1 調査の目的
現在,行政評価システムを導入している自治体(県を除く)99を抽出し,導入の時期,経緯,評価の利用,市民参加の方法,結果の公表,現状の課題を調査して,今後の調査研究の資料とする。
2 調査方法
対象は,日経地域情報(98年6月)により,98年に実施している99市町村を選択,アンケートを発送して回答を得たものである(11.9.22発送,11.10.15締切で回収)。
3 回答結果
日経地域情報に誤りが多く,98年導入済みの自治体は,発送分の中で一部であることが判明した。
したがって,当初予定した導入済み自治体対象を変更して,導入済み,導入予定,導入検討中の自治体についての行政評価に係る実態や考え方を分析した。
なお,千葉県自治センターにおいても,事務事業評価システムに係るグループ研修を実施しており,同様なアンケートを送ると相手方に手間をかけることから,同じアンケートを実施し,相互に資料を活用することになり,提供を受けた7市・区分を照会数,回答数などに加えて集計・分析を行った。
回答状況は,次のとおり。
- 導入済には,検討中の回答でもモデル事業実施のもの,試行中のものを計上した。
- 導入予定は,導入時期未定を含む。
4 アンケート結果概要(有効回答53件の分析結果)
(導入状況)
行政評価の導入状況は,「導入済み」が31件(試行を含む),導入予定が13件(導入時期未定を含む),検討中9件という状況である。
早い自治体で,平成元年というものもあるが,大半が9年度以降でいずれも導入初期段階である。
取り組みの結果は,自治省指導による「行革大綱をきっかけとしたもの」24件,「首長提案」4件で,「その他」17件は,「総合計画に基づくもの」「周辺市町村との研究成果」「外部委員会の指摘」「ニューパブリックマネジメントの考え方に影響を受けた」「定員管理の見なおし」などである。

(評価の対象)
行政評価の種別であるが,政策評価6件,施策評価9件,事業評価39件で,大半が事業評価からの取り組みである。
その他評価では,市民サービスの質を問うもの,改革の状況を評価するもの,事業の進捗状況を評価するものなど7件が挙げられている。
(複数回答)
(評価表,指標)
評価表を使用するもの(使用を予定するもの)は36件で,事業評価を実施している自治体のほとんどは,評価表を使用している。
事務事業評価で,評価表を使用しないものは6件であるが,試行で対象が少ないもの,検討中でまだ評価表ができていないものなどである。
評価指標については,32団体が使用している(予定を含む)。
事務事業評価を実施している自治体で,評価の視点を絞り込んでいる一部団体で設定していないが,大半が何らかの指標を活用しているのが特徴である。
具体的指標としては,活動指標,成果指標があげられているほか,評価の視点による数値化,段階評価など様々な対応が見られる。
一部に住民満足指標を具体的な指標としているところもあった。
(評価の視点)
目標管理型の評価システムを取り入れているところは多いが,評価の視点は自治体の考え方により相違がでている。
評価にあたって重視している点では,「費用対効果」(27件),「必要性」(23件),「成果」(21件),「効率性」(20件),「目標達成度」(19件)「住民意識・満足」「有効性」(各18件),「優先性」(16件)が比較的高い。
一方,「事業量」(9件),「投入量」(8件),「水準」(6件),「代替性」「事業の質」(各5件)は比較的低い結果だった。
その他(9件)では,「マネジメントサイクル」「サービスの公平性」「妥当性」「需要量」「継続性」「迅速性」「生産性」「目的妥当性」「職員の意識改革」を示していた(以上複数回答)。
(複数回答)
(民間の会計制度導入)
参考に聞いた民間の会計制度導入は,導入予定が8件で,検討中も5件という結果であった。
(市 民 参 加)
評価にあたっての市民参加の有無については,「有り」が12件で半数にも満たない状況で,市民参加への姿勢は積極的とは言いがたい結果であった。
参加方法については,内5件が「評価に関与」である。
その他の参加手法とては,「行政改革市民会議」「情報提供によるフィードバック」「アンケート調査」「モニターのヒアリング」などが挙げられていた。
(公 表)
