杉並区が
「ざいせい2003」を公表ーABC手法も試行
自治基本条例の制定など先駆的な取り組みを進める杉並区が、このほどABC(活動基準原価計算)分析を取り入れたミニ財政白書を公表した。
「ざいせい2003」と題したこのレポートは、区の財政状況を区民に正確に知ってもらおうと、企業会計的手法も取り入れて作 成しているもの。
今回は、これまでの財政指標や財務諸表などに加え、企業のコスト分析で用いられている活動基準原価計算ーいわゆるABC分析
を活用し、地域区民センターなど3事業を対象にコスト計算を行っている。また、財政負担のうち現在及び将来にわたり大きなウエイトを占めている補助金や債務負担行為などの現状も新たに掲載しているのが特徴だ。
ABCで取り上げた事業は、「地域区民センター集会室」「スポーツ振興財団事業」「放置自転車対策事業」の3つ。放置自転車1台の撤去費用は2,896円で、返還撤去+集積所管理+返還では実に6,116円かかる計算で、撤去手数料3,000
円だからで倍以上のコストがかかる。このコストと手数料との差額は、税で補てんされることに。受益者負担の原則からは、見直しに向けた検討も必要となってくるとしている。コストの可視化で問題を洗い出すことは、今後ますます活用の可能性が大きい手法といえよう。
なお、6つの事業をモデルとして事業別コスト計算も行い、利用者一人あたりのコストを計算したものを昨年度と比較しながらご説明している。
情報共有によるガバナンスを実践―「多摩市行財政診断白書」
このほど,多摩市が「行財政診断白書」を公表した。行財政改革に向けた白書は数多く出されていますが,この白書は、「市民の皆さんとこのまちの財務情報を共有化しよう」というコンセプトに貫かれ,ひじょうに分かりやすいことが特徴だ。市民と行政が同じ地平に立ち議論するための材料として、過去のデータ、現状の問題点、コスト、改革の方向性等をまとめている。
行政評価やバランスシートを導入していても使えこなせない自治体が多い中で,これら手法も駆使しながら情報の非対称性を解消して,多摩ニュータウンという急膨張により成長し,逆に急激な高齢化や税収の減少など多くの問題を抱えながら,市民と行政がともに議論していこうという姿勢が貫かれている。
総論では,厳しい財政事情やサービスの水準などを指標を使って示したり,「市税、各種使用料、手数料の徴収」「行政体制の再整備(人事・組織)」「義務教育施設の関連費の繰上償還」「土地開発公社の保有地」などの具体的な現状と課題を整理している。
各論では,「眼前に迫る公共施設更新への対応策」「行政が税金を使って提供すべき公共サービス(行政サービス)の守備範囲」「補助金のあり方、サービス水準のあり方」「特に早期に方向性の結論を出すべき個別事業・施設」という4点に絞って,市としての問題認識の所在を率直に明らかにし、その視点に沿った分析を実施。公共施設では,他都市との水準の比較,市内の分布,サービス水準を具体的に示し,維持管理のシミュレーションを行い,「まず公共建築物の縮減(数の削減)が不可欠」「その上で既存公共建築物の長寿命化・延命化による有効活用が必要」という方向を提示している。また,重点検討対象事業では,同様に具体的な指標を示し,公共の守備範囲についての問題提起する。
情報の共有化こそ、「今後の改革に向けて欠かせない第一歩」という考えで,急速に少子高齢社会に突入する多摩市の未来に向けて大きく舵をとるにあたり,様々な意見をもった乗組員が,座礁しないようにその羅針盤をつくり、ともに助け合う明るい夢のあるまちづくりを進めるという「ガバナンス改革」の実践事例として注目されよう。
北九州市がルネッサンス構想評価研究報告書の公表
このほど,北九州市の基本構想「北九州市ルネッサンス構想」について、外部評価による研究結果報告書が公表された。この「北九州市ルネッサンス構想評価研究報告書」は,九州大学へ委託し、学術的な観点からの外部評価したもの。14名の委員が、産業・社会福祉・行財政改革などの9分野に分かれ、チーム形式で担当分野別に評価研究し、各自の立場で、それぞれの責任において評価をまとめている。
各分野別に特徴的なテーマについて、その施策と実態から当該テーマを評価し、それらを総括する形で分野全体の評価する手法が特徴だ。資料分析やヒアリングに基づき研究を進め、研究者全員が参加した研究会で報告し、議論するということを繰り返し、論点を明確にしている。全体の流れを長期間にわたって掌握することは、トップにあるもの以外はほとんど不可能である。ほぼ全職員が「木を見て森をみず」状況のなかで日々の行政を行っている。」という記述が,この評価の意義を語っている。評価の記述は,「歯に衣着せない」までには至っていないが,詳細な現状分析を踏まえて基本構想というまちづくりの基本について外部評価を行う試みは,対象の大きさ,委託のよる外部評価という点で全国的にも珍しく,自治体の政策評価の新たな動きとして注目される。
NIRA型ベンチマーク・モデルを公表
このほど,NIRAが市町村向けの業績評価指標モデルを作成して公表した。
これは,業績評価型のベンチマーク・モデルで,市民生活に関連の深いサービスのウエイトが高く、かつ企業会計決算方式により個々の行政マネジメントの分析が可能な、ある程度細分化された職務構成を有する都市自治体を対象としている。
今,行政評価の導入で,(1)他の自治体との比較・検討が困難であること、(2)市民に身近なサービス評価例が少なく市民にとって親しみにくい評価体系になりがちであること、(3)結果として市民の参加・協働が得にくい形態になりがちであることなどの課題がクローズアップされている。このため,共通のフォーマットを提供することでこの課題に対応しようというもの。特徴としては,他団体との比較によるベスト・プラクティス・アプローチが行えるよう、極力、算定方法の共通化・簡素化を図り、その普及可能性をも高めているほか,コスト情報の重視し,将来的な参加・協働型ベンチマーク・モデルの原型して活用することを想定していることが挙げられる。モデルの都市は明示していないが,4都市をモデルに試算結果を提示し,これに基づく分析も例示している。
行き詰まりの感がある行政評価だが,都市自治体を中心とした政策(行政)評価運動を促進するひとつのきっかけになればと期待される。
広島市が局・区長の「仕事宣言」を公表
このほど,広島市が局区長の今年度の重点施策の内容とスケジュールを宣言した「仕事宣言」を公表した。局・区長は
市政の基本的な方向性や今後についての計画立案に携わるとともに,担当分野においての実際的な仕事の最高責任者である。この責任者が,期間内に仕事を終えなくてはならない「義務」を自らに課すことによって,仕事の効率化を図ることも目指している。半年に一度は中間報告を
行い,達成状況等について重要な報告がある場合は適宜、HPを通じて公表する方針だ。
文京区がNPM予算編成手法を公表
ー職員1人削減で700万円を枠予算に追加
枠予算など厳しい財政状況に対応した予算システムの模索が続く中,文京区が新たな予算編成手法を公表した。(1)あらかじめ財源をプールし、新公共経営の理念を活用した施策については、事業実施に伴う財源の全部または一部を補てんする政策枠をもうけること,(2)削減などにメリットを与えるインセンティブの2手法だ。
インセンティブは,他例でも散見される手法であるが,人員の増減に着目した点が新しい取り組み。人員の削減すると,常勤職員一人当たり700万円、非常勤職員一人当たり170万円を各部枠に加算することができることとし,逆に新規事業の実施等に伴い新たに人員増となる場合には、各部枠から常勤職員一人当たり700万円、非常勤職員一人当たり170万円を減額するというユニークなものだ。人件費という行政ではコストとして意識が欠ける“職員”に着目した手法と言えよう。
なお,各部の予算枠方式として,財源不足を生じたときは,財政調整基金からの貸し借りを制度化し,限度額、必要な経費の返済手法、返済の年次計画等を具体化して区長にプレゼンして示すなど,苦肉の策とかもしれないが,複数年にわたる予算編成の考え方も
採り入れている。
(最近の行政経営情報)
●東京都が「機能するバランスシート
新交通システムとバランスシートの役割」を公表
武蔵野市が個別事務事業評価結果を公表
このほど,武蔵野市が試行中の個別事務事業評価試行結果集を公表した。バランスシートの取り組みで先駆的な同市らしく,減価償却やコストデータも取り入ればがら,シンプルな評価シートが特徴だ。現在実施している事務や事業について、効率性や受益者負担が求められる事業及び庁内、他の自治体などとのコスト比較ができる事業という観点で、73事業を評価対象として選定し、目的、内容やコスト等を記載する評価シートを13年度実績をベースに作成したもので,一部には庁内評価委員会による全庁的な立場での二次評価を実施している。同市はBSのほか,地域生活環境指標などユニークな取り組みをしており,今後行方が注目される自治体のひとつと言えよう。
