●NPOにとっての「メッセージ」とは?
「NPOくまもと」のホームページに「NPOの視点」というコーナーがある。しかし、2002年10月10日より次のメッセージを書いていない。「これまでの活動」にあるようにさまざまな事業に取り組んできたが、書いていないという事実だけが残り、反省している。
2004年2月20日「民間NPO支援センター・将来を展望する会」から「信頼されるNPOの7つの条件」というのが出された。これは、その前年9月札幌での会議をもとに、起草委員会にて半年間の議論の上、つくられたものである。起草委員会には、「NPOくまもと」から代表理事の私が参加をさせていただいた。
その札幌での会議のなか、印象的なことがあった。
札幌での会議は、「民間NPO支援センター・将来を展望する会」に参加された方々を2つのグループに分け、ワークショップを開いた。そのうちの1つのグループのファシリテーターを私が務めることになった。全国でご自身たちがワークショップを開催したり、ファシリテーターや指導をされている方々なので、作業や議論は順調に、しかも、濃密なものが進められていった。
そのなかに、ひとつだけ言葉は解るのだが、理解しきれない意見があった。
「メッセージ」と書かれたカードだ。
情報の発信という意味なのか、ならば、どういう情報なのか、事業内容の情報発信なのか、予算決算等の情報公開のようなものか。いろいろ質問をするが、どれも違うらしい。参加者の方たちみんなが理解している節は見当たらない。
しかし、妙に引っかかる言葉だった。
話し合いを進めていくうちに、みんながほぼ同時に閃いたような気がした。
「そうよね、メッセージよね」という言葉があった。
特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行された1998年、私たちは確かに「NPO」という仕組みが社会に定着していくことに期待し、市民活動に法人格が付与される意義を感じ取り、全国各地でNPO法をつくる過程で、様々な議論をしてきた。
当時、(社)日本青年会議所NPOでつくるコミュニティ推進委員会のメンバーとしてこの運動に関わったものとして、NPOが社会的に持つ意味は十二分に話し合ったし、自分なりの考え方も持っていた。
その時の思いが、この「メッセージ」という言葉にはあることを気づかされた。
「メッセージ」とは、社会的問題を解決するために私たちはこういうやり方で取り組むという意思を表示すること、いわば「社会への誓約(コミットメント)」のようなものだ。
NPOの活動のきっかけは、地域での問題や困ったことをいかに解決をはかろうかとしたところからはじまる。地域での問題や困ったことが、共通の課題として共有された時、NPOとしての活動がはじまる。NPOで活動するということは、「この事業は資金稼ぎになるからしよう」とか「この事業を新しい資金源にしよう」とか、NPO自体の存続のために事業をすることではない。NPOは自前で課題を解決する仕組みづくりをしようとしているのだから、「地域のネットワークをつくろう」とか「地域の核をつくろう」とか、地域連携が目的にはなりえない。地域連携は、NPO自体の力量の限界を感じた時、課題を解決するための仕組みのひとつとしてはじめて成り立つものである。
私たちは、地域での問題や困ったことに対して、ひとりでは解決ができないと感じた時、組織であるNPOという仕組みを使って課題の解決を図ろうとするのだ。組織であるNPOという仕組みを使って、自分たちができる方法で課題の解決を図ろうとするのだ。
その思いを社会化するために考えたことを発信する、これが「メッセージ」なのだ。
日本中にNPOと称するところは多い。しかし、「メッセージ」を発信しているNPOとはそうそう会わなくなってきたような気がする。かくいう「NPOくまもと」からの「メッセージ」である「NPOの視点」も滞っていた。猛省をしている。
「NPOくまもと」も法人としての活動も5年を過ぎた。時節にあった課題に対して、地域性のある「メッセージ」を出しつづけることを再度、誓った次第である。
※「信頼されるNPOの7つの条件」(民間NPO支援センター・将来を展望する会)につきましては、日本NPOセンターに掲載されております。