結果公表については,「有り」が17件で,方法としては「広報誌」4件,「閲覧」5件,「インターネット」5件,「議会報告」6件,「その他」7件となっている(以上複数回答)。
公開については,試行段階のところもあるためか,半数にも満たないことが特筆される。
また,途中経過を公表するところは,4団体のみで「行政改革市民会議」(評価機関ではない)への提出が1団体,広報や議会などへの提出は1団体のみ,他は方法を検討中との結果であった。
評価に対する第三者機関の関与は,施策や政策レベルが少ないこともあって,4団体に限られ,将来の検討課題としているところが4団体あった。
なお,公表のその他の手法は,「市民の代表委員に委ねる(評価要領は市作成)」「社会経済生産性本部の評価を受ける(ただし,経営品質評価)」など。
(結果の活用)
評価結果の活用については,「事業の見直し」30件,「予算に反映」25件,「その他」7件(「評価により改善策を講じる」,「計画そのものの見直し」「計画の執行管理」「定員管理」「行政大綱のフレームに反映」など)という結果であった(以上複数回答)。
(複数回答)
(研 修)
評価制度導入にあたっての研修については,20団体が実施,対象は管理職に限るもの,係長レベルまでのものなどまちまちの結果で,総じて体系的な研修は導入されていない様子がうかがわれる。
一方,全職員を対象に実施を予定し,評価システムの成否を職員の意識改革に重点を置く市もあり,注目される。
(導入後の変化)
導入後の変化については,「予算,事業の見直しへの影響」が14件,「職員の意識」が12件と比較的に高く,「管理サイクルの浸透」(3件),「予算効率化」(2件)や「市民の反響」(0件)などは弱いという結果であった(以上複数回答)。
なお,「市民の反響」が結果を公表している自治体でも全くないということは,「公表の方法の問題」か,「評価自体が分かりにくい」ことが要因と考えられる。
今後の導入に当たって,住民満足という視点が重視されつつある現状を踏まえて留意する必要がある。
(評価の課題)
最後に,評価への課題では,「評価精度の向上」「指標の数値化」「外部評価」「評価に対する職員意識の欠如」など挙げるものがあった。
具体的には,以下のとおり。
《評価の対象,目的》
- 予算編成過程の一環として事務事業評価を導入したもので,予算計上の事業ら単位での見直しにとどまる傾向があり,より高次の政策転換を伴うような見直しには必ずしも到達していない。
- 個々事業の絶対評価であったが,さらなる見直しをするために事業間の相対評価を行うとともに,事業を目的別にまとめた政策評価を行うこと。
- 総合政策課が財政課と同じセクションであることから,評価による純粋な事業選定の場に,財政状況が入り込んでしまう。
- 行政評価の統一システム導入の取組みにかかる職員の労働時間等のコストパフォーマンスを考えた場合,今現在先進的に取り組みことに疑問をもつ。
- 現在は行革大綱に基づく改革実施割合の計数化。事務事業及び政策評価システムの検討中。費用対効果の分析による効率的行政運営,市民ニーズに対応したサービスの提供,質の向上。市民関与と情報公開が不可欠。
- 行政評価は様々な手法があるのでどんな手法が当市にふさわしいのかを検討する必要がある。事務事業全般ではなく,政策・施策評価をまず行っていく必要があるのではないだろうか。
- 行政評価へのアプローチの仕方
- 行政評価制度に関する必要性・効果の検討。
- 個別の事業などの定量的な評価。
《評価の視点,指標》
- 目標管理による数値化評価の導入。
- 施策評価指標の確立。指標
(成果指標)の確立。
- 事業毎に多様性のある客観的指標設定の困難さ。
- 評価指標の整理,充実,既存資料との調整,統合による,よりわかりやすい資料への改良。
- より相対的かつ客観的な目標効果指標の設定が課題である。
- 評価指標,評価対象事業の検討
- 画一的評価基準では,適さない事業もある。体系的な評価システム構築が必要。評価者から5段階評価を採用している。評価を客観的に説明できる評価基準の細分化,数値化された評価指標が必要。
- 対象範囲をどう確定するか。予算編成作業との連動。成果指標を設定しづらい場合の対応。
性格の異なる事業の指標設定,評価基準
《公表,市民参加》
