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新刊紹介ー「地方自治体の2007年問題
            ―大量退職時代のアウトソーシング・市場化 テスト」

このほど、「地方自治体の2007年問題―大量退職時代のアウトソーシング・市場化 テスト」2005.8(官公庁通信社)という著作が出版された。日本のABC第一人者 のお一人である櫻井通晴・専修大学教授が監修し、南学・神田外国語大学教授、小島 卓弥・ウッドランド(株)チーフコンサルタントの編著。

経済産業省の行政サービスの外部委託に関するビジネスプラン研究会で取り上げた 自治体におけるABC分析のデータや実験を活用し、行政サービスの課題とアウト ソーシングのあり方をまとめたもの。この著作は、タイトルが示すとおり、団塊の世代が大量退職しはじめる2007年が、 自治体にとってアウトソーシングや市場化テストを進めるチャンスと捉え、効果的な 導入戦略を提案している。

まず、行政のアウトソーシングにあたって、コスト構造を分析し、どの部分あるい は全体をアウトソーシングすることでどの程度のコスト削減かを検証することが必須 とし、ABCによるコストの可視化による最適な選択を勧めている。このほかチェックポイントとして、総合評価入札、公募プロポーザルなどサービス に応じた入札・契約原則の多様化や、法規制を打破して公権力を逃げ道にしないため に、先進事例なども提示。また、労働組合の反対、住民の反発や議会の理 解など水面下に潜む課題には、説明責任を果たすことで味方にしようなど、情報公開 の活用を示唆している。

現場職員の「プロ意識」にエールを送りながら、最終章にある「コスト構造解析が 改革の近道に」というコンセプトがこの本全体を貫いている。実践的なABCの活 用指南書とも言えそうだ。


県政報告書とデータブックを公表―三重県

 このほど、三重県が昨年度取り組んだ事業やその成果を報告し、県の現状について情報の共有をはかるとともに、県民意見を反映するため、「2005年(平成17)年版県政報告書」を作成した。これは、「県民しあわせプラン」「県民しあわせプラン・戦略計画」における政策・事業体系に基づく施策、基本事業、事務事業のうち、施策レベルの評価と重点プログラムの評価を中心に、取りまとめたもの。 また、県の施策の現状を客観的なデータによって把握してもらうため、併せて「データブック・みえ」も公表している。

  「県民しあわせプラン」に基づく,県政の全体像を報告書やデータブックで捉え、個々の事業展開した結果とその評価は、事務事業、基本事業、施策の3段階で構成した「みえ政策評価システム」によって明らかにするという仕組みだ。計画と予算、評価をマネジメントに結びつけた三重県ならではのシステムと言えよう。


大阪府で市場化テストガイドラインを策定

 このほど大阪府は、「市場化テストガイドライン」を公表した。市場化テストとは、府が実施しているサービスについて、行政としての責任を堅持しながら、行政と民間が価格と質の面で競い合い、より優れた提供主体を決める仕組みであり、行政の仕事をアウトソーシングするかどうかを判断するにあたっての手法として いる。

 このガイドラインでは、(1) 住民負担最小化・住民便益最大化の原則、 (2) 民からすすめる地域協働の原則 、(3) 地方分権実質化の原則 、(4) 行政責任堅持の原則、(5) 雇用確保と行政効率化両立の原則、の5つを基本原則として定めとともに、 官民が競争する制度という点で、PFI制度、指定管理者制度、構造改革特区制度などの既存制度とは異なるものと整理している。

 事務事業及び内部管理事務のうち、法令の規定により民間への委託が禁止されているもののほか、行政責任の中心をなすもの 、例えば予算調製、条例・規則等の制定、重要な計画・指針等の策定など、基本的な行政としての意思決定を行う事務を対象事業から除くとしている。

 なお、市場化テストのすべての実施プロセス(対象事業の決定、評価基 準の決定、落札者の決定等)に対し、学識経験者等による第三者機関が評価を行うことが 望ましいなどとしている。厳しい財政事情の中で、総務事務の集中化にもいち早く取り組んだ大阪府であり,自治体における本格的な市場化テストとして今後の動きが注目される。


