野田市が全国初の公契約条例を制定
9月に千葉県野田市が、全国初の公契約条例を制定した。
現行の自治体入札制度が、低価格競争を招き、ワーキングプアという不安定雇用と低賃金労働者を生み出しているとも揶揄されている。この条例は、自治体の発注した業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保し、業務の質の確保と公契約の社会的な価値の向上を図り、最終的には、市民が豊かで安心して暮らすことの出来る地域社会を実現することにそのねらいがある。
この条例が適用される公契約は、「予定価格が1億円以上の工事又は製造の請負の契約」「予定価格が1,000万円以上の工事又は製造以外の請負の契約のうち、市長が別に定めるもの
」であるが、一般競争入札、指名競争入札又は随意契約の方法により締結される契約である。
特に、適正な労働条件を確保するため、市長が別に定める賃金の最低額以上の賃金を支払わなければならないとししている。しかも、市長はこの賃金の最低額を定めるときは、工事又は製造の請負の契約では、「農林水産省及び国土交通主が公共工事の積算に用いるために毎年度決定する公共工事設計労務単価(基準額)」を、工事又は製造以外の請負の契約では、「野田市一般職の給与に関する条例別表に定める額」を勘案するとしているところが画期的なものだ。
同市の条例は、労働者の適正な労働条件を確保をねらったものではあるが、その他の様々な社会的価値を追求することも可能である。例えば、人権、平和、環境、福祉、男女平等参画などの社会的価値の実現も対象になりうるものであり、今後、多様なタイプの条例の制定が期待されるのではないだろうか。
東京都、入札契約制度改革研究会報告書を公表
適正価格で良質な公共工事の実現を目指して、昨年6月に設置した東京都の「入札契約制度改革研究会」が、このほど、入札契約制度のあり方と改革の方向性を提言した「報 告 書」を公表した。
近年、建設投資の大幅減と一般競争入札の急拡大によって、ダンピングの激化、地元企業の倒産増加、不良業者の入札参加、工事品質低下が懸念されている。
こうした現状を打開するため、研究会は、一般競争入札の拡大によって、過度の低価格入札等の抑制への配慮すること、公共工事を担う優良な企業の選定を促す総合評価方式等の拡充すること、適正な評価を行う組織体制づくりを行い、工事成績評定等の精度向上を図ること、中長期的な品質確保と法令順守の視点の強化し、低価格入札の抑制するなど、10の提言をとりまとめている。
なお、東京都は、報告書の提言内容を踏まえて、入札契約制度改革の実施方針を早急に定め、速やかに実施する予定だ。
見直しに、事業仕分けが全国自治体でブレーク中ー構想日本
本格的な独立系の政策シンクタンクとして注目される「構想日本」が提案してはじまった事業仕分けが、今、全国の自治体でブレーク中だ。この事業仕分けは、行政の仕事を、事務事業レベルごとに、「そもそも必要か」「必要ならばどこがやるか(官か民か、国か地方か)」を外部の視点で公開の場において仕分けしていく手法。最終的には、事務事業が「不要」か、必要ならば、「民間」「国」「都道府県」「市町村」のどこがすべきか、また、さらに改善が必要などになどに仕分けていくもの。
国も、構想日本の加藤秀樹代表が、行政刷新会議事務局長に就任し、いよいよ本格的な仕分けに着手する。限られた財源の中で、必要な事業を選択し、行政資源を集中していくことが何よりも必要だ。しがらみの中で、事業を廃止・削減することは困難を伴う。こうした手法が浸透し、”行財政改革の切り札”として、真に必要な行政サービスが、さらに効率的に実施されることを期待したい。
(参 考)
国・地方の形を大きく変える、見える議論に期待ー民主党政策集
次期政権を担う民主党のホームページに、その政策を整理した「政策集INDEX2009」がアップされている。
行財政改革分野では、「霞が関改革・政と官の抜本的な見直し」「
行政刷新会議の設置による国の事業の見直し」「天下りの根絶」「 独立行政法人改革」「公会計改革(特別会計改革等) 」「国が行う契約の適正化」「
官製談合を撲滅」「地方分権推進と国家公務員総人件費の削減」「公務員制度の抜本改革」の9つ。いずれも、地方自治体にも少なからず影響を与えるであろう。
国の役割を大幅に限定して事務事業の多くを地方へ移譲する、国・自治体・民間の果たすべき役割分担の再構成など分権改革に絡むとともに、国家公務員の定年を段階的に65歳まで延長のほか、労働基本権の回復など公務員制度の改革など、大きな変革が盛り込まれている。
また、分権改革では、「地域主権の確立」「ひもつき補助金の廃止と一括交付金化」「法律や政省令による義務付け・枠付け等の見直し」「新たな地方財政調整・財源保障制度の創設」「国直轄事業の地方負担金制度の廃止」「国と地方の協議の制度化」「住民投票による民意のくみ上げ」「住民自らによるガバナンス形態の決定」「自治体の監査機能の充実強化」「地方の再生」「コミュニティの再生・強化」「国民の視点からの公共サービスの見直し」が掲げられている。
従来の枠組みが大きく変わる大改革。一朝一夕には実現は難しいだろうが、国会などで見える形での議論が国民の前で展開され、少しでも希望の見える未来へつながることを期待したい。
市場化テストの試行錯誤に、国民目線不足を指摘
ー公共サービス改革報告書
「お役所仕事」から「国民本位の公共サービス」と進められている市場化テスト。さまざまな批判はあるが導入から3年間を経過した。競争原理の導入し、従来の実施方法にとら
われない性能発注や複数年契約(財政法の特例)