(最近の行政経営情報)
●総務省が「地方公共団体における行政評価の導入の実態と今後の展開についてー平成14年度地方公共団体における行政評価についての研究会報告」を公表。
11年度から13年度の報告書もPDFで公開されている。13年度 12年度 11年度
●岐阜県―知事と県の幹部職員が「スーパー・マニフェスト」を締結。ネーミングが今ふうですが,以前から取り組んでいた「協定」の発展系だ。
●長野県―農政部長との協約 知事と部長の協約をさらに,課長レベルにブレークダウンした取り組み。
東京から新しい公会計モデルを発信―今後の方向を公表
機能するバランスシートで有名な東京都が,このほど「東京都の会計制度改革の基本的考え方と今後の方向」と題して,日本の自治体ではじめて会計処理の段階から複式簿記・発生主義を導入する方針を公表した。
これは,普通会計決算を発生主義の観点から組み替える方式には一定の限界があることから,会計制度を改革し、現在単式簿記・現金主義を採用している一般会計、特別会計に新たに複式簿記・発生主義を導入するというもの。
東京から新しい公会計の具体的なモデルを発信していくという東京ならではといえる意欲的な試みが注目される。なお,
平成16年度にモデルケースにふさわしい部署を選んで試行を実施し、検証・評価を行い、新システムの開発に反映して18年度からの本格導入を目指している。
補助金をNPOに委託して外部評価ー岩手県千厩地方振興局
このほど,岩手県千厩地方振興局が所管の事業の事後評価をNPO法人・政策21(盛岡市)に委託し実施して,結果をホームページに公表した。
受託したのは,盛岡市に事務局を置くNPO法人「政策21」で,市町村総合補助金など14事業を評価したもの。町村など事業主体への聞き取りなども実施し,(1)事業目的と手段の関係の検証(論理的評価)
,(2)前提条件・外部条件の予測の検証 (論理的評価)
,(3)事業の効果の検証(プロジェクト評価),(4)事業の立案・実施過程の検証の4つの視点から評価している。評価レポート
住民にどのような変化を起こすのかという視点では目的が設定されていない事業や事業の効果の測定対象となる成果指標、および成功の目安となる目標値が設定されていない事業があったなど手厳しい評価も下された。しかし,住民との協働を前提とした新しい公共運営のあり方が模索される中で,住民視点や成果重視の行政運営は重要であり,今後の評価結果を、組織全体の課題としてとらえ、住民の方々とも広く議論しながら,より有効な事業の企画立案と選択に結びつけていくよう評価を結んでいる。お手盛り評価がちな自己評価が多い中,NPOによる外部評価の事例として注目される。
指標の示し方がユニーク- 美しい兵庫指標(兵庫県)
兵庫県がホームページに掲載している「美しい兵庫指標」は,生活場面のストーリーで親近感をもって語られ,ひじょうにユニークな公表の仕方が特徴だ。
これは,長期ビジョンに示した将来の社会像がいまどの程度達成しているのかを考えようという社会像評価に示されているもの。創造的市民社会,環境優先社会,しごと活性社会,多彩な交流社会という長期ビジョンが描く4つの社会像ごとに,具体的なテーマを設定し,様々な生活場面を想定したストーリーを描いている。
例えば,創造的市民社会の「自分らしい生き方の追求」では,「40代女性,自分らしい生き方に挑戦」と題して,「夫,子ども2人(長女:高校1年生,長男:中学2年生)と暮らすBさん(41歳)は,最近自分の時間ができてきて,何か新しいことを始めたいと考えている」と想定して,それに対応する指標の実績値を示し,達成状況を評価している。ベンチマークといってもなかなか市民にイメージがわかないものが多い中で,分かりやすさを追求した事例のひとつと言えよう。
政策・施策評価制度の構築について,学識経験者が専門的な見地から検討をすすめていた京都市政策・施策評価制度検討委員会がこのほど,「京都市政策評価制度について」と題する答申を行った。
施策に市民満足度を反映し,客観的な評価指標と総合的に判断を進めようというもの。具体的には,市民参加で策定した京都市基本計画の政策体系をベースとして政策(26
項目)施策(106
項目)を対象し,各施策に指標を設定し,目標達成度や年次推移等で評価する「客観指標評価」,各施策について市民満足度調査を実施し,その結果に基づき評価する「市民満足度評価」の2本立てで,行政による評価を基本とし,評価の客観性の担保や制度の向上を図るため外部機関を設置し点検するという仕組みだ。
評価結果を分かりやすく,かつ,速やかに公表し,予算,計画策定など行政活動全般に活用していくとしている。評価もすでに,政策・施策評価の段階に進む自治体が多くなっていますが,今後の評価結果公表が待たれるところだ。
なお,平成14年度「公の施設評価・実施結果報告」や「一般事務事業評価・実施結果報告」も公表されている。
小田原市で「市民満足度重要度調査」結果を公表
このほど,小田原市で「市民満足度重要度調査」集計結果報告が公表された。長野県の調査と同様,市の「環境保全対策の充実「健康福祉の充実に関する取組」「芸術文化の振興・生涯学習の推進に関する取組」「産業経済の振興に関する取組」「市民活動の推進」などの9分野30項目(設問)に渡って「満足度」「重要度」を尋ねたもの。
平成9年から13年度に至る30項目の決算額の伸び率と決算額を算出し、平成13年度各施策分野の決算額の決算総額に占める割合(シェア)と決算額の年平均伸び率をプロット分析しているのが大きな特徴だ。各分野にどの程度の資源が投入されているかと「満足度」「重要度」と比較できます。
「重要度が低い」分野は全て13年度シェアが2.5%以下となっており、「重要度」に関しては市民の認識と予算措置が一致しているが,「満足度が低い」分野では,シェアの高いものも低いものもあり、「満足度」に関しては市民の認識と市の予算措置が必ずしも一致していない側面が見られると分析している。
限られた財源の中でいかに効果的かつ効率的に資源配分していくかの参考とするものとしており,「住民の選択」による予算配分なども視野に置いている。
「価値観に基づいた選択」には,いわゆる政策評価システムは向かないと言われるが,このような重要度,満足度調査が評価システムとどう連携し,それらをどう補完できるのかが興味深い課題。
今後,どのような形で活用されていくか注目されるところだが,3月号の月刊「地方自治職員研修」に「<小田原市における「住民の選択」による予算配分>/下村則雄」という関連する記事も掲載されている
なお,釧路市でも「まちの採点簿」として満足度・重要度調査が公表されている。
長野県が県民満足度調査の結果を公表
このほど,長野県が県民満足度調査の結果を公表した。県政全般に対して、「満足してない」「あまりしてない」が約42%で,「満足」
「まあ満足」の約38%を上回り,税金の有効活用にたいしても「まったく有効に使
われていない」「あまり有効に使われていない」の約48%に対し、「有効に使われ ている」「だいたい使われている」は約26%にとどまった。全国的に注目され
る長野県だが,県政に関心を持ちながら,厳しい見方をしている県民の姿が浮かび 上がった。
この調査は,福祉・医療、環境、教育、産業、社会資本整備などの様々な分野の政策
等について、重要度,満足度を総合的に調査し,政策の企画立案や評価等に活用する とともに、地域政策会議にも反映しようというものです。
具体的には72の施策に関して,重要度(目指している状態を達成することが社会全
体にとってどの程度重要と思われるか),満足度(目指している状態と比較して、現
状にどの程度満足されているか),認知度(目指している状態を達成するために、県
や市町村が取組んでいることをご存知か),納得度(国や県に納めていただいた税金 を使うことにどの程度納得されるか)を調査している。
結果は,72施策を4つのタイプ(タイプT=重要度は高いが、満足度が低い。タイ
プU=重要度が高く、満足度も高い。タイプV=重要度が低く、満足度も低い。タイ
プW=重要度は低いが、満足度が高い)に分類し,さらに,税金使用の納得度や施策
認知度からも多角的に分析している。施策に関する重要度,満足度のマトリクス分析は太田市が有名だが,長野県の調査
は,税金や施策認知度の視点も取り入れながらさらに深化したものと言えそうだ。
