外国人労働者問題−在京六紙がすべて賛成の恐ろしさ−

 今回は、専門的・技術的分野とは評価されていない分野における外国人労働者の受け入れに在京六紙(朝日、読売、毎日、産経、日経、東京)がすべて賛成しているという事実を紹介します。どうぞ、御覧下さい。
 2005年9月3日



専門的・技術的分野とは評価されていない分野における外国人労働者の受け入れに在京六紙(朝日、読売、毎日、産経、日経、東京)のすべてが賛成している……。こんな驚くべき事態が、今、進行している。その現実を以下に示す。

【2004年3月3日付朝日新聞「社説」より】アジアの国々との自由貿易協定は、物と金だけではなく人の移動ももっと自由にしようとするもので、フィリピンやタイは日本に対して介護士や医師、マッサージ師などの受け入れを求めている。 国内には反対論も強いが、少子・高齢化が進む日本はいずれ、そうした人手を外国に頼らざるを得なくなる時が来る。 民族的にも文化的にも同質との観念が強い日本社会には、外国人の存在を疎ましがるきらいがある。しかし、閉じられた島国として生きられる時代はとうに終わった。外国人とともに生きる仕組みを真剣に考える。迫られているのはそうした覚悟だ。 外国人との共生について、朝日新聞アジアネットワークがまとめた報告「アジアに開く日本」が別の面に載っている。そちらもぜひ読んでいただきたい。
http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu040303d.html

この社説で触れられている朝日新聞アジアネットワーク(http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/)というのは随分ひどいところで、日本の社会情勢(他民族との共生がうまくいくとは思えない)や労働情勢(経営者有利の現在の労使状況では、外国人労働者が人件費削減の格好の道具として用いられる)にお構いなく、東アジア共同体や「アジアとの共生」を主張し、その一環として外国人労働者を受け入れろと言っている。話にならない。

関連ページ
http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu050215a.html
http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu041027b.html
http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu040211a.html

【2005年7月2日付読売新聞「社説」より】少子高齢化・人口減少が進む中で、日本が活力を維持するために、外国からの積極的な人材受け入れは、重要な課題だ。
【2005年7月2日付読売新聞「社説」より】労働市場の開放促進を求める声は、これまでも、経済界などから強かった。企業経営者や学識経験者で構成する経済連携推進国民会議は昨年、外国人労働者の受け入れ促進へ、在留資格の職種の大幅拡大や資格要件の緩和などの実施を政府に要望した。日本商工会議所も一昨年に、同様の要望書を出している。白書は、遅ればせながら、それに応える姿勢を示したものと言えるだろう。
【2005年7月2日付読売新聞「社説」より】東アジア地域のヒト、モノ、サービスのバランスの取れた自由な流れを確保し日本と地域の経済発展を確かなものにしていく。そのためにも、労働市場の開放を急がねばならない。
【2004年9月21日付読売新聞「社説」より】年初に閣議決定した「構造改革と経済財政の中期展望」で労働市場開放促進の方針を明記したのを機に、十四業種以外の看護師や介護士についても早期開放の期待が高まっている。開放は「外」だけでなく「内」からの要請でもある。

朝日新聞が「アジアとの共生」という論点から外国人労働者の受け入れを主張しているのに対し、読売新聞は、経済界の要求に応えて外国人労働者を受け入れるべきだと主張している。

経済界の思惑通り、フィリピンなど東南アジアから安価な労働力が流入すれば、恐ろしいことが起きるだろう。低賃金の日本人労働者が、人件費が安いフィリピン人労働者やタイ人労働者との競争を強いられるからだ。ただでさえ低賃金の日本人労働者は、フィリピン人労働者やタイ人労働者労働者並に賃金水準を下げるか、雇用喪失かの二者択一を迫られることになる。これは社会の不安定化にも直結することだ。もちろん、読売新聞はこうした弊害を意に介していない。

