1 テーマ 」
2 開催の目的
行政評価,バランスシート,公共マーケッティング,市民電子会議室など新たな行政経営の手法が導入されてきていますが,さらに実効あるものにしていく努力が求められている。行政の現状に問題意識を持ち,日頃仕事や自主研修に取り組む職員は少なくありません。これら職員に,行政経営の最新事情を提供するとともに,職員,研究者,市民のネットワークを構築し,新しい行政経営の潮流を探っていく。
3 主 催
行政経営フォーラム,甘木市事務事業評価システム研究会(北海道グループ)、札幌市公会計検討プロジェクト会議,
4 日 時 9月8日(金) 午後1時30分〜4時30分
5 会 場 札幌市中央区北1条西1丁目 市民会館3階5号会議室
■ 会 場 案 内 図
6 内 容
(1) 「バランス・スコア・カードの行政への導入を探る」
発表者:札幌市総務局都市経営課 知野 学氏
札幌市都市経営室は,今年度の政策課題研究のテーマとして,「バランススコアカード」を選定,8月30日,庁内の関係部局などで構成する「札幌市バランススコアカード研究会」を設置した。
今,なぜバランススコアカードに注目したか,期待すること,研究のきっかけとなった札幌市の取り組みの現状,今後への期待,検討課題などを発表したい。
札幌市は,平成10年度から行政管理課を都市経営課へ,さらに12年度から都市経営室を設置し,「管理」から「経営」を意識したマネジメントシステム改革を展開している。
その一環として,局の機能強化による局内総合行政の推進,予算・定数・機構の見直しによる権限委譲,事業評価システムの導入,ISO14001など矢継ぎ早の取り組みを行っている。
今後も,施策評価,政策評価,組織・業務のマネジメントシステム,局の運営方針に基づく局運営などを検討している。
しかし,伝統的な組織運営システムに加えた新たなシステム・取り組みが職員の負担感を増し,相互の連携を欠いて十分機能しているとは言いがたい。
このため,戦略的総合マネジメントシステムの構築を目指し,ひとつの選択肢としてバランススコアカード(以下「BSC」という)の研究を始めた。
BSCは,アメリカのロバート・カプラン,デビット・ノートンの開発した戦略的経営管理手法のひとつ。「財務」「顧客」「内部業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点から評価するもの。
4つの視点で,それぞれにいくつかの重要業績指標(KPI)を選択,それぞれの指標が相互にリンクし,関連を見極めながらバランスをとって評価するシステムである。
このカードにより、次の4つの戦略をマネジメントできる。
(1)ビジョンの戦略を明確にし、分かりやすい言葉に置き換える。(2)戦略的目標と業績指標をリンクし周知徹底させる。(3)計画、目標設定、戦略プログラムの整合を保つ。(4)戦略的なフィードバックと学習を促進。
さて,なぜ札幌市にもBSCなのか?。
11年度から事業評価システムを導入した。今後,施策,政策評価へ発展させるが,行政評価は,妥当性,必要性,有効性,効率性など民間企業にもまして多様な評価軸を考慮する必要がある。
また,総務,人事,企画,財政など行政評価に関連する部門が多様であり,これら視点を総合的に考慮する仕組みが不可欠になっている。
札幌市では,BSCに,これら全体像を評価する仕組みとしての可能性があるのではないかと着目した。
現状では,従来型の「予算査定」「定数機構査定」「5年計画事業査定」などに加えて,事業評価,バランスシート,ISO14001,局機能強化などの仕組みに共通する情報共有のプラットフォームをイメージしている。
個人的には,新たな総合マネジメントシステムにならないか期待している。
また,組織的なコミュニケーションのプラットホームとして,全体のBSC,各部門,政策分野のBSC,課・施策・事業レベルのBSCなどで,異なる部門,組織間で相互の関連性についてコミュニケーションを図る組織的な展開もイメージされる。
BSCの導入を考える上で,「守備範囲」「4つの視点が行政に最適か?。他の視点はないか?。」「長期計画と戦略ビジョンとの関係」「構築にはどのようなステップをとるのか」「人事,給与への反映は?」「予算とどのようにリンクするか」など課題は少なくない。
今後,全体のフレームワーク(導入目的,使い方,他の評価との関係,評価対象,評価の切り口,運用フローなど)を検討,主要事業への具体的な事例検討,実施するとした場合の方向と課題整理などを研究会の中で取り組みたいと考えている。
具体的な内容はこれからであるが,BSCを題材に戦略的総合マネジメントシステムの構築を目指したい。
(質問)
行政評価では,個々の事業の施策への,政策への寄与度などどうはかるかが大きな課題であるが,BSCではどう考えるのか?