なお,調査は20歳以上の男女3,470人を対象に,昨年10月〜11月に実施した
もので,有効回収数は2,831人(有効回収率:約81.6%)。
外部委員会が名古屋市に提言ー実効性の高いシステムへ
このほど,名古屋市行政評価委員会は「より実効性の高い評価システムを目指して」と題して行政評価システムへの提言をまとめた。同市の評価は,課長自らが評価シートを書くとともに,外部評価も導入した先進的な取り組みで知られている。
しかしながら,より実効性の高いものにしていくためには,「財政難に直面する名古屋市の現状を
斟酌するとき、市職員による評価結果だけでは、名古屋市は破綻してしまう。”あれかこれか”という大原則を再度確認すべき」,「評価結果が財源配分に連動をしていな
い部分がある」「外部評価結果に,反論を示すこと
なく、内部評価結果のみを主張した原局があったことが残念」など6名の委員からの厳しくも真摯な改善への提言が寄せられた。
名古屋市の行政評価結果を公表,初の外部評価も
名古屋市の14年度の行政評価結果がこのほど公表された。
対象事業は,ソフト,ハードのほか,経常的事業,内部管理事務に加え,区役所の事務を加えた1398事業であるが,今回からは行政評価委員会による外部評価を実施したことが特徴だ。
「名古屋市行政評価委員会」は,学識経験者等6名で構成し,(1)ソフト事業(2)施設の建設
市民利用施設等の建設,(3)整備事業 道路や公園などの面整備
の3類型956事務事業について実施した。事務事業評価票に基づき、財政健全化の必要性に斟酌しながら「公的関与の妥当性」や「費用対効果」の観点を中心に、評価対象事務事業ごとにA〜Dの評価を付すとともに、中施策単位でコメントをとりまとめている。
単に書類上の評価に留まらず,事業所管局とのヒアリングを集中的に実施し,「計画どおりに事業を進めることが適当」とする「A」が104事業,「事業の進め方の改善の検討」とする「B」が666事業,「事業規模・内容の見直しの検討」という「C」が146事業,「事業の抜本的見直し、休・廃止の検討」の「D」が40事業という評価結果を提示した。
なお。行政評価の結果を踏まえて、限られた財源の中で優先度の高い市民のニーズのある事務事業を実施するため、改善又は見直しについて検討を行い、平成15年度予算などへ反映される予定だ。
これからの逗子をどうするのか?〜逗子市経営戦略ブックを公表
このほど逗子市で「教育・環境・経営」を市の戦略課題とした「〜これからの逗子をどうするのか?〜逗子市経営戦略ブック」を公表した。
行政評価システムにおける政策レベルの評価を進めるために作成したもの。
2002年からの3年間で,逗子市が戦略的に取り組む重要課題として「教育」「環境」「経営」を戦略ブックで示している。総合計画は、市の行政活動の全般にわたることから、網羅的、抽象的にならざるをえず市民からみるとわかりにくい面があったと率直に認め,市の課題をどこに置き、課題の解決に向けた取り組みをどのように進めるのか、その方法や方向性を市民に具体に示すことは、市の責務として最も優先して行なうこととしている。
課題に対する「改善に向けた行動」にできるだけ数値目標を掲げたこと。
作成に当たって、民間経営の考え方やノウハウを取り入れるため,逗子市在住の企業経営者などの「経営アドバイザー」の意見をもらったこと
を特徴としている。財政的に苦しさを増し,”選択と重点化”が必要だといわれながら優先順位をつけられない
と同時に,何をどのように取り組みむべきかを明確に示せないのが自治体の現状。
逗子市の戦略ブックは,こうした自治体の課題にひとつの方向を示唆するものと言えよう。
なお,本文はPDFでダウンロードできる。
究極の協働へ,地方自立計画の導入ー志木市
公共事業における市民選択権構想など,常に市民主体の行政を進めている志木市が,このほど
正規職員数を段階的に半数に減らすことを盛り込んだ「地方自立計画(素案)」を公表した。協働からはじまった政府や自治体の原点に立ち返り,「市民と協働」して運営する「日本一あたたかい、ローコスト(低い費用)ローランニングコスト(低い運営費用)」の「まち」を目指す計画で,市民自らが持つ経験や知識あるいは時間的ゆとりを活用し、社会貢献活動として公務を担う、
有償ボランティアの「行政パートナー」を導入しようというもの。
平成33年度(2021年)までの20年計画で,正規職員301人に対し、行政パートナーを523人とし,現在の職員数の84.5%を市民が担うとし,最終目標は正規職員50人以内の自治体を目指すという斬新な計画である。(1)市民が市を運営する(2)地域コミュニティの確立(市民と市の一体化)(3)財政的自立の3つを基本に,新たな自立と独立が可能な自治体を構築をねらっている。市長の協力なリーダーシップのもと,”市民が主人公の市政”を目標とする志木市の動きは,自治体改革で目が離せない注目事例のひとつである。
行政評価のEメールモニターを実施ー高浜市
住民投票条例やリバースモーゲージ条例などで有名な高浜市。このほど,行政評価のEメールモニターを実施している(2回目のモニターの設問 1回目の結果)。
1回目は満足度と税負担の妥当性を調査,今後のまちづくりの資源配分基準となる政策ポートフォリオを作成し, 「グループ1
原則、現状維持」「グループ2 満足度を低下させない範囲で資源の削減を行う。」「グループ3 満足度の向上に努める」「グループ4
資源の抑制を図るか無理なら撤退も検討する。」に分類して分析している。評価の高かった「救急・救助体制」,「情報提供」に見られるように投資額と満足度は必ずしも比例しないという傾向があるようだ。なお,HPにのっているが,このモニターは,市民が対象で事前申し込みが必要。お手盛り評価の批判がある行政評価だが,外部評価のひとつの取り組み事例として注目される。
「自治体経営白書」を公表―三鷹市
行政経営品質評価や市民との協働のまちづくりなど先進的な取り組みなどで有名な三鷹市だが,このほど,自治体経営の確立を目指してと題して「自治体経営白書」を公表した。
同市は,ガバメント(統治)からガバナンス(共治)への転換を重視して,「効率的で開かれた自治体」を目指しているがが,この白書は,自治体経営の現状を明らかにし、そのあり方を市民ともに考えていく基礎資料にしようというもの。
13年度の「三鷹市らしい自治体経営の取り組み事例」,第3次基本計画や行財政システム改革の進捗状況、そして財政状況について説明し、基本構想の自治体経営戦略に基づき、市がどのような取り組みを行ったのかを明らかにしている。
徹底した情報公開と情報提供によって、「協働の推進」と「説明責任の確立」を目指す“三鷹ならでは”の取り組みといえよう。
事業別バランスシートマニュアルを作成ー東京都
東京都は,貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書、行政コスト計算書の三体系から構成される「機能するバランスシート」づくりに取り組んでいるが,このほど「事業別バランスシートマニュアル」を作成した。深刻な財政難に対応し,スリムで効率的な都政の運営を図るため11年度から取り組みを進めていたもので,今回は,各事業のバランスシート(賃貸貸借表)づくりのマニュアルを作成。この事業別バランスシート作成マニュアルは全国的にも珍しい取り組みと言えそうだ。
とかく財務分析というと専門家のものと考えがちな職員に,このバランスシートを事業の分析に活用してもらうもの。職員のコスト意識の向上や経営責任の所在を明確にするとともに、行政評価においても事業別バランスシートを活用するなどマネジメントの強化を図ること,そして,都民への説明責任と顧客満足度の向上をねらうとしている。事業評価の参考として3ヵ年の推移表である経営分析シートを作成することも特徴のひとつ。 事業評価での活用は,他の自治体でもよく言われているが,今後作成するシートが評価にどのように活用されるのか公表が待たれるところだ。
なお,併せて「機能するバランスシート−都の住宅政策とバランスシートの役割−」の最終報告も公表している。
最近の行政評価HP情報ー北九州,姫路市,松阪市
(北九州) 13年度評価結果と「北九州市における行政評価システムの導入検討に関する最終報告」を掲載。性質別,分野別指標の考え方も整理
。公共事業,施設・ソフト事業など個別で専門的な評価の 取り組みを体系化し,市の意思決定システムに活用していく仕組みづくりも検討中。
(姫路市) バランススコアカ−ド理論を取り入れた組織業績評価。「顧客」「コスト」「プロセス」「組織・人材」の4つの視点で評価するもの。施策、事務事業の評価と組織活動評価を一体的に進めることが特徴だ。
(松阪市) 「政策形成システム」「行政評価システム
