政策課題研修「行政評価を考える」ー 報 告 11.12.3
                            都市政策研究室会議室
l1.gif (7620 バイト)

 この日からリーダを穴口さんに交替し,後期研修に入った。研修のまとめの時期であり,論文をまとめることを中心に研修を行う。

b1.gif (249 バイト) 論文骨子検討

 12月20日に講師の山口先生のもとで,骨子の意見交換会を実施するが,その準備作業に入った。具体的には,前回の論文骨子素案に肉付けを行う作業を行った。

 今回は,骨子素案の1及び2の検討を行い,次回,札幌市が導入すべき行政評価手法について取り上げることとした。


  ■ テーマ:「行政評価システムを考える〜
        市民に分かりやすい評価システムを目指して」
  ■サブテーマ:「事業・政策を的確に捉えた成果指標の確立について」

                 

1 戦略的な行政経営を目指して

 (1) 行政と取り巻く環境

@行財政改革
  • 経済不況,財政危機(税収不足・市債残高)

A地方分権

  • H12.4月から地方分権推進法スタート。
  • 産業振興一辺倒から地方の個性の創造へ

BVFM(ValueForMoney=費用対効果)

  • 税金の払いがい,不正支出や企共事業による税金使途への市民意識の向上

 21世紀を目前に控え,社会状況は大きな変化を迎えている。少子・高齢化,情報化,国際化の進展や産業構造の変化,環境問題の重要性の高まりなど,こうした変化に的確に対応することが行政の大切な責務になっている。
 右肩上がりの経済成長の終焉は,歳入の伸び悩みや福祉対策経費の増加,公債費の急増などにより,毎年度多額の財源不足を生ずるなど,危機的な状態に陥っており,財政の健全性の確保が課題となっている。組織体制や施策・事業の進め方,財政運営のあり方などを,簡素で効率的なシステムに転換しなくてはいけない。

 行政がさまざまな施策や事業を展開するにあたっては,住民に対し,その必要性や効果を明らかにする説明責任を果たすことが時代の要請となっている。この行政の説明責任(アカウンタビリティ)を果たすためには,住民と行政情報を共有しなくてはいけない。より市民の視点に立った,公正で透明性の高い行政を実現するためには,施策や事業の成果についての行政自らの評価を明らかにすることが重要になっている。厳しい財政状況にもかかわらず,不正支出が明らかになり,税金使途への市民意識が向上し,税金の払いがい”Value For Money”が叫ばれるようになった。行政が,有効性・効率性などを追求しているのか,適切に事務事業を選択しているのかを示すことが急務になっている。

 今日,全国の地方自治体は産業振興だけでなく,地方の個性の創造が求められるようなった。地域資源を活用した創造的な施策などの戦略的な行政運営が求められている。平成12年4月にいよいよ具体的な地方分権の動きが本格化する。自らの責任と判断で地域運営に取り組む経営体としての体制の確立が早急に求められている。

 また,市民と行政とのパートナーシップが一層重要になってきている。地域資源を有効に活用するためにも,施策・事業の必要性等を市民が判断するための十分な情報を提供し,市民意見を反映して施策・事業を選択・重点化していく必要がある。

   (2) 札幌の現状

@市債残高
  • 99年度末,約1兆円の市債残高(一般会計)
  • 市民一人あたり55万円

A D R 

  • 費用削減など一定の成果
  • なお一層の見なおし,同時に行政サービスの質の向上へと変化

B 事務事業評価

  • 行政改革のツールとして注目

 市債残高は,近年の経済対策や減税補填債の発行などにより,大幅な伸びを続けている。本市全会計における市債残高は2兆円に達している。一般会計でも約1兆円になる。これは市民一人あたりに換算すると約55万円である。市債残高の増加に伴い,起債制限比率も上昇してきている。市債の元利償還金の増大が弾力的な財政運営を阻害する要因となる。健全で弾力的な財政構造の維持や,財政基盤の強化に向けて一層努力していかなければならない。

 平成10年度から推進している行財政改革推進計画の取り組みにより,事務事業全般にわたって見直しや再構築を行うなど,財政運営の一層の効率化を図り,132億円の見直し効果が見込まれている。しかし,市税収入は,厳しい状況にあり,なお一層の見直しが重要であるとともに,限られた予算の中で創造的な施策を行うため,サービスの質的向上の努力が必要である。

 行政評価は新時代に対応した行政運営を進めていくうえでの手段の一つとして注目されている。行政評価の一形態として札幌市としても11年度から事業評価を試験導入した。行政資源(財源,人員等)の効率的・効果的な配分に有効なシステム作りを模索しているところである。


 (3) 行政評価とは?

