あ|||||か〜|||||||せ〜||| つ〜| | な〜| | | | | | | |む〜|や〜| ら〜| れ〜|



作品一覧
〜あは

あひ アビス 完全版、ア・フュー・グッドメン、アフリカの女王、アベンジャーズ、アポロ13→こちら、アミスタッド、雨に唄えば→こちら、アメリ、アメリカ 家族のいる風景、アメリカン・グラフィティ、アメリカンヒストリーX、アメリカン・ビューティー、アラバマ物語、アラビアのロレンス、アラベスク、荒鷲の要塞、アリスの恋、ある愛の詩、アルカトラズからの脱出、アルビノ・アリゲーター、アルマゲドン、或る夜の出来事、アレックス・ライダー

あん アンカーウーマン、暗殺者、アンジェラの灰、アンダーファイア、アンダーワールド、アンタッチャブル、アンドリューNDR114、アンブレイカブル



アビス 完全版

89年アメリカ
エド・ハリス主演ジェームズ・キャメロン監督
潜水艦の謎の沈没を調査依頼された石油発掘の工夫達は 深海で地球外知的生物と遭遇する

★いや〜完全版というだけあって長い。長すぎる。エド・ハリスがかっこいいので、彼を見ているので三時間弱が耐えられたが、このストーリーでは耐えられない。地球人を見守る知的生物が災害を起こして裁く・・ということ自体が 私はあまり好きな設定ではないらしい。
☆でもエド・ハリスはかっこいいのだ。頭薄くたっていいじゃないか。男として理想のタイプかも。嫌われ者の気の強い妻を蘇生させようとする時の姿には ぐっときた。
☆海の中の映像や金属機械の動きの捉え方、知的生物が操る海水で出来た異様な物体(T2の液体金属を思い出させる気色の悪い姿と動き)などがキャメロンらしいと思われる。でもあんまり夢中になれるストーリーではなかった・・。

ア・フュー・グッドメン A FEW GOOD MEN

92年アメリカ
トム・クルーズ主演ジャック・ニコルソン、デミー・ムーア出演ロブ・ライナー監督
劣等兵を殺害した二人の兵士の弁護にあたった若い法務将校が 隠された真実を法廷で明らかにしようとする

☆トム・クルーズが熱演してる。ヤケ酒にずぶ濡れ、法廷で激昂など熱い。彼やデミー・ムーアがわりと直球型なので、ここはやはり変化球の俳優達を楽しんでしまう。ジャック・ニコルソン、大佐ともあろうお方がこんなラストでいいの?と思ってしまう部分もあったけど、画面に映るだけですごい貫禄と迫力。それにケヴィン・ベーコン、J.T.ウォルシュ(うまいですよね、この人は白黒はっきりさせない役が)、キーファー・サザーランド (短髪だとやはり親父さんに似てる)それぞれ魅力がある。さらに証人の役でキューバ・グッディングJr.とノア・ワイリーが出てきたのには驚いた。そうか、「ザ・エージェント」より前なんですね、この作品は。あと、トム・クルーズの助手役のケヴィン・ポラック。主張の激しい人ばかりなんで、彼みたいに余計なことは言わないけどいつも傍にいて全て見て聞いてる、その存在が救いでした。
☆アメリカという国が尊重すべきなのは軍なのか法なのか、いやその両方が誇れるものなのだという作品なんでしょうか。ラストには人間性が感じられるのが救いだけど、とにかく規律と力を見せつけられる非常にアメリカ的な作品だ。

アフリカの女王 THE AFRICAN QUEEN

51年アメリカ、イギリス
ハンフリー・ボガート、キャサリン・ヘップバーン主演ジョン・ヒューストン監督
ドイツ軍の侵攻のせいで死んだ兄のために ドイツ軍砲艦の撃沈を企てる宣教師の女性と蒸気船の男

☆ボギーです。私はスーツ姿でキメてるかっこいいボギーしか見たことなかったのだけど、ジンさえあれば生きていけるような 不精髭でヨレヨレの蒸気船乗りで へらへら笑いながら腹の虫をぐーぐー鳴かしてるような男をやってもこんなに素敵だとは知らなかった・・。さすがだ、ボギー。キャサリン・ヘップバーンは、兄に不器量なんて言われる女性の役だけど、ずぶぬれ泥まみれの淑女が 潔くて大変よく似合う。二人共とっても素敵で輝いてる。明るく力強いタッチの魅力溢れる作品だと思う。ちなみにアフリカの女王とは、ボギーのオンボロ蒸気船の名前。
☆イーストウッドの「ホワイトハンター、ブラックハート」を観て、それがこの映画撮影時のジョン・ヒューストンを描いているということを頭において観ると、なるほどなるほど と興味深いエピソードも散見して尚楽しめた。たいそうボロい蒸気船だけど、これで本当に急流を下ったのね。「ホワイト〜」でも脚本家と議論していたラストだけど、監督が決めていたラストより、悲惨な事件後に彼 自身が変更したラストで本当によかったと思われる。このラストのすがすがしさは素晴らしい。