など民間の創意工夫を発揮し、透明性を確保した情報の開示や第三者委員会(官民競争入札等監理委員会)の活用が特徴である。
そのねらいは、経費の削減、公共サービスの質の維持向上、そして不要なサービスの廃止などがあげれれるが、どのような成果があったのだろうか。
対象事業としては、施設管理、研修、公物管理、徴収、ハローワーク、試験、統計、登記、刑事施設等の広範な分野で82事業が選定された。このうち48事業が実施済みで、平成21年5月に公表された公共サービス改革報告書では、経費削減効果(1年当たり)が約100億円、定員の純減効果は合計約850人に及ぶ
という。
また、報告書によれば、3年間の取組から得られた課題と評価として、(1)自発的取組の不在、(2)前例踏襲、(3)行政の「見える化」の不足、(4)関連団体への有利な扱いを提示し、低調な事業選定件数、規模の小さささを指摘している。いわば、国民目線で見たときの公共サービスの硬直性・不便性という根幹的な問題点を浮き彫りにしている。構造改革批判が相次ぐ中、市場化テストの行方が気になるところだ。
「(行政サービスの)生産主体」として行動をー関西社会経済研が報告
このほど、関西社会経済研究所が自治体の財政健全性に関する調査研究結果を公表した。同研究所は、ユニークな発想で独自に自治体の経営力などを評価しているが、今回は、総務省の最新データ(2006年度)を用いて、全国775市をランキングした。
地方自治体の経常的な財政運営に着目し、自治体の財政面を評価する指標としては、次のとおり、基礎的経常収支Tと基礎的経常収支Uを設定。人口100万人超級13の政令指定都市間で比較すると、基礎的財政収支Tでは、神戸市が1位、大阪市が5位、京都市が7位。一方、基礎的財政収支Uでは、大阪市が5位、神戸市が9位、京都市が12位という結果であった。財政指標は、財政健全化法の4指標があるが、財政分析には多様な見方が必要であることを示唆した研究結果と言えよう。
「自治体は、独占的な行政サービス供給主体であることから、効率性に対する関心が薄くなりがち。しかし、自治体の目的は、「最少の経費で最大の効果」をあげること、そして、民間企業と同じ「(行政サービスの)生産主体」として行動することである。これが地方行財政改革の本来の姿である。それでもなお財源不足が残るなら、そのときには住民に負担増や行政サービスの切り下げを求めることも検討しなくてはならない。自治体には、地方財政健全化法の限界を見極め、その先を見すえた地方行財政運営を行うことが期待されている。」という主張に、報告書の目指す自治体論が込められている。
(1)基礎的経常収支T=基礎的経常収入T−基礎的経常支出
ここで、基礎的経常収入T=歳入総額−(普通建設事業費への国庫支出金+都道府県支出金)−地方債−(公営企業貸付金元利収入+貸付金元利収入+積立金取崩)
また、基礎的経常支出=歳出総額−普通建設事業費−公債費−積立金−(投資及び出資金+貸付金)
(2)基礎的経常収支U=基礎的経常収入U−基礎的経常支出
ここで、基礎的経常収入U=基礎的経常収入T−地方交付税
また、基礎的経常支出=歳出総額−普通建設事業費−公債費−積立金−(投資及び出資金+貸付金)
財政健全化の圧力は、財政投融資の面からもー財制審
このほど、「地方公共団体向け財政融資に関するワーキングチーム」が、「地方公共団体向け財政融資に関する報告書」をまとめ、財政制度等審議会財政投融資分科会に報告した。
報告書は、「経済金融情勢の悪化で、地方公共団体の資金ニーズは低くないが、財政健全化には、財務規律の向上が必須」「地方公共団体の資金調達は、市場公募等の民間資金によることを基本とし、公的資金はこれを補完するもの」「赤字地方債の発行は、その抑制に努めるべき」などを求めている。
具体的には、財務規律の向上として、「〇地方公共団体による財務状況の十分な把握と情報開示の充実」「〇市場規律の活用」「〇貸し手としての事前警鐘(アーリー・ウォーニング)機能の強化」を挙げる。
また、財務状況把握の指標の充実としては、行政キャッシュフロー計算書をベースとした現在の指標の有用性は維持しつつ、地方財政健全化法の指標との整合性をとり、充実させるべきとし、「〇将来負担額の構成要素を「実質債務」に反映」「〇地方財政健全化法の4指標をヒアリング対象団体選定指標として活用」を示唆している。
公営企業会計に係る財務状況把握の充実では、「〇普通会計の債務償還能力は、公営企業を含む地方公共団体全体の債務償還能力を反映」「〇上水道事業、病院事業及び下水道事業の3事業は当面の主要な対象」「〇公営企業の経営状況に係る具体的な視点も踏まえ、ヒアリング団体を選定し、オンサイトヒアリングを実施」を挙げる。
さらには、財務状況把握のタイムラグの短縮化や分析手法の充実、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の活用なども求めている。
財務状況が一定以上悪化した地方公共団体には、融資審査の厳格化も求めるなど、財政健全化に向けた圧力は、総務省ばかりでなく、財務省側からも一段と高まっている。
意欲とキャリア形成に力点ー杉並区が新人材育成計画を策定
減税自治体構想など、ユニークな施策展開で「5つ星の区役所」を目指している杉並区が、このほど第2期人材育成計画を策定した。
今、杉並区は、これまで経験のない超高齢社会を目前に、多様な区民ニーズへの適切、迅速な対応を求められている。また、新たな公共の担い手との協働や激しい社会変化や厳しい財政環境下で、サービスの維持・向上を図るとともに、少人数の職員で区政を支えながら、従来の確実な事務の処理から、適切かつ迅速な判断が不可欠な時代を迎えている。さらには、今後、多くの管理職・係長職が相次いで退職する中、10年後の見据えたキャリア形成が急務となっている。
