行政評価を考えるーヒアリング報告 11.10.13

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b1.gif (249 バイト) 野村総合研究所(長谷部)

 三菱総合研究所と同様な趣旨でのヒアリングを行った。

 最初に,ベンチマークと顧客満足に絞った行政評価の概観についての見解を伺い,5人の研究員と意見交換の形でヒアリングを行った。

 (行政評価の概観)

 組織の経営評価する経営品質の面もあれば,仕事の流れのほか,どこが他社と良いのか悪いのかの相対企画など,ベンチマークにしても,また顧客満足しても何をしたいかいう視点をまず明確にする必要がある。

 評価の前に市民の立場から見て,全体増が見えない点を考慮すべきである。同社では,「行政のカタログをつくる」という言い方をしている。まず,行政が何をしているか分からない現状を,全体を明かにすることが出発点である。

 目標,成果,業績の評価,時系列の変化などを示すこと,目標値を示すことが行政評価の基本であるが,事務事業評価では,全体像が見えない。また,個々の市民がそこまでは関心を持たないことから,施策,政策という大きなくくりでとらえることが求められる。

(顧 客 満 足)

 顧客満足を考える上で,次の2つの視点を区別する。

  (1)市民の生活満足か?。

  (2)施策、事業の満足か?。

 (1)であれば,行政サービス全体に及び,生活満足は,個人,社会,会社,行政と様々な責任が絡み合うことから,行政の守備範囲,責任をどこまで応えるのかを定義することが求められ,(2)であれば,事務事業の延長線上で考える。

 施設であれば,ニーズ把握は比較的容易であるが,ソフトの面では,市民ニーズの捉え方として,費用負担をどこまでしても望むかという調査も最近は注目されている。

 また,所管している部局で,誰のため,何をするのかを中心に日常的なベースで取られる方法,クレームの組織的活用,新規事業についてのニーズ把握,利用者へのインタビュー,他自治体との比較,不満足調査など様々な手法がある。

 いずれにしても、何のための調査か,概観した後,どうするのか,明確なねらいのもとに実施しなければならない。

 住民満足度調査ということが行われているが,ターゲットを絞らない調査はどうか。例えば,市の事業について,一万人単位の調査をして,実際計ろうとする事業の利用者はどのぐらいいるかを考えたとき,評価としての精度は高くないのでは?。納税者が,利用者かよって異なってくる。したがって,調査のターゲットは誰か,結果をどうするのかを常に考えていかなければならない。

 また,待ちの姿勢から,積極的に地域にでていくことも大切では?。ある自治体では,管理職一人ひとりが各地域の担当として位置付け,積極的に地域にでる取り組みもある。よく,行政評価を情報公開しても誰も見ないという声を聞く。しかし,これこそ問題では?。行政と市民の溝があるということではないか。一朝一夕で解消することは難しく,市民と行政のすれ違いは続く。長期のスパンでの取り組みが求められる。諦めずに続けるしかない。

 情報公開は,最低限の条件。行政評価は,対話の題材のひとつであり,論点をはっきりさせて,議論できる。

(政策目標の設定)

 オレゴンのベンチマークにしても緻密な検討を経て,目標値を設定しているのではない。いわゆる経験値と思われる。目標を厳格に設定したのでは,膨大な作業を伴い,かえって道具に縛られる。あくまでも目標は,目標で行政は,完璧な指標,目標値を考えがちである。企業でも目標値は下方修正も珍しくない。行政も努力した,そして達成できない理由、原因を明確に,市民が納得する説明ができれば良いのではないか。「行政は万能である」という幻想を払拭しなければならない。

 例えば,厳格な目標を設定しようとすると,庁内の合意,財政事情,利用者の合意,納税者の合意など作業的には不可能である。

 何を目標にするかが第一義で,目標値は努力目標的に軽く考えたほうが良い。行政評価はツールであり,深刻に考えすぎると何もできなくなる。そういった自治体の例を見てきた。評価は明るいものだという発想の転換が必要だ。

 視点としては,(1)利用者の分かりやすい目標,(2)所管の管理者の責任者としての判断,(3)首長のどうやってメリハリをつけようかという政策的な判断の3つが挙げられる。

 企業においても文化,ポリシーが異なる。行政評価もこうあらねばならないという原則はない。その自治体,自治体に文化があり,市民の特性があり,それを考えて整理していかねばならない。

(提供資料から)

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(ま と め)

 行政評価について,全国の自治体で取り組みが広がっている。従来の行政の進め方を問い直して,常にPDSAのサイクルで仕事を進めていく。ツールとしての可能性は大きい。しかし,未成熟なツールであるにもかかわらず,完璧さを求めすぎていたのではないか。完成度が高いことには望むところであるが,長期のスパンでの組み立てが必要ではないか。

 ベンチマークについては,オレゴン州が注目されているが,10年を経た今日においても改良が続き,様々な議論が起きている。

 ツールについて,”幻想”をいだきすぎていることを考え直させられたヒアリングであった。もう一度グループ内で次の点を問い直してみることが必要に思われた。

 第一に,市民の声は大切であるが,なぜ必要なのか。何に生かすのか。利用者か,株主としての納税者か,場面に応じてツールを選択していかなければならない。すべての場面に万能な手法はない。行政評価の上での市民の声,顧客満足の守備範囲はどこか?。

 第二に,一気に完成を目指しすぎてはいないか。段階的な完成を目指す上でどのように組み立てをしていくのか。

 第三に,成果志向,顧客志向については方向性は議論の余地はないが,企業の経済効率性の原理をそのまま行政に持ち込もうという考え方は,行政に合う形での修正が必要であり,市場競争原理など大きな方向性は否定しないがかなりの再構築が必要ではないか。

 第四にまた,評価を実施する主体は,職員であり,ツールを用いる職員の満足の視点は忘れていないか。ツールだけが先行してしすぎても的確な成果はできないのではないか。

 第五に,成果=数値は,分かりやすさには最適であるが,事務事業まで成果指標にこだわる必要はあるか。指標の設定は目標を明かにする上で重要なポイントであるが,どうしても成果指標を数値化できない分野は存在する。今後の積み重ねの中で,指標の変更は有り得ることを前提に臨機応変に考えるべきではないか。

 第六に,事務事業レベルまで,市民に分かりやすさを目指すことが効率的であろうか。情報公開はすべてのレベルで全面公開は必要であるが,レベルを絞って分かりやすさを目指すべきはないか。事務事業レベルで、難しい指標を用いるより,アウトプットでも明確であれば,要不要を議論をする題材としては十分で,市民が理解できる分かりやすさ程度を目指すべきではないか。

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