- 今までは内部評価であったので,できるだけ外部評価とすること。
- 評価にあたっての第三者の参加及び評価結果の公表の方法。
- 市民意見の反映方法,市民の評価への参画方法
- 事業評価委員会用資料を活用した内部評価の充実
- 導入の主目的 市民への説明責任の向上。
- 評価結果のフードバック(資源のリストラクチャーなど)方式の確立。
《そ の 他》
- 市民感覚にマッチした市民サービスの提供
- 人材育成(チームリーダー),コスト計算(原価計算),リンク方法(予算,定数,計画)。体系図づくりに時間がかかる。チームリーダーの力量に左右される。仕事のパターン化。
- 業務負担増。
- 評価制度の向上
- 評価に対する職員の意識が低い
- 現段階は原課が指標により客観的に評価することとしており,効果がなかなか見えてこない。しかし,職員の意識改革に重点を置いた第一段階であったため,これから,第二第三段階にステップアップをし,市民を含めた事務事業評価委員会の設置を図らねばならない。
- まちにふさわしい制度とするための評価手法の確立と仕組みづくり
- 職員の意識改革と定着
- 平成
11年6月から職員によるプロジェクトチームで事務事業制度の導入についての検討を行っている。先進市の事例を参考に研究しているが職員の意識改革に相当の時間が必要なことや客観的な指標づくりが課題である。
- 現在新しい総合計画(
H13〜22)策定の中で,行政評価について,内部で研究・検討している段階である。
- 政策の質の向上や効率的な予算配分,職員のコスト意識の醸成,さらには住民に対する説明責任といった観点から,他の先進自治体のメリットデメリットを研究し導入を検討したい。
- 全庁的な取組として,全職員の意識改革へつなげる手法の検討
- 職員の意識改革と各部局の理解協力といったシステム構築の基礎となる環境づくり
- システムの構築
- 低負担で効果のある評価システムの構築。・政策選択支援システムの構築 など
- 全庁的な行政革新の展開。・
- 評価のための評価とならないような事務事業の負担とならないシステムの検討。
- 議会,執行部の期待は大きいが財政の予算査定にどう生かしていくか。また,大型プロジェクト,税収の落ち込みなど財政の先行きが不透明。
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5 ま と め
導入した市,区は,いち早く行政評価のメリットに着目し,様々な工夫をしながら,それぞれの状況に適したシステムを探っている姿が浮き彫りになった。
厳しい財政状況の中で,事務事業の見直し,削減に力点が置かれる事例が少なくないが,行政のマネジメントシステムそのものを改革して,より効率的,効果的な事業を進め,市民満足を向上し,市民ニーズに応えていく取り組みもなされている。
試行錯誤の状況で,導入後の結果活用や市民との共通言語として利用している事例はまだ少ないが,今後,行政評価システムをレベルアップしていく上で,有効な示唆を与える事例も数多く見受けられた。
特に,評価システムの定着のために,事業の体系を描く,職員研修を充実させる,客観的な評価を目指した評価基準設定するなど,意欲的な試みがなされていた。
この調査は,「市民に分かりやすいシステムを目指して」,札幌市に対する提言・報告書をまとめる基礎資料とするため実施したものであるが,初期の目的を十分達成するに必要な成果が得られたものと言える。
今後,この成果を生かして,札幌市の行政評価システムのあり方をまとめていきたい。
6 資料編
アンケートに付随して,評価システムに係る資料の提供を受けたが,評価法の分析を主に,資料を整理した(似通った評価表やシステムについては,代表例を記載し,他を省略した)。
また,評価表は,(1)評価表の項目(2)特徴など,の順で記載した。
その他行政改革関係の資料も提供を受けたが,アンケート報告には割愛させていただいた。
評価表は,目標管理タイプが多く見られたが,各々重視する評価の視点で改良している。事業間の軽重をつける場合は,評価項目の点数化によるものが目立っていた。
資料1−2 評価表の分析2
資料2 アンケート用紙
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