こうした観点から、今回、(1)公務に必要な能力と資質を自ら磨く職員、(2)スリムな組織で力を発揮できる職場風土の醸成、(3)次世代を担う若手・中堅職員の着実なキャリア形成の3つを柱に、新たな人材育成計画をまとめたものだ。
基本方針として、「職員のやる気を引き出す」「職員の自ら成長する意欲を支援する」「職員が生き生きと能力を発揮できる職場をづくりを支援する」の3つの戦略を定め、様々な具体的な項目を提示している。
部長、課長、係長、そして、一般職員に至るまで各階層に求められる意識や能力は異なるが、企画・分析、知識・技能、決断力、折衝調整、コスト意識や指導力など、多様な意識・能力を伸ばしていくため、OJTを中心に、採用・任用、異動・評定などの人事政策とも密接に関連しながら、概ね3年間で重点的に取り組むことを盛り込んでいる。
自治体にとって、最も重要な資源は人財である。自治と分権にふさわしい「前人木を植え、後人涼を楽しむ」という杉並区流の行政革命はまだまだ続きそうである。
コスト情報をトリガーに公共施設有効活用を提言ーPHPの研究会
PHPが設置した「自治体公共施設の有効活用」研究会が、このほど、自治体の公共施設を、コスト情報をトリガーとして、分析・評価し、発想転換を図っての有効活用を具体的に提言する報告書「政策提言
自治体公共施設の有効活用〜コスト情報から始めるハコモノのバリューアップ」を公表した。
この報告書は、学校、生涯学習施設、スポーツ施設、会館ホール、福祉施設、公営住宅、庁舎などのハコモノを対象とし、これらを同じコストでより良いサービスを行なうこと、サービスの質を落とすことなく、コスト削減を行なう
こと、もう少しコストをかけて、より大きい便益を出すことなどを目的としている。
人件費、物件費の一律削減手法は、一時的にコスト削減に成功しても、中長期的には行政サービスの低下を招き、自治体経営にとって必ずしもプラスとはならない。
一方、既存施設は、自治体にとって大切な経営資源で、住民目線と現場優先の発想で、事業の根本的な見直しが必要であるとし、コスト情報とストック情報の両面から実態を把握し、その有効活用を行い、最小の経費で、最良への行政サービスへの転換を迫る。
具体的な提言としては、「ハコモノの情報を分析・評価する」という視点から、コスト・パフォーマンスを可視化し、比較すること、また、「ハコモノ行政の発想を転換」という視点から、フルセット主義(フルスペック型行政)から決別すること、「補助対象資産の財産処分の弾力化」後を見据えた有効活用を急ぐことを提言している。
さらに、「ハコモノを有効活用」する視点から、優良な公共建築ストックは積極的に活かすこと、民間提案者に動機付けを与えること、行政アウトソーシングでパフォーマンスを向上させること、専門家を養成し、全員経営を進めること、自治体の歳出入管理を変革することなどを求めている。
最後に、自治体ばかりではなく、建設会社に対しても、自治体がハコモノ行政を脱するためには、ビジネスモデルの変革を求めるとともに、地域は、必要なハコモノ整備やその維持更新には、地域内で自律的に資金調達できるかどうかという発想を導入することなどを示唆している。
大型の経済対策が目白押しの昨今、公共事業依存やその高コスト構造の転換をしなければ、再び補助金、交付金目当てで急速に財政悪化した”いつか来た道”に逆戻りしてしまうという警笛に、自治体も心していかなければならないでろう。
現場主義、大規模職員参加で、大胆に「しごと」を改善ー横浜市
横浜市は、この4月から「しごと改革室」というユニークなセクションを設置しているが、このほど、「事業の間伐」(事業の選択と集中)と「マネジメント改革」を柱とした「しごと改革」の方向性を公表した。
他都市と同様に、横浜市は、少子高齢化による扶助費の増大や大規模な都市基盤整備と多額の更新経費が圧し掛かっているほか、生産年齢人口の減少するなどの課題も抱え、現状の行財政構造を維持することは困難である。このため、将来に備えた行財政基盤の構築が急務である。また、職員満足度調査などから、職員の意欲低下、無駄な手続き・仕事の存在や他区局との連携不足といった数々の課題が生じている。
こうした課題に対応し、現場主義・現場起点での大規模な職員の参加を得て、市長・副市長を含めた経営責任職による迅速な判断と実行のもと、役所の常識を打破し、聖域・タブーなき改革を実施しようということが、この方向性のねらいとするところだ。
長期的視点に立った経費削減や事務手続のシンプル化・明確化、重複業務の集中・アウトソーシングなど、職員の改善要望をはじめ幅広く集約した意見をもとに具体的な改善項目をあげ、全庁的な調整も積極的に行い、実効性・成果を追及する実務改革の実施を目指す。
この方向性では、「時代の変化に即応できる組織への進化」、「職員が前向きに働くことのできる職場環境の構築」の2つを目標にする。
まず、具体的な事務の見直しとして、「旅費請求事務の簡素化」「情報開示請求への対応方法の変更」「通知・研修・調査依頼業務の簡素化(メールの減量化)
」「業務実態に応じた勤務時間規程(ずらし勤務)拡充」「庁内会議の見直し」「区・局・事業本部ごとに事務費等の一括集約化 」を行う。
また、事業の見直しとして、「3年以上見直されていない予算事業の見直し」「国等が所管する公益法人等に対する負担金の見直し」「補助金の見直し(独自の任意補助金)」「その他歳出事業の点検
」「歳入確保」を挙げている。
