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地方自治体の公共施設の有効活用に第一次提言ーPHP総合研究所

 このほど、PHP総合研究所が、財政事情の厳しさが増す中で、自治体の7、8割の資源を投入したと推定されるストックの活用に注目した研究プロジェクトの第一次提言「自治体公共施設の有効活用〜コスト情報から始めるハコモノ改革〜」を公表した。これは、同社が設置した「地方自治体の公共施設の有効活用」研究会が、自治体公共施設が抱える問題点を整理し、ハコモノにかかるコストパフォーマンスの評価手法をとりまとめたもの。

 全国に膨大なストックとして蓄積されているハコモノのなかには、国の景気対策などに乗じて建設されたものが少なくない。しかし、建設後、運営管理コストがかさみ、自治体財政を圧迫している例が後を絶たない。 こうした自治体に共通するのは、首長、議員、住民を含む地域全体のコスト意識が希薄で、利用価値の低いハコモノを建設し、採算性のとれない事業に歯止めをかけることができないという現象を政治的、制度的、経営的要因によって分析。

 有効活用の第一歩は、コスト情報の把握とする。コスト情報を把握すれば、自治体経営のさまざまなムダ=改革の余地が浮き彫りになり、さらに、これらの評価・分析を通じて、問題の所在が把握され、最少のコストで最大の行政サービスを達成する具体的な改善案が提案できるからである。 そして、 サービスの質を落とすことなく、必要な場合は、もう少しコストをかけても、より大きな便益を出すこと、などを有効活用の目的と定義する。

 具体的には、公有財産のパフォーマンスを分析するため、「トータルコストと事業の実態を把握」、「ハコモノ別・事業別の行政コスト計算書作成」、「将来コストの予測」、「トータルコスト、実態情報をアニュアルレポートとして開示」の4点が必要と指摘し、また、その情報分析・評価として、ハコモノのパフォーマンスを分析・評価し、さらには、情報の活用として、自治体全体でハコモノを見て、最適な活用を個々のハコモノでなく自治体全体の観点で図るべきであるとしている。

 地方財政健全化法の施行され、公会計改革が進められ、自治体は保有する資産・負債(ストック)に関する財務情報の把握が求められている。しかし、地方自治体の公共施設の有効活用については、自治体においてまだまだ十分な研究が進められていない分野であり、今後の研究成果に期待したい。


自治体の行政評価の取り組み調査を公表ー三菱総研

 このほど、三菱総研から「地方自治体における行政評価への取り組みに関する実態調査」結果が公表された。この調査は、2007年8月から9月にかけてアンケートを実施し、自治体総数1,874の約半数の893団体から回答を得ている。

 主な結果は、行政評価導入が進む中で、規模の小さい自治体の動きが鈍化し、二極化が進んでいる。また、 都道府県では導入の成果を実感しているものの、基礎自治体の市・区では成果の実感度合いが後退傾向が見受けられる。

 さらには、積極的に住民の声を聞こうとする意欲は依然として低く、住民・住民代表等が評価を行っているとする自治体(施策レベル)は、予定も含めて、都道府県18.9%、市・区33.7%、町34.0%に留まっている。

 なお、今回、はじめてマニフェストと評価の関係を調査。「首長がマニフェストを掲げて当選した自治体は、都道府県66.0%(31団体)、市・区45.6%(227団体)に及ぶが、マニフェストへの対応では、「総合計画と連動」が主流である。 また、基礎自治体での取り組みの遅れが目立ち、制度に対する理解・意識の低さ、制度の形骸化を危惧される」としている。

 同社の調査は、1998年から毎年調査を実施しているものであるが、行政評価ブームが巻き起こって10年になろうとする中、導入目的として多くの自治体が掲げている「住民とのコミュニケーション」にはほど遠く、依然として市民参加型評価までには至っていない日本の現状を浮き彫りにしている。


ふるさと納税の姿が明確にー研究会報告を公表

 総務省の「ふるさと納税研究会(座長:島田晴雄・千葉商科大学学長)」が、このほど、、「ふるさと」に対する納税者の貢献等が可能となる税制上の方策の実現に向けて検討した結果を「ふるさと納税研究会」報告書として公表した。

 ふるさと納税については、全国自治体の間でも賛否の議論が広がっているが、同報告書によれば、その意義を、「ふるさと納税は、納税者が自分の意思で、納税対象を選択できるという道を 拓くものであり、画期的な歴史的意義がある」、また、「納税者が税の意義に思いをいたし、納税の大切さを自覚する貴重な機会になる」、さらには、「ふるさと納税を通じて自治意識の進化 ・自治体間競争が刺激されることにより、地方団体が自治意識を進化させる重要な 契機になる」などを掲げている。

 いろいろ議論があった「ふるさと」の概念は、貢献したいと思う人のイメージを尊重し、受益と負担の関係、課税権などと抵触しないように、「税額控除方式」の寄付金税制の応用を考慮すべきと提言している。また、全額控除の対象を個人住民税所得割の1割を上限にし、さらには、寄附を受けた自治体の交付税が減少しないこと、寄附者の住所地の自治体の住民税減少を基準財政収入額に反映するなどといった細かな配慮を求めている。

 今後、どのように実現させるかは未確定であるが、住んでいる自治体のあり方を見つめなおし、また、寄附文化醸成の契機としては、注目に値する制度である。


1年間の青森市の活動成果を公表ー青森市自治体経営報告書

 青森市は、このほど、決算の附属資料として、行政評価の結果や経営資源の投入実績や財務諸表、各種統計情報など活用して、この1年間を通じた各種成果を取りまとめた「青森市自治体経営報告書」を公表した。