(回答)
BSCの根本は,重要業績指標あるいは重要成功要因の分析をシステム的に捉えることにあると考える。具体的な方法はこれからの課題であるが,何が大切かを見極めることがBSCの出発点であり,事業,施策の貢献度などは当然視野において考えることになる。
(2) 「行政経営の将来ビジョンを描く)」
アンダーセン・コンサルティング
官公庁本部 戦略グループシニアマネージャー 後藤 浩氏
(ABC及びABMについて)(ナレッジマネジメント)について講演いただいているが,諸般の事情により内容は省略。
(3) 「福岡市のDNA2002計画の現状」
発表者:福岡市市長室行政経営推進担当課長 吉村慎一氏
経営改革は、市長が責任を負っていることから福岡市経営管理員会の提言の位置づけは、市長への提言である。そもそもこの取り組みは、「民間経営手法の積極的導入」という市長公約がスタート。市長は、提言を受け止めて推進を表明、市役所内へでの取り組みが開始されている。
提言のポイントは、次のとおり。
○新行政経営システムを提言
・市役所が「よりよいサービスをより効率的に」提供するための抜本的な経営構造の改革。そのため、改革し、チャレンジし続ける組繊文化を確立(市役所のDNA転換)
・具体的には、実践運動(ムーブメント)、管理システム(マネジメント)、経営体制(ガバナンス)の3つのレベルで改革、9項目、計27の具体的な改革案を提言、2年の間で行政経営を確立。
・まずやるべきは、
@DNA運動:課ごと、施設ごとの改善運動
A行政マーケッティング運動:民の声をトップにあげる運動
Bプロポーザル運動:おかしいと思うことをすぐ直す運動
○提言の特色
・事実と事例の分析から出発し、観念論は極力排した(全職員アンケート、局長インタビュー、分権市民の会インタビュー・アンケートを実施)
・おかしいと思ったら「おかしい」と言い、職員一人ひとりが問超意識をもって行動を起こし、全庁的に、かつ市民と議論しながら改善していく風土の醸成
・抜本的かつ持続的に改革を展開させるための仕組みを組み込む
(トップのリーダーシップ、職員の改革意欲、市民の参画・監視、民間経営手法の導入)
○提言策定に当たっての委員会の基本認識
・現在の市役所の「わかっていても解決できない」という経営の体制と体質そのものが問題(今回の職員アンケートで出てきた問題の殆どが、6年前の係長アンケートで指摘済み)
・今回の改革の狙いを成果につなげていくためには、行政全般にわたり、かつ実施の手順にまで結み込んだ検討と提言が不可欠
・個々の職員の潜在能力は極めて高い。新たな経営手法をうまく導入すれば行政サービスの質と効率の大幅な改善が可能
・行政評価、企業会計、PFI等の手法は、経営管理のための道具。職員の仕事のやり方や発想法、経営体制そのものの改革ができていないと効果が希薄。特にバランスシートは取り敢えず作成し、内容精査や活用方法については今後の検討課題
・「役所の論理」から「市民が主役」への転換は、組織風土や発想をはじめ、予算のつけ方から支出の手続き、意思決定の仕組みなど、あらゆる場面で仕事のやり方を変えるべき
・行政機関は、本質的に世の流れに対して受け身。無駄や非効率も発生しやすい。常に経営を革新し続けることが必要
(福岡市経営管理委員会の提言「DNA2002計画:市役所のDNA運動に向けて」の内容については、トップの強力なリーダシップのもと、民間経営手法、市民参加/協働、自律型組織の3つに対して、実践運動、管理システム(マネジメント)、経営体制(ガバナンス)、から分野別、段階別に取り組みを進めようというもので、提言書22ページ「新行政経営システム」の全体像をつかって、説明がなされた。
詳しくは、http://www.city.fukuoka.jp/info/keiei/index.htmに掲載されており、ここでは省略)。
決して平坦な道のりではないが、提言後の経過について次のとおり。
04/26 各局・区に提言書を送付
04/27 経営管理委員会HPに提言書を掲載
04/28 市役所全庁OAに提言書を掲載
05/09 庁議において提言の内容及び取り扱い方針について説明
05/11 市職員を対象にした提言説明会(キックオフミーティング)開催 (参加市職貝:約400人)
05/12 全庁OAシステムに「DNA掲示板」を立ち上げる
06/01 市政だよりで提言内容の広報
06/05 第10回経営管理委員会を開催
06/14 提言の基本方針について第10回経営管理委員会の再開
07/10 DNA運動の全庁説明会(各局・区総務担当課長会議)開催
07/13 行政経営フォーラムの開催(参加者:約300人)
07/17 DNA局部長ミーティング開催(参加者:180人)
07/21 第1次DNA研修・1日日コースを開始(7日間:621人参加)
07/26 第1回行政経営推進委員会開催
※行政経営推進委員会は、提言の実現に関する方針決定、職員提案(プロポーザル運動)の方針の即断即決などを担うもので市長,助役、収入役,総務企画局長、区長の代表で構成
08/01 第1次DNA研修・2日日コースを開始(6日間:598人参加)
08/07 第11回経営管理委員会を開催
08/08 市長定例会見にて「すぐやること6項目」実施を発表
08/23 第2次DNA研修・1泊2日を日日始(6日間:119人参加)
08/25 第2回行政経営推進委員会を開催
08/28 第12回経営管理委員会を開催
09/01 プロポーサル委員会発足
3つの報告は、講演を聴いて要約したもので文責は筆者にありますので念のため申し添えます。