さらに、今後、実施を検討する取組例では、職員からの意見をもとに、「調達戦略部(仮称)の設置」「総務・企画部門の役割りの明確化
」「部制の見直し 」「非効率な起案・決裁の簡素化」などを取り上げる予定だ。
いよいよ大詰め、地方制度調査会が答申素案
平成19年7月にスタートした第29次地方制度調査会の審議もいよいよ大詰めを向かえ、5月26日の第28回専門小委員会では、「答申
案」の内容が審議された。
答申の項目は、「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」、「監査機能の充実・強化」及び「議会制度のあり方」の3項目で、以下のような検討を求めている。
まず、「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」では、小規模市町村における行財政基盤を強化する必要性を指摘し、現行合併特例法の期限を過ぎても、自主的に合併に必要な支援措置を講ずるとともに、多様な選択肢を提供すること、また、広域連携の積極的な活用を促すため、例えば、機関等の共同設置では、内部組織、事務局及び行政機関についても共同設置が進められるようにすべきとしている。
さらに、福祉・保健分野などにおける専門性の高い事務の執行体制の整備が課題となっていることから、都道府県が補完し、一定の人口未満の小規模市町村は、自らの判断により、都道府県の関わる手続を経て、法令上義務付けられた事務を処理しないことができる仕組みの構築を提言。
「小さな自治」への対応では、地域自治区制度の一層の活用を促す観点から、市町村の判断により当該市町村の一部の区域を単位として設置する、また、その構成員について公選の手続きによる選任を認めるべきなどの意見もあった。
第二に、「監査機能の充実・強化」では、独立性の強化や専門性の確保を図る観点から監査委員の選任方法を再検討すべきこと、また、監査委員の専門性を高めるという見地から、弁護士、公認会計士又は税理士の資格を有する者、会計検査や監査の実務に精通している者等の積極的な登用を促進していくこと、監査委員事務局を共同設置なども提言している。
このほか、外部監査制度のあり方では、決算の財務書類の監査を必ず外部監査人が監査する事項としてはどうか、包括外部監査については、条例により複数年度に1回包括外部監査を受ける方式を導入することが適当で
はないかとしている。
第三に、議会制度のあり方としては、議決事件の対象について、現行よりも合理的な範囲内で拡大すべきとし、法定受託事務も議決事件として追加できるようにすることが適当であるとしている。
また、議会の監視機能として、長の調査権の対象となる法人及び長が議会に経営状況の報告を要する対象となる法人についても、拡大すべき、議会における決算の認定では、仮に議会が決算を認定しない場合には、まずは、議会がその審議等を通じ、長の予算執行や政策遂行上の問題点等決算を認定しない理由を長や住民に対して明らかにするよう努めるべきであるとしている。
さらには、議会活動について、本会議のみならず、委員会等の活動も含め、住民に分かりやすいような形で情報公開に努め、議会事務局等は、議会の政策形成機能や監視機能を補佐する体制が一層重要となるとし、政策立案や法制的な検討、調査等に優れた能力を有する事務局職員の育成や、議会図書室における文献・資料の充実など議会の担う機能を補佐・支援するための体制の整備・強化が図られるべきであるとしている。
答申は、近くまとめられる予定であるが、上記はその一端であり、様々な検討事項が、22年度の地方自治法に反映される公算が高く、地方公共団体がこれらを受け止めてどのような改革を進めるかが、地方分権推進の大きな試金石になることであろう。
参考:第29次地方制度調査会
削減と意欲向上の両立をねらう、「京都市人材活性化プラン」
地方公務員数は、平成7年(327.8万人)から平成20年(289.8万人)までに、約38万人と大幅に減少している(平成20年地方公共団体定員管理調査結果)。近年は、骨太2006の要請(5ヵ年で5.7%)もあって、3ヵ年で▲4.7%の純減となっている。これは、民間への外部委託推進、市場化テストの導入、指定管理者制度など、NPM
改革の影響が大きい。
一方で、地方分権改革は、地方公務員の一層のレベルアップを要請し、高度成長期の職員の急激な増加は、年齢分布にアンバランスをきたし、いわゆる団塊の世代職員が一斉に退職期に突入し、財政危機も相まって、これらの変化を乗り切って、より質の高い仕事を追求する人材の育成が急務となっている。
このため、地方公共団体においては、組織のフラット化をねらったグループ制の導入、目標管理などの人事評価システム導入、専門研修の実施など、あの手この手の人材の活性化に取り組むことが一般化している。
この3月には、京都市が、「京都市人材活性化プラン」を策定した。このプランは、財政危機の中で、支出を削減し、切り詰めることと、意欲を高め、実績をあげる
職員を育成することの両立をねらったもの。
目指すべき職員像として、(1)公のために働くことを誇りとし、理想と遵法精神を持って責任ある行動をとる職員、(2)地域主権の担い手としての自覚を持って改革を推進する職員、(3)市民感覚を大切にし、常に市民と協働する職員、(4)人間的な魅力にあふれ、チームワークを大切にする職員、
(5)京都を熟知し、都市の魅力を継承・発展させる職員の5つを設定。
「意欲・意識を高める」、「能力を引き出す」、「組織力を高める」の3視点から、総合的な取組を進めるとしている。
具体的には、第一に「意欲・意識を高める」では、職員の職責と目標を明確にし、昇任・昇格、人事評価、研修の基準