@ 意 義
  • 行政の個々の事業,施策,政策を評価して,業務の改善や向上に寄与

A 目 的

  • 行政への信頼確保,行政サービス向上,市民満足向上
  • PDCA(Plan−Do−Cbeck−Actio皿)の実践
  • 行政の効率化,政策の有効性向上
  • 情報の提供や全開,市民と行政のコミュニケーション手段

B 種 類

  行政を「政策一施策一事業」の体系に分類すると,

  • 事業評価(執行評価)
  • 政策評価及びその中間の施策レベルの評価

C 効 果 

  • 市場競争原理の導入一他都市との比較,競争による3E(効率性,有効性,経済性)の向上
  • 行政の実情を説明するアカウンタビリティの実残,市民との対話促進
  • 行政改革の推進
  • 職員の能力向上と活用

 行政評価とは,行政の個々の事業,施策,政策を評価して,業務の改善や向上に寄与するものである。その目的は,行政への信頼確保,行政サービス向上,市民満足向上であり,職員間へPDCA(Plan−Do−Check−Action)の実践を根付かせ,行政の効率化・事業の効率性の向上,政策の有効性向上をはかる。また,情報を分かりやすく提供し,市民と行政のコミュニケーション手段として活用することにある。

 行政評価は一般的に,行政の政策の体系=「政策-施策-事業」に対応して政策評価・施策評価・事業評価に分類されている。

 行政評価は,行政改革の推進,行政の実情を説明するアカウンタビリティの実践,市民との対話促進に対する有効な手段として注目され,全国の自治体に浸透しつつある。職員が,事業の必要性,効果,コストなどを常に意識して事業の企画・運営を行うことにより,その政策形成能力などを一層高め,行政の財産である人材の有効活用が図られる。また,市場競争原理の導入により,他都市との比較,競争による3E(効率性,有効性,経済性)の向上も期待される。しかし行政評価は行政経営手法としては未成熟の状況であり,効果的なものにしていく必要がある。

2 行政評価の導入状況

 (1)行政評価の類型と特徴(表で)

 (2)事例紹介

@ 米国オレゴン州・青森市・東京都(市民参加・ベンチマーク)
  • 市民参加と分かりやすさ。市民と行政が目標となる指標設定により目標共有と協働に効果。

A 静岡県(業務棚卸)

  • 業務を樹木構造ととらえ分析・体系化することにより客観的な評価

B イギリス(ValueForMoney・市民憲章ほか)

  • 市民への公約と税金の払いがい
  • 同一基準で都市間の競争

C 三重県・札幌市(目標管理)

  • 目標とその達成度の比較,原因の追求と改善

D 定性評価事例

  • 評価項目について記入者の判断による5段階やABC評価など

E 外部委員会(オレゴン州・東京都)

  • 市民の主体的な委員会,指標の設定や評価を実施

 行政評価の導入事例は,次のとおり。 

 ベンチマークは,オレゴン州に代表され,東京都,青森県などに導入の動きがある。まちの課題と方向を明確にして,具体的な目標を定めることにより,市民に分かりやすく,また設定の過程に市民参加を行うことで,目標の共有化が図られるなど,政策レベルでの評価手法として有効性が注目されている。 

 静岡県に代表される業務棚卸表は,業務の「目的・手段の樹木的(連鎖的)構造」が特徴で,漠然とした日常業務を体系化することによって目的と手段が明確となり,仕事を分析するのに役立つシステムである。 

 イギリスは,市民憲章で行政がなすべきことを公約するとともに,税金に見合う成果と言う視点で,市場競争原理を導入したり,全国の統一した指標を設定して,市町村のサービスを同じ土俵で競わせるなど,中央主導のシステムである。 

