序文


 我が敬愛する大林宣彦監督がこんなことを云っている。

「心から愛する女性に、自分の好きな音楽を告白するのには大変な勇気がいる。
なぜなら、もしそこで”私はその曲は嫌い”と言われたら、
それは”私はあなたが嫌い”と言われるのに等しいからだ」

その通りだと想う。

自分の愛する音楽を拒否されるのは、自分の感性を否定されることだ。
そしてそのことは「音楽」を「映画」に置き換えても当てはまるだろう。
映画を語るということは自分を語るということだ。
僕が映画について述べる時、他の何をするよりも、より真実に近い僕の姿がそこにあるであろう。
この些細な小文に興味を持ってくださる人は誰もいないかもしれない。
それでも僕は、内的告白をしてみたいという誘惑に勝てなかった。
此の文章を無視されたとしても、それはそれで仕方がないことだと想う。
それでも「ホラホラ、これが僕の骨だ」そう詩人・中原中也のように呟くしかないだろう。
どうか僕のわがままを笑って許してください。
そしてもし一人でも読んだくださる人がいるとしたら、
その人に限りない友情と感謝の気持ちを伝えたい。
ありがとう、と。