http://www.jnpoc.ne.jp/topics/topics040220.html
(文・上土井章仁)
●「支援」と「協働」―意識の改革とシステムの変革(2002.5.5)
一年前、NPOへの行政からの「支援」が流行するなか、必ずしもNPOの自立の促進に結びつかないと思われる施策も見受けられること危惧の念を抱いた。そこで、市民分権の担い手となるNPOの育成のため、トヨタ財団の助成をうけ「市民分権の担い手となるNPOの育成のための行政からの支援施策のNPOからの提言」というプロジェクトを本年度「NPOくまもと」では実施している。
ワーキング・グループによる一年間の討議を継続し、全国47都道府県・熊本県下94市町村及び熊本県下100のNPOに対するアンケート調査を実施している。この中間報告会を10月16日実施させて頂くことになった。このプロジェクトの一環として9月「先進地視察」にNPO先進地と言われる三重県生活部NPOチーム及びみえ市民活動ボランティアセンターさんや市民提案型実行している特定非営利活動法人まちづくり情報センターかながわ(通称・アリスセンター)さん等を訪問させて頂いた。
そのなかで共通のキーワードとして聞かれたのが、「(NPOとの)協働」という言葉だ。「支援」と「協働」とは、同じ意味合いのものであろうか。「支援」と「協働」とは、どう違うのであろうか。シーズ(市民活動を支える制度をつくる会)の松原明氏は、こう述べている。「NPO支援という場合は、NPOの活動がしやすくするためのさまざまな支援策のことをいう。たとえば、NPO一般の活動を活発にするための課税の減免措置を講じたり、NPO支援センターをつくって場の提供をするといった施策である。
一方、NPOとの協働という場合は、ある共通の目的を達成するために、自治体とNPOとが共に事業に取り組むことを指す。たとえば、行政が持つ公園などの運営管理をより住民ニーズに合ったものにするために、その公園に住民ニーズを反映することを目的としているようなNPOに委託したり、補助金を出したりするといったような場合である。」(ガバナンス2001年12月号《ぎょうせい》)つまり、「支援」とは、自治体の特定の政策目的と関わりなく、基盤整備を目的としているのだが、「協働」は、自治体の特定の政策目的の遂行のためのものである、という違いだ。 「協働」におけて「対等な関係」であることが必要だと言われる。ここでいう「対等」とは、あくまで協働事業を進める上での契約関係を指すものである。NPOとは、そもそも自主独立した自立した組織である。協働という事業においてのみ、自治体との協議(契約)の上、役割分担や責任を決めるが、その他のNPOの事業には基本的に自治体は関与しないことを意味している。
先日、岡山県と牛窓町とNPO法人瀬戸内探検隊との「海岸アダプト事業」に関する契約書を見せて頂いた。三者による契約書だ。そのなかには、NPO法人瀬戸内探検隊は現場での活動をし、牛窓町はゴミの受け入れやビニール袋の支給をし、岡山県はそれに対する広報や資金的な援助を3年間するという契約であった。アダプト制度とは道路や海岸等を多くの力で支えていこうという仕組みだ。いわば、牛窓の海岸という子どもを、岡山県・牛窓町・NPO法人瀬戸内探検隊が里親となって支えていっている。ここでは、自治体との協議(契約)の上、役割分担や責任を決め、協働事業を進める上での契約関係が明確にされていた。
熊本県において「パートナーシップによるサービス提供システムの実証実験事業」が実施される。 この事業は、「熊本県と特定非営利活動法人(NPO法人)やボランティア団体、地域づくり団体等、非営利の社会貢献活動を行っている任意団体(以後「NPO」という)とのパートナーシップによる新たなサービス提供を行うモデル事業の提案を募り、その中から、実施可能であり、最も効果的な事業を提案したNPOと事業委託を結び、実施する」というものである。 審査基準のなかに、「ニーズ…必要性、重要性が高いか」「専門性…行政にない発想や専門性があるのか」というものがあった。日本のNPOの多くは、課題の当事者や関係者が、自らニーズを実現するために作った組織である。そのなかで、専門的なノウハウを蓄積してきていた団体が増えてきている。この事業をなぜNPOのみに限定したのか、なぜNPOでなければならなかったのかということは、募集用要項のなかに明記されていなかったが、熊本県は、ここに「NPOの存在価値」を認めているのだとろうと推察する。