 この報告書は、同市の総合計画の概要とその進捗状況、基本政策の定量・定性評価、施策評価、市民参加による市民が主役のまちづくりと便利で効率的な小さな市役所 づくりという戦略経営の取組み成果、各会計の執行実績や基本政策別投入資源というセグメント情報、マトリクス決算書、バランスシートの分析などで構成する。

 個々の取組みは、全国の自治体で実施されているものであるが、それらを合体して、決算の資料とするものは全国的にも珍しい。市政全体の「どこがうまくいっているのか、どこが課題か」をコンパクトにまとめた要約があれば市民向けにも分かりやすい資料となる可能性がある。い ずれにしても、「自治体経営システム」という独自のマネジメントシステムづくりを進めている青森市ならではの取り組みと言えよう。

他都市の報告書例 三重県 県政報告書 三鷹市 自治体経営白書


新公会計制度による財務諸表と年次報告書を公表ー東京都

 このほど、東京都が進めていた新公会計制度によるはじめての財務諸表が公表された。これは、「現行の官庁会計に、複式簿記・発生主義会計の考え方を加味」し、都独自の基準に基づき、「システムにより、日々の会計処理の段階から複式簿記の処理を行い、財務諸表を作成」してきたもの。

 公表された財務諸表と年次財務報告書は、「複式簿記・発生主義による我が国の行政として初の本格的なものであり、ストックやコストの情報の明確化、事業分析の強化によって、更なる行財政改革に途を拓くものである」としている。これら財務諸表は、貸借対照表、行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書、正味財産変動計算書の4つで、一般会計及びすべての特別会計(17会計)を対象にし、今後、決算参考書として毎年度第3回都議会定例会に提出を予定している。


行革の新たなツール足りえるか。広がる事業仕分け
       厚木市の事業仕分け(8月18日)の事例から

 今、全国で事業仕分け※(1)を実施する自治体が増えている 。総務省の調査※(2)によれば、18年10月現在、都道府県18団体( 38.3%)、政令指定都市 7団体( 46.7%)、 中核市 11団体( 29.7%)、 特例市7団体(17.9%)、市区115 団体(16.2%)、町村148団体(14.3%)が何らかのかの形で、事業の仕分けを実施している。削減が続く地方交付税など、地方財政は一層の厳しさを増している中で、行革の新たなツールとして機能し得るのか。19年8月18日に厚木市で実施された事業仕分けを もとに、その可能性をレポートする。

 厚木市で実施された事業仕分けの対象事業は、35事業(43子事業)。同市の資料によれば、10年以上事業形態が変化なく継続されている事業 ・事務事業、人件費の占める割合が高いと思われる事業 ・窓口業務、イベント事業などを基準に、各部等1事業以上を行政経営課で選定したものである。

 仕分けは、他自治体と同市職員計5名に、コーディネーター1名でグループを編成、4グループで実施された。A4の1枚程度の事業概要説明資料(目的、手段・方法、コスト、人件費、事業費内訳、事業実績などを記載) で、最初は、所管課職員が5分程度説明する。それをもとにコーディネーターの司会で、評価者5名から様々な質問がなされる。ある程度内容を把握した後、事業が「不要」、「民間」「厚木市(要改善)」「厚木市(現行どおり)」の4区分を多数決で分類する。同数のときのみコーディネーターが決めるというルール。所要時間は、1事業30分程度 、昼休みを除き、9:00から16:00までの間に35事業(43子事業)の仕分けに取り組んだ。

 通常、事業評価の外部評価は、有識者や公募市民が当たるが、必ずしも行政の事業に精通しているとは限らない。これに対して、同市の場合は、評価者が自治体職員であるため、ある程度事業自体を漠然とでも承知していることが多いこと、説明員の専門用語にも理解が早く、質問も非常に 鋭いものになる。知っていればこそ、深い理解と分析が可能で、説明員が説明に窮する場面も多々見受けられた。 評価するグループの周囲には多数の傍聴者が取り囲み(写真参照)、1事業30分足らずであったが、熱い視線を感じつつ、緊張感をもって質疑が続けられていた。

 同市の初めての試みであるが、外部の視点を入れながら短時間で結論を得られること、他自治体職員を評価者に迎えることで、事業の背景や真実を見抜いて事業を的確に分析できること、事業仕分けのやり取りそのものが職員研修の一環にもなることなど、非常に可能性の高いツールと感じられた。

 一方、改善点としては、傍聴する側には事前に説明資料が公開されること、1グループごとに個室にしてマイクなどを使い傍聴者にはっきりとやり取りが聞こえるようにすること、資料の精度をもう少し上げること、また、説明員のプレゼンテーション能力の均一に向上させることなどが必要と感じられた。

 全国では、グループに公募の市民を入れる例、有識者や企業経営者を入れる例、有識者と市民の2段階で仕分けする例など、様々な変形タイプが生まれているが、選択と集中をスピード感をもって進めることが求められる現代において、非常に有効なツールと思われた。最終判断は、あくまでも政治の役割ではあるが、意思決定に役立ち、かつ、事業の改善にもつながるものと期待される。

 同市は、財政力指数が1.5にも及ぶ地方交付税の不交付団体で、財政危機にはほど遠い。しかし、冒頭の市長挨拶にあった「変える勇気 守る責任」という言葉に、将来を見据えた同市の深遠な経営戦略を垣間見た1日であった。 行革を進める上で、首長のリーダーシップは、不可欠な要素であるが、事業仕分けは、はじめの第一歩であり、今後、この結果をどのように生かしていくかに真価が問われていると言えよう。

※(1)事業仕分け:事務・事業がそもそも必要なのかどうか、必要だとして誰が行うべきか等について、事業ごとに評価していくこと 。

※(2)「地方公共団体における行政評価の取組状況調」の概要 (平成18年10月1日現在)