とし、「全職員への評価制度の導入」「納得性を高める評価項目の設定」のほか、「意欲を高める人事配置」として、意欲と能力のある職員が希望の職場を申告し、当該職場の意向と合致すれば異動できる「FA制度」を新設なども行うとしている。また、部門や職種の枠にとらわれない人材の活用や市民の目線に立った業務改善を推進を示している。
次に、「能力を引き出す」では、課長、
係長等の職務と職階を固定せず、職務の難易度や、責任の軽重に応じて一つの職務に複数の職階区分を設け、その範囲内で抜擢などの
柔軟な人事配置を行える制度(ブロードバン
ド制度)を導入などの人事配置や人材登用の様々な仕組みの導入、人事管理の一環としての研修の確立、時代のニーズにあった人材養成の仕組み構築を目指している。
3つめの「組織力を高める」では、人事評価における「チームワーク」と「リーダーシップ」の視点の導入や加点主義の組織文化の醸成など、すべての職員が意欲と能力を存分に発揮できる環境の整備を行うほか、多様な人材の採用も計画している。
なお、「京都を愛し、公務に情熱と誇りを持ち、市民の信頼にこたえる職員を目指して」と副題についたこのプランは、平成24年度までの取組期間としている。
職員研修の必要性は認識するが、予算・人員削減がネックに
−総務省調査
総務省自治大学校が、昨年夏に「地方公務員の研修実態等に関する調査」を行い、このほど、その調査結果を公表した。
市町村をみると、1810市区町村のうち平成19年度に職員研修を実施した団体は、1771団体97.8%に及ぶ。また、1340団体(91.8%)が職員研修を担当する部署(係・班レベルを含む)を設置している。
「階層別研修」(平成19年度実績)は、指定都市、中核市、特例市など規模の大きい団体ほど、実施割合が高い傾向がにあり、階層別研修の対象者別の実施状況をみると、実施した団体の割合が最も高いのは「一般職員研修」で、次いで「新任職員研修」、「管理者研修」「監督者研修」の順となっている。
「特別研修等」(平成19年度実績)は、町村など規模の小さい団体ほど、実施していない団体の割合が高い。分野別の実施状況では、「特定現題研修・専門研修」(法務能力向上研修、政策能力向上研修を除く)が一番多く、次いで「法務能力向上研修」「コミュニケーション能力向上研修」「政策能力向上研修」となっている。
一方、職員研修予算は、今後、「拡充する」と回答した団体は226団体(15.5%)、「縮小する」と回答した団体は43団体(2.9%)で、全体の約8割の団体(1175団体、80.5%)が「現状維持」と回答している。
自ら実施したいと考える職員研修については、「法務能力」「政策能力」をはじめ幅広い分野・テーマにおいて、今後、力を入れたいと考えている傾向がうかがえる。また、「コスト意識や経営感覚」を養う研修という回答が多くあったほか、団塊世代の大量退職などを背景に「階層別研修」に力を入れたいという回答や、町村で「地域ブランドの構築、過疎対策、小規模高齢化集落対策」などに関する分野の研修という回答もあった。
ほとんどの市区町村は、多様化・高度化する住民のニーズに的確に対応するために、「職員の能力の開発・向上を図る職員研修の充実が必要である」と認識していることがうかがえる。また、地方分権の進展や団塊の世代の退職に伴って、職員の負担が今まで以上に増えており、職員の能力を高めていくことが必要であるという意見も多くみられた。
こうした中で、人材育成基本方針等に基づき「積極的に職員研修に取り組んでいる」という意見がある一方、職長研修の重要性は認識しつつも、厳しい財政状況や行財改改革による人員削減、地方分権による業務量の増加により、「職員を長期間研修に派遣することは非常に難しい」という実態も浮かび上がった。
自治体の内部統制に新たな組織マネジメントの視点を示唆
ー総務省研究会
このほど、総務省の 「地方公共団体における内部統制のあり方に関する研究会」(座長:碓井光明・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が、最終報告書を取りまとめた。この研究会」は、平成19年10月に設置し、民間部門における会計監査制度や内部統制の強化に係る取組を参考に、手法及びその運用上の課題を整理し、地方公共団体における内部統制のあり方について検討を進めてきたものである。
昨今、不適正経理、事務処理ミス、法令違反などの不祥事件の続発し、地方公共団体の組織マネジメントが揺らいでいる。現在、地方公共団体にとって最も求められるものは、住民からの信頼である。このため、職員の不正な業務執行の防止し、住民に直接影響のあるミスをなくすこと、そして、適正な財務書類の作成と分かりやすい公表が何より大切で、組織的にリスクと真摯に向き合い、発生する前に必要な対策を講じ、基本方針の明確化するなど、新たな組織マネジメントの視点が不可欠である。
内部統制とは、基本的に、@業務の有効性及び効率性、A財務報告の信頼性、B事業活動に関わる法令等の遵守、C資産の保全の4つの目的が達成されているプロセスを言い、@統制環境、Aリスクの評価と対応、B統制活動、C情報と伝達、Dモニタリング(監視活動)及びEIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。
これらの実現には、不適正な事務処理の改善し、法令等の遵守の徹底を実現し、業務の有効性及び効率性の実現を図るとともに、行政組織に関わる者の意識を改革し、財務書類4表の一層の信頼性を確保することなどが求められる。