「NPOくまもと」では、市民が公益を担う時代になってきた現在、NPOと行政が協働して住民に対してサービスを提供していくことが不可欠であり、今後、市町村の合併や新しい地域づくりをすすめるなか、NPOと行政とが真のパートナーシップを結び、協働を図ることが必要不可欠になっているという背景を踏まえ、日本財団の助成を受け、10月から1年間をかけてNPOと行政とのパートナーシップを推進し、協働の取り組みへの共通概念の構築を目的とした「NPO・行政のパートナーシップづくり−協働の共通概念の構築−」プロジェクトを開始する。 「市民公益 」の担い手としてのNPOの存在意義を県民や行政の方々に理解していただくとともに、協働の共通概念を構築することにより、お互いを真のパートナーとして認め合い、パートナーシップの普及を図ることの意義は大きいと考えている。「NPOくまもと」では、「支援」という社会の「システムの変革」を提言しながら、「協働」を通して行政やNPOにとどまらず市民の方々に「意識の改革」に取り組んでいく
●NPO側が放棄したの?(200210.10)
10月1日現在、認定特定非営利活動法人となり得た特定非営利活動法人は、8法人のみである。現在、全国的に支援センター間で「認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーン」を展開している。昨年の10月までは、税制優遇に関する期待は大きかった。特に、一昨年11月熊本で行われたNPO議員連盟主催の意見交換会では、250名の人たちが集まった。
しかし、制度改正の余地があるにもかかわらず、現在の特定非営利活動法人側に、その盛り上がりが感じられない。期待しちゃったけど、その実、これじゃ使えないから関係ないし無駄なことだ、って感じなのだろうか。NPOに必要なものに「運動性」がある。社会をよりよく変えていこうという意志とそのための努力だ。しかし、ここへ来て、NPO自身に運動性が欠けてきたのだろうかと思ってしまう。基盤整備は、NPO側自身の努力にかかっている。「もうひと踏ん張り」が必要な時になっている。(J)
●「入口」と「出口」を混在させる「NPOバブル」(2002.5.5)
近頃「NPOバブル」という言葉を耳にする。ある方は、特定非営利活動法人の設立件数の急速な伸びを指して言われる。また、ある方は、実態に見合わない投資が行われていることにより拡大するNPOの経済活動を指して言われている。
いずれにしても、現在は、「NPOバブル」らしい。 私どもから提供した「NPO情報140428GW特別号」でも「NPOバブル」を反映して各省から募集されている事業を紹介させて戴いた。厚生労働省・文部科学省・経済産業省・環境省・農林水産省といった具合だ。
NPO自体の持っている多岐多分野という特性を省みた場合、従来の縦割り系列化をしていた当時は、各省のラインに則った活動をしているところへのみ優先的に与えられていた情報が、他の省管轄の情報を得て活動することができるようになった。例えば、環境団体と目されていたところが厚生労働省のしごとを受託できる。これは従来の活動分野別に捕らえられてきたものが、NPOの持つ「市民活動」という特性により打破されてきた証だと思われる。このあたりの詳細は、加藤哲夫氏著「NPO その本質と可能性」(せんだい・みやぎNPOセンター発行)に記載されている。
また、いろいろな局面でNPOの活躍の場が与えられる施策の検討のなかでパブリックコメントの場も設けられるようになった。これも、特定非営利活動促進法施行当時では予想も出来なかったことである。とりわけ、4月経済産業省産業構造審議会NPO部会がとりまとめを行っている「NPO部会中間とりまとめ(案)『新しい公益』の実現に向けて」に関するパブリックコメントの募集は、NPO自体の育成という命題の直接的なものであった。