アベンジャーズ THE AVENGERS

98年アメリカ
レイフ・ファインズ主演ユマ・マン、ショーン・コネリー出演ジェレマイア・チェチック監督
英国のスパイが 犯人の容疑がかかった美人博士と共に真犯人のマッド・サイエンティストと対決する

☆映像的には好きよ〜。オープニングも人工的なセットも。役者だっていかにも英国紳士のレイフ・ファインズにボンテージが最高にセクシーなユマ・サーマン、悪役はショーン・コネリーだし、ジム・ブロードベント、フィオナ・ショー・・豪華な配役。でもね、なんだかすっごくすっごくスケールが小さい。60年代のスマートな英国諜報部員のイメージでキメているんですが、 シールドを破壊した上で気象をコントロールして地上を破壊、脅迫手段とするというものが、大変なことの筈なのにあんまり大変に見えないんですね。オシャレな作り物くささにこっちの目も幻惑されちゃったのかなぁ。どっかが当初の狙いとずれちゃった感じがします。ラジー賞ノミネートしまくってるし。ホントはもっと大人向けの小洒落た作品にしたかったんじゃないのかと どうも首ひねってしまう不思議な作品。ショーン・コネリーの着ぐるみはちょっと勘弁して。

アミスタッド AMISTAD

97年アメリカ
モーカセン・フリーマン主演マシュー・マコノヒー、アンソニー・ホプキンス出演スティーヴン・スピルバーグ監督
スペインの奴隷船アミスタッド号で、奴隷達が白人を殺して船をのっとったことがアメリカ船に発覚、裁判にかけられる

☆まだ奴隷制度が強かった頃のアメリカでの実話。スペイン船アミスタッド号をのっとった黒人奴隷達が捕えられ、スペイン女王(アンナ・パキン)は船ごとの返還を要求、奴隷商人は所有権を主張する中で、奴隷解放運動を推進する二人の男(モーガン・フリーマン、ステラン・スカルスガルド)が弁護士(マシュー・マコノヒー)を雇って検察側(ピート・ポスルスウェイト)と対決する。英語もスペイン語もわからない黒人と、彼らの 言葉メンデ語がわからない弁護側が意思疎通に苦労するあたりはちょっと面白いが、話にひきこまれるのは、黒人の中のリーダー的存在シンケ(ジャイモン・フンスー)が奴隷として捕えられ殺戮に至るまでの経緯を明らかにされてからだ。人間ではなく商品として扱われるその酷さ、食料が足りなくなったからと、石を重しにして鎖でつないだ黒人達を次々海に落とし入れて"処分する"くだりのあまりの無情さ。映像で見せられると本当に衝撃的だ。 州裁判には勝って一度は釈放を宣言されたものの、奴隷制度が強い南部の反発と内戦勃発を恐れた大統領は、最高裁での再判決を決める。困った弁護側は、元大統領アダムス(アンソニー・ホプキンス)に助力を求めるのだが、このホプキンスの弁論と演技がいい。だが正直言って、この裁判に関わる白人側の人間達(モーガン・フリーマンも含める)は、本当はもっと複雑な思惑が渦巻いたりドロドロした事情があった筈だと思われるのに、わりと きれいに描きすぎちゃってる感じがするのだ。この黒人奴隷の問題を哀れみをもって一段上から見ているような、そんな印象を受ける。ジャイモン・フンスーの激しさと、祖先や偶然の力を讃える素朴さ、そこが強い印象を残し、まず相手をわかりたいと相手側に歩み寄る第一歩の尊さ、そんなところが感動を与えてくれた。

アメリ

01年フランス
オドレイ・トトゥ主演マチュー・カソヴィッツ出演ジャン=ピエール・ジュネ監督
子供時代から空想の世界で生きてきた娘が知った初めての恋

☆かわいくてオシャレ〜。映像がグリーンがかっているので、赤がとても映える。オープニングの子供時代のアメリがかわいいですね。耳を手でふさいだりちょっと離したりとか こういうどうでもいいことして遊んでる時間が楽しかったことを思い出して。クレームブリュレのオコゲを割るのより全部の指に突き刺した苺を食べるのが楽しそうだと思ったのは ちとヤバイかしら。でもホントにオープニングが良かったんだもの。登場人物の 好きなこと・嫌いなことを次々紹介していくのも楽しい。こういう角度からこだわってキャラクターの個性を掘り下げてくやり方は大好き。
☆アメリは学校に行かせてもらえなかったので、一人で空想の世界で遊び、大人になった今もそこから抜け出せず、現実の人間との密接な関係を持つのを苦手とする娘。人の人生の軌道修正には一生懸命なくせに、自分の恋にはなかなか向き合えない。でもそんな彼女の、宝箱の持ち主探しエピソードもお父さんのドワーフのエピソードもカフェの二人の縁結びエピソードも みんなみんなとてもチャーミング。オドレイ・トトゥはかわいいし、 食料品店の片腕のない使用人やカフェのいつでもレコーダー持ってる常連客も、みんな表情がすごくキュート。アメリを見守る骨の脆い老人も御伽噺のおじいさんみたいでいいですね〜。アメリが恋した相手も 彼女と同じ匂いを持つ夢想家の若者なので、二人はなかなか接近出来ない。大人になるとやらなくちゃいけないことがいっぱいあるから、なんでもダイレクトにアプローチするのが手っ取り早くて要領が良くて・・ってなっちゃうけど、 内気な夢想家が 手間も時間もかけて相手へのアプローチを試みる分、相手を想う気持ちもずっとずっと大きいのではないか、とふと思った。要領が悪くても、うまく伝わらなくても、一生懸命相手を想うその気持ち。結果じゃなくて過程を大事に出来る余裕をいつまでも持てたら・・と願わずにはいられない、すごくキュートな作品。