」「市民参加・参画・協働システム」「 リスクマネジメントシステム
」などのシステムで構成する市政マネジメントシステムの構築を開始。三鷹市,高知県,三重県,滝沢村などに続き,14年度は行政経営品質の本格導入も目指す。
宮城県が政策評価&県民満足度調査を公表
今年は,政策・施策評価に取り組む自治体が増加しそうな気配だが,宮城県がこのほど政策評価・施策評価基本票を公表した。先に実施した県民満足度調査と同じ38政策にそって,政策評価指標を設定された30政策について評価分析している。
政策評価とは,総合計画等において政策評価指標を設定した政策について、各担当部局が指標の達成状況、県民満足度調査の結果、社会経済情勢を分析し、政策目的の実現に当たり、施策設定の妥当性、政策評価指標設定の妥当性、県の関与の適切性等から施策の必要性を判定し、指標の達成状況から施策の効果、有効性を判定するもの。
施策は,政策のもとに数本を体系化し,すべてではありませんが政策評価指標を設定。
具体的な方法では,施策は一般県民満足度による優先度で順位づけし,必要性について「大」「中」などと定性評価し,その理由を説明している。また,政策評価シート(B)で,政策評価指標の達成度をもとに分析した施策の有効性,県関与の妥当性等の評価を行っている。さらに,政策評価は,シート(A)の中で施策群の評価として,「適切」「概ね適切」「課題有」の3区分で評価,さらにコメントを加えるもの。
全体として,定性評価の部分もあるが,目標管理型の評価に軸足をおきながら県民満足度調査を活用して客観性を確保しようとしているところが特徴の一つ。まだまだ数少ない政策評価事例として注目を集めそうだ。
また,県民満足度調査報告書が公表されている。県民の意識に関する情報を分かりやすく取りまとめ、公表することを目的に一般県民満足度調査(4000名),有識者(市町村職員)満足度調査(852名),有識者(学識者等200名)満足度調査という3つの調査で構成。
38の目的(政策)に関する設問各7項目―認知度、関心度、重視度、満足度及び目的(政策)の中で優先すべき取組(施策)とその重視度及び満足度を調査している。
県民が重視している政策(重視度が高い政策)は,雇用に関わる政策で,福祉、環境、教育、安心・安全に関わる政策についてもそれに続いているほか,県民が満足している政策(満足度が高い政策)は,県民生活の安心・安全に関わる政策などを挙げている。
このほか,県民が重視しておりかつ満足度が相対的に低い政策,圏域別の特徴等などを分析している。設問や資料の詳細さにどのぐらい回答があるか懸念もあるが,一般県民で56%あまりの回答とこの種の調査ではかなりの関心の高さで,分析の多様さとともに信頼性の上でも評価できそうだ。
静岡県が14年度の業務棚卸表を公表
このほど,静岡県が14年度の業務棚卸表を公表した。4月に策定した長期総合計画と一体化させてことが大きな特徴。
この計画と結びつけた業務棚卸表は,目的及び目的管理指標を総合計画の内容に置き換えて総合計画の単年度の実施計画としての性格も持ち合わせている。
このほか,本年度の方向性や昨年度との変更点を記載する欄を追加したこと,目的と業務概要の中間段階に「任務目的」の欄を加え、業務体系を分かりやすく説明できるよう、必要に応じて記載できるようにしたことなど一層のバージョンアップを図っている。
「総合計画の実現を目指す作戦書」というキャッチコピーのとおり,計画と業務の目的がマッチして,より組織の役割が明確になっており,独自の方式で行革のトップランナーを目指す静岡県の意気込みを示す取り組みと言えよう。
財務総合政策研究所諸外国の地方財政をレポート
このほど,財務総合政策研究所が「地方財政システムの国際比較について」という調査レポートを公表した。昨年6月、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカの制度をレポートした「主要国の地方税財政制度調査報告書」に続き,スウェーデンとカナダを加え、単一制国家3カ国(イギリス、フランス、スウェーデン)と、連邦制国家3カ国(ドイツ、アメリカ、カナダ)の計6カ国について、地方税制度、財政調整制度を中心に、地方財政システムの国際比較を行なったもの。
わが国の構造改革には,(1)公共事業の見直し(2)社会保障の改革,そして(3)地方財政改革の3つがポイントといわれていますが,その1つである地方財政を考えるうえで,検討材料を与えると言えるもので,地方税制度,財政調整制度の2つを取り上げて,各国の相異を分かりやすくレポートしている。
特に地方交付税のあり方が問われている中で,諸外国の地方財政調整制度は,住民一人当りの歳入が一定水準に満たない自治体に不足額を交付する歳入均衡型,歳入格差と需要格差とを別枠で均等化させる方法(2段階調整方式)と、歳入と歳出の差額を交付する方法(歳入歳出差額補填方式)などがある需要考慮型,その他の3つに分類して紹介している。一人あたりの税収が上位の5つの自治体と下位の5つの自治体で財政調整後の歳入が逆転するわが国の地方交付税制度がいかに諸外国と異なるかを示した資料がちょっと目を引く内容だ。どの国のどの仕組みがよいというレポートではありませんが,諸外国の地方財政制度を知る上で数少ない貴重な資料と言えよう。
市民評価を市政に反映ー行政評価条例制定へー志木市
行政の自己評価が中心の行政評価ブームが続く中,市民の評価を市政に生かす市町村ではじめての行政評価条例が埼玉県・志木市で制定される。この6月議会で審議し,7月1日の施行を目指す。
同市は,市民参加でユニークな取り組みを進めている自治体であるが,「市民が創る志木市」を目標に,市のすべての事務事業927事業(535項目)についてゼロベースによる検証を行い、430事業を廃止、縮減、又は見直したほか,今議会には,公共事業に対する市民の選択権を保障するため,予定価格総額が1億円以上の公共事業を対象に政策過程からの市民参加を目指す「志木市公共事業市民選択権保有条例」も併せて上程している。市民の視点に立った市政運営の徹底振りが目立つ自治体のひとつと言えよう。
市施設の将来負担を明確にー施設白書を作成ー八王子市
八王子市は,文化施設,小中学校など市有施設のライフサイクルコス トなどを明らかにした「施設白書」を作成した。施設の再構築を実践していくもので,職員の人件費,光熱費などの維持管理費と施設建設に伴う公債費,改修費を合わせ,平成12
年度末現在で保有する施設を維持していくために今後20年間で必要なトータルコストは,公債費を含め5,000 億円という膨大な金額になるとしている。
このため,今後,分散化と効果的な改修により財政運営の安定化を図っていく必要があるとして,施設毎に改修計画を策定し,新設には公共事業評価システムを導入をするほか,既存施設の有効活用,利用率の目標設定,お客さま主体のしくみなどの構築を目指すとしている。
「新たな都市経営の取組」ー札幌市
このほど,札幌市は市役所を改革し,市民とともに協働型社会の形成を目指す「新たな都市経営の取組」として,「札幌市都市経営基本方針」「札幌市行政経営戦略」及び「中期財政見通しと今後の財政運営の考え方」を公表た。
この取組は, ■「協働都市を目指す」 ■「市役所を変える」の2つを柱に,
市民・企業・行政などの都市の構成員みんなが手を携え、役割を分かち合ってまちを築き育てていく「協働都市」を目指すとともに,市役所の体質を改革し、時代の変化に柔軟に対応できる「変革型市役所」を創造することを宣言している。
行政の体質の変革のため具体的な「行政経営戦略」を定め,人,組織,行政システム改革の3つの戦略を提示。また,中長期的な財政見通しを踏まえて、政策・施策の構築を図りながら、足腰の強い財政構造に転換していくとして,14年度〜18年度の中期財政見通と今後の財政運営の考え方を示している。
向う5年には,毎年度200億円〜400億円の財源不足を予測,さらに10年先には市債償還が年間1000億円を超えるなどの財政は厳しさを増すばかり。
歳出面から,行政の事業領域の見直し,事業評価システムの活用,ITの活用など質の高い行政サービス提供ととスリムな行政運営を進めるとしている。歳入面では,経済基盤の充実による税収の安定的な確保,課税自主権の活用,資産の処分,適正な受益者負担などの方策を掲げている。
さらに,今後,この都市経営基本方針に基づく取組を全体統括し,進行管理する組織として,「札幌市経営改革会議」を設置するなど実行性の確保を図るとしている。
サービス検証システムを導入ー臼杵市
このほど、バランスシートの先駆的な取り組みで有名な臼杵市がサービス検証システムを導入した。このシステムは、「市民サービスを向上させること」を目的に導入。
