その4<決勝編>

ウォームアップランスタート1分前。
ヘルメットのシールドを閉めると曇って前が見えない。そもそも雨粒で視界が
かなり悪い。グローブには既に水が染みてきて冷たい。寒い。
最悪のコンディション。。。

オフィシャルが旗を掲げ、1列ずつのウォームアップランがスタート。
そろそろとスタートしてアクセルをワイドに開けるとやっぱりホイールスピン。
コーナーのインには既に水溜りが出来てる。前車の跳ね上げる水しぶきが首筋
からつなぎの中に入ってきてちめたい。さぶぅ〜。

生まれて初めてのレインタイヤの感触を、たった2Km程で掴めるわけもなく、
成り行きに身を任せてグリッドに着く。
ラジエタから上がる湯気と、吐息でシールドが曇って視界がすこぶる悪い。
そんなことに気を取られているうちにオフィシャルが退去。スタート合図の
日章旗が用意されている。

普段より心持ち低い回転数に合わせ、スタートを待つ。
旗が振り下ろされると同時にスタート。タイミングは悪くない。調子にのって
アクセルをワイドオープンしたとたん、盛大にホイールスピンして失速。一気
に数台に抜かれてしまう。1コーナーを立ちあがった時点では、前方に10台
近く見える。完全にスタート失敗。

みるみるトップ集団から離されていき、「ついていったらレインタイヤの限界
わかるかも」作戦失敗。恐る恐るのへっぴり腰走法が続く。

「あ゛〜、う゛〜、だぁ〜」
とわけのわからんことを叫びながら、ラップする。1コーナー、1ヘア、ところ
構わず全走車に仕掛け、かわす。
サインボードなんて見えないし、そもそもコースもはっきり見えない。
コーナーのイン側は水溜り、いたるところにコースを横断する川が出来ている。
しかしレインタイヤは、バックストレートで12,500rpm全開の加速をしても
ホイールスピンせずに路面を捉え続けている。
「ちょっと突っ込みすぎたかな?」ってくらい突っ込んでも、恐る恐るバンク角
を増やしても、しっかりグリップし続けている。
水溜りにさえ気をつければ、限界はかなり高い。
、、、って事に気付いたのは既に時遅し。

コントロールタワーからはチェッカーフラッグが掲げられている。

傘を振って祝福してくれる観客もいたけど、どうせならもっと上位でそれを
見たかった、、、なんて思いながらピットロードに入る。

既にメインストレート上には6台のバイクが揃っており、自分が入賞圏外である
ことを知る。オフィシャルにそのまま通過するよう指示される。。。
までもなく、そのまま一直線にピットロードを通過し、バイクをHさんに預けて
ピットに戻る。

その5<撤収編>