アメリカ 家族のいる風景 DON'T COME KNOCKING

05年ドイツ、アメリカ
サム・シェパード主演ジェシカ・ラング、ティム・ロス、サラ・ポーリー出演ヴィム・ヴェンダース監督
撮影現場を抜け出して30年ぶりに母に会った映画俳優は、自分に子供がいることを初めて聞かされる

☆まずアメリカの原野というような風景が大変美しい。そこに重なるギターサウンドがとても心地よい。「パリ、テキサス」ではライ・クーダーのギターがまた印象的だったが、それよりだいぶ軽い。作品自体も軽くなった。同じサム・シェパード脚本なわけだが、トラヴィスの空はいつも夕暮れだったけど、こちらのハワード・スペンスの場合、母の元へ車を走らせる空は夕暮れだったものの、ちゃんと夜になるし朝もくる。人恋しさにか不夜城カジノへ 出向いても更に深まる孤独感、朝と共にやってくる自己嫌悪。西部劇中心に出演してきて浮世離れした映画俳優が、モンタナに子供がいると知らされて昔の恋人に会いに行く。現実に打ちのめされた彼に真っ暗な夜がくるけど、明るい朝もくる。「パリ、テキサス」から20年以上、サム・シェパードもヴェンダースも答えを見つけたんだと思う。原題の「DON'T COME KNOCKING」の思いは、人の視線を避けたがるハワードのみならず、撮影現場からいなくなった ハワードを追う人嫌い風のサター(ティム・ロス)、ハワードの昔の恋人ドリーン(ジェシカ・ラング)、その息子で突然の父の出現に傷つくアール(ガブリエル・マン)の心情もそうなのだろう。ラスト近くでサターが言うように、確かに世界は悲しいことが起き続け何も変わらない、撮影現場に戻るハワードも変わらない、でも心をノックしてきた相手を受け入れる気持ちさえあれば、例え相手が入ってこなくても何かが変わる、だからまずはノックしてみなきゃ、 そんなことを感じた。父を一途に想ってた娘スカイ(この名前!まるで映画の答えを貰ったかのよう)を演じたサラ・ポーリーがよかった。ジェシカ・ラングはやっぱりうまいしティムの存在感も面白い。そしてハワードの母親役がエヴァ・マリー・セイント。今も素敵な方でした。

アメリカン・グラフィティ

73年アメリカ
リチャード・ドレイファス主演ロン・ハワード出演ジョージ・ルーカス監督
東部の大学に立つものもいて、高校を卒業した四人の仲間が迎えた最後の夜の出来事

☆リチャード・ドレイファスの髪が黒い〜ロン・ハワードが○ゲてない〜(失礼)そりゃそーだ、高校生(卒業したといっても)の役だ。全編ムードたっぷりで聞いたことのあるオールディーズ・ポップスが流れるのがゴキゲンだ。かっこいいアメ車も走り回る。一晩中車ころがして女の子のナンパ、ダンスパーティー、酒に他愛ない悪戯や盗み、女の子とのデートに喧嘩・・と、ばかばかしいけど甘酸っぱいアメリカの青春がある。 ウルフマン・ジャックのDJも絶大な効果。四人の一人は東部行きをためらっていたが、のっぴきならぬ事態にはまり、行くつもりだった一人は彼女との別れに後ろ髪。別の一人は美人をナンパして一晩ですごい体験連発、もう一人は自慢の車で走り回り、走り屋の挑戦を受ける。この走り屋がハリソン・フォード。やっぱりかっこいいわ〜。
☆ただですね、カメラと登場人物達の距離がいつも一定というか、ちょっと離れてるんですね。私の年齢的なものもあるのか全然感情移入出来なくて、終始傍観者の気分。ルーカスがそういう機微を描くのがあまり得意でないからか・・やっぱ私が年とったんだね。うん。

アメリカン・ヒストリーX AMERICAN HISTORY X

99年アメリカ
エドワード・ノートン主演エドワード・ファーロング出演
ヒトラーを崇拝する少年が「アメリカンヒストリーX」という特別授業の論文で、自分の思想背景を探る