*市民本位の効率的で質の高い行政の実現
*市民の視点に立った成果重視の行政への転換
*長期総合計画に掲げる政策体系の計画的・効率的・総合的な推進
*市民に対する行政成果の説明責任の徹底
の4つを目指している。
官民の役割を見極め、行政として取り組むべきことの重点化・適正化が図り、政策の質を向上させるとともに、長期総合計画連動型政策評価システムをもねらったもの。「臼杵市の経営状況を明らかにしたバランスシート(貸借対照表)を基に、事務事業(サービス)の原価計算書となるサービス形成勘定〔損益計算書〕からコスト把握を行い、総合計画の効率的な推進を図るためのサービス検証システムは、四位一体で進むことにより、その効果が発揮できる」としているところがBS先進都市として特に注目できる点だ。14年度から実施ということで、施策評価はまだ公表されていないが、事前の事務事業評価詳細が見られる。今後、サービス検証システムに加え、さらにサービスの進化を目指すため、市民による評価を受け、その結果をサービス改善に生かしていく「市民参加型サービス評価システム」の構築を計画をしているようで、「市役所は市民の役に立つところ」という理念のもとに日本一の市役所づくりを進める臼杵市は注目事例の一つと言えよう。
なお、市内全域を結ぶケーブルテレビ回線網の双方向通信を利用して、市民から容易に評価を受けることにより、サービス改善を目指す「行政サービス改善スパイラルシステム」で、〇双方向情報化による市民参加・市民評価の実現 〇評価情報を受け止め改善に生かす「進化型」の自治体を目指すとしており、この資料からは具体的なことは分からないが、今後も動きが期待できそうだ。
京都市の公の施設評価結果が公表
最近、施設の運営効率に着目した評価が散見されるが、このほど京都市の公の施設評価結果が公表された。公の施設に関する客観的なデータの把握や数値目標等の設定,評価等を行うことによって,行政資源の有効配分,経営努力の目標設定(施設の有効活用,効率性の向上等),受益者負担の適正化など具体的な改善,見直し等を行うために実施したもの。所管部局の一次評価、市政改革推進本部事務局の2次評価に加えて、「京都市事務事業評価委員会」による第三者評価を行っているのが特徴だ。
事務事業の性質に関して,概ね5年ごとに「公共性」・「行政関与の妥当性」・「実施主体の妥当性」・「受益者負担の妥当性」の4つの観点から,事務事業のあり方,大きな方向性を評価。さらに、毎年「目標達成度評価」と「コスト評価(効率性評価,受益者負担の適正性評価)」を実施し、行政サービスの継続的改善(利用者増加や経費削減など)を行うための判断材料として活用する2段階方式をとっている。コスト評価では、施設ごとのバランスシート作成までには至っていないが、同市のバランスシート及び行政コスト計算書の会計処理方法を基本にしながら個別にコストを算出して評価している。49施設を対象にしているが、今後、対象拡大やCS調査などによるサービスの質の改善も検討していくとしている。事務事業評価を具体的な施設の運営改善に活用していこうという“セグメント評価”の一例として注目されそうだ。
川崎市が、中期計画進行管理チェックシートを公表
川崎市は、「川崎方式」といわれる独自の方式で、総合計画の実施計画である「新・中期計画(1999〜2003年)に位置付けられた「中期計画事業」について,進行管理と評価を行っている。
このほどその中期計画進行管理チェックシートを公表した。今回は,中期計画事業の281事業について事業の目的や内容の適正さなどを検討し,今後の方向性について5区分の評価している。この結果は、新たな総合計画策定の基礎的資料や今後取り組む行財政改革プランの策定及び予算の中で活用していくとしている。チェックシートは、「政策体系から」「区別の地図から」「局ごと」「分野別」の4つから検索できるようになっている。「区別の地図から」は、地図で見る川崎市の事業として、全市、区別の地図から検索できて、市内のどこでどのようなことが進められているかがイメージできるのが特徴だ。地理情報システム(GIS)を政策立案や評価にいち早く取り入れた川崎市ならではのシステムと言えよう。
青森県のマーケッティングブックがバージョンアップ
CSを重視し、県、国、市町村、民間との分担割合を考慮したShared outcomeという考え方で有名な青森県の政策マーケッティングブック2001−2002版が公表された(2001-02 Ver01のPDFファイルをダウンロード)。マーケティング(市場調査)を取り入れて、県民が何を望んでいるのかを把握することから、近い将来どのくらいの水準の生活状態をめざしたいのかまで、繰り返し県民の満足に戻って検討する「生活者起点のアプローチ」が真骨頂。
Ver.01の今年からは、「めざそう値」の達成度を評価しているのが特徴だ。「ようこそ、政策市場へ」というタイトルが象徴するように、みんなが参加して、協働で暮らしやすさの実現を目指すもの。役割分担を指標ごとに分かりやすい円グラフで表示し、点検項目ごとに「県民満足度」調査結果を地域別,年齢別、条件等で分析するなどバージョンアップが図られている。地域の実施したワークショップの意見も取り上げながら参加を一層意識した内容になっている。
三重県の「21世紀新パラダイムへの取組
改革先進県の三重県がまたまた新たな取り組みをはじめた。名づけて「21世紀新パラダイムへの取組」。新しいパラダイムに相応しい社会システムへの変革を目指すときに弊害となる旧来の考え方、制度、仕組みなどが存在する。それらを21世紀に相応しい行政運営システムの構築を目指して、変革に取り組むものだ。
プロジェクトチームのHPがアップされており、37名のメンバーが3か月検討した63件の取組項目から成る21件のプロジェクトが掲載されている。今後、アクションプラン(案)の作成、職員向けメッセージ(案)を作成し、4月からの「新パラダイム創造PG」へと進められる。21のプロジェクトは、「さらっとがんばろう〜女性を県政に、男性を地域・家庭に〜」、「人」の向上支援、「人」を育てる環境の構築、〜新しい県庁文化風土づくり〜、総合計画達成型政策運営システムの構築、バリアーのない県庁組織運営、失敗から学ぶ組織運営、市場へ羽ばたけ、目指そうビーコンなど。
いずれも県庁内の具体的な問題を捉えて、63件の趣旨、目的、手段・手法や具体的な導入計画にまとめている。多くの自治体で改革を進めようとするときに立ちはだかる壁を、職員自らがアイデアと行動で打ち破り、パラダイム・シフトを目指す三重県の取り組みはいつもながら参考になるベスト・プラクティスと言えよう。
「公共施設改革プログラム」を公表ー山梨県
豪華な公共施設を建設して、「ランニングコストに悩まされ、また、利用率の低さに非難を浴びる」例が全国各地にあるが、このほど、すでに建設した公共施設の在り方、効率的な運営方策、利用率の向上等の改革を計画的に実施することを目指した山梨県の「公共施設改革プログラム」が公表された。
このプログラムは、広く一般県民が利用する52施設を対象に、ニーズに即応し、利用しやすい施設運営に努めているか、コスト意識をもった管理運営が行われているかといった定性的視点、利用料、利用者数、支出額、県負担額等が適正であるかといった定量的視点で見直しを計画している。改革の方向としては、@廃止又は転用 A市町村等へ移譲 B統廃合 C民間委託・民営化等 D施設の利用方法の変更又は委託先の変更のほか、運営に当たって効率的な管理運営の方策(トータルサービスコスト削減目標の設定、利用料金等の見直しほ
か)や利用率・サービス等の向上方策(用率・稼働率目標の設定など)、施設・設備等の改善方策などを検討するとしている。
なお、平成14年度〜平成16年度の3年間で実施する計画。
三重県で職員満足度アンケート(中間報告)
行政の経営品質を高める上で、職員満足を重視した人事などの諸政策が大切な要素となっているがが、このほど、三重県が職員満足度アンケートを実施し、中間報告を公表した。
アンケートは、仕事の満足度(7問)、勤務条件の満足度(7問)、職場環境の満足度(6問)で構成。各問について、職員がどれだけ満足しているか(「満足度」)と、その問について満足度を高めるためにどれだけ重要ととらえているか(「重要度」)を調査している。満足度の最高点は「通勤時間は過度の負担にならない範囲ですか」との設問で3.62点、最低点は「人事異動や昇任の仕組み」で1.98点のほか、重要度の最高点は「仕事のやり甲斐」についての設問で3.60点などとなっている。人材をどのように育成し、生かしていくかは大きな課題。最終報告はまだかかるようだが、改革先進県の三重の行方にどのように活用されるか注目される。