しかし、実行には100点満点はなく、まずは自らを取り巻くリスクを洗い出し、できることから始めることが重要である。内部統制は、これで完璧ということはなく、毎年度少しずつ向上させることが必要で、組織をあげて自ら考えることが重要であると提言している。住民から信頼される地方公共団体の実現には、自らの気づきと果断な実行が何よりも求められていると言えよう。
■地方公共団体における内部統制のあり方に関する研究会最終報告書
橋梁に戦略的な予防保全型管理を導入ー東京都
このほど、東京都は、道路アセットマネジメントを活用し、老朽化が目立つ橋梁の戦略的な管理に向けて、「橋梁の管理に関する中長期計画」を策定した。この計画は、都が管理する全ての橋梁(平成20年4月1日現在 1,247橋)を対象にして、橋梁の寿命を延ばす長寿命化対策や耐震対策などを包含する総合計画で、計画期間は30年間に及ぶ。
高度経済成長期に集中して建設された橋梁は、一斉に更新時期を迎える。このため、将来の損傷や劣化を予測し、最適な時期に適切な対策を行うことで橋梁の耐用年数を大幅に延長する、戦略的な予防保全型管理への転換をはかり、架替え時期の平準化と総事業費の縮減を目指している。
具体的には、•管理する橋梁を「長寿命化対象」、「一般管理対象」、「小橋梁延命(架替え対象)」の3つに区分する。長寿命化対象は、著名橋や長大橋、跨線橋、跨道橋、主要幹線橋の5
分類の重要な橋で、架替え費用や交通渋滞による社会的損失が大きいため、100 年以上の長寿命化を行う。
また、一般管理対象は、長寿命化対象橋梁、小橋梁(架替え対象橋梁)以外の橋梁。橋梁ごとにライフサイ
クルコストを算出し、そのライフサイクルコストが最小となる対策を行う。さらに、小橋梁延命(架替え対象)は、橋長15m未満の橋梁で、これらは、短い工期で架替えが可能で、周辺
への影響も極めて低いことから、物理的寿命により、維持管理が最小となる構造物への架替えを行うとしている。
この計画の効果は大きく、予防保全型管理を着実に推進することにより 、「架替えピークの平準化とコストの縮減」「
橋梁の架替えピークの平準化」が図られ、総事業費は約5 千億円となるものの、従来の手法と比較して、約1.1
兆円のコスト縮減効果が期待できるとしている。このほか、橋梁の寿命を延ばすこと、架替えによる資源の消費を抑えるなどで、CO2 排出量も約112
万トン(年間約3.7 万トン)削減されると試算している。
*アセットマネジメント:資産を効率良く管理運用すること。東京都は、「道路アセットマネジメント」を「都市基盤の主要施設である道路を対象に、都民(投資家)からの税金を道路や橋の整備に投資する際、東京都(投資代行者)が効率
的、効果的に、そして適切に配分することによって、より良い公共サービスとして都民に還元すること」と定義している。
自治体の行政評価は、指標の設定が依然として課題ー総務省
このほど、総務省から地方公共団体における行政評価の取組状況(平成20年10月1日現在)が公表された。評価ブームも下火になって久しいが、都道府県・市区町村において846団体(45.6%)が行政評価を導入済である。昨年度調査から82団体増加し、過半数超えも間近のようだ。
団体別では、都道府県、政令市は全団体で、政策評価、施策評価、事務事業評価のいずれかを「導入済み」で、中核市 95%、特例市 91%、市区
65%、町村 25%という結果。最近は、議会への報告に活用している団体も多く、「導入済み」団体のうち、都道府県 74%、政令指定都市
71%、中核市 70%、特例市 56%が活用している。
行政評価の活用では、当初、コミュニケーションツールとしても期待が大きかったが、「住民の関心や理解が深まる」は3割程度にとどまっている。また、課題としては、「評価指標の設定」を7割を超える自治体が掲げているのが特筆される。
環境変化の時代には、エンパワーメント型モデルに可能性ー内閣府
わが国自治体にNPMに基づく、さまざまな行政経営手法が次々の取り入れられて10数年が経過した。しかし、手法のみに着目し、全体のマネジメント設計がないまま真の成果が得られていないのではないだろうか。
このほど、内閣府経済社会総合研究所から、「都市・自治体経営におけるマネジメント・スタイル
エンパワーメント型モデルの可能性を考える」という報告書が公表され、日本のNPMの問題点を鋭く指摘している。
自治体マネジメントについて、先導・管理型とエンパワーメント型の二つのマネジメント・スタイルの形成の可能性を考えたもので、日本の自治体の多くは、先導管理型のマネジメント・スタイルを志向しているが、手法導入に留まっている。
また、エンパワーメント型マネジメント・スタイルは一般的でないが、変化の大きい21世紀に対応できるのは、まざに、この「エンパワーメント型マネジメント・スタイル」が適合すると主張。この設計には、職員全員参加型のポジティブ・アプローチによる組織開発が有効であるとしている。
NPMは、任せる要素も大きい。ポジティブ・アプローチは、自分や自組織の強み・価値を発見し、その強み・価値を活かしてどのようなすばらしい未来を創り出すかありたいすがたの最大の可能性を描く。すなわち、SWOT分析基礎とした戦略的かつ主体的な新たな取り組みとする。
報告書の最後で、「現代社会では変化の速度が加速度的に高まっており、問題をとりまく完全な情報を入手することは日増しに難しくなっている。完全情報を基にした最適解を求めることはもはや現代では困難であることが多い。このような場合、最適解を最初から志向するのではなく、入手可能な情報をもとにした適応解を試行錯誤で実施し、その結果をみながらさらによい適応解を探りながら現実的な対応を重ねていくことが有効とされる。