☆兄の影響を強く受け、悲しい境遇となる多感な弟役のE・ファーロングというと、「リトル・オデッサ」を思い出してしまう。しかし「リトル〜」の兄が殺し屋ティム・ロスで本人はまともだったのに対し、今回は 兄がヒトラーを崇拝するアメリカにおける白人至上主義者E・ノートンで 本人も同じ思想に感化されたスキンヘッドの少年である。悲しげな瞳と小柄な体で いつまでも少年役の似合う人だこと。
☆アメリカにいる有色人種をパラサイトと呼び、その説を裏付ける内容の過激さに始めのうちビビったが、そのグループのカリスマだった兄は 刑務所で自分の主義の間違いに気づく。シャワーシーンでは一瞬ヤバい気もしたが(笑)文字どおり体をはったノートンの熱演と、間違いに気づく過程の演技は素晴らしく、胸に迫るものがある。

アメリカン・ビューティー

99年アメリカ
ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング主演サム・メンデス監督
さえない中年レスターが娘の友達に恋をして、そして何かがはじけた・・

☆登場人物全てが何かしらの歪みを持っている。誰の立場に身を置いても「こんなのいやだ」と思うから、この話は救われないかも・・後味悪いかも・・と思いながら見てた。そう、3/4ぐらいは。しかし最後の4/1で、ケヴィン・スペイシーに見事に救われた。優しさにあふれた 人として生を受けて幸せだと悟ったような表情に包まれて、そんな彼の表情だけで 救われた。これはオスカーにふさわしいとその瞬間思った。
☆しかし登場人物達の歪みは、潜在的に誰もが持っているのではないか。娘の友達に欲情するのも、見せかけの上流生活に酔ったふりをするのも、自分は人の関心を惹けないと悲観するのも、密室で或ることを偏執的に愛するのも。健全でないから・・とかで抑えているだけだ。「これがアメリカの現実」と見せつけられた姿はかなり恐ろしい。
☆仕事がうまくいかなくて泣きながら 「泣くんじゃないっ」と自分の頬をうちまくるベニングがすごかった。オスカーノミネート納得。娘役のソーラ・バーチ。ハリソン=ジャック・ライアンの娘のサリーじゃないですか。こんな育っちゃって・・特に胸。あれで豊胸手術するなんて冗談はやめてくれ(笑)

アラバマ物語 TO KILL A MOCKINGBIRD

62年アメリカ
グレゴリー・ペック主演メアリー・バダム、フィリップ・アルフォード、ロバート・デュバル出演ロバート・マリガン監督
黒人の被告の弁護を請け負って白人から嫌がらせを受ける父親の姿を彼の子供達の目を通して描く

☆中心となるのは、偏見の根強い南部アラバマで黒人弁護のために法廷に立つアーティカス・フィンチの姿。しかし白人娘をレイプした罪にとわれた被告のトムと訴えた白人側、事件の真相、黙って見守りながらフィンチに深い敬意を表した黒人達と嫌がらせをする白人達、それらばかりを生々しくクローズアップしている作品ではない。フィンチを父に持つ二人の子供、下の娘であるスカウトの回顧という形で父の思い出、兄の思い出、そして怪奇な謎に包まれた隣人ブー(噂は聞いても 子供達は彼の姿を見たことはなかった)の思い出を実に趣のある味なタッチで描き出している。丁寧な構成もいいし、原題の「TO KILL A MOCKINBIRD」の意味が最後に明らかにされた時、大きな感慨に包まれる。フィンチの誇りと尊厳を肯定しながら、一方で子供達が目にする現実世界の矛盾の中に救いを盛り込むような・・理屈では説明しにくいけれど、闇の中に確かに光るものを見たような、見える者だけに存在する価値が明らかになる何かにふれたような、そんな気持ちに させられてしまうのだ。グレゴリー・ペックは、若い頃の二枚目長身からやや年齢を重ね、やや風采の上がらない(といってもとても魅力的でかっこいいと私は思う)男で、信念を持ち強いが苦悩も隠せない子煩悩な父親を鮮やかに演じている。もう一つの関心は、デュバルがいつ出てくるかだったのだけど、途中で気づいたもののあの登場の仕方にはやられた〜。なんて美しい眼差し。彼を観る上での大好きな一本にこの作品も入れたい。

アラビアのロレンス

62年アメリカ
ピーター・オトゥール主演アレック・ギネス、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン出演デヴィッド・リーン監督
アラブでベドウィンを統率してトルコ軍と戦ったイギリス将校の伝記的映画