宮城県で本格的な施策のCS調査を実施
自治体でもCS調査が導入されているが、このほど宮城県が県民4000人を対象にした一般県民満足度調査と市町村職員852人を対象にした有識者満足度調査を実施した。
同県のCS調査は、広く県民の方に伺う「一般県民満足度調査」と施策等の受益者対象の「対象者満足度調査」、学識経験者や市町村職員などの有識者対象の「有識者満足度調査」の3つの調査を組み合わせて行うのが特徴。今回は、そのうち「一般県民満足度調査」「有識者満足度調査」を実施したもの。県民満足度調査は、郵送によるアンケート形式で、福祉、環境、教育、産業、社会資本の5分野について、健康づくりと病気予防、特色ある教育の推進、国内交通ネットワークの整備など38の目的別に設問を設けている。それぞれの分野には、県の方針や仕事など83ページにわたる説明資料も添付している。
調査結果は、地域別、男女別、年代別などに整理し、それぞれに満足度、重要度の高い分野や低い分野がどこか、その理由は何かなどが分析、検討され、評価に反映しようというものだ。各施策の重視度や満足度は、100点満点の数値に置き換えて記入してもらい、各施策のなかの具体的な細部の取り組みについてその優先度なども尋ねている。ちょっと資料や設問の多さで回答者の負担が気になるところだが、納税者、サービスの利用者、有識者と多面的に比較する本格的なCS調査の行方が気になる。なお、「対象者満足度調査」や学識経験者への「有識者満足度調査」は今後順次実施される予定で、5月末ごろまとまる今回の結果が注目される。
公社等経営評価結果を公表ー杉並区
国の特殊法人改革が構造改革のひとつの焦点になっていますが、地方も土地開発公社、三セクなどいわゆる外郭団体の経営悪化がネックになっている。そんな中で杉並区が公社等の経営評価結果を公表した。団体による一次評価、所管課による2次評価、行政評価部会による3次評価と3段構えの評価が特徴。一次評価は、定性評価(計画性、目的適合性、健全性、効率性、経済性、総合)、定量的な経営分析(収支、受益者負担、管理費比率など)、活動指標や成果指標による事業分析及び経営実績を記述している。二次評価は、一次評価を踏まえた分析、課題、問題点等を挙げての評価、3次評価は総合的な経営評価という内容だ。全国各地でいわゆる外郭団体の改革が不可欠な中で、今後もこのような評価と改善への取り組みが活発化してくるもの予想される。一つの先駆け的な事例と言えよう。
(参考)秋田県の県出資法人(第三セクター)の経営評価等
http://www.pref.akita.jp/kaikaku/02gaiyou.htm
http://www.pref.akita.jp/kaikaku/03kessann.htm
http://www.pref.akita.jp/kaikaku/04suii.htm
総合計画の指標のモニターがユニークー佐賀県
総合計画に指標を設定することが大きな流れになっているが、1年前に策定した佐賀県総合計画に掲げた指標の状況が公表された。目標に対して現状がどうなっているかをビジュアルな表現と関連した事業の実績などとともに報告している。説明責任と言う点では、それぞれの目標達成にどのぐらいのコストがかかったかも合わせて知りたいところ。しかし、しかし、指標や目標の妥当性は検証したわけではないが、指標の現状の見せ方として”分かりやすさ”ではとても参考になえう事例の一つと言えそう。
埼玉県が「行政の取り組みを評価する指標」調査結果を公表
全国で、行政評価の取り組みに関連して指標関連の調査やベンチマーク設定の取り組みが進められている。このほど、埼玉県の「行政の取り組みを評価する指標について」と題する県政モニター通勤・通学者モニターアンケート結果がHPに公表された。
基本目標(政策)ごとに指標(たたき台)87を提示して実施し、新たな5か年計画(仮称)(14年度〜18年度)の目標としようというもの。新たな計画は来月に策定される。実施計画に具体的な指標設定は、定着した流れになったと言えそうだ。
(最近の行政評価情報)和歌山県ベンチマーク(仮称)の意見募集
和歌山県の目指そうとする基本的な政策の方向をわかりやすい指標を用いて数値で表す和歌山県ベンチマーク(仮称)の策定にあたり、検討案に対して意見募集している。
一人あたりコスト1744円に負担は37円!−太田市のセグメントBS公表
市民への分かりやすさを追求しながらユニークな取り組みを進めている太田市がセグメント(部分や区分の意)バランスシートを作成して、このほど公表した。市内に4箇所ある老人福祉センターとふれあいセンターの浴場2箇所について作成。老人福祉センターでは、利用者1人あたり1744円のコストに対して使用料等で賄われる額は37円という結果だった。
http://www.city.ota.gunma.jp/balance/s-menu.htm
コストから各施設の特徴も分析し、清掃工場から焼却余熱の利用によるコストの削減や起債を利用した施設とそれに依らない施設の差、業務等をNPOに委託することによる効果などを具体的に分析している。行政評価に取り組む自治体では、最近コスト重視の傾向が広まっている。評価ばかりではなく、今後の改善に幅広い活用ができるものと期待される。公表にあたっての市長のコメントは、清水市長ならではの率直なものだ。
最近の行政評価関係情報-北海道、秋田、東京
●北海道の政策アセス13年度結果の公表
今年度実施の2313事業の政策評価(政策アセスメント)結果を発表した。9事業を休止、42事業を廃止、67事業の規模縮小、28事業を統合に。このほか、施策評価などを実施。
●秋田県ーさわやかサービス委員会最終報告書を公表
県レベルでも進むサービス向上運動の報告書。サービスの原点ともいうべき小さな取り組みの評価、今後の提言などをまとめたもの。
●事業評価手法による行政監査報告書ー東京都
予算執行や個別の事務処理の適正性の検証に重点を置いているのが監査委員の監査で、行政評価との関係が希薄と言えそう。その監査委員が全国的にも稀有な事業評価手法による行政監査報告書を公表した。
(参考ー行政経営関係情報)
●PFIの活用について〜神戸市PFI推進会議報告書〜
自治体レベルにも広がっているPFI。神戸株式会社といわれた同市のPFI活用方策はいかに? 神戸市PFI推進会議報告書
13年度行政評価の結果を公表-名古屋市
名古屋市が13年度行政評価の結果を公表した。
● 所管局の評価と総務局の評価を併記していること
(所管局がA評価=339事業に対して、総務局がA評価=35事業と大差)
●
事務事業を次の6つの種類に分類して評価項目に差をつけたこと
(1) ソフト事業(建設・整備事業を除く自主事業 )
(2) 施設の建設(市民利用施設等の建設)
(3) 整備事業(道路や公園等の面整備)
(4)
経常的事務事業(法により実施が定められた事業又は施設の維持管理をはじめとする定型的業務)
(5) 内部管理事務 庶務事務等の内部管理事務
(6) 区・公所事務事業 区役所及び各局の公所における事務事業
● 内部管理事務や経常的な事業も評価していること
● 評価項目がシンプルであること
などが特徴。
評価にはシートを書くだけではなく、やりとりが不可欠。この点2次評価は精度アップには有効かも。また、事務事業の種類に応じて評価項目を分けるのは、一律のシートでずべての評価は難しい問題点をクリアする一つの方法と言よう。
マトリクス決算と連動した評価がユニークー豊橋市
豊橋市がこのたび13年度評価結果を公表した。HPには評価システム導入についての中間報告書も掲載、システムの設計にあたって、職員参加による詳細な検討、階層別の徹底した研修、モデル事業での検証を経ての段階的な導入など評価定着への緻密な戦略が窺える。
マトリクス決算書などで、どの政策・施策に関連するものがどの部局で実施しているかが一目瞭然で、組織間の関係や連携の必要性、資源の投入量が明確になっているのが特徴だ。評価シートも、簡潔で市民への分かりやすさに配慮していること、また、DO - CHECK - ACTION - PLANと評価、課題を明示、改善(action)、さらに次年度の計画というしっかりした設計になっている。
宮城県が行政活動の評価に関する条例を制定
宮城県の行政活動の評価に関する条例が制定された。北海道、秋田県などが条例化を目指しているが都道府県レベルでは全国初の条例化。来年4月1日から施行される。行政評価について条例で定めることにより、行政評価を情報公開、個人情報保護、行政手続と並ぶ自治体経営の基幹となる仕組みと位置づけている。制度の正当性を高め、評価の一連の流れを、必要な情報の提供、県民満足度調査、行政評価委員会の意見聴取、県民の意見聴取、評価書の作成、議会への報告などを網羅して包括的に規定したことが特徴だ。
