| 脳死は人の死ではない |
| 今回は、脳死移植推進論に対する私の批判を紹介します。どうぞ、御覧下さい。 2004年3月26日 |
大久保通方・臓器移植患者団体連絡会代表幹事は大きな思い違いをしている。確かに脳死臓器移植に賛成する人は多い。しかし、自分が当事者として臓器を提供してよいという人は非常に少ない。脳死臓器移植に賛成する人は他人の脳死臓器提供や脳死臓器移植に異議はないとしているだけだ。「脳死臓器移植賛成=当事者として臓器を提供してもよい」ということではないのである。内閣府が2002年7月に行った世論調査の結果で明らかになったドナーカード所持率(下段注)の低さがそれを証明している。大久保氏がこのドナーカード所持率の低さを軽視しているのは問題だ。ドナーカードを所持しないことは自分自身の臓器提供に対する拒否反応に他ならないからだ。 【下段注】内閣府が行った世論調査の結果
結論を先に言えば、臓器移植患者団体連絡会の大久保通方代表幹事の言動は論理矛盾に陥っている。なぜなら、大久保氏が理事長を務める日本移植者協議会のサイト(http://www.jtr.ne.jp/)には大久保氏の最近の言動と正反対の記述があるからだ。
大久保氏が推進する「脳死判定された本人が臓器提供拒否の意思表示をしていなければ、年齢に関係なく家族の同意のみで臓器を提供できる」臓器移植法の改変案のどこにも「明確な個人の意思」などない。また、脳死判定された患者の家族(下段注)が患者の気持ちを推し量って提供の有無を判断するシステムのどこにも「一人ひとりの意志を尊重」した形跡はない。大久保氏の言動が論理矛盾に陥るのは、移植数を増やすことを最優先にしているからなのだろう。 下段注・・脳死移植推進派の産経新聞では「遺族」となっている(例えば、2004年2月27日付の「主張」)。実際には血が通い体が温かいのだから死んでいるとは言えず、遺族という言い方はおかしい。
世論調査と実際の提供ではわけが違う。世論調査では、どう答えようとも何の責任も生じないし、痛みや不利益もない。しかし、実際に提供するとなると、体が温かく血も通っている状態が現実としてあるのだから、簡単に脳死状態での臓器提供などできるものではない。先に示した内閣府の世論調査の結果では、ドナーカードを持っているにもかかわらず、臓器提供の有無の意思表示を記入していない人が四割もいる。これは、いざ記入しようとする時に、現実の恐ろしさに気付いたからではないだろうか。
脳死者からの臓器移植が必要な子供を助けるためには、別の子供が脳死状態にならなければならない。しかし、脳死状態であっても、体が温かく血も通っている「生きた状態」なのだ。つまり、脳死者からの臓器移植が必要な子供を助けるために別の子供の命を見捨てることになってしまうのだ。子供の親たちにはこの点を十分に認識してもらいたい。そして、親の責務は、仮に絶望的な脳死状態であったとしても、最後の最後まで子供のそばにいて奇跡を信じ祈り続けることのはずである。コーディネーターの美辞麗句を真に受けてはならない。 |
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