行政評価を考えるーヒアリング報告 11.10.12
東京都は,8月にベンチマークといわれる東京都政策指標のたたき台を公表しており,事務事業が主体である既存の評価システムと一線を画するものと注目して,今回ヒアリング調査を行ったものである。 ベンチマークの代表である「TOKYO CHECKUP LIST99」については,概要をすでにこのHP上で報告しているが,これはたたき台として提示されたもので,12年度の新しい都市構想の策定を予定していることから,今後,都民の意見などを踏まえ,東京都政策指標として提示される予定である。 ベンチマークの特徴として,例えば「特別養護老人ホームの待機数」という成果指標もあれば,広い意味合いをもち。必ずしも東京都だけでは実現できない「東京の夜空に見える星の数」などの指標が並存しているのが特徴である。また,東京都は一般的な施策レベルの評価を政策評価と表現しているが,ベンチマークは必ずしもいわゆる政策評価を意図するものではなく,事務事業,施策,政策を包含するもっと大きな視点での評価の意味合いを持つということである。 なお,ベンチマーク設定にあたっての市民参加であるが,新構想の策定作業と歩調をともにしていくが,知事交代ということもあり,作業を急いでいるがまだ内部検討にとどまっており,今後のスケジュールや方法は検討中である。 また,ベンチマークとは別に,行政評価を試行しているが,11年度はじめて実施するもので,政策評価については,2事業を選択。事務事業については,37事業を実施している。 事務事業評価については,基本的には他の事例と大きな差はない。成果指標については,その設定に苦労されているのは,他自治体と同様である。試行段階で,成果指標が望ましいとしているが,必ずしも成果指標にはこだわっていない姿勢が感じられた。 住民満足については,東京都は各種意識調査などが充実しているが,評価を意識して実施してきたものでないことから,必ずしもストレートに住民満足としては指標として用いられないということであった。 事務事業評価の視点は,達成度,経済性・効率性,必要性,代替性,妥当性の6つ。事務事業を,達成度,経済性・効率性,必要性,代替性,妥当性を3点満点で評価,その単純平均によりA=維持または拡大して実施が適当,B=規模等見直して継続が適当,C=再構築または他事業との統合等が適当,D=廃止又は休止が適当,という総合評価を行うことが大きな特徴である。 採点にあたっては所管局長の一次評価,総務局長の二次評価と2段階評価を行い,的確な評価を目指している。また,一次、二次評価ともに,評価者のコメントを載せて,評価の基準を明確にしている点も特筆される。 3点満点の評価は,3点:満足できる水準以上,2点:一部満足できない水準,1点:満足できない水準で区分するが,採点を下した具体的一次,二次評価者のそれぞれの判断理由を記載する欄も評価表にあり,評価の根拠を示している。 政策評価票は,シンプルで政策の概要,評価(目標と達成度,10年度実績,達成度に及ぼしている要因,総合評価(一次=所管局長,2次総務局長)からなる。 今年度は,事務事業そのものが37事業に限定しているため,政策に連なる事務事業が一部であるため,事務事業評価は参考資料にとどまっている。事務事業が網羅された場合には,政策を構成する事務事業を,達成度,経済性・効率性,必要性,代替性,妥当性での評価が,事務事業ごとに評価されるため,それぞれの総合評価と政策的な判断を考慮して評価を行うとしている。 なお,評価票は,次の東京都HPに公表されている。 (まとめ) 東京都の場合は,事務事業,施策の2つの評価を行政評価と位置付けて,来年度以降の本格的な実施を目指している。抱える問題は,他の自治体と同様で,指標のあり方,計画とのリンク,市民参加のあり方など検討課題として残っている。 意外であったのは,ベンチマーク自体は,政策評価そのものという捉え方ではなく,もっと大きなレベルでの評価という位置付けである。 政策ー施策ー事業の体系と別個のものとしてしての捉え方は,既成の概念を破るもので,都民との議論の題材や政策目標を分かりやすくアピールして参加を促すというこのが重点で,効率性や見直しといった視点とは役割分担を図ったと言えそうである。 本来の政策評価は,首長の公約との密接な関係があり,高度な政策的な判断を伴うという考え方もある。 いずれにしてもオレゴン州に代表されるベンチマークをいち早く取り入れた先駆的事例であり、今後の推移について注目していきたい。 |