「仙台協働本(せんだいこらぼん)」を発行,協働の評価システムも  

 仙台市が2月に「仙台協働本(せんだいこらぼん)」と名づけた市民協働を成功させるための手引き書を発行した。

 若手職員16名によるワーキンググループがNPOと「協働」を実践しながら作成を進めたもの。「協働を理解するための情報」「協働を実践するためのプログラム」「協働の評価システム」の3部構成になっている。特に,「協働の評価システム」は,従来の「成果」の評価ではなく,NPOと市の考え方や対応など、協働の各段階を振り返り、より良い協働へと発展させていくための「プロセス」の評価を重視している点が最大の特徴だ。全国でも画期的な手引書と言えよう。


まちづくり指標のモニターに,アンケート調査を公表ー東海市

 このほど,東海市の平成16年度まちづくりアンケート・「市民生活の現状についてのアンケート調査報告書」が公表された。

 これは,市民ニーズに基づく共創のまちづくりを標榜する同市が,市民の生活実感から選定された生活課題について、政策の良し悪しや進み具合を測るために作成した「まちづくり指標」の現状値をまちづくりアンケートにより調査したものだ。 同市のまちづくり指標は,市民参画によって作成したが,この指標をもとに総合計画が作成されている。いわば,この指標を共有しながら市の役割(分担値)を果たすために、どこに重点を置いて活動を展開していくかを示す戦略計画が総合計画と言えるほど,まちづくりによって重要な意味をもっているもの と言えよう。今後,市の内外,議会でどのような議論が繰り広がられるかは未知数であるが,指標をつかって政策を議論するという本来の行政評価の使い方のどう実践されるかを注目して行きたい。

  なお,このアンケートは、満16 歳以上の東海市在住者から無作為で抽出した3,500 人対象の「一般アンケート」,一般アンケートのうち、65 歳以上の方もしくは65 歳以上のご家族をもった方対象の「高齢者アンケート」,個別の項目で調査が必要となる学校や福祉団体等の9種類の母集団を対象とした「個別アンケート」の3つから構成されている。効率的な調査方法としても参考になる。

東海市市民生活の現状についてのアンケート調査報告書

まちづくりガイドブック 2003年度版 


新しい公共空間形成に向けて,自治体経営刷新の戦略を提示ー総務省・研究会

 総務省が設置した分権型社会に対応した地方行政組織運営の刷新に関する研究会(座長=岩崎美紀子・筑波大学大学院教授)が,このほど,「新しい公空間の形成」を切り口に,今後の地方行政組織運営の刷新について研究報告書をまとめた。

 社会経済情勢の変化に伴う経営資源の制約が続く中,地域協働による新しい公共サービス提供の仕組みが注目されているが,今後,この多様な主体による活力を結集し,限られた行政資源を効率的に活用できる組織への刷新が重要であるとしている。

 また,地方自治体の行政組織運営の改革の取組を紹介するとともに,組織運営の刷新のための視点として, 行政の担うべき役割の重点化と「新しい公共空間」の担い手の多元化,行政内部の変革と住民との関係の変革などの必要性を提示している。

 さらには,組織運営の刷新の具体的推進手法 として,「地域協働」,「行政の多元化(主として外部委託)」, 「組織・マネジメント」、「人事管理」,「行政評価」, 「ICT(Information and Communication Technology)の活用」「議会のあり方」など,多岐に渡って提言をまとめている。

報告書「分権型社会における自治体経営の刷新戦略 −新しい公共空間の形成を目指して−」


トピックスーまんが行政評価(釧路市)

 釧路市のホームページは,「まんが行政評価」と題して,分かりやすく評価の必要性を解説している。なかなか行政内部にも,市民にも浸透しない評価制度であるが,子供にも分かりやすいユニークな試みと言えよう。


経営戦略策定支援プロジェクトが報告書を公表ー松戸市

 松戸市の「経営戦略策定支援プロジェクト」がこのほど,中・長期的な改革に向けたプロジェクト報告を公表した。昨年9月に若手職員によるプロジェクトを設置し,検討をすすめていたもの。

 報告書は,「未来のために、今こそ・・・  "あれもこれも"から"あれかこれか"への転換を」 というタイトルが示すとおり,同市の行財政を中・長期的に改革するための方法論を確立し,行政経営システムを確立し、持続させるための改革工程表を策定。内部マネジメントを戦略的に変革するため、サマーレビューの手順、改善のポイントを整理するほか,サマーレビューでの判断基準となる戦略計画の策定手順を示している。

