E 専門評価会

  個々の事務事業評価は,評価の作業における効率性や市民の関心度を考慮すると内部評価が適当と考える。

しかし,札幌ドーム,札幌コンサートホール(Kitaraなどの大型公共事業も1つの事務事業である。

 これらの事業は,事業費が100億円を超える起債で将来への借金として残ること,施設に係る維持運営費や管理に当たる職員の人件費は建設費の償還と合わせて毎年支出することになること,多額の税金投入に際して市民にニーズがあるかを考える必要があること,さらに市民生活や環境への影響が大きいこと,など通常の事務事業と同列には考えがたい。

 このように実施により市民生活に大きな影響を及ぼす大規模事業については別な視点からの評価が必要と考える。

 これに対応する手段として専門評価会を作り,専門家を構成に加え,行政,市民,専門家が一体となって事前に検討することを提案したい。

また,これらの評価に当たっては,目標管理型よりはむしろ費用便益分析*10費用対効果分析*11やコスト分析など科学的な分析手法を用いて判断材料をそろえることが必要である。

さらに,市民ニーズを把握するとともにパブリック・コメント制度など市民意見を十分に取り入れるなどの配慮が求められる。

なお,専門評価会の開催には次の4点を基準とする。 

  • 事業費が大きく次世代に残す負担が大きい
  • 建設後のランニングコストが大きく,収益などとバランスの計測を要する
  • 大型投資に当たっての市民のコンセンサス(意見の一致)が必要
  • 市民生活,環境などに影響がある

F  議会と行政評価

議会には,本来市民の代表として市政に対し情報を集め調査する権限があり,市民にとってより充足度の高い事業を選定,改善の意見を述べ,行政を監視する機能を有する。

しかし,議会においても時間的制約により,あらゆる事業の細部までの調査は現実的に難しい。

このような状況の中で,○行政評価をきっかけとして行政の目指す方向性,事業の実施方法が細部(個々の事務事レベル)にわたり明らかになる。ベンチマークで得られる情報を市民の意思を把握する1つの手段となる。などの効果により,行政活動の是非を議論するとともに,調査権などを有効に活用して,最終的に予算・条例の議決という形で関与を図る構図が描かれる(図3−4参照)。

行政評価は,議会軽視という議論も聞こえるが,議会をさらに活性化する手段とも言える。

    ■図3−4行政評価と議会の関係

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  (4)その他

@ 情報公開と効果的なPR

行政評価にかかる情報公開は,公共施設における直接の閲覧やインターネットの利用というのが一般的である。札幌市においても同様の方法は必要である。

しかし,評価結果を公表して市民・職員が理解して共有していくには,何よりも『分かりやすい』ことが前提である。従来の公開は,内容が専門的なまま放置されており,とりあえず目を通してもらうといったスタイルではないか。

これを回避するためにポイントを押さえてやさしく解説する,また,事業の内容の変化が見えるよう指標を分かりやすくして表にするなどが必要である。

評価を関連指標ごとに構築しデータとしてまとめ,また現在の本市における行政サービスの水準(他自治体との比較)を発信していくなど,市民がよりVFMを意識した形で論点を発掘できる体制を目指すべきである。

この点から次のとおり「行政評価データブック」の作成公表を提案したい。

【行政評価のデータブック】

 行政評価データブックとは,評価で捉えた課題と現在値を体系的に整理したスコアブックである。具体的なイメージは,以下のとおり。

u        課題が具体的で札幌市の優れていること,劣っていることなどが一目瞭然に示される。

u        分かりやすい指標で市民に議論を沸き起こし,評価に対する関心を高める。

u        比較対象はデータで異なり全国や同規模都市,民間などが考えられる。

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※水道料金は一般家庭の標準使用量=2ヶ月で48立方bにおける月額料金

※全国都市番付〜住民サービスここが一番:日本経済新聞社/日経産業消費研究所【編】より抜粋


 A フィードバックシステム

情報公開を基に集約された意見をいかに使うかが評価システム成功のひとつの鍵になる。現状における意見・要望への対応としては,その当事者に回答を返して終わりという形が多いのは否定できない。

この場合大切なことは,これらの意見・要望の内容とその対応結果を蓄積し,共有化を図ることである。
現在全庁的な取組みとしてイントラネット*12の構築が図られているところであり,これを活用してデータベース化を行ない,各部局が現場において情報化を活用して評価や業務改善を活性化させるとともに,結果についてさらに公開することにより住民とのキャッチボールを行うシステムの構築が必要である。

また,アンケートによれば評価システムの事務的な負担感が否めない。こうした意味でも評価表の作成を容易にし,情報共有により職員がPDCAサイクルによる事業の分析,検証のほか改善などの政策形成に力点をおける体制が必要である。

■イントラネット活用イメージ

@ 統計,調査報告,計画書,苦情・要望,意識調査,アンケート結果などはデータベースに蓄積する。なお,日常から市民満足に着目したデータ収集に当たる。
A 成果指標,必要性などは,全庁で共有するデータベースを活用ができる。評価表はフォームに入力して作成する。
B 入力した事務事業評価のデータは,共通部分が施策評価表に反映されるほか,予算調書・計画調書など各種帳票に出力され,不足部分を入力することでそれぞれの作成が省力化される。

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 B 導入計画・組織

 評価手法を導入する時期としては,計画の体系と照合し適切な指標の設定を図ることが大切であり,次期5年計画策定時を目標に完成を目指すべきものと考える。札幌市においては11年度より事務事業評価の試行,12年度からの対象拡大・本格実施へと動いている。これを踏まえ,政策評価までの導入スケジュールを次のとおり提案する。

 ■表3−4 導入スケジュールイメージ(次期5年計画をベースとして)

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また,行政評価を統括する担当課設置の必要性が問題になる。しかし,現在の5課プロジェクトチーム方式においては調整が手間取る反面,横の連携を確保して,それぞれの業務に対応した多岐に渡る視点で導入が図られる。

今後の展望としては,行政評価が定着して軌道に乗れば,各セクションがそれぞれの役割を果たして行くことで円滑な運営が可能となり,評価部局は不要と考える。

具体的な役割は次のとおり

(行政評価における役割)
・企画調整局‥‥計画の見直し,戦略計画化へのシフト
・財 政 局‥‥内部評価の2次評価としての事務事業査定,予算編成
・人 事 課‥‥計画に基づく組織編成への定数査定
・都市経営課‥‥評価の総括,評価システムの見直し,更なる改善
・監査委員‥‥独立機関として施策体系を2次評価(評価システムの評価)
・自治研修センター‥‥TQMリーダー研修,NPM研修

 なお行政評価の導入にあたっては,単なる予算削減を目的としたツールでないことを強調すべきであり,その点で現場が組織防衛に走り,やる気を削ぐことの無いよう配慮することが求められる。そして行政評価は「成果」を求めるもので,効果のない事業は自然淘汰されていくことはあくまでも結果に過ぎないことをしっかり認識しなければならない。

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