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行政評価の射程距離と限界?(その1)

 行政評価は万能ではない。様々な課題を一気に解決してくれる特効薬でもない。評価を導入する目的に合わせて,評価の視点を定めた制度設計が必要である。そして評価の限界,いわば射程距離を認識して活用することが大切ではないか。評価の目的,背景,外的な要因,そして限界を理解して用いなければならない。

 例えば,評価システムは政策そのものの選択はしてくれない。政策の選択は,価値判断そのもの。価値観に根ざした政策的な判断である。行政評価は,その有力な判断材料を提供するが,政策判断そのものを行うものではない。評価は事実,言い換えればデータ,指標にもとづく判断である。

 宮城県で知事が外部評価委員会の結論を覆して事業を中止した例がある。県の大規模事業評価委員会が建設を「妥当」と答申した保健福祉医療施設を,知事が「凍結」とする政策判断をしたもの。行政評価が政策判断を下すものではないことを示す出来事である。

 また,あるシンポジウムで,ニセコ町の逢坂町長がこう言われた。「効率を考えれば,町の外から財やサービスを購入した方がよいだろう。しかし、それでは町内の会社がつぶれてしまう。どの程度を選択するかは,バランスと折り合いが大事。そのバランスと折り合いをつけるのが政治家,首長,議員の役割である」。まさに,評価の限界を示している。何に価値を見出すかという政策的な判断は,評価シートには書いていないし,行政の自己評価,点検ではでてこない結論と言えよう。

 次に評価の視点をどこに置くかでも結論は異なってくる。例えば,経済振興のために,公営温泉を整備して10億円の事業費を支出し,30人の雇用が生まれた場合,7億円の物産館を建設して,同じく30人の雇用が生まれたとする。物産館の場合,効率性でも有効性でも公営温泉を上回るように見える。しかし,物産館は専ら市外に住む人が利用する。これに対して公営温泉は,経済振興ばかりではなく,お年よりのふれあい施設や誰もが楽しめるレクリエーション施設にもなりえる。予算という行政資源の制約や市民のニーズ,将来の予測,そして波及効果など効率性や有効性とは別な視点での評価も必要とされる。

 評価にはその視点に多様性がある。同じ評価システムであっても基準を一様に置くことには難しい。評価の基準が複雑多岐にわたる。評価シートにある評価項目が同じでも、どの視点を重視するかは事業一つひとつで異なるのではないか。要は,その重視した評価ポイントが市民に支持されるかが大切である。

 そして完璧を期すことが公務員の習性だが,評価には最初から完璧はありえない。評価そのものの不完全さを認識しつつ,何を評価で目指すのか,結果をどのように利用するのか、を明確にして評価を進めなければならない。家計支出においても,食費にかけるのか、ファッションにかけるのか,教育費を重視するのか、あるいは住宅かなど多様性がある。まして分権時代にある今,3000余りの自治体ごとに異なる評価が存在し得るのではないか。

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