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 「公会計制度改革と公共経営シンポジウム」を開催

 2月18日,札幌市で宮脇・北大教授,逢坂・ニセコ町長,石原・関西学院大学助教授,植田・札幌市財政局長などを迎え,「公会計制度改革と公共経営シンポジウム」が開催された。

 札幌市は,成果を志向した新しい公共経営に対応していくため,昨年12月に企業会計手法の試案を公表しているが,これをきっかけに公共経営の新たな視点を展望しようと開催したもの。

 市民、札幌市職員、市議会議員のほか、周辺市町村職員,地方議会議員など数百人が参加して,壇上の熱い議論に耳を傾けていた。

 主な内容は以下のとおり。

※発言内容は筆者がこう受け取ったという主観であり、発言者の真意と異なることもありえるので念のため申し添えます。

1.         日時 2月18日()13:30〜16:50

2.         会場 札幌市中央区 ホテルノースシティ

3.         特別講演 米田耕一郎・自治省行政局行政体制整備室長

4.         パネルディスカッション

  • 宮脇敦・北大法学部教授

  • 逢坂誠二・ニセコ町長

  • 石原俊彦・関西学院大学助教授

  • 植田浩・札幌市財政局長

  • 森田裕司・公認会計士(トーマツ)

5.   内 容

(特別講演会ー新しい自治のかたち〜地方自治の枠組み・自治体経営

 少子高齢化は人口の減少を招き,とりもなおさずGDPの減少は必死である。労働力人口の減少がGDP減に結びつくには,余程の労働生産性の飛躍的な向上が無い限り自明の理である。もはや旧来の行政システムでは良くなりようがない。

 地方が知恵を出して,解決していかなければならない。東京都の外形標準課税はこうした議論を巻き起こしたことは評価できる。分権の意味は、国の仕事を地方に移すことではない。国の関与を最小限にするのが本質だ。

 今後,重視しなければならないのはコミュニティ。情報公開を進め,参加を促し、住民参加・職員参加で自らの問題は自ら議論して解決していくことが大切である。

 使える資源はどのぐらいかをしっかり見極め,説明していくことが議論の前提である。その上で財源・人をどこにどのように配分するかを決めることに。公会計はこの点で不可欠な改革である。

(パネルディスカッションー公会計制度改革と公共経営

 【主な発言内容(敬称略)】

  宮 脇 

  • 単式簿記は,予算を消化するための会計。これからは効果をあげること、そのための正確な情報を提供することが公会計の役割。現行のシステムは将来どのような費用を生むのか、コストにしてもごく一部しか見えない。政策の優先を議論できる会計システムが必要だ。
  • 独立行政法人は,官と民の中間組織。会計には新しいコンセプトを導入する。すなわち、複式簿記を用い,予算(国から配分される予算)は,国民からの預り金と位置づける。支出は,行政サービスとイコールとしない。支出が10億円でも、行政サービスは5億円ならば負債は5億円しか減少しないというのが特徴である。
  • 企業会計=公会計にはできない。なぜなら、企業の場合外部環境は与えられたものだが、自治体は例えば景気対策のように環境に働きかけていかなければならない。違いを見極めて導入を図るべきである。

 逢 坂

  • 従前の行政手法はほとんど機能しない時代だ。町の責任者として説明責任を全うする手段が無い。科学的で,経験・温情ではない論拠が必要で,公会計の改革はそのひとつ。
  • ただ,忘れてはならないのは、どのように優れた会計制度でも,効率性をはかっても解決できない命題がある。例えば、ニセコ町の町内で必要なサービス、財を調達したらコストは高い。でも町外にすべてを求めれば町はもたない。バランスと折り合いの視点が大事だ。それを議論するのが,首長,議員,政治家の役割である。

 石 原

  • 公会制度、行政評価はあくまでもツールだ。導入目的が明確でなければならない。貯金をするのに目的がないと使い方が分からないことになってしまう。民間を真似ようということではない。バランスシートを何のためにつくるのかをまずはっきりさせよう。
  • 会社では第一線の車のセールスがお客様と交渉するのに、在庫や財務の状況を知らなければならない。人、モノ、金が整理されているのが企業会計。行政も同じ。市民の接する現場と企画を離してはならない。札幌市でも区役所経営システムを考えたらいかがだろうか。お金の把握は公会計、手続き・前例ではなく,顧客満足でニーズを把握、ビジョンを描くことが大切だ。
  • 札幌市の試案の優れたところは、資産をサービスポテンシャルと捉えたことだ。多くの自治体の貸借対照表は財産目録と同じで、消滅しようのない自治体の正味財産を計算しても意味が無い。換価価値ではなく、サービスを提供する自己資金を意味することに。また,これから大事な人的資源、ノウハウがバランスシートにはのっていない。企業会計にもないが大切な視点では。
  • 長期計画、会計、評価システムのリンクが大事だ。長期計画も財源を将来のランニングコストを含めて判断する。戦略化が必要で、コストとは何か、予算はどの単位で説明するのかなど課題はある。でも、三重県のマトリクス会計のように計画の体系で予算を切り分けて分析する手法など、工夫すれば違った視点で見えてくる。まず、やれるところから動きださなければ。

 植 田

  • 札幌市の財政危機は、数年で歳出が2000億円以上伸びているのに、市税はわずか60億円にも及ばない伸びということが象徴している。一般会計の市債残高は1兆円を超えている。
  • 何のための企業会計手法かと言えば、従来の行政手法では限界があり,内部効率性をあげてコストを下げるとともに,市民満足を向上させる,そして市民への情報提供と内部効率性(コスト)を職員がしっかり見極め業績評価に生かしていくことにある。さらには、市債を買っていただく投資家へ情報提供をすることにもなる。
  • 札幌市の試案の最大の特徴は、資産、市債ともに生活,環境衛生、保健福祉、教育文化など分野別に捉えたこと、また、作成した財務諸表を用いて何がわかるかを具体的な札幌市の現状でしたこと。つくることが目的ではなく、何に使えるかが大事である。

    (参 考) 札幌市のバランスシート

 森 田

  • 企業会計は、プロを相手に発達してきた。しかし、公会計は行政サービスを会計的に管理することと、市民が対象で市民に理解されるもので無ければならない。専門家、内部の職員、市民に分かりやすくである。

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