政策課題研究Aグル−プ中間報告書
テ−マ:「行政評価を考える
〜市民に分かりやすい評価システムを目指して〜」
サブテ−マ:「事業・政策を的確に捉えた成果指標の確立について」
1 行政評価の意義の検討
今日,全国の自治体は地方分権推進の流れにのり,地域性を生かした戦略的な行政運営が求められている。
この役割を積極的に果たしていくには,地域資源を活用した創造的な施策を進め,事務事業の適切な選択を行い,有効性・効率性などを高めていかなければならない。同時に,信託者である住民への説明責任を果たすことも重要な課題となっている。
行政評価は,これらを解決する有効な手段として注目され,全国の自治体に浸透しつつあるが,行政経営手法としては未成熟の状況である。
このような状態を踏まえ,札幌市の導入する行政評価をより効果の高いものにしていくため調査・研究に取り組んでいるものである。
2 研究の経過
検討の方向
行政評価は@「市民にとって分かりやすいもの」でなければならないし,その評価にはA「市民参加による評価の信頼性確保」とB「評価結果などを行政にフィ−ドバックするシステム」の構築が必要である。
研究は,評価の指標のありかたと市民参加の可能性を重視して進めることとした。
調査・研究の内容
グル−プとしての調査・研究は以下のとおりである。
〔研 究〕
行政評価の体系を理解するため,参考文献を読み評価の概略,目的,効果,などを発表しあい,メンバ−の間で理解を深めた。
米国のオレゴン州やサニ−ベ−ル市,イギリスなどの「行政評価先進国」と,三重県や静岡県,東京都・川崎市・札幌市など「国内先進導入自治体」の行政評価を比較し問題点を検討した。また,その評価の類型を整理した。
全国の行政と市民の「協働」事例を研究し,市民参加の方法と可能性を探った。
評価の手法で使用される,ベンチマ−ク,費用対効果分析,費用便益分析,パフォ−マンス評価などを比較・分類し,そのメリット・デメリット,行政活動への適用の可能性を整理した。
民間で活用されているTQM(Total
Quality Management)=総合品質管理や,NPM(New Public Management)=新公共経営など行政経営の手法や考え方などを調査研究し,市民の満足を重視した手法を検討した。
実際の札幌市の業務に評価をあてはめ,指標設定の妥当性,効果,目標,市民参加の可能性について検討した。
〔調 査〕
都市経営課の担当者と札幌市の評価システムの問題点と改善策,原局への浸透等について話をうかがった。
他の自治体のシステムづくりと,民間的手法の導入を検討するため,先進自治体とシンクタンク担当者と意見を交わした。
行政評価導入済自治体にアンケ−トを送付して,評価の傾向や課題を整理し特徴を洗い出した。
以上の研究・調査を通じ,札幌市の行政評価に必要な視点を整理することになった。
3.行政評価のあり方
評価の問題点
行政評価に関連して問題点を次のとおり整理した。
- 事務事業レベルであり,政策を包含した体系的な評価ではない。
- 市民のニーズや住民満足の視点が弱い。
- 指標が身近ではない。
- 指標設定が難しい。
- 職員に
PDCAサイクルが根付いていない。
計画と手段がリンクしていない。
情報公開が不十分。
行政の仕事そのものが見えにくい。
行政の目標が不明確。
内部評価にとどまっている。
導入すべき行政評価
わかりやすさの視点や目標と成果測定の正確さなどの面から,評価は事務事業レベルだけではなく,より広い視点での評価を導入すべきである。
具体的な評価手法のひとつとしては,市民参加が容易で目標の共有化に優れているベンチマ−クが有効と考える。
また,評価の視点としては事業の抑制や予算の削減といった消極的なものではなくて,事業をいかに効果的にするかを主眼とすべきである。
さらに,評価にあたっては目標の明確化を図ることが必要である。その前提として長期総合計画と事務事業に連なる目標の体系を明確にして,部局間で共有するシステムを構築するべきである。
3 行政評価と市民参加
〔評価結果の公表〕
事務事業評価,ベンチマークの別はなく,評価結果はすべて公表すべきものである。それが,行政と市民の対話を促進する。さらに,評価が市民の目にさらされることにより職員が緊張感をもって仕事に臨むようになることも期待できる。
しかし,個々の事業細部に渡って市民が関心をもつことは難しく,関心度や社会情勢の変化などに応じて,分かりすい説明を心掛けるようにしなければならない。
〔市民の意見・要望・ニーズ把握〕
評価結果などに対する市民の意見は,迅速かつ有効に反映する手法を取り入れる。結果を内部で,議会で,そして市民の評価で検証してこそ,行政評価の効果を一層高めることになる。
また,反映した改善や新たな事業は,再び市民に報告する。そんなキャッチボールがシステムとして構築できればと考える。
さらに,単に意見を聞くだけではなく,積極的にニーズや満足の把握も必要である。具体的には,アンケートや市民モニター,問題意識の高い市民を集めて意見を聞くグル−プフォ−カスインタビュ−のほか,顧客満足度調査や電子会議室なども考えられえるが,コストをかけない工夫がいる。
行政評価のそれぞれの場面で,どのような手法が効果的かは今後報告書をまとめる過程で,検証や内容を深めながら,最良の選択や新たな方法の構築を進めていきたい。
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