経営戦略策定支援プロジェクト報告書


NPOによる県の事業評価試行の反映状況を公表ー神奈川県

 神奈川県では、NPO等と県との協働の一環として、NPOによる県の事業評価を実施しているが,このほど,その評価結果の反映状況を公表した。対象事業は,消費者啓発学習事業と創業応援キャラバン事業の2つ。評価は,NPO等と県所管課等による評価会議を各3回開催し、資料提供、意見交換等を実施して行った。事業の課題,提言の提示に対して,それぞれ対応の方向と結果公表後の反映状況を対比して公表している。NPOに委託しての評価は,岩手県などに例はあるが,非営利団体による外部評価の一形態として注目される。

「NPO等による県の事業評価」試行 評価書1 反映状況1 評価書2 反映状況2


「太田市役所の職員は今」-圧倒的に「やり甲斐」重視の職員気質

 太田市が,現在取り組んでいるISOや行政評価などを通して確立しようとしているマネジメントシステムの定着状況を把握するために実施した職員アンケート結果がこのほどまとまった。経営方針やISO活動、行政評価の必要性の理解については,肯定的な回答が73%であり、約4分の3の職員が理解を示している。しかし,残りの4分の1は,「理解できない理由」として,「業務に支障がないから」「日々の業務が忙しいから」の2つを主に挙げている。ISOや行政評価等の入り口の所で多くの職員が躊躇している姿も浮き彫りになった。

 ただ,同市の職員は,「やり甲斐のある業務」と「楽(らく)な業務」、いずれを重視しますかという設問で,92%が「やり甲斐のある業務」を選択し,市民満足度を向上を目標とする太田市職員の気質が垣間見えた。


NIRAが都市自治体総合行政評価システムを提案

 このほど,NIRAが行政評価を基軸とした戦略的都市経営への発展を目指した「都市自治体総合行政評価システム」に関する研究を公表した。

 自主研究で提示したNIRA型ベンチマーク・モデルをもとに,市民参加の視点を重視しながら、基本政策・政策・施策・事務事業の各階層における行政評価の流れを統合し、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを実現するためのモデルを構築。都市の基本目標を与える戦略的総合計画と結合させることで都市総合マネジメントシステムへの発展を目指している。このほか,行政評価情報の交流プラットフォームとして都市自治体の職員や市民、シンクタンクや大学の研究者などによる都市総合行政評価コンソーシアム(仮称))を設置を提言している。


政策マーケッティングシステムの再構築に向けて報告書を公表

 このほど,青森県の政策マーケティング委員会は,「政策マーケッティングシステムの課題と方向性」という報告書をまとめ,政策形成に結びつける評価手法としての改善や評価に基づき政策形成する仕組みへの改革を提言した。

 報告では,現行システムが評価結果を政策主体の政策形成に反映させる仕組みとしてまだ十分ではないと指摘。行政資源の配分変更を進める手段としてより効果的・実際的に役立てることができるように改善すること,評価と政策形成と連携させるため,ロジックモデルを活用することを提言している。また,参加と協働のためには,県庁だけではなく,多くの地域政策主体がPDSサイクルを各組織運営に内製化していくこと,政策形成は客観的評価に基づいて行うこと、つまり、客観的評価を根拠として説明責任を果たすということを社会常識にしていく必要を説いている。


トピックス 施策評価を決算成果説明書に活用ー佐世保市

 行政評価の結果公表が各自治体で実施されているが,佐世保市では,施策の評価結果を「平成15年度決算に係る主要な施策の成果説明書」に活用して,施策評価結果を「主要な施策の成果説明書」に「施策概要書」として掲載している。このほか,同市では,内部事務等の事業についても評価を実施し,一般・特別会計における予算措置があった事業すべてについて評価しているのが特徴。今後は,施策評価について目標をさらに明確化し,経営方針や次期総合計画への策定へ活かすとともに,第三者評価のあり方検討や,受益者負担の適正化に向けての検討などに着手していくとしている。評価結果の具体的な活用事例として紹介する。