☆ロレンスは実在の人物。彼の事故死の場面から始まり、彼を知る二人の人物が彼について語るところから、生前の彼に興味を持たせる手法だが、事故も二人の人物もストーリーの中でちゃんと見せてきて冒頭の死後の場面にフィードバックさせるのが大変うまい。モーリス・ジャールのテーマ音楽もいいですね。過酷な灼熱地獄を浪漫の砂漠に変えてしまうのですから。昔ロレンスの伝記を読んでこの作品も 観たのだけど、その時は軍事的状況や彼の苦悩をあまりよく理解出来なかったんですね。本でも映画でもね。やっとわかった。将校としてイギリスにいた時は変わり者なだけだった彼が、アラブに派遣されてベドウィンと全てを共にすることで 身も心もアラブ人と同化、民の敬愛を受けるようになる。アラブの王子ファイサルとの謁見、ハリス族のシェリフ、アリとの深い友情、ハウェイタット族のシェリフ、 アウダも彼らの部族間闘争をまとめて味方につけ、トルコ軍からアカバを奪回、彼の活躍は本国でも高い評価を得る。ベドウィンにさえ不可能と言われた砂漠横断を決行、どこまでも広がる砂地に点々と膝折って休むラクダの姿がなんとも不思議な魅力。そしてラクダと騎馬隊によるベドウィンの奇襲シーンはぞくぞくするような魅力にあふれている。ロレンスはさらにトルコの鉄道を次々爆破、まるで アラーの神に選ばれし者のような風格と自信を身につけ、白いシェリフの衣装で襲った列車の上を舞うように歩くシーンは圧巻。しかしデラアに潜入した時にトルコ軍に捕まり、正体は明かさなかったものの将校から酷い扱いを受けた一晩が 彼のその後を大きく変えてしまう。神の子でないことを彼に悟らせた一晩。彼自身の手記にもかなり詳細で酷な内容が記されているが、映画ではうんと控えめながら 意味深な描写で うまく伝えている。配置変換を希望するほどの悪夢、英雄の影の部分がそこから色濃く描かれていく。彼が夢見たアラブの統一を母国イギリスが許さないこと、既にアラブ人でもイギリス人でもない自分の拠り所のなさ、ダマスカスを陥落したことによりその思いはさらに強まり、深まる孤独のために彼は全てを忘れたいとさえ思うようになるのだ・・。もう一度伝記を読んで、彼の足跡を 辿りたいと思わせる 壮大で深みのある作品になっている。
☆ロレンス本人にどことなく似ているピーター・オトゥールの持つ たおやかな風格が見事。ファイサルはアレック・ギネスが演じているが、やはりここはアリを演じたオマー・シャリフだろう。漆黒の髪と口髭、鋭い眼光とすっくとした体躯。オレンス(彼らは親愛をこめてそう呼んだ)に常に忠告を与え、彼の無茶を諌めながらもどんな危険な時も傍にいたシェリフだ。その存在感は初登場シーンから鮮烈で、 クールで忠誠心に満ちたその姿は その後の映画で描かれるアラブのシェリフの象徴的存在とも言えそうだ。

アラベスク ARABESQUE

66年アメリカ
グレゴリー・ペック、ソフィア・ローレン主演スタンリー・ドーネン監督
古代アラビアの象形文字の解読を頼まれたアメリカ人の学者がロンドンでアラブの陰謀に巻き込まれる

☆オープニングのちょっとサイケな映像がいかにも60年代。どことなくアラビア風のヘンリー・マンシーニの音楽も個性的で耳に残る。サスペンスのストーリー面ではツッコミどころもあるけれど、映像でたっぷり楽しませてもらえた。顔に映りこむ文字、鏡やガラス、レンズに映りこむさまざまなもの。ドーネンらしいすごいこだわりが感じられる。夜の動物園・水族館の追跡劇やひなびた工事現場での襲撃、TVカメラと衆人環視の場での狙撃など、 さまざまなサスペンスで見たような光景だし、命を狙われる主人公が謎めいた美女と危険な行動を共にするというのも定番だけど、特に水族館での水槽越しの映像など工夫が見られて面白い。一番好きなのは、薬をうたれて完全にイッてしまっているグレゴリー・ペックが夜のハイウェイで悪ふざけするシーンとそれに続く自転車で去ってくシーン。面白い。こういうの大好き(笑)。今回新発見したのは自転車に乗るオジサマが好きだということ(笑)。 きっと飄々とした感じがいいんだろな〜「小説家を見つけたら」のショーン・コネリーとか、「ポロック」のエド・ハリスなんか全然かっこいいシーンじゃないんだけど、自転車乗ってる姿にキューッときて。このペックもいいのよねぇ。話がかなり逸れたので戻します。ソフィア・ローレンも美しい。衣装はディオールだそうですが、彼女がアラブの海運王である恋人と美脚に靴をあわせるシーンなんて、鏡の中に幾重にも映りこむゴージャスな姿に 目が眩むよう。ここもドーネンの演出が楽しい。悪役にもうちょっとアクの強い魅力があったら・・とか最期はこんなものなの?とか思わせるところとか他にも、007の幾つかの作品をちょっと思い出させたりする部分もあったりして。

荒鷲の要塞 WHERE EAGLES DARE

68年アメリカ、イギリス
リチャード・バートン主演クリント・イーストウッド出演ブライアン・G・ハットン監督
名前のとおり鷲しか侵入出来ないというドイツ軍の要塞に捕われた連合軍将校を救出に向かうチーム

☆160分という長さ。大昔観た時は、イーストウッド目当てで観たらリチャード・バートンがオイシイとこみんな持ってったせいか、いまいちピンとこなかったのだけど、今観たら面白いじゃないですか〜コレ。連合軍将校救出を任命されたチームのリーダーがイギリス軍少佐のスミス(バートン)。このチームには米軍の中尉シェーファー(イーストウッド)が一人入れられ、よそ者気分の彼の目が一番観客に近い。作戦が二転 三転して真相がわからず、観ているうちに混乱してくるが、のみこめてくると面白い。バートンは作戦の全てが頭にはいってて指図ばかり出して、わけもわからずイヤな仕事は全部イーストウッドがやるの(笑)もう何から何まで。最初にも書いたけど、ひでーよバートン、アナタだけオイシイとこ全部持ってっちゃって〜まったくぅ〜。でも若いイーストウッドはやっぱりホレボレするほどイイ男なので、たまには"つかいっぱ"でもいいのだ(笑)

