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イリョー的コドモ問題



改善していく日本の医療環境


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(1) 〜病気のコドモがいる〜
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 今日も、多くのコドモたちが重い病気で入院したり、残念ながら尊い幼い命を終えてしまっています。
 健康に暮らしてくると、重い病気で長く病院に入院していたり、健康だったら当たり前にできることができない子ども達がたくさんいることを知る機会は多くありません。最近はテレビの番組で、取り上げられることもありますね。
生後から何年も入院しているコドモ、何ヶ月もコドモに付き添って病院の簡易ベッドで暮らしているママ、毎週土日に新幹線に乗って入院しているコドモに面会をしているパパ、入院のために何年も顔を合わさなかった兄弟、日本では治せない病気で多くの出費をしながらアメリカに行くコドモ、そして残念ながら夭逝していくコドモ…
 日本には多くの子ども達が、入院しています。そしてその子ども達には家族がいます。入院すらできない国にいることもたいへんですが、病気で入院をしているということも、身体的にも精神的にも経済的にも大きな負担です。
 病気のコドモがいるということは人事であることがいいのですが、そういうコドモと家族がいることを知ってください。

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(2)〜病院という名の伏魔殿〜
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 言葉が悪いが、ある意味病院というところは常識がぶっ飛ぶ伏魔殿です。病気で辛い子どもを治療という名の下、痛くて怖い思いをさせる場所です。動物の檻のようなベッドに閉じ込め、時には身動きができないように縛り付けることもあります。子どもにとって誰よりも頼りたい母親から引き離され、痛い処置をされたり、一人で夜を過ごすこともあります。
 もちろん、それが治療に必要な場合だけです。そうでなければ、こんなことは立派な児童虐待でしょう。
 病気を治すことが、何よりも優先するのかどうかということは、疑問です。病気の子どももその親も、病気を治すために病院に来ているのですが、そのために幸せが損なわれるとしたなら、それは本末転倒ではないでしょうか。
 コドモが一番辛いときに、医療や病院、お医者様ではなくコドモと家族のための選択をする必要があるように思えるのです。

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(3)〜コドモが一番辛いときに〜
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 病気で辛い状態にあるコドモは、どういう環境にあるかというと、ますます過酷な生活を強いられます。
 檻のようなサークルベッドに入れられ、痛かったり怖かったりする医療行為の連続、わざわざ痛いことをするときには母親とさえ隔離されます。家族が付き添えない病院の場合は、絶叫するくらい泣いても必ずしも忙しいナースは抱っこもしてくれません。
 医療行為のために、タオルでぐるぐる巻きにして手足を押さえつけられることも、病院の中ではあります。多分同じことを病院の外でしたら、虐待に違いありません。もしかすると、病院でこんなことをしていることを知らない人が多いから、問題にしていないのかなぁ。
 内外のボランティア団体の中には、長い入院や重病であるコドモのために、スペシャルな遊びや経験をさせてくれるところもあります。でも、本当はたった一日の入院でも、辛い入院ではなく楽しい経験ができる病院があってもいいはずですね。

 ※参考 キッズエナジー
             http://www.kids-energy.org/
       チャイルド・ライフ・ネットワーク
             http://www.sda.nagoya-cu.ac.jp/ken/CLN/
       Make a Widh of Japan
             http://www.mawj.org/

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(4)〜お医者さまのコトバ〜
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 最近、インフォームドコンセントというコトバが流行っています。医療行為に関して、事前の説明と患者の同意がされるお話のがあります。そうすることで、医療ミスを防いだり、患者が安心して医療行為を受けられたりするのです。
 ところが、このインフォームド・コンセントというのは、まだあんまり確立していることではなくて、簡単に済まされたり医学生の授業のようだったり、様々な問題点があるようです。
 お医者さんがわかっていないのですから、こっちが聞きたいことをちゃんと聞けばいいのです。といってもこれがたいへん難しいことではあります。実際インフォームド・コンセントは、最悪の事態が起きてしまったときの、責任回避とも思える内容であることも多いのです。
 患者が聞きたいことは、どういう医療行為を何のためにして、良くなったらどうなるかではないでしょうか。家族の命、ましてや愛する子どもの命のこと、楽観的に考えて祈りたいものです。
 インフォームド・コンセントなど、医師や看護師と話し合いをするときには、ぜひ思いついたことをメモしておいて、それをもっていきましょう。どんなに冷静な人間も、我が子の命に関しては冷静ではありえないものです。納得のいく医療を受けるのは、お医者様の責任だけではなく、患者の責任でもありますよ。  

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(5)〜考えたくないもしもを考える〜
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 テレビの特集番組で、『小児病棟24時云々』なんていうのを見て涙する人は少なくありません。でもあれは画面の先の人の話、自分にはあんまり関係のない話だと思っていませんか?もちろん関係がないならないに越したことの無い医療だとは思いますが、ぜひ誰もがいつでも関わる可能性のある世界だということを忘れないでください。
 特に、子どもが小さい間は、怪我、風邪、脱水、肺炎、どの子にでもありうることです。転ばぬ先の杖、家庭の危機管理の一つとして、入院について知っておいてほしいことがあります。
 子どもが病気や怪我を治すために入院する病院は、決して楽しい場所ではありません。多くの場合親にとっても辛い場所になります。基本的に病院は病気を見る場所ですから、子どもが寂しかろうが親の体力が尽きてしまおうが、ケアをしてくれることは少ないのです。そう言うことは、患者と家族が物も心も準備していく必要があるかもしれません。
 でもこのような現状を変えていこうとする意識は、医療者の中にも芽生えてきています。それが実現するにはまだ時間がかかりますが、患者と家族の努力でも医療環境を良くして行くことは、ある程度できることです。