人事給与制度検討委員会が「報告書」を提出-横浜市

 このほど,横浜市の「人事給与制度検討委員会」(平成15 年11 月10 日設置)が,人事・給与制度改革の方向性について報告書を提出した。基本的な方向として,職員が意欲をもってその能力を発揮するため,人事・給与の制度や運用を「努力してもしなくても同じ」ではなく ,職員の意欲や能 力,実績が適切に反映されるような仕組みに変えていくことが必要であると提言している。

 横浜市が求める職員像を明らかにしたうえで,それに向けてどのような人材をどのよう に育成していくのか具体策を示すことが必要であるとし,採用,配置・異動,昇進(昇任)・昇格等 の仕組みの再編や庁内公募の活用,昇進・昇格に人事考課や試験等の活用を行うこと,昇進・昇格後にその職責を果たすことができない場合に降格させることについても検討が必要とするなどのほか,増加する女性職員の育成・登用,子育てや介護など生活と仕事を両立しやすい働き方を支援する仕組みの導入などを求めている。公務員制度改革は,立ち遅れた分野であるが,「人材こそが最も重要な経営資源である」自治体にとって,避けて通れない課題に,横浜市の今後が注目される。


整備の優先度を導入した社会資本整備重点化プランを策定ー北海道

 このほど北海道は,今後の社会資本整備に求められる方向性を示すため,限られた財源の中で,北海道において重点的に整備すべき社会資本の考え方や手立てを明らかにするため ,平成17年度から平成19年度までの3年間を重点化の対象期間とした「北海道社会資本整備重点化プラン」を策定した。

 社会資本に関連する「施策」と「事業」の両面に着目し,社会資本整備に優先度を導入したこと,基礎的優先度を基に道民意見地域意向を反映して「全道優先度」を設定したこと,道内の6圏域ごとに「圏域特性」としての優先度などを設定したこと,道民意見の把握等にパブリック・インボルブメントの手法を導入したことが特徴だ。

 例えば,「施策優先度」では,優先度A(対象期間中,優先して取り組む施策),優先度B(社会資本整備を巡る情勢を勘案して,取組の方向を定める施策),優先度C(対象期間中 ,取組のペースを抑制せざるを得ない施策)の3つに分類し,社会資本の重点化整備を目指している。


千代田区がBSCで部の目標を設定

 千代田区では,事業部制を導入ているが,区民サービスを直接担当する事業実施部門が自己決定,自己責任のもとに柔軟な行政運営ができるよう事業部ごとのバランス・スコアカード(BSC)を作成し ,組織経営評価を実施している。個々の目標は「顧客(区民サービス)」「財務」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点から設定し,各々の目標に合計で100点になるように点数(スコア)を付けるという仕組みだ。 戦略マップも作成,公表している。若干ロジックがつながらない部分もあるが,今後の精度向上が期待される。

 同区では,BSCのメリットとして,(1)既存の事業や計画の中で,特に今年度重点的に取り組まなければならない事項が明確になること,(2) 区や事業部の戦略と個人の業務との関係が明らかになり,役割が明確に意識されるので,職員の意欲が向上すること ,(3) 成果の達成に向けて先を見た仕事の進め方や,部下の育成がなされるため,達成度が高まること,(4)・ 評価が公正に行なわれ,PDCAサイクルによる組織経営改革が着実に進むこと,の4点を挙げている。路上禁煙などの取り組みで有名な同区であるが,事務事業のコスト把握など静かな ,そして確実な歩みを見せる行政改革の面でも注目されている。


事業部制実施方針を策定ー練馬区

 このほど,練馬区が事業部制の実施を目指し,その実施方針を策定した。庁内の分権化,トップマネジメントの強化,新たな行政課題に対応した区民に分かりやすい組織体制の構築,行政資源を総合化・総力化した組織体制の強化の4点から組織改革を目指すもの。

 創設するのは,コミュニティを基礎にした多様で活力ある区民活動の推進を担う「区民生活事業本部」, 少子高齢社会の進展を見据えた健康の保持・増進と福祉の推進を担う「健康福祉事業本部 」,環境への配慮を基点にしたまちづくりの推進を担う「環境まちづくり事業本部」の3つで, 平成17年度から導入し,18年度で事業本部へのスタッフ部門の強化や人事,定数,予算などの権限委譲を進めるとしている。特に,事業本部ごとに経営課を設けて,本部長の経営機能を補佐するほか,枠配分予算制度を導入し,政策的な経費以外の経費については ,配分された枠内であれ ば,各部の判断に基づき予算化できるとともに,執行における制限も可能な限り緩和するなど大幅な権限委譲が特徴だ。