アリスの恋

74年アメリカ
エレン・バースティン主演クリス・クリストファーソン、ハーヴェイ・カイテル出演マーティン・スコセッシ監督
少女の頃から歌手を夢見ていたアリスが 夫に死なれて息子と二人きりの生活を再出発する

☆オープニング、少女時代のアリスが大人の歌を農家の庭で歌う姿は、ふと「オズの魔法使い」のジュディ・ガーランドを思い起こさせた。夢見る少女が大人になり結婚し、気難しく暴力的ながら愛していた夫に死なれ、一人息子と二人きりの生活を始める。クラブの歌手として生活費を稼ごうとするが、現実は厳しくて・・。傷ついて泣いて喚いて、でもアリスは一つずつ大切な絆が何かを 手探りでつかんでいく。エレン・バースティンが素敵。怒っても喚いても素敵。多感な年頃を迎えつつある12歳の息子との関係が また素敵。小生意気な口をきく息子に対して まるで開けっぴろげなアリスが本当にかわいい。二人で水のかけ合いをするシーンが大好きで笑わせてもらった。アリスの恋の相手となるクリス・クリストファーソンも 勿論完璧な男ではないけれど、愛することに 一生懸命努力する男のいじらしさみたいなのを感じさせる。そしてハーヴェイ・カイテルとジョディ・フォスターが どちらも印象的な役で見事な花を添えている。どこか甘酸っぱくて、そしてかわいらしさもあるような 人というものをいとおしく思うような とても素敵な作品だ。

ある愛の詩 LOVE STORY

70年アメリカ
アリ・マッグロー、ライアン・オニール主演レイ・ミランド、ジョン・マーリー出演アーサー・ヒラー監督
きわめて裕福なハーバード大生が家柄の全く違う音楽学生と愛し合うラブストーリー

☆あまりにも有名なフランシス・レイのテーマ曲が流れる中、冬の情景にタイトルがはいったのを見ただけで、このラブストーリーが悲しくて切ないものだとすぐわかる。それにライアン・オニール一人だけの寂しげな後姿とナレーション。一瞬にしてストーリーの核心をわからせる・・大胆ながら趣があっていいですね。オリバーとジェニーの悲しいラストを迎える愛の物語ながら、これは二人の父親との愛の 物語でもあるような気がする。ただ一人残された愛娘さえ失う父親と、成長した息子に拒絶され続ける父親と。特にレイ・ミランド演じるオリバーの父。代々続いてきた由緒あるバレット家だもの、オリバーは父親が書面で自分に用を言いつけると怒ってたけど、きっとこのパパだって同じように育てられてきて 子供に接する他の方法を知らないんだよ。やり方は不器用ながら息子への愛を示そうとするパパを 見てると、その涙ぐましさに参った。オリバーは嫌ってたけど私はこのパパ好きよ。家名のプレッシャーを父親一人にかぶせてぶつけてきたオリバーの気持ちもわかるのだけど・・。でも二人が言葉をかわす最後のシーンはよかった。やっぱり父と子のラブストーリーでもある。
☆愛を深め、雪の中で子供のように遊ぶ二人がかわいかった。子供時代に子供らしくあけっぴろげの人間関係を持てなかった二人なのかも知れない。あと、アイスホッケーをするオリバー達が映ってるガラスの向こうに見える父親の姿とか、ショーウィンドーにパリという文字に見入るオリバーの姿が映ってたり、アイススケートに興じるオリバーと見守るジェニーの映像を重ねたりした映像が印象に残っている。 ふと思ったのは、誰かを想うということは その人の中に映し出される(投影される)自分の姿を見ることでもあるんじゃないだろうか、ということ。決して後悔しないこと、うん、自分自身にもね。
☆オリバーのご学友でトミー・リー・ジョーンズ登場。フフ、ハーバード生なんてまんまじゃないですか。出番は少ないながら個人的にムフフなキャラでした。

アルカトラズからの脱出 ESCAPE FROM ALCATRAZ

79年アメリカ
クリント・イーストウッド主演パトリック・マクグーハン、フレッド・ウォード出演ドン・シーゲル監督
脱獄に成功した者0のアルカトラズ刑務所に送り込まれた囚人が周到に計画して脱獄を試みる