その際、内発的な創発により、全員参加(ホールシステム)でポジティブ・アプローチを志向する。ー中略ー (ポジティブ・アプローチは)「ありたいすがた」が内側からでてくる(内発的である)ことである。ー中略ー ポジティブ・アプローチの場合、内発的なゴールを自ら創り出すことから創発が生まれやすい。」と締めくくっている。
まさに、この報告書の主題がここにあるのではないだろうか。
都市・自治体経営におけるマネジメント・スタイル エンパワーメント型モデルの可能性を考える 2009年3月
関東学院大学経済学部教授(内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官) 大住莊四郎
ESRI Discussion Paper Series No.213「都市・自治体経営におけるマネジメント・スタイル
エンパワーメント型モデルの可能性を考える」2009年3月内閣府経済社会総合研究所(関東学院大学経済学部教授(内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官)
大住莊四郎著)
「市場化テスト」導入の手引きに最適 研究会報告
−内閣府公共サービス改革推進室
平成18 年「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」が施行され、いわゆる“市場化テスト”が本格的に導入された。
しかし、行政改革の手法として注目されながらも、法に基づく市場化テストは、窓口関連業や徴収関連業務などに限られ、また、官民競争型、民間提案型の実績も劇的に進んでいるとは言えない。
内閣府では、19年度から、地方公共団体における“市場化テスト”の導入が円滑に進むよう「地方公共団体との研究会」を開催しているが、このほど、その20年度報告書(案)がまとまった。
全国各地の自治体の導入事例を紹介しているほか、市場化テスト導入の実務的課題、サービスの質の評価、コストの官民比較からモニタニングなどまでを、事例と経験豊富な専門委員の解説を交え、分かりやすく説明している。報告書の副題の「市場化テスト導入の手引き」のとおり、市場化テストを検討している自治体職員には、課題や取り組みのポイントを理解する上で最適な資料である。
(参考HP)
地方公共サービス部会「地方公共団体との研究会20年度報告書案」
トッピクス
後藤・元臼杵市長が、ホームページ「うすきいろの音」を開設
自治体にバランスシート導入し、常に、改革の伝道師たる役割を担ってきた大分県・臼杵市の後藤市長が市長としての一線を惜しまれながら退いた。全国の自治体や職員に与えた影響は計り知れないものがあったであろうが、このたび、「臼杵に来たい、臼杵を知りたい。
そんな人の為に、臼杵市から独断と偏見、自分の目と口で確かめたものを発信していきます。」として「うすきいろの音」と題するホームページを開設された。「うすきルネッサンスData
Book」という臼杵市長時代のデータベースも開設されている。日常の改革で悩んだとき、このページの軌跡を振り返ってみたらどうどるか。きっと、希望と力を与えてくれるに違いない。
事業仕分けがブレーク中ー京都府、大阪市などで相次ぎ実施へ
構想日本が発案した事業仕分けが、今、全国でブレーク中だ。2月には、6日に京都府、8日に大阪市と関西で相次いで実施される。
この事業仕分けは、行政が行う仕事(事業)を本当にいるものか、いらないものか、また、必要なものならば、担い手は、「民間」、「市町村」、「都道府県」あるいは「国」かを、ひとつずつ仕分けをすること。基本的なルールは、
「公開」で行う こと、具体的な内容で判断すること、「そもそも」から考えること、
「最終的にだれの仕事なのか」を考えること、そして、「外の目」を入れることである。
また効果は、 @ムダの削減につながる(行財政改革プラン策定の参考に)、A地方分権に影響する国の関与・規制が明確になる直接効果のほか、 @
市民が事業の具体的な内容、税金の使われ方を知ること、A自治体職員の問題意識を高め、「内部改革」のきっかけになるなどの間接効果も挙げられる。
100年に一度の金融経済危機といわれる昨今、自治体にとって真に必要な仕事に絞込み、選択と集中によるまちづくりを進めるため、今後も取り組みを進める自治体がますます増加しそうな勢いである。
京都府 事業仕分け 事業仕分け事業仕分けを試行
減税自治体構想に向けた報告書素案ー杉並区
杉並区減税自治体構想研究会(会長:黒川和美・法政大学教授。2007年7月杉並区が設置)は、毎年一定額の財源を積み立てて、必要に応じてその果実を活かし、将来的には、区民税の減税を実現しようという「減税自治体構想」づくりを進めているが、このほど、4回の会議を経て、減税自治体構想研究会報告書(案)がまとめられた。
これは、単年度主義の「使い切り予算」やバブル期の歳出拡大からの反省から、効率的な行財政運営のもとに必要な水準の福祉を確保しながら、必要以上の財源は現時点での支出に回さない選択を行うこととしている。
具体的には、(1)第一に、必要な支出以上の財源を積み立て、財政規律の持続的な確保を図り、「財政のダム」を築くことで強固な財政基盤の確立すること、
(2)第二に、施設整備は、基金活用で意思決定と得られる受益を将来世代へとシフトすること、また、施設整備と更新のための投資は、現世代が利用したことによる減耗分の更新のための費用として資金を残すこと、
(3)第三に、基金の弾力的な運用によって災害等のリスクにも備えること、などをねらいとしている。