 なお,23区においては,これまで品川区(13 年度),杉並区(13 年度),千代田区(15 年度),足立区(15 年度),中野区(16 年度)の5区が事業部制を導入している。


トピックスー瀬戸市の「事務事業評価帳票作成手引き」

 NPMに根づいた行政経営手法を導入して静かな改革を進める瀬戸市であるが,NPMの考え方から,政策体系と政策型思考,SWOT分析の方法,目標設定の方法など,わかりやすく評価の前提を解説しているので紹介する。形だけの評価が広がっているが,正しいNPM理論の意義と,それを具体化するツールの使い方をしっかり解説した手引きであり,今後の進化が期待される。(16.10.12)


国の政策評価の改善に意見書を提出ー経済財政諮問会議の有識者議員

 国の政策評価もスタートして2年だが,経済財政諮問会議の有識者議員が,政策評価のあり方を根本から見直して,予算の質と透明性を高めることを求めて,「政策評価の充実に向けて」という意見書を提出した。

 現在の政策評価制度は,*事前評価が,予算要求の正当化に使われやすい *事後評価も,既存施策の拡充に結びつきやすい *評価指標が予算増の方向で設定され,コスト意識が欠如している *評価結果を予算の作成に活用する仕組みが有効に機能していない :評価結果について国民への分かりやすい説明がなされていないという5つの問題点を指摘。 そのうえで,各府省の評価を分かりやすく,横断的に比較検証できるよう,様式を 簡便で統一的なスタイルにする,* 達成目標の定量化を徹底するとともに,どのデータ(ものさし)で評価を行うかも予め明示させる ,* 科学技術関係予算の優先順位付け(SABC等)のように,優先度を 明らかにする仕組みを採用する,* 各府省の評価結果に対し,第三者評価を実施し,その結果を公表するという改善を求めた。このほか,評価と予算の連携を強め,各府省は,国民に説明する資料として,*成果目標の達成状況 ,*政策評価 の結果,*予算要求への反映状況を,財務書類と合わせて「年次報告書」と して発表すべきであるとしている。

 なお,この意見書は,米国のPART(Program Assessment Rating Tool) という仕組みを意識した内容になっている。参考:英米におけるNPM 最新事情 (16.10.12)


最近の行政評価レポートー会計検査研究から

自治体行政評価における個別評価と総合評価の形成
          −名古屋市行政評価を参考に−

 厳しい財政危機の中で自治体における歳出の順位づけは,大きな課題である。名古屋市の事務事業評価を例に,住民の価値観の反映を視野において,事務事業評価からの総合評価の形成を示唆している。

行政経営とガバナンス型Balanced Scorecard(BSC)に関する一考察

 札幌市,三重県病院事業庁,姫路市,横須賀市のBSCの研究事例を題材に,ガバナンス型BSCが機能するための条件を示唆している。


施策優先順位を公表ー島根県

 このほど,島根県は,総合計画の70施策を13のグループに分けて,優先順位をつけて公表した。危機的な財政状況のもとで ,限られた行政資源を効果的に配分し,より効率的かつ効果的な行政活動を展開を目指し,総合計画の中から優先度の高い施策を選定し,その施策に優先的に行政資源を配分することとしたもの。来年度の予算編成に反映させる。

 判断基準は,(1)県民ニーズや施策水準の現状からその施策を展開することの「必要性」 ,(2) 市町村との役割分担,県民との協働の推進などの視点を踏まえ県がその施策を展開することの「妥当性」, (3)総合計画の「時代の動きと基本認識」を踏まえ,将来への布石として早急にその施策を展開すべきかどうかの「緊急性」, (4) 施策を実施した場合の効果や成果を予測する「有効性」,(5)県の実情等から,他の施策よりも限られた行政資源を優先的に配分すべきかどうかの「優先性」の5つ。必要性の判断には,県民満足度調査も活用している。