全般を通して読んでみると、景気低迷という経済状況のなか、失業者の雇用対策、起業家マインド育成等のキーワードのもと、施策の対象者としてNPOが扱われている。従来の経済構造の行き詰まりをNPOにもとめているという印象を受ける。この一連のものに共通することは、NPOは施策の対象者に位置している。施策の実行役の位置付けである。この施策の実行は、NPOにとって「事業」にあたる。NPOにとっての事業というのはいわば「出口」というべきものだろう。
それに対し、「入口」とも言うべきものは「ミッション(社会的使命)」にあたる。NPOの活動というものは、こういう社会になって欲しいという発露があってはじめて成り立つものである。ミッションがNPO活動の芯となり活動の根源になっている。 「入口」があってはじめて「出口」が存在する。
しかし、経済基盤が弱いNPOにとって、ここ一連の「事業募集」「支援」というものには、「出口」の仕掛けが満載しており、夢を見させるものがある。ややもすると、NPOは「出口」という場で踊らされることになりかねないのではないかという懸念を覚えてしまう。場合によっては、「事業募集」「支援」という「出口」があるが故に、その受け皿や実行のためのNPOをつくることも有り得るのではないだろうか。NPOが自ら「入口」を忘れてしまう。 まさに「バブル」を感じてしまう。
本年度「NPOくまもと」では、いかにすればNPOが公益の担い手となりうるのかを問うてみることにした。トヨタ財団の助成をうけ「市民分権の担い手となるNPOの育成のための行政からの支援施策のNPOからの提言」というプロジェクトを開始した。NPOへの行政からの支援が流行するなか、必ずしもNPOの自立の促進に結びつかないと思われる施策も見受けられる。そこで、市民分権の担い手となるNPOの育成のため、ワーキング・グループによる一年間の討議や全国47都道府県・熊本県下94市町村及び熊本県下のNPOに対するアンケート調査と先進地事例の調査を通して、社会の一翼を担うNPOの特徴の概念を提起し、NPOの息づく社会づくりのためにNPOの育成を図ることが可能な行政からの支援施策を私たちNPOの手によって策定し提言していくものである。 また、提言した支援施策の実行性を熊本県及び熊本県下94市町村に対して再アンケート調査を実施する。その結果をもって支援施策とともに公開の場で提言を行いたい。
公益の受益者は国民自身であり自らの発露からNPOが出来上がるものである。NPOの持つ多様性を認めた上で、新しい公益の実現の一翼を担うNPOの持つ多様な活動の基盤整備のための指針となるものを作り上げていきたい。
●素朴な疑問 ・・・ (2002.5.5)
素朴な疑問がある。なぜNPOは支援されなければならないのだろうか。NPOがこれだけ施策の対象にされるのはなぜだろうとの疑問が生じる。市民活動やボランティアから発生したNPOは財政的基盤が強くないことは事実だ。また、介護事業者のようなNPOもその全てが決して磐石ではない。そこで、収益が確保できる事業を行うことによって経済基盤強化を図ることが出来ると考えられている。そのための支援だという理屈である。収益を確保する施策を提供している。
しかし、税制優遇を受けることができる認定特定非営利活動法人の大きな要件は寄付である。民意による支持を前提としている。この相反する考え方のなかにNPOは放り込まれている。今、NPOは新しい局面に入っている。この見極めをし、いかに資金を確保しいかなる活動をするのかが問われている。NPOにとって初めてのバブルだが、私たちは一度「バブル」を経験した。バブルへの反省と、そのあとの対処の方法も知っているはずだ。NPO法では、本来事業と収益事業に分けられている。
(J)
●NPOくまもと〜この一年をふり返って〜(2002.4.4)