☆久しぶりの再見。「ダーティーハリー」でイーストウッドファンになった私が、彼の出演作を観まくるということから映画に親しむようになった時に出会った作品なので、原点に帰るような気分になった。やっぱり大好きだ。実話が元なのだが、イーストウッド演じる囚人モリスがアルカトラズに送り込まれたところから、刑務所内での待遇や生活、仲間のこと、所長のこと、静かに淡々とストイックに描写していくドン・シーゲルの手腕が素晴らしい。 映像面で派手な見せ場は作らない。だが静謐な緊迫感の連続で、サスペンスとしては極上の出来だと思う。観ながら強い怒りや感動を覚えるということもない。ただ緻密に脱出までの過程を描いていく、その中にひたひたひりひりと感覚を刺激されるような面白さがある。映画を観始めたうんと初期の頃にこういう作品と出会ったということが、今の自分の嗜好に影響を与えたような気がする。やはりイーストウッドとドン・シーゲル、カメラのブルース・サーティースの トリオには今でも夢中にさせられる。

アルビノ・アリゲーター ALBINO ALLIGATOR

96年アメリカ
マット・ディロン主演フェイ・ダナウェイ、ゲイリー・シニーズ出演ケヴィン・スペイシー監督
三人の強盗達が立ち寄ったバーがなぜかすぐに警察に包囲され、逃げ場を失った強盗と人質の密室劇

☆まずケヴィン・スペイシーの監督作品だというのが一番のポイント。ケヴィンこういうのが好きなのね〜ってなんかわかる。白も黒もない感じ、密室劇なので個々の俳優の魅力に負う部分が大きいのだが、今ひとつそれぞれを生かしきれてないような感触が惜しい。サスペンスとしても決してつまらなくはないんですよ、むしろ薄い剃刀の刃みたいな感じ。切れ味が特に鋭いというわけでもない、切った傷痕は目立たず血も噴き出てはこない、でも思ったより深く切れていて あとから血がじわりじわりと出てきて痛い・・そんな感じ。強盗三人の中で一番混乱してるのがマット・ディロン。一番凶暴なのがウィリアム・フィッチナー。顔に似合わぬ逞しい二の腕と凶悪なキャラクターがかなり魅力的。最も知的で冷静だけど重症を負ってるのがゲイリー・シニーズ。もしケヴィンが自分で演じるんだったらシニーズの役がやりたかったんじゃないかな・・とちょっと思ったりして。決して髪型のせいでそう思うのでは・・いや、それもあるのだけど(笑)。 フェイ・ダナウェイの若作りにぶっとんだ。彼女だから凄みもあるけどややキャラが安っぽいのは残念だな。それからヴィゴ・モーテンセンが出ていた!しかし姿が初めて出てきた時、笑ってしまった。もっとも笑わせるだけの理由があったのだけど・・う〜ん、重要なキャラなのに扱いが軽すぎる〜あんなに呆気なく・・アルビノ・アリゲーターの意味はよくわかりましたが。やっぱりこの作品、要所要所をきっちり押さえて作っていけば、絶対もっと面白い作品になったって。 とはいえ私はこういうじわじわヒリヒリタイプのサスペンスが結構好きなので、話そのものは面白かった。

アルマゲドン ARMAGEDDON

98年アメリカ
ブルース・ウィリス主演マイケル・ベイ監督
掘削のプロが自分のチームを引き連れて、人類滅亡規模のメテオに向かう

☆地球に衝突したら人類滅亡という巨大なメテオを粉砕すべく、ロケットで爆破に向かう・・というのは「ディープ・インパクト」もそうだったが、こちらの方が面白い。チームは宇宙に無縁なクセモノ達ばかりだし、次から次へとアクシデント続出。派手な映像と音響で おしまくる。ラストへの流れも予想どおりとなる。涙ながらに「I LOVE YOU」を繰り返すベン・アフレックがかわいかった。それからリブ・タイラー見てて思ったんだけど、最近髪の黒いエキゾチックでしなやかな黒豹(猫)のような女優さん、ふえましたね。キャラ的にはスティーブ・ブシェーミの役が好き。ぶっとんでるけど、彼の言うことが一番本音に近い。
★しかしだ。アクシデント場面になると映像が混沌として 何が起こってるんだかよくわからない。初めの数秒こそは「うわ〜なになに?」と目を凝らして見ているが、グチャグチャなので「まーいいや、静まってから見よう」と映像そのものに飽きてまともに見ず、おさまってから 「これがああなって、これが壊れてこの人が死んだのね」と冷めた把握をする始末。これでいいのか?パニック映画。

或る夜の出来事 IT HAPPENED ONE NIGHT

34年アメリカ
クラーク・ゲーブル、クローデット・コルベール主演フランク・キャプラ監督
大富豪の娘の逃避行を助けた新聞記者が恋におちるコメディ

☆モノクロ作品である。でも降りしきる雨やもうもうと煙の立つ藁など、不思議な情緒がある。
☆クラーク・ゲイブルかっこよすぎ。笑顔よし、最後のダークスーツよし、たれかかる前髪よし。まさにMr.ダンディ。
☆大富豪の娘ながら着たきり雀のクローデット・コルベール。人参をそのままポリポリかじったり、一番の見所は船から海に飛び込んで、泳ぐシーン。本人がやったとしたらお見事!