 同県が,十分政策論議を尽くしたかどうかは別にして,価値の選択を志向した今後の評価の活用法を示唆していると言えよう。


規制に関する政策評価の手法に関する調査研究・報告書を公表ー総務省

 このほど,総務省が「規制に関する政策評価の手法に関する調査研究・報告書」を公表した。この報告書は,「規制」についての政策評価の手法について , 主に諸外国における実態を調査して分析したもの。特に『規制影響分析規制影響分析((Regulatory Impact Analysis Regulatory Impact Analysis)) 』に着目し,わが国において,規制に関する評価に取り組む際に考慮すべき事項を整理して提示している。


「行政サービスの外部委託に関するビジネスプラン研究会報告書」が公表

 このほど,産業経済省から「行政サービスの外部委託に関するビジネスプラン研究会報告書」が公表された。この研究会は,今後加速する行政サービスのアウトソーシングについて,客観的に検証する基準や方法がないという問題意識から, ABC(活動基準原価計算;Activity-Based Costing)を用いて,行政機関の各種事業・業務における業務フローの把握と活動レベルでのコスト構造をまず可視化し,その活用によって事業や業務の特性に適合した最適な委託方法を明らかにした上で ,官民の役割分担のベストプラクティスへと導く方法を研究したもの。

 アウトソーシングにおけるセキュリティ,入札,契約,法規制上の問題のほか,阻害要因として住民意識,議会,組合問題などを具体的にあげ,例えば,事前のサービス水準の明確化による説明の強化,「団塊の世代」の大量退職時期に対応して取り組む,組合対策として,定員・コスト削減に成功した際に余剰予算を次年度に繰り越せるなど何らかのインセンティブを設定するなど,きめこまかな対応策を提示している。また,保育所,体育施設管理,粗大ゴミ,広報,住民窓口,給与支給などABC/ABMの実証実験結果を示しながら分野別のアウトソーシングの方向性を提示しています。これだけ多くの業務をABC分析した例はなく,業務の改善方向を考える上でも貴重な報告になっている。


武蔵野地域生活環境指標15年度版を公表

 武蔵野市は,昭和48年から市の福祉,教育,市民生活,環境,都市基盤など市民生活に関するさまざまな地域情報を地図上にまとめた地域生活環境指標を作成している。このほど4年ぶりにデータを大幅に増加させた15年版の指標を公表した。

 まちの現状を地図上に落とし込んで視覚で捉えながら,まちづくりを議論するという武蔵野市がはじめたこの手法は,これまで全国に大きな影響を与えている。 問題発見,解決のための政策づくり,そして,評価には指標が不可欠である。市民や職員に分かる共通の指標があってこそ,課題の発見や評価ができるのではないか。そんな原点を考えさせてくれる事例と言えよう。


長野市が本格的な公務員制度改革に着手

 長野市が,このほど,能力,成果,チャレンジ,信賞必罰主義を姿勢として貫く長野市人事制度改革構想を公表するとともに,新たに構築する人事評価制度のうち業績評価については ,目標管理の手法を活用するとして,管理職用の目標管理マニュアルを併せて公表した。職員の業績評価をどのような方法で実施するかをまとめたもので,平成16年度に管理職を対象に試行し ,実施段階では改めて内容を精査し,修正することとしている。

長野市における公務員制度改革の取り組み

 この改革構想では,職員としての使命を自覚し,目指すべき職員像(期待職員像)を確立することを人材育成方針の中で明示するほか,人事考課制度などを人材育成に活用し ,個人が主体的にキャリア形成・能力開発に努めることのできる体系を目指している。「目標管理マニュアル〜業績評価制度〜(管理職試行用)」には,職位別の期待される管理職像が明示され ,役割期待度と組織期待度などマトリクスで難易度を示すなどより客観的な評価への工夫がされている。

 なお,人事考課制度の成果指標として,19年度末までに,全職員の90%以上が人事考課に対して信頼できること,結果を納得できることを設定していることが目を引く。このほか ,構想策定にあたり,市民から見た職員像,人事・給与制度等に関する職員アンケートなど,現状をしっかり踏まえて行っていることが特徴である。人事考課などの分野は ,寝屋川市の360°評価など多面評価の試み,宇都宮市のコンピテンシー評価,山口市の加点主義の評価などの取り組みはある*1が ,あまり詳細は公表されていない。今後,本格的な公務員制度改革が避けられない時代に,積極的なチャレンジ事例と言えよう。