県民の意向を調査し、県の仕事の目的や目標の妥当性、必要性等の評価に反映すること、評価情報を全面的に公開し説明責任を果たすとともに、評価結果を企画立案等に反映させる仕組みと明示している。みやぎの行政評価通信という広報も発行し、PRに努めているが、行政評価の限界についての議論も見え隠れする昨今、今後どのような形で充実していくのか、具体的な成果が注目される。
着々と準備が進む三重県政策推進システム
先に公表された第二次実施計画素案や政策推進システムの導入にあたっての基本的な考え方(案)に続いて、新しい総合計画「三重のくにづくり宣言」第二次実施計画(中間案)が公表された。政策推進システムの基本的な考え方も合わせて掲載されており、システムの全貌が次第に明確になっている。
特に基本的な考え方の中で、職員定数の配分について、第二次実施計画の重点政策等をふまえたメリハリのある定数配置と包括的に定数を配分し、各部局長が予算配分をあわせ主体的に定数を配分するなど、ヒト、モノ、カネの権限を備えた「県庁内の真の分権化」が具体的に提示されている。また、分かりやすい説明手段として発行する「三重のくにづくり白書」について、具体的なイメージも提示されるなど、来年の運用開始を目指して、準備も着々のようだ。
第二次実施計画(中間案) 政策推進システムの基本的な考え方(PDF)
行政評価情報ー大阪市
大阪市の事業評価システムのページがHPにアップされている。同市の事業評価システムは、事後評価の業績評価、事中評価の事業再評価、事前評価の大規模事業評価の三つの評価手法で構成。12年度から段階的な導入をしているもので、今回公表したのは業績評価で、13年度は評価対象事業
594事業(767件)(前年度(139事業)の約4.3倍)。
今後の方向を「改善する」「現状どおり」「その他」示し、検討事項などもコメントして一覧表で分かるようにしている。また、評価シートは、通常の対象、手段、成果などの事業内容のほか、特性として必要性、サービスの質、市民参加という視点などがあり、また、成果指標、活動指標に加えて、上位の施策目的に対応する社会的な効果である社会成果指標を設定している。事業に対する自己診断を、各指標の推移の関係と目標値の達成状況から評価しながら、総合的な診断をしているほか、項目のチェック式も取り入れながら、結論の方向をスムーズに考えさせようというような評価シートと言えよう。
広島市で行政評価の指標案公表
広島市のHPに行政評価制度の指標案などがアップされ、意見募集している。広島市ならではですが平和への取り組みをトップに、まちづくりの目標として100数十あまりの指標を提示している。11年11月に策定した第4次広島市基本計画の分野別計画に沿っているが、区の計画でそれぞれの区のまちづくりに具体的な指標を設定しているのが注目される。
最近策定した長期計画に目標とする指標や目標値がなく、行政評価導入の支障になっている事例も見受けられるが、既存の長期計画に具体的な数値で目標を明確にしていく方式で、評価の前提である目標の明確化の取り組みとして今後の流れをつくるものと言えよう。今後、目標達成度を測るものさし(指標)を完成し、14年度に数値目標を設定し、15年度以降に施策評価を実施する予定。
東京都で13年度評価結果を公表
このほど東京都の13年度行政評価結果が公表された。「道路交通の円滑化を図る」「緑の保全・創出などにより、都市のヒートアイランド現象を緩和する」という2つの政策評価とこれに関連する事務事業評価(20事務事業)、特定の課題に関する事務事業評価(32事務事業)の結果。
注目すべきは「東京構想2000」の政策指標とリンクした政策評価の2つ。例えば、「道路交通の円滑化を図る」では、政策指標として、自動車の混雑時平均旅行速度(km/h)をあげ、平成27(2015)年の目標値を30.0
km/hとしていますが、初期値の平成9(1997)年の速度21.0 km/hに対して、現況=平成11(1999)年の速度は、20.2
km/h(△8.9%)という結果で、達成状況を良好ではないとし、その要因を詳細に分析し、渋滞解消のための改善方向を明示している。
さらには、自己評価ばかりではなく、外部の専門家の意見を聞いているほか、関係各部局の意見を掲載するなど、評価の客観性を担保するとともに組織の横の連携を考慮した内容になっている。計画ー実施ー評価ー改善というマネジメントサイクルを明確な政策目標のもとにシステム化した政策評価のモデルと言えよう。12年度の相違で目立つのは、政策評価で2次評価がなくなったこと(事務事業評価は2次評価あり)と見やすさを心がけビジュアルな表現になったことが挙げられる。このほか、事務事業評価では例年どおり、第1次・第2次評価の比較が興味深い内容。年々試行錯誤と改善を続ける東京の行政評価も目が離せない事例のひとつである。
行政評価導入情報-評点が特徴の調布市
調布市で12年度の事務事業評価結果を公表した。必然性(3点)、手段の妥当性(3点)、効率性(3点)、コスト(3点)、目標達成度(5点)、市民満足度(3点)の6つに評点を設定し、満点20点のうち何点かを評価し、課長による見直しの方向として、A
拡充 B 継続C 終期を設定して継続 D 縮小 E
廃止 F休止 G 達成により完了 H
その他(新手法の採用等)の意見をつけているのが特徴。
事業別のコスト計算書も試行ー北九州の行政コスト計算書
企業会計手法の導入が各地の自治体で試行的に進められているが、このほど北九州市が「行政コスト計算書」を試算して公表した。市の資産形成につながらない行政サービスの経費を把握するもので、総務省から示された行政コスト計算書の作成基準に基づき作成。行政分野や施策ごとのコストの状況、また、その分野に充てられた財源の状況が分かるもの。
北九州市の特徴は、施策別、事務事業別でも計算、細分化したことで、施策別では、民生・衛生費の場合、社会福祉、老人福祉、児童福祉、生活保護、保健衛生に分けて、総コストと所要の一般財源を示している。
事務事業別では市民課窓口業務、市民福祉センター、健康診査、一般廃棄物処理、救急業務の5つを選んで,総コスト、所要一般財源、市民1人あたりに要する一般財源を表示している。ちなみに住民票や戸籍などの一件あたりの発行に要する総コストは2400円、一般財源は1000円を要する、また、一般廃棄物処理の市民1人あたりの総コストは15100円、一世帯あたりに要する一般財源は28000円という結果。今後、総コストや単位当たりのコスト、所要一般財源などについて、他の地方公共団体や民間との比較をすることによって、改善事項を把握し、今後の効率的・効果的な行財政運営に役立てる予定だ。
財政局HP
行政評価ブームを実証、43都道府県、12政令市で導入ー総務省調査
総務省は、毎年地方自治体の行政評価導入状況を調査しているが、このほどその調査結果が公表された。行政評価を導入または試行している自治体は今年7月末現在、都道府県では43団体(92%)、政令指定都市では全12団体という状況。市町村レベルでも190団体、9%に達し、1,519団体
47%
が検討中で、まさに行政評価ブームを実証している。すでに実施・試行している団体で事務事業評価から施策、政策へ拡大している自治体も伸びてきているのが特徴だ。都道府県と指定都市は、集計票で実施根拠、評価対象、公表状況が個別に分かる。指定都市を除く市町村では、都道府県別に実施根拠、評価対象、公表状況の市町村数を集計。ちなみに市町村で導入・試行実績のないのは大分、沖縄県内のみで、全国的な浸透が窺える。
ユニークな3者評価ー東京都北区
東京都北区の評価は、一覧表の見せ方に工夫しているが、13年度は一次評価で、従来の課長評価に部長評価を加えたこと、さらに2次評価として企画・総務部門評価をしているユニークな評価が特徴だ。マニュアルなども公開しているが、事務事業評価一覧表及び評価シート
で3者の評価が異なる事例もあり(課長は拡充、部長は休止、企画・総務は拡充など)、それぞれの評価の違いが対比できて興味深い事例。評価シートもチェック方式が多く、量は少なくないが記入を容易にする工夫がしてあり参考になる。
最近の行政評価導入情報
●板橋区で行政評価を開始、外部評価も委員を公募ー13年度から導入し、公募制の行政評価委員会設置が特徴。
●滋賀県守山市ー行政評価の試行を開始。2004年度からの本格導入を目指す。
●北海道千歳市ー今年度モデル事業試行、来年度全庁的な試行、平成15年度本格導入を目指す。
●岐阜県羽島市ー「事務事業評価システム」を導入。見直しタイプか?