詳しくは「2005年7月2日付読売新聞社説『労働市場の開放』」を参照されたい。

【2005年4月22日付毎日新聞「社説」より】外国人労働者を受け入れることなしに、経済力を維持し活力ある社会を築けるのかどうか。こう問われれば、迷わず「ノー」と言わざるを得ない。日本の人口は06年の1億2774万人をピークに減少に転じる。15〜64歳の労働力人口に限れば、すでに98年の6793万人を境に翌年から減少しており、5年間で120万人余り減っている。働く人が減れば、経済活動が低下し、税収も減少する。年金を給付される人は増えても、負担する側が減る一方では年金制度の維持がおぼつかなくなる。大幅な労働力人口の減少を補うには、外国人労働者に頼らざるを得ない。毎年60万人の受け入れが必要だとの試算があるほどだ。
【2005年4月22日付毎日新聞「社説」より】外国人労働者受け入れに関して各方面で議論や研究がなされている。しかし、看護や介護でフィリピン人を受け入れる判断をしたことで、議論や研究から国民のコンセンサスづくりや法整備など新たな段階に入ったのではないか。
【2005年4月22日付毎日新聞「社説」より】外国人政策を一元化して施策を進める外国人庁を設置する時期にきたのではないか。外国人政策で後手を踏んではならない。

毎日新聞は、外国人労働者を受け入れなければ、「経済力を維持できない」「活力ある社会を築けない」と脅しをかけている。そこには、人口減少に応じた社会を創るという観点はまったくない。そのうえ、「新たな段階に入った」などと決め付け、外国人労働者の受け入れのために邁進(まいしん)すべきだとしている。礼賛度では群を抜く存在といえる。

【2004年7月11日付産経新聞「主張」より】政府は、看護師、介護士などは、日本語ができ、日本での研修を条件に、枠を決め、部分的、段階的に受け入れる方向を検討中のようだが、当面の策としては妥当な方向だろう。ただ、外国人労働者受け入れは、少子・高齢化対応などでメリットも期待できる半面、不法滞在者、外国人犯罪の増加、単純労働者への差別、社会不安要因など問題も多い。教育、社会保障の整備など総合的、長期的に取り組む必要もある。安易な受け入れは危険で、国益に反しかねない。日本経団連は今年四月、「外国人受け入れ問題に関する提言」で、(1)秩序ある受け入れ(2)外国人労働者の人権と尊厳(3)受け入れ国、送り出し国の双方のメリット−の三原則を示し、政府に「外国人庁」の創設を求めたが、傾聴に値する内容だった。国民的議論の高まりを期待したい。
【2004年10月1日付産経新聞「主張」より】規制改革やアジア各国との自由貿易協定(FTA)の加速も大きな課題だ。地域限定の構造改革特区の全国展開への推進、FTAの壁になっている農産物や労働市場の開放問題をめぐる国内調整が急がれる。大胆かつ柔軟な対応には首相の指導力と経済財政諮問会議の機能強化が不可欠である。改革を後ずさりさせる愚行を繰り返してはならない。

外国人労働者受け入れの不利益を示している点で、他の在京五紙よりは評価できる内容である。しかし、不利益を示した直後に、外国人労働者の受け入れに積極的な日本経団連の提言を「傾聴に値する内容」などと評価するのはどういうわけか。矛盾している。そのうえ、10月1日付の「主張」では、FTAのために、労働市場の開放問題を解決すべきだと言っている。本来の「保守主義者」であれば、こうした問題に対して、真っ先に全面反対の狼煙(のろし)を上げなければならない。産経にはそうした気概が感じられない。残念なことだ。

【2004年8月24日付日本経済新聞「社説」より】労働市場の開放は小手先で済ますな(社説の表題。中根注)
【2004年8月24日付日本経済新聞「社説」より】フィリピンは15万人以上の看護師を米欧や中東に送り出す人材供給大国である。働き場所が他にある優れた人材は、関門が多く日本語の壁もある日本には見向きもしないだろう。せっかく市場を開放しても、相対的に劣った人材しか集まらず、結果的に日本の医療の質が低下するのでは本末転倒である。

フィリピンから看護師を受け入れさえしなければ、何ら問題はない。

【2005年7月26日付東京新聞新聞「社説」より】気になるのは外国人労働者の問題である。白書は労働力不足を補う形での製造現場への単純労働者の受け入れは「適当でない」とする。だが現実にはたくさんの外国人労働者が働いており無視できない存在だ。国内三百万人の失業者対策を重視せざるを得ないとはいえ、労働政策としても前向きな位置づけが必要だ。
【2005年4月20日付東京新聞新聞「社説」より】(政府が発表した「日本21世紀ビジョン」について。中根注)外国人労働者への門戸開放一つとっても、小泉内閣が東アジアはじめ各国との自由貿易協定(FTA)を作り上げていく過程で実現すべき政策課題である。なにも二十五年先まで待つ必要はない。

現実にたくさんの外国人労働者が働いているという状況が問題なのであり、その是正が先決だ。



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