この構想は、松下政経塾出身の山田区長が三選の公約に掲げたもので、松下幸之助の提唱した「無税国家構想」や福沢諭吉の同様の構想に由来すると言われる。
報告書案では、地方財政の厳しさが一段と増している中、現予算のほぼ1割程度を積み立てて、10年後には、特別区民税の10%、20年後には15%の減税ができると試算している。
長期にわたって財政規律を保つという実現可能性に疑問は残るが、地方分権の動きに一石を投じるものユニークなものとして注目される。
なお、今月9日には最終の研究会が開かれ、報告がまとめられる予定だ。
自治体の経営を総合評価ー川崎、さいたま、神戸がベスト3
このほど、関西社会経済研究所が自治体の経営を総合的に評価した経営力評価報告書を公表した。
この評価は、民間企業評価において用いられている評価システムと、因子分析などの多変量解析とを地方自治体評価に適用し、自治体経営力評価システムを確立することを目的として実施した。具体的には、地方自治体の財政状況、財政状況改善努力、サービス充実度、サービスコストの効率性を表す因子を抽出するなどして、「財政状況評価指標」、「財政状況改善評価指標」、「行政サービス評価指標」、「行政サービスコスト評価指標」という4つの評価指標を構築。この4指標を統合し、地方自治体の総合的な評価を行ったもの。
対象の自治体は、
札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市の13政令指定都市で、自治体経営力が高いのは、第1位
川崎市、第2位 さいたま市、第3位 神戸市であった。
個別の指標では、「財政状況評価指標」では、さいたま市が第1位、神戸市が最下位、「財政状況改善評価指標」では神戸市が第1位、さいたま市が最下位、「行政サービス評価指標」では大阪市が第1位で、福岡市が最下位、「行政サービスコスト評価指標」ではさいたま市が第1位で、大阪市が最下位であった。
自治体評価は、さまざまな試行がされているが、いずれも評価指標が恣意的という疑問が残る。今回の研究は、客観な評価を目指したものである。しかし、例えば、自治体経営力評価指標として、財政状況評価指標と財政状況改善評
価指標を作成したが、財政状況がもともと良好である自治体は財政状況を改善する余地が
小さくなり、評価が下がる傾向がある。また、「単位当たりコスト」は、サービス量の増加にともなって、規模の経済が働く
ときには低下し、最適規模を上回るときには高くなる傾向があるなど、まだまだ課題が大きいとしている。
なお、因子分析に用いた変数は、以下のとおりである。変数の選択に意味不明な点があり、評価精度には疑問が残る。評価方法の一事例であり、今後の精度向上を期待したい。
〔因子分析に活用した変数〕
| 財政状況評価指標 |
- 健全性:経常収支比率、起債制限比率、純債務/標準財政規模、流動性比率
- 自立性:税収/人口、財政力指数
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| 財政状況改善評価指標 |
- フロー面の改善:人件費/人口の変化、土木費/人口の変化
- ストック面の改善:純債務残高/人口の変化、負債/資産の変化、地方債/有形固定資産の変化
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| 行政サービス評価指標 |
- 福 祉:民生委員数/人口、保健所医師数/人口、保健所保健師数/人口、児童福祉施設定員/年少人口
- 保 育:保育所職員数/保育対象者数、保育所定員/保育対象者数、保育待機児童数/保育所定員
- 衛生(清掃) :生活系ごみ排出量/計画収集人口、収集頻度、分別数、リサイクル率
- 教 育:小学校教員数/小学校児童数、小学校教員数/中学校生徒数
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| 行政サービスコスト評価指標 |
- 福 祉:社会福祉費/人口、老人福祉費/老齢人口、児童福祉費/年少人口、保健所費/人口
- 保 育:児童福祉費/年少人口
- 教 育:教育総務費/児童生徒数、小中学校費/児童生徒数
- 衛生(清掃):清掃費/計画人口、清掃費/総排出量
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このサービスいくら?行政サービス等の値札表示を実施へー滋賀県
このほど、滋賀県は、コストや費用対効果に対する職員の意識をさらに高め、一層効率的で効果的な事業執行を目指し、行政サービスの「値札」表示を始めた。
これは、行政サービス等の「内容」や「目的・効果」と一緒に、「コスト」に関する情報を単位当たりなどの形で分かりやすく一体的に表したものを表示する取り組みだ。今回は、107事業を対象に、一部には受益者負担分も表示し、受益と負担の関係を目に見える形にしている。
コストは、直接経費だけではなく、「サービス等の企画立案や実施に職員の経費、過去に整備した施設の単年度あたり経費なども含めた総コスト」を表示している。間接費は、光熱水費や通信費等の事務費で個々のサービス等ごとに把握が困難なものについて、一定の手法で算出して計上。施設費は、サービス等を実施するために過去に整備した施設設備等を使用する場合、これらの減価償却費相当分を計上している。
事業ごとのコスト分析は、尼崎市の事業評価が先駆的であるが、滋賀県のこの取り組みは、「値札」表示ということ、サービス等の実施にあわせて、配布物や看板等で表示する予定(可能なもののみ)など、県民に身近に感じてもらうことをねらっているようだ。