クロンコの場合

Case of Kurowanko

ファースト・コンタクト
First Contact

 そのとき クロワンコ 淡路島 の田舎道をさまよっていた。帰るべき家も飼い主の臭いも分からなくなっていた。遠いところ,たぶん海の向こうから連れてこられたのだと思う。まだ首輪の革の感触が残っていた。
クロワンコ1

空腹
Hungry

 ゴハンをもらえなくなり,倒れそうなほど腹が空いていた。道の上で死んでいるミミズ を食べてしのぐ。ミミズはフレッシュタイプよりカラカラに干からびたドライタイプがうまい。道端の草むらにはカメやヘビもいるが,カメは甲羅が硬くて食べにくいしヘビは結構手強い。
クロワンコ2

親切な人々
Kind people

 たどりついた町外れの人たちは,やせ衰えたクロワンコに親切だった。ゴハンをくれたり,軒先で寝ることを許してくれたりした。しかし,ほとんどの家にはすでにワンコがいたし,特に親切だった別荘の人たちは週末しかやってこない。
クロワンコ3

Iターン
"I"Turn

 もんどよーこ の家にはワンコがいなかった。クロワンコは家の前で2人と目が合ったときに期待に満ちた視線を送っていた。ときどき,軒下や車庫で休んでいたのだが,ある日突然,黄色の新しい首輪をつけられ鎖でつながれた。自由を失った代わりに,ゴハンには不自由しなくなった。
 朝はもんどが,夕方にはよーこが散歩に連れて行ってくれるが,路上でミミズを食べるのは今でも止められずにいる。
クロワンコとバウリンガル

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