●広島市が行政評価制度素案ー100を超える施策目標の指標案を作成。今後、数値目標も。2003年度に導入を目指し、市行財政改革懇話会に意見を聞きながら、その後市民意見も募る。
(指標案例)・原爆資料館の入館者を増やす・市内交通事故死者を減らす・広島カキの生産量を維持する・地域団体での女性役員の割合を高める・福祉ボランティアの数を増やす・市民1人当たりの公園緑地面積を増やす・下水処理汚泥のリサイクル率を高める、など。
宮城県行政評価委員会が条例基本方針案を答申
都道府県レベルの条例化の動きが北海道などで進んでいるが、このほど、宮城県行政評価委員会が条例基本方針案(PDF)を答申した。「県民参加の機会の確保」や「県民の満足度、重視度その他の意識に関する情報の把握等」を盛り込んでいるのが特徴で、評価への県民の参加の機会が確保されるよう努める義務、県民の参加の機会を確保するため、県民の満足度、重視度その他の意識に関する情報の把握、行政評価委員会の意見聴取、県民意見の聴取等の措置を講ずるとしている。
評価を行うに当たっては、「政策、施策及び事業に関する県民の満足度、重視度その他の意識に関する情報を社会調査等の手法により把握し、その結果を評価に適切に反映させる。県民の満足度、重視度その他の意識に関する情報の把握の結果を分かりやすく説明する書面を作成し、速やかに公表しなければならない。」などとして、“県民満足重視の条例”と言える。14年4月の施行を目指すようですが、今後、行政評価の条例化を目指す自治体の動きが加速しそうだ。
しがベンチマーク2001年版の公表ほかー最近の行政評価情報
(しがベンチマーク2001年度版の公表)
都道府県レベルでは、ベンチマーク導入で先駆的な滋賀県が2001年版のベンチマークを公表した。実績値との比較で到達率と全国順位などを分かりやすく表示している。
(東京都水道局版 事業評価制度の導入)
東京都の水道局が、次の3つの視点で総合的な評価を目指す事業評価制度を導入しました。
1) 目標管理における成果重視の徹底
2) 大規模な施設整備の事前評価及び再評価の導入
3) 内部管理・自己点検機能の強化
10月から開始で評価結果の公表などはこれから。
(会計検査研究第24号(2001.9)がHPに)
標記研究誌の最新号がWEBになった。
「公会計制度改革の二視点 −過去的視点と将来的視点」
「政策・施策評価システムの設計と評価方法」
「自治体における事業評価導入の多面的意義 」
「 中央府省の政策評価制度の動向「分析」 」
「我が国の政策評価制度の課題と展望」
など行政評価関係の論文が掲載されている。
論文のひとつ「我が国の政策評価制度の課題と展望」(東信男・会計検査院事務総長官房上席研究調査官)では、現行の政策評価の課題として、
・厳しい財政規律の必要性であるがそれが欠如し、予算編成上の財政規律と連動していない。
・評価の対象、目標、達成度なやプロセスの客観性を確保することができない。
・財政統制の手段である予算との連動が検討されていない。
・合理的なコスト情報を把握できる体制になく、公会計制度改革と連動させることについては考慮が払われていない。
・各府省の政策評価と外局,独立行政法人及び政府出資法人の業績評価がリンクしていない。
・政策評価が有効に機能するための関連制度として非常に重要な人事に関する権限の委譲とインセンティブの付与などが考慮されていない。
などの課題を指摘し、
我が国の政策評価は,「現実的な対応を重視するあまり,単独で導入されており,関連制度の改革が行われていないことから,行政の効率化及び財政の健全化にもたらす効果は限定的にならざるを得ないと思われる」という厳しい考えのほか、政策評価はその効果が限定されることから,予算制度,公会計制度,人事制度などの関連制度についても抜本的な改革の必要性を述べられている。国の政策評価に関する論文だが、地方自治体の評価にも当てはまる事項の多い論文である。
施策評価も導入ー三重県の政策推進システム
このほど、三重県で新しい総合計画「三重のくにづくり宣言」第二次実施計画(素案)が公表された。第二次実施計画においては、実施計画に定める県庁のしごと(「施策」や「基本事業」)を的確にマネジメントするためのしくみとして、「政策推進システム」を構築・導入を予定する。
「政策推進システム」システムは、ニュー・パブリック・マネジメント三重モデル実現の基礎となる一連の改革のパッケージと言うべきもの。
「総合計画を基軸とした県政運営」
「庁内分権と成果志向のマネジメント・サイクルの確立」
「適切な行政経営資源の配分」
「みなさんとの情報共有と意見の反映」
の4つを目指し、
@その推進においてマネジメントを意識した第二次実施計画の策定
A事務事業評価システムの機能を向上させたみえ政策評価システムの構築
Bみえ政策評価システムと連携した行政経営資源の配分のしくみづくり
C政策推進システムが適切に運用される責任と権限の明確な組織織(マネジメントしやすい組織)づくり
D評価結果をみなさんに公表し、意見を聴き、県政に反映するしくみづくり
に取り組むとしている。
計画と予算と連動した本格的なマネジメントステムで、従来の事務事業評価、基本事業評価に加えて、新たに施策目的評価表を作成し、3層構造の評価を実施する。新しい評価表の作成にあたっては、評価にかかるデータベース・システムの試験的な活用も予定している。
注目すべきは、政策判断を行う場合にはさまざまな要素を総合的に考えて行う必要があり、施策目標などの数値の動きだけによって、機械的に予算などの行政経営資源の配分を決めてしまうことは不可能としていること。数値目標を中心とした評価の結果を活用し、十分に分析したうえで、マネジメントの責任者としての意思決定定(経営判断)を行い、それによって行政経営資源を配分するとし、政策推進システムが適切に運用される責任と権限の明確な組織(マネジメントしやすい組織)改正も一体的にねらっているのが特徴だ。
常に全国的に注目されている三重県だが、これまで事務事業評価に培ったノウハウを活かした戦略計画と業績評価を一体化したマネジメントシステム。その行方は今後の自治体の評価システムの将来を占う試金石と言えそうだ。
市民参画とIT重視の行政評価ー横須賀市
行政のIT化を積極的に展開している横須賀市。行政評価でもその流れは変わらない。同市の行政評価は,(1)外部評価を含む市民参画(2)政策・施策評価と事務事業評価の一元化(3)情報通信技術の駆使の3点が特徴。市民や外部識者によって構成する「(仮称)まちづくり評価委員会」を設置も計画し,市民による再評価もねらう。また,単なるデータベースではない政策支援ツールとしての活用を目指している。
「政策・施策評価」は,政策目標を明確に,「まちづくり指標」を設定。市の行政活動による効果とみなすことができる指標(行政効果指標)、市政が関与できない効果に関する指標(外在指標)、市民満足度による指標等、できるだけ多面的な観点から指標の検討を行い、市の現状を的確に示すことのできる指標づくりを目指している。
また,指標の限界を意識し,あくまでも、「政策・施策への取り組み状況と、それによる目標の達成状況を数値把握するための代表的な指標(代理指標)である」としているのが特徴だ。
「事務事業評価」では、事業のコストや実施状況を定量的に把握することを目標とし、事業結果量(アウトプット)までの指標を作成して評価を行うとしていることが注目されること。また,「事務事業目標管理」として事業効果(アウトカム)について可能な限り定量的な把握(指標作成)を試みるとしている。事務事業評価は、評価を毎年実施,職員自らが事業の実施前に目標を定め、事業実施途中・実施後に目標の到達度等への評価を行う方式で,各部局で実務担当者から部局長までの段階的な評価を行ない,次に庁内で組織された(仮称)行政評価プロジェクトチームで再評価を行うシステム。さらに,これを今後設置する市民参画・外部組織の評価委員会「(仮称)まちづくり評価委員会」で評価し、その結果を市民に公表し、議会に報告する。各部局へのフィードバックにより予算編成及び実施計画策定、進行管理に活用する予定だ。
なお,同市のシステムは平成15年度に本格稼働を予定で,現在試行中。市町村では政策ー施策ー事業と体系づけた本格的な評価システムのリーディングケースであり,今後の成果に注目が集まっている。