特定非営利活動法人「NPOくまもと」としての活動年次二年目がスタートした。3月1日法人申請、5月29日認証 6月1日法人登記以来、10ヶ月間の一年目は手探りながらも着実に事業を進めさせて戴くことが出来た。 7月は熊本県環境生活部長古田勝人氏をお招きして設立記念講演会の開催、9月は三井住友海上火災保険?蒲lの熊本支店統廃合に伴う什器等備品のNPOへの寄贈という企業の地域貢献活動の支援、9月から3月は熊本市「観光関連施設バリアフリー実態調査委託」事業、3月はNPOのニーズが高まっている里山保全活動のためのマネジメント・セミナーを開催した。通年では、相談業務、他セクターへのプログラム企画協力、講師派遣、研修を目的とした「NPOサロン」(毎月原則第3水曜日夜開催)、8月からは情報提供を目的とした「NPO情報」の提供(毎月5・20日発行)を継続することが出来た。これも偏にNPOへの関心の高さのあらわれだと感じている。
●「NPOの存在意義」を問われる2002年 (2002.1.1)
「NPOくまもと」の活動が設立から一年を経過した。 わずか一年ではあるが、NPOのおかれている環境の変化を感じてしまう。特定 非営利活動法人に限ってみるとより顕著な変化が見受けられる。
まず、熊本県下の法人数の伸びである。平成13年1月1日現在は34法人であ ったものが、平成14年1月7日現在では67法人に増えている。一年で2倍の法 人の設立が進んでいる。法人制度の普及がされ、設立の申請が増え、認証まで のスピードも迅速になっているのであろう。「NPOくまもと」でお手伝いをさせて戴 いた申請が内閣府では2ヶ月足らずで認証された事例があった。
次に、税制優遇の道が開け平成13年10月1日より受付が開始された。認定 特定非営利活動法人はまだ2団体であるが、今後の私たちNPO側の提言活動 などにより、より実情に即した法律へ改善していく可能性が出てきた。
また、「支援」という言葉をよく耳にするようになった。昨年8月「全国NPOフォー ラム東海会議」では出席者に行政担当者が多く見られ、質問の大半が行政担当 者からの各地でのNPO支援施策とりわけ行政判断としてうまくいったと思われる 委託の事例についてであった。
しかし、この変化が「NPOの息づく社会」へいかに結びつくのだろうかという疑問 が生じてしまう。
まず、申請 ・認証数の増加についてである。特定非営利活動促進法は認証の ための法津(または条例)であり、書類が十分であれば、認証を受けることができ る。法の建前からは好ましくないことかもしれないが、初期段階で見られた申請前 の事前協議による「なぜ特定非営利活動法人として活動するのか」という基本的 な「NPOとしての意義」を双方が十分協議をし尽くし、お互いに認識されているの かということに疑問を感じる。
次に、特定非営利活動法人になると途端に補助金や助成金 ・寄付金等が受け られるという甘い期待があるのではないだろうか。法人として活動するには、相当 の経営戦略と経営能力が必要である。まして、認定特定非営利活動法人になる ためには最低二年間の活動実績が必要であり、条件は非常に厳しい。今、特定 非営利活動法人が、NPOとしてのミッション(組織使命)に即した活動をしている かを問われている。
また、行政側は、支援という名目の施策を先を競って行おうとしているように見 受けられる。「支援」という名のもとに、結果的に低コストゆえの行政の下請けとし て位置付けられていたり、NPOを参加させることによる行政のPRとして利用して いる印象を受ける。NPOへの受託の意義を十分見出した結果の事業なのか、そ れに相応しい適切な発注方法なのかに疑問が残る。一方、特定非営利活動法人 側はNPOの名の優位性に頼り、NPOの最大の特徴であるミッションとの整合性 を省みることなく、資金捻出のために、その実、十分なコストを確保することなく委 託事業を受託していることがあるのではないだろうか。
昨年末「NPOくまもと」での理事会で論議を交わした事例を二つ紹介したい。 ひとつは、昨年12月28日熊本県より「NPO実態調査業務委託」の見積を1月8 日提出の依頼があった。事業内容自体は「NPOくまもと」の目的と合致していた が、3月末まで100人日の雇用が条件の財源の事業(平成13年度緊急地域雇 用特別基金事業)であることと、成果物が今後のNPO育成の施策の基礎資料と して使用されるための調査をこの短期間で実施することが適当なのか、また、NP Oの育成の施策として今回の方法が適当なのかが議論の中心となり、慎重に検 討をさせて戴いた。その結果、熊本県指定の条件を満たした上で、十分な成果物 を作成できるためのコストを算出し見積を提出させて戴いたが、見積積算に大き な開きがあったようで、受託出来なかった。
