部に至るまでの調査は難しい。
 行政評価をきっかけに,市民ニーズをより早く的確に捉えることで,今まで以上に活発な議論が展開できると期待される。
住民を代表する議決機関としての働きを最大限に生かすためのツールとして活用を図れるものと思われる。

  
 (2) 内部評価
 
 事務事業評価は,行政の専門技術的な面が強く,市民の関心もあまり強くない。また,すべての評価に,外部評価を導入するのは,時間,コストの面から現実的ではない。このような考えから,まちづくりの方向性といった大局的な見地での外部評価に対して,事務事業評価及び施策評価を行政の自己評価=内部評価と位置づける。

 ただし,@市民に分かりやすく,A客観化,A透明性の確保,C市民満足の視点を取り入れることで,信頼性の高い評価を担保する。

 事業間の軽重,優先順位づけなどや成果を計るためには,政策―施策―事務事業というピラミッド階層にそった体系的な評価を進める必要がある。当然,ベンチマークという政策指標に対応して,施策,事務事業評価の成果指標が関連し,この集積が政策を実現させると言える。

 内部評価とする下位の評価は,簡易性や分かりやすさから,全国で主流の目標管理型の業績評価手法が最適と考える。
 施策評価は,事務事業の積み上げで評価し,構成する事務事業の達成度や施策の核になる事業の重点評価=施策の要因となる事務事業に重きを置きながら,総体的に評価する。
 また,事務事業、施策、政策の評価の分析,結果,改善方向を相互にフィードバックしながら,大きな成果へつなげていく。

 さらに,住民にとって目にみえるものは,「成果」はどれだけあって,いくらかかったか=「コスト」が大きな評価要素である。分かりやすさの視点でコストを共通指標と捉えて,その明確化が大切ではないか。コストを明確することで,住民満足―コスト=成果が計れる。定性的ではあるが,高い精度で成果を客観的に計ることができる。コスト計算を正確にするため,発生主義会計を取り入れ,一般管理費などの単位コストや退職引当金,減価償却費などを簡便な方法で活用できる公会計手法の確立が課題である。

 ハードには減価償却費を考慮したコストで,ソフト施策では利用者一人あたりの費用を示す,そして他類似事業,周辺市町村,全国とのコスト比較を行うなど,コストを様々な切り口で見たうえで評価することで,事務事業の適否が判断できる。

 以上の点を考慮に入れ,

  施策評価表 

  事務事業評価表事務事業評価表別紙

  を作成した(記入要領)。

 次に,評価の前提として,職場での議論を通じて,業務を長期計画の中での位置づけを描き,職員間で共有化を図る。これにより,長期総合計画,5年計画との関係を明らかにする。また,業務の分析や体系を描くには,TQMなどの手法を用いる。このため,課にTQMマネージャーを養成,計画体系や評価にあたって指導を行い,評価システムの円滑な浸透を図るなど,研修の充実も必要とされる。

 評価表の記入は,マネジメントサイクルをしっかりと意識して問題や成果を捉え,多角的な検証や分析など高度な行政経営能力が必要である。一朝一夕で身につけられるわけではないが,どのような考え方,視点で評価していくかを分かりやすく解説したマニュアルを充実して,能力を補強していくべきである。

 さらには,内部評価といっても,住民満足を重視する視点から,施策の核になる事業については,アンケート,グループインタビューなどCSを必ず取り入れるも忘れてはならない。同時に既存の予算調書と融合するなど,評価事務の負担軽減についても配慮しなければならない。

(3) その他 

 住民への情報公開として考えられる手法として,直接の閲覧やインターネットによる評価表(写)の公開というのが一般的である。
しかし,現状は専門的で分かりづらく,ポイントを押さえて,やさしく解説するなどの広報的なPRも心掛けていくべきである。
   
 情報公開を基に集約された意見をいかに使うかが評価システム成功のひとつの鍵になる。
 様々な手段で投じられる意見を,イントラネットの活用などで,データベース化し,各部局が活用できるとともに,活用結果を公表するなど,施策や評価に生かしていくことが必要である。

 評価手法を導入する時期としては,計画の体系と照合し適切な指標の設定を図ることが大切であり,次期5年計画策定時を目標に評価システムの完成を目指す。

4 ケーススタディ
(観光事業をモデルにシュミレーションして)

 
 グループが試作した事務事業評価表,施策評価表を実際に記入して,評価の思考過程,考え方を検証して,次のような点が導かれた。
評価表の記入には相当の熟練を要し,行政経営に対するしっかりとした考えをもつことが必要である。
 また,行政評価は進化させるもので,一気に成果を求めない。
 例えば,観光振興ひとつを取り上げても,自然,イベント,アメニティ,文化,学術など観光資源は様々である。それを観光客の誘致にいかに結び付けていくかなど幅広い識見が要求される。評価は,善し悪しを評価するだけが主目的ではではない。改善し,いかに効果を高めるかが重要である。一見,無関係に思える事業も関連を見極め,改善に生かしていかなければならない。

 そのためには,ひとつひとつの事業をあらゆる角度から検証して,着実な進歩を目指すべきものである。
 さらには,自己評価は寛大化傾向が大きい。客観的な評価には周辺データの蓄積が大切。特に様々な調査データを持ちながら,担当部局以外の者が存在を知ることすら難しいのが現実で,予算調書すら共有化されていない。市民ニーズにかかる調査,アンケートのほか様々な報告書など,イントラネットを活用したデジタル化・共有化が急務である。行政内部の”物理的な情報公開”も忘れてはならない。内部情報以外の情報も不可欠であり,IT革命を生かしたリテラシー向上が望まれる。

5 終わりに 

 評価を導入することが外部に対する小手先のポーズに終わらないよう,職員一人一人が評価システムの真の目的を理解して,業務にあたる事が求められている。そのための情報活用を行うために,研修の機会をより多く積むこと等,職員の資質の向上図ることも必要になる。
 
 日常的に業務に対する問題点の発見を意識する気構えで働くことが望まれる。QC活動などグループ活動から地力を高めていくことが,将来的な発展に向けて大きな役割を果たしていくものと期待できる。

 実際の業務,評価を行うのは各現場においてであるが,現場の意見を実現するシステムの整備が必要である。
 そのため,現場の権限強化や予算要求権を与えることも必要と考える。
 また,業務の改善や提案など職員の努力が報われる人事,給与システムなど,現場から仕事を盛り上げていく方策が望まれる。

 計画―実施―評価―改善の管理サイクルが,日常の業務の中に自然に根付くことが,これからの財源的に厳しい時代にあわせた行政運営にはより有効,より必要である。その役割の一端を担うのが行政評価による評価−改善というラインである。

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