「PFIとは何か?」井熊均氏の講演を聞いて 札幌市職員の自主的研修である自治研修センター主催「プラス・ワン・セミナー」が3月2日夜開催された。講師は,この分野では第一人者と言える日本総合研究所の井熊均氏。100名を超す札幌市職員が,今,区役所の立替や第二斎場(火葬場)の建設手法として話題に上っているPFI(Private Finance Initiative)についての講演に聞き入っていた。 すぐに行政評価に結びつけてしまうのは悪い癖だが、「行政は予算主義。でも,企業は結果主義だ。予算消化ではなく,効果が出るという期待感で事業を行う。また,企業は厳しい財務指標を採り入れている。目標値を設定することで,必ずコスト削減につながるものだ。」というフレーズが印象的であった。 以下、主な講演内容を紹介しよう。 ※発言内容は筆者がこう受け取ったという主観であり、発言者の真意と異なることもありえるので念のため申し添えます。 公共サービスは言わば“草野球”だ。自分でプレーして,自らジャッジする。一人よがりになりがち(私の脚色)。PFIが注目されているが、なぜPFIかを認識すべきである。 PFIは官民の協働事業で,公共事業の民間移転ではない。ニーズが多様化しているのだから,ジェネラリストの行政より,プロのスペシャリストの民間が取り組んだ方がニーズにこたえられる。今や世界の潮流は,債務縮小に動いている。米国や英国でも公共財政は縮小を志向している。 このままでは、公共財政は破綻する。金利の急上昇を招くか,歳出の大幅カットはこの数年のうちにやってくる。行政の高コスト構造と予算の単年度主義が招く、コントロールできない後年次負担が問題だ。 普段の生活をして,行政のように事細かな規格を指示して発注を行うだろうか。”性能発注”が一般的であろう。建物もどのような性能かが大事で、欧米は性能発注が基本だ。普通の感覚を大切に。 公共事業はハードが主体。後年度の運営=ソフトは考慮していない。ハード先行は負担の先送りで、ランニングコストは大きな負担を生じる。ライフサイクルを意識した事業の管理が必要だ。 かつて英国病といわれたイギリスにサッチャー首相が改革を行った。これは民間のリストラテクニックと似ている。日産が資産を売却したように、公共の民営化は債務圧縮ができる。公共セクターもこうした民間の改革に学ぶべき。 PFIは,オフバランス化ー資産を持たないことを意味している。ソニーが他社の製品にソニーのブランドをつけて売るとしたら,工場は要らない。札幌市の看板で民間がサービスすれば札幌市に設備は要らない。今、体系的な財政改革が必要で、負担先送りをとめなければならない。 米国は契約社会。日本には契約のドライな考えが根付いていない。欧米では、契約するとき「つぶれたらどうするの?」の質問が当たり前。10年,20年先を考えたら会社が存続するのか分からない。リスクを行政がとらないように契約することが基本。 PFIの意義はコスト削減。素人の職員が使いこなすように例えばシステムを設計するのと、プロが使うように設計するのではコストの差は歴然。また,市場からの調達力は乖離が大きい。行政は予算主義だが,民間は結果主義。厳しい財務指標を採り入れ、目標を設定すれば必ず高コストが下がるのが民間企業だ。財政支出もハード建設当初に莫大な経費をかけ、「L」字型の負担よりも、平準化した財務管理の方が利点が大きい。財政が厳しくなるのは必死で、PFIにより資金調達の方法の選択肢を広げておくことが必要だ。 PFIでは行政がリスクをとらない工夫が大事。PFIでリスクをパッケージにして頼もう。 PFIには、段階的に次のような手法がある。
何が適切かを見極めて選択しなけらばならない。何のためのPFIかの視点をもってコンセプトをしっかり組み立てなければならない。 題材に取り上げた埼玉県のSKIPシティー DB−O.JVの手法の代表例 (私の進める参考HP) なお,経済企画庁が11年8月にまとめた報告書が簡潔な資料です(PDFで37ページ) PFI推進研究会報告書 (その他) 総理府民間資金等活用事業推進室のPFIのページ |