「行政評価」の時代(上山信一著)を読む。「サブテーマを考える1」 この日は,資料の要約発表とサブテーマの検討を行った。資料の概要は次ぎのとおり。
行政とは,税金を払う国民を顧客とする「サービス」産業である。この前提から出発 ― 「行政評価」は,行政に数値による目標管理の考え方を導入して,よりよいサービスを効率的に提供するための手法である。
1 行政評価とは,政策評価と執行評価の2種類に分けられる。
「政策評価とは」
政策評価は,まず住民を願客と見立てて,顧客の行政への期待成果を具体項目にリストアップする。そして,それぞれの項目について現状分析をしたうえで,今後めざすべき数値目標を設定する。目標の達成度を毎期ごとにチェックし,その結果を公開し,官民双方が進捗状況を監視していくシステム。
,ミネソタ州,ムルトマ郡(オレゴン州),ジャクソンビル市(フロリダ州)
(内容)
- 顧客(住民)の満足度の向上を目的として,成果(アウトカム)を重視
- 住民の意見を取り込み,有識者の参画による指標の設定
- ベンチマークを用いた継続的なモニタリング
(評価の手法)
- 首長によるトップダウンにより実施
- ベンチマーキング
- アウトカムを重視
「執行評価とは」
執行評価は,ごみ収集,水道,道路メンテナン六など”サービス行政について,活動単伴あたりの効率を測り,改善活動を動機づけしていく手法。ただし,この執行評価はコスト改善には有効だが,住民に対する情報伝達という効果は薄い。
(内容)
- 予算の管理を主目的とし,組織の内部へフィードバック
- 徹底したコスト効率管理による効率化
- 職員のボーナスへも反映
(評価の手法)
- 現場からのボトムアップ
- 目に見える生産性の向上を重視
- 小さな州やサービス行政機関で有効(教育,福祉,ごみ収集)
※サニーベール市,テキサス州
【行政評価の効果】
- 行政評価が実際に機能し始めると,行政機関にも数字によるチェックと市場競争原理が持ち込まれる。
- 行政評価の最大の成果は,外部への情報開示による行革への機運づくり
- 特に政策評価は,自治体が何をやっているかが,市民に具体的に分かる形で情報公開されていく。
- 首長と議会に行政を監視する材料を与える。各部局がパフォーマンス向上へ努力
- お役所仕事からの脱皮,創意工夫を催すきっかけに
- 市民とのコミュニケーション回路―市民感覚の重視
2 海外事例
【オレゴン州】
92のアウトカム指標―現状,将来を定量的に表現
- 地域の実態を把握―アンケート,ヒアリングなど。住民にとって重要だという項目の洗い出しと優先付け。数値の選択,目標設定のレベル
- 情報分析
指標数値の測定,データ測定―首長,第三者も加えての分析。評価報告書による問題提起(情報公開)
- 政策形成ー首長が議会へ政策の変更と予算
- 住民ニーズのくみ上げ,積極的な広報,予算に反映,導入状況そのもの評価するなどの徹底的な顧客志向が米国の大きな特徴。
TQC の行政への応用―作業ごとの生産効率を測定するシステム
- 評価の対象を選定
- 効率の変化をモニタリング・原因分析
- 業績評価を踏まえての経営判断
※非定型的な業務や臨時の作業には不向き
3 評価の条件
【行政評価導入の条件】
システム設計上の3大原則
- 顧客志向に徹するー住民にとっての便益という視点と住民参加
- 成果を測定する指標であること(アウトカム指標)−実質的に何が変わるのか。行政が目指していることと,行政ができることを明確に。
- 首長主導で進めること
運用上の3大原則
- 種々の改革活動と連携作用を考えた運用を行うことー定員削減とか,外郭団体の整理とか,福祉施策の強化とか,5年計画の策定年度にあたっているとか,固有の事情を取り込む。
- 評価制度を予算と政策をつなぐための実行性を担保することー実行性が伴わない評価は住民から信頼されない
- 情報公開を徹底することー見られるという緊張感が質を高める。
サブテーマでは,調査・研究対象の範囲が最大の論点に。
政策評価は,国内ではほとんど例がなく,12年度からの新5年計画に併せて,数値目標の導入して評価する方法を提言すべきという意見と事務事業などの評価をどのように市民,行政,議会にフィードバックするか等を中心にする意見が出されていましたが,この日は継続討議となりました。
8月18日にサブテーマの決定と調査・研究方針について討議を開始する予定。
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