アレックス・ライダー STORMBREAKER

06年イギリス、アメリカ、ドイツ
アレックス・ペティファー主演ユアン・マクレガー、ミッキー・ローク出演ジェフリー・サックス監督
MI6の諜報部員だった叔父の事故死を調べようと、叔父から訓練を受けてきた14歳の少年がMI6入りし最年少スパイとなる

☆ユアン・マクレガー目当てで観に行ったら、これが想像以上に面白く拾い物だった。早く言えば007少年版。一緒に暮らしていた親代わりの叔父が突然の事故死、それに疑問を持った14歳のアレックスは叔父が本当はMI6の諜報員で殺されたことを知り、MI6に請われて最年少スパイとなる。実はストーリーはツッコミ所が多い。でもイキのよさ、スマートさ、主演のアレックス君のクールな美形ぶり、そして何より一癖ある大人キャストがイカしてる。思わぬ所からMI6本部に迷い込んだ アレックスが「ホグワーツ?」と言うように、同じイギリス少年ハリポタを引き合いに出しつつ別の魅力を追求したかったのは明らか。魔法だけじゃなくスパイもあるぞってか(笑)。叔父にユアン・マクレガー、悪役にブルーのアイラインが効いてるミッキー・ローク、その手下にミッシー・パイルとアンディ・サーキス、MI6のボスにとてもチャーミングなビル・ナイ(マシンガン渡された時のリアクションが最高)、ガジェット担当にスティーヴン・フライ、英国首相にロビー・コルトレーン、 ライダー家のメイドにアリシア・シルバーストーンと、出てくるだけで「おお」と思わせるキャストを揃え、笑わせてくれる。勿論さりげなく007のパロディもあり。オッド・ジョブを思わせるキャラが出てきたので「帽子投げてくれないかな」と思ったら本当に投げてくれた!個人的には続編も見てみたいんだけど・・作ってくれないかな。

アンカーウーマン UP CLOSE & PERSONAL

96年アメリカ
ロバート・レッドフォード、ミシェル・ファイファー主演ジョン・アヴネット監督
マイアミ局のプロデューサーが一人の女性を全米ネットのアンカーウーマンに育て上げるまで

☆レッドフォードは、かつてすごくイイ男だったというのは一目でわかるけどやっぱり年とってる。だからこの役、かつては政局担当のトップ・アンカーマンで今はローカル局のプロデューサーというのが合っているといえば合ってるんだけど・・。入局して最初は雑用と事務ばかりだったタリーが、お天気キャスターからリポーター、フィラデルフィアに引き抜かれていじめられ、命懸けの取材が 評価されてトップへと昇っていくという報道局舞台のサクセスストーリー。そこに彼女を育てたプロデューサーとのロマンスが大々的にフィーチャー。報道局で奮闘する女性の話というと思い出すのが「ブロードキャスト・ニュース」。ホリー・ハンターやジョーン・キューザックが大奮闘してて大好きな作品なんですが、そちらと比べるとロマンスが色濃いせいか、報道局のとても興味深い側面というのは あまり強く感じられない。正直、話の流れは容易に読める。ただ時に応じて髪型や髪の色も変えるミシェル・ファイファーが、雰囲気さえもガラリと変えてしなやかに演じている姿が美しくて魅力的。

暗殺者

95年アメリカ
シルベスター・スタローン、アントニオ・バンデラス主演
かつてライバルを射殺したNO.1暗殺者が 仕事のたびに若いフォロワーと出くわす

☆バンデラスがキレているが腕のいい暗殺者を演じている。大したキレっぷりなのだが、伊達なのは彼の生まれ持った個性ゆえか。スーツ姿もシルバーチェーンブレスも白いシャツも大変オシャレっぽく見える。一方スタローンは芸風がどれも似てきてないか。実力はあるが 過去の失敗とかを引きずってて、やたら度胸のいい女性と組む・・というパターンね。 「デイライト」とか「デモリッション・マン」もそうだし、面白かったし出来は比べられない程いいけど「クリフハンガー」もパターンは同じですね。続け様に こうも似たような設定を見ていると、脱アクションを模索しているのかも知れないけど ちょっとつらいかな・・と思われてくる。

アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES

99年アメリカ、アイルランド
エミリー・ワトソン、ロバート・カーライル主演出演アラン・パーカー監督
あまりの貧しさのため、マコート家はNYからアイルランドへ帰るが、そこでの生活も決して楽にはならなかった

☆貧しくて食べるものにも困っているマコート家の生活を長男のフランクの目を通して描く。原作はフランク・マコート、つまり実話ということだ。あまりにも苦しく切ない貧しい生活だが、その生活ぶりも人間描写も細やかで非常にリアリティがある。五人いた子供は、生活環境の悪さのせいで下の三人が死んでしまう。父親は子煩悩だが、北アイルランド出身のため差別され、ろくに職にもありつけない。やっと ありついた仕事の賃金も飲み代に使ってしまう。そのくせ気位ばかり高い。彼をダメ男というのは簡単だが、気位が高いから酒を飲まずにいられない、家族を愛しているから本当は自分の不甲斐なさが耐えられず、また酒を飲むという悪循環な男なのだと思う。ロバート・カーライルがうまくて、私はこの父親には強く感情移入してしまった。一方、母親は屈辱感より生活を優先することが出来る。そこはやはり種の保存のために 与えられた本能なのだと思う。抑えた演技