*1参考文献:「人事評価への取組み・先進自治体の事例」2003年4月地方公務員人事・評価制度研究会編(ぎょうせい)


NIRAがe-ラーニング:政策プログラム評価セミナーを公開

このほど,NIRAがe-ラーニング:政策プログラム評価セミナーを公開した。ソフトのインストールが必要だが ,手軽に自己学習ができるので便利だ。 「プログラム評価:概論」「評価プロジェクトの編成と運営管理」の2つで,入門・基礎編ですが,音声とスライドがお勧め。


業務棚卸表で,議会の外部評価―静岡県

  静岡県は業務棚卸表で有名であるが,このほど,この棚卸表を用いて議会と政策議論をはじめた。県が議会の決算特別委員会に業務棚卸表(平成14年度分)とともに ,その達成度の評価を添えた参考資料を提出したものだ。組織単位で進める業務を簡潔かつ体系的に文書化して,組織の目的と手段,達成目標を明示したものが業務棚卸表である。今回 ,この様式に「評価」欄を加え,総合計画指標の達成度など,指標の分析や手段が役に立ったかどうかなど効果性分析を行う等のバージョンアップを図っている。

議会では,成果に関する考え方や目標のあり方,現状に関する考え方など決算特別委員会での議論の題材になった。議会で活用されるとは聞かない行政評価であるが,そもそも議会は究極の“外部評価委員会”と言えるかもしれない。


市民意識調査(納得度調査)の結果を公表ー大和市

 市民自治の推進に力を入れている大和市が,このほど市民意識調査(納得度調査)の結果を公表した。市民意識調査は様々あるが ,「あれかこれか」という選択と集中による市民の視点に立った行政資源の配分を目指したもので,今後の目標水準とかけるべき費用について,対応方針を検討する施策評価を実施したことが特徴である。

 この調査は,住民登録のある16歳以上の市民 3,000人を対象に実施した。総合計画策定の基礎情報として,「定住意向」「コミュニティ」のほか,市民納得度調査として ,教育,保健福祉,都市づくり,環境など45施策について,施策ごとに,「主な仕事」,「効果の一例」とともに,「使った金額(一般財源の総額及び市民一人あたりの金額)」を示し ,この情報を基に回答を求めたものである。調査表もユニークであるが,施策コントロールの方向として施策ごとに効果・費用の方向を施策評価している。施策ごとの集計・分析結果の妥当性は ,別にして選択と集中という時代の流れにそって,市民意思をどう生かすか課題にチャレンジする事例として紹介する。


(最近の行政経営情報)

神戸市が行政評価条例を検討

このほど,神戸市が「協働・参画3条例に関する意見募集」をおこなっている。この中で ,「行政評価条例(仮称)に関する中間とりまとめ」として,行政評価を市民の視点に立って成果を重視し,効率的かつ 効果的な市政を推進するとともに,市民に積極的に説明責任を果たして いくとその目的を位置づけている。

三位一体の市政経営戦略プランの素案の公表-福岡市

 福岡市が,政策推進・行政経営改革・財政健全化の3つのプランを三位一体で策定する市政経営戦略の素案を公表した。達成目標の設定 と計画事業費を明示した政策推進プラン,小さな自治を育む校区起点の行政などを含む行政経営改革プラン,戦略的な資源配分による「自治都市・福岡」を目指した財政健全化プランの3つで ,16年度の策定を目指している。

鹿児島県が行政評価を導入

 鹿児島県は,「21世紀新かごしま総合計画」に数値目標を設定するなど,先進的な取り組みを進めているが,このほどこの計画の効果的,効率的,計画的な推進と行政の説明責任の徹底し ,効率的で質の高い行政,そして成果重視の行政の実現を目指して,行政評価を導入し ,その結果を公表した。同計画の「施策」である「主要プロジェクト」(64施策)及び「創造プログラムを構成する個別プロジェクト」(34施策)並びにそれぞれの施策を構成する「事業」(292事業)における平成14年度の実績を対象として評価しているが ,全庁的に組織された「21世紀新かごしま総合計画推進本部(知事が本部長)」が二次評価することが特徴だ。