 三重県が先駆的に取り入れた事務事業評価は,指標を設定して,目標達成度を図る目標管理型のシステム。簡便で専門的知識が不要なことから,導入を検討している自治体の注目を集めている。札幌市の試行している事務事業評価もこのタイプ。 

このほか,成果指標を設定する目標管理型に対して,評価の視点を5段階,ABC評価するなど,ある程度の基準を設定して定性評価するタイプの評価システムも一部の自治体で導入している。 

 さらに,行政評価を外部評価,内部評価に分類すると,前者の代表例がベンチマークである。委員会を設置し,市民主体に指標の設定を行う外部委員会型で,オレゴン州のプログレスボードが有名。道の政策アセス委員会も,評価のみを行う外部委員会タイプと言える。内部評価としては,目標管理型など現在多くの自治体で導入している業績評価法が主流である。

 (3)行政評価の傾向

  • 目標管理型が主流ー見なおしタイプが多い 
  • 市満足など顧客指向が弱い

 国内では,三重県が先駆けて目標管理型の事務事業評価システムを取り入れている。その影響もあって,評価システムは目標管理型が主流で,かつ厳しい経済情勢を反映して,評価の目的が事業の見直しに重点がおかれている。

 また,行政の目的は市民満足の向上が第一であるが,その視点での評価がほとんど取り入れられていない。

 (4) 今後の課題

  • 評価への市民参加一弱い傾向
  • 体系的評価一事務事業評価にとどまり政策評価まで至っていない
  • 予算・計画とのリンクー削減や見直し主体で,計画の管理や予算査定への活用はこれからの課題
  • 市民の分かりやすさ−事務事業主体で専門性が色濃く市民の関心が低い

 現在取り入れられている評価手法は内部評価が中心で専門的であり,市民にとって理解しづらいし,視点も行政寄りとなっている。よって関心も低く,市民の参加も弱い傾向にある。市民の声をいかに取り込むか。住民からの自主的参加を期待するだけでは問題解決にはならない。市の側から積極的にアピールしていく必要がある。具体的には,郵送のアンケート,面接,選考による代表者委員の委員会,苦情受け付け,電子メール,電子会議室などの手段が考えられる。場面に応じて適切な手段を選択して市民の意思が行政に具体的に反映するシステム作りが求められている。

 自治体の多くは事務事業評価にとどまっており政策評価まで至っていない。これは事業見直しや予算削減の手段となっており短期的視野で評価の効果を上げようとしているためである。事務事業は政策という大きな目標を実現する手段であり,長期的視野に立った戦略や計画を整理し,そこに事業を絡ませていく必要がある。ベンチマークなどの上位の指標を設定して長期的な目標を明確にすることにより,体系的な評価を目指さなければならない。

 現在の事務事業評価の目的は,財政悪化による事業の効率化で予算の削減を目指すなど後ろ向き。限られた資源である予算と,政策目標である計画とは,本来同一の評価に基づくべきである。削減や見直し中心である現状の評価を,計画の管理や予算査定へ活用していくことはこれからの課題と言える。

 現在の評価は事務事業中心で専門用語が多く市民にとって理解しにくい。指標の式も複雑でその効果が把握しにくい。定性評価は記入者の主観となるので拠りどころが不明である。

 財政悪化や地方分権など,現状の課題を認識することなく業務に携われるのが問題。現在の評価は,職員による内部評価的な色彩が強く,評価そのものの目的が浸透していない。行政評価は,評価主体の評価能力や仕事の進め方に関する意識などが評価を左右するが,能力向上や意識改革といった方策が不十分である。(以降,次回に検討予定)

b1.gif (249 バイト) ベンチマークなどについて

 札幌市が導入すべき行政評価にベンチマークを取り入れるべきとまとめる方針であるが,メンバー間に認識の相違があり,その他の評価システムを含め,提言事項を整理して持ち寄ることとした。

 また,事務事業評価,施策評価及び市民参加についても認識の共通化を図るため,次回討議を実施予定。

 なお,ベンチマークについては,ひとつの整理の仕方としては
                                 別紙参照

戻 る