もうひとつは、12月新聞紙上で取り上げられた「九州NPO事業推進委員会」へ の参加の件である。九州内各県より1法人が参加し新たな団体をつくり法人化を はかり、参加法人が各県の代表窓口となりコミュニティ・ビジネス等の事業を推進 し各県の特定非営利活動法人をネットワーク化するというものである。コミュニテ ィ・ビジネス自体は今後NPOの収益事業としての価値と雇用の確保の可能性が あることを認識した上で、ネットワークとは目的を共有してうまれる自発的なもの であり、民間として自主性を確保することにより従来の社会システムの変革の役 割を担っているNPOの社会的役割と、基盤整備組織「NPOくまもと」は(法人格 のあるなしにかかわらず)NPO活動の促進・発展が設立趣旨であることを鑑みた 結果、参加を見合わせることになった。
NPOの資金確保については今後の研究 課題である。 いわゆるNPO法(特定非営利活動促進法)が施行されて三年余り。いろいろな 「動き」と「きしみ」が出てきている。市民活動の促進法としてNPO法を論議してい た当時は自明であった「NPOの存在意義」が薄れているように思える。私たちNP O自身が自分たちの存在意義を十分に認識し活動していくことが求められてい る。 「なぜNPOなのか」「なぜNPOでなければならないのか」という問いかけをしなが ら、NPOの基盤整備に取り組む2002年としていきたい。
●NPOの存在意義とは・・・(20021.1)
私たち「NPOくまもと」では、NPOを「法人格のあるなしに関わらず、市民公益的テーマを持って自発的に非営利で活動する市民団体」と定義付けている。この年末年始、何度この定義を省みる機会が多かったことか。日本NPOセンターのホームページのフォーカス・コーナー「NPOの業界団体化を憂える」(加藤哲夫氏)という時評を読み、なぜNPOに「民間」と冠つけるのか、その意味を再確認させて戴いた。
また、(財)まちづくり市民財団発行「まちづくりと市民参加?V」に私どもの設立までの過程を掲載して戴いた。IT時代に相応しくホームページ上からダウンロードできる。皆様にはご一読戴ければ、熊本のNPOの流れも読み取って戴けると思う。年末年始私どもの判断に対して全国から戴いたエールに感謝し、「支援」「協働」「ネットワーク」「パートナーシップ」等言葉の流行に踊らされることなくひとつひとつの言葉にも「NPOの存在意義」を問うことに努力していきたい。
(J)
日本NPOセンター
http://www.jnpoc.ne.jp/focus/jihyo.html
まちづくり市民財団
http://home.interlink.or.jp/~machizkr/
●この三ヶ月を振り返って・・・・(2001.10.10)
情報紙「NPOくまもと」の第1号(創刊号)を発行して三ヶ月がたった。三ヶ月という短い期間ではあったが、正に「NPOくまもと」の目指す方向性の事業にふたつ取り組むことになった。三井住友海上火災保険?蒲lのNPO支援事業のお手伝いは、中間支援組織として企業とNPOをつなぐ機能と役割を十分発揮させて戴くことができた。関係各位の皆様に改めて感謝申し上げたい。もうひとつは指名競争入札への参加である。一般企業と同じ土俵で扱って戴く機会を得たことに時代のうねりを感じ、この事業が福祉分野のバリアフリー調査だけにとどまらず、観光というまちづくりの視点を盛り込めるところに私たちの存在意義を感じている。
私たちらしさを発揮するためにも、人材育成として学生のインターンシップ制も採用するつもりだ。行政 ・企業の時代への即応性を感じられた三ヶ月であった。時代は確実に「提案型社会」に進んでいる。次に求められているのは私たちの市民側の「自立」である。(J)
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