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(6)イリョー的コドモ問題 〜新しい小児医療の動き〜
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 病院は病気を治すところ。医療技術が進んで返って、入院で痛くて辛くて寂しいこと、親や兄弟がどうなっても、あんまり目を向けられることはありませんでした。これは日本に限ったことではなく、欧米でもそう言う時代がありました。
 イギリスなどから、子どもの医療環境を非医療面からもサポートする考え方が始まり、医療現場で実践されるようになってきました。プレイスペシャリストという存在は、イギリスの病院で子どもの遊びや医療行為の理解の手助けをしています。チャイルドスペシャリストという資格を持ったスタッフがアメリカの小児病院にいます。日本人でもこの資格を取得するために留学している人も、資格を取った後日本で既にチャイルドスペシャリストとして働いている人がいます。
 子どもの医療環境を考える中で忘れてはいけないのは、親と兄弟、家族のサポートです。病気の子どもがいると家族はみんな辛い思いを強いられます。最近では付き添い入院している親のための健診を行ったり、お留守番をしている兄弟をサポートするボランティアグループも出てきました。
 1995年5月に行われた第一回病院のこどもヨーロッパ会議で、病院のこども憲章が合意されました。この中で病気のこどもの人権を守ること、家族中心の考えで治療を行うことが提言されています。この提言に沿った医療を努力している方々がたくさんいます。 (下記参照)
 病気でそれを治療するために病院のお世話になることは、決して楽しいはずもありません。必要な治療が、できるだけスムーズに行えるように医療側の対応がされることは、単に付加サービスではなく、医療の根本的な目的かもしれません。

***病院のこども憲章: EACH CHARTER***
             訳:野村みどり
  1. 必要なケアが通院やデイケアでは提供できない場合に限って、こどもたちは入院すべきである。
  2. 病院におけるこどもたちは、いつでも親または親替わりの人が付きそう権利を有する。
  3. すべての親に宿泊施設は提供されるべきであり、付き添えるように援助されたり奨励されるべきである。親には、負担増または収入減がおこらないようにすべきである。こどものケアを一緒に行うために、親は病棟の日課を知らされて、積極的に参加するように奨励されるべきである。
  4. こどもたちや親たちは、年齢や理解度に応じた方法で、説明をうける権利を有する。身体的、情緒的ストレスを軽減するような方策が講じられるべきである。
  5. こどもとちや親たちは、自らのヘルスケアに関わるすべての決定において説明を受けて参加する権利を有する。すべてのこどもは、不必要な医療的処置や検査から守られるべきである。
  6. こどもたちは、同様の発達的ニーズをもつこどもたちと共にケアされるべきであり、成人病棟には入院させられない。病院におけるこどもたちのための見舞い客の年齢制限はなくすべきである。
  7. こどもたちは、年齢や症状にあったあそび、レクリエーション、及び、教育に完全参加すると共に、ニーズにあうように設計され、しつらえられ、スタッフが配属され、設備が施された環境におかれるべきである。
  8. こどもたちは、こどもたちや家族の身体的、情緒的、発達的なニーズに応えられる訓練を受け、技術を身につけたスタッフによってケアされるべきである。
  9. こどもたちのケアチームによるケアの継続性が保障されるべきである。
  10. こどもたちは、気配りと共感をもって治療され、プライバシーはいつでもまもられるべきである。

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(7)〜コドモのイノチ〜
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 健康なコドモを見ていると、生きていることに疑いは持たないし、健康であることにも疑問も持ちません。ところが、生まれたときから、または生まれる前から、病気や障害を持って、命の危険に晒されたり、不健康だったり、不自由な生活をする子もいるのです。
 生まれる前から、たいへんな人生の待っているコドモは、生まれてこない方が幸せでしょうか。生まれることは不幸でしょうか。生まれている病気や障害を持っているコドモやオトナは不幸ですか。
 きれい事を言えば、命に軽重はないし、どんなに病んだ肉体でも命は地球より重いのでしょうか。テレビ番組や活字で紹介される病気や障害とともに暮らす人たちの話を見たなら、そう思えます。ところが、それが身内、まして我が子がそうであるとなったら、事情は全く違うことになります。 
 重い病気で幼くして亡くなったコドモたち。どうせ死ぬなら彼らは生まれてこない方がよかったでしょうか。何歳まで生きる命なら生まれてくる意味があったでしょうか。苦しい治療ばかりの数年間、またはたった数ヶ月のコドモの人生は、無駄なものでしょうか。
 そう思った人は、ぜひ健康に生きているコドモと自分たちからは見えにくい、病気や障害を持った人たちのイノチの輝きと尊さについて、知ってください。身の回りにいる病気や障害を持った人を見てください。話してください。そうすれば、健康な人にもイノチの輝きと尊さがあることが見えてくるでしょう。

『ままぱぱほーっと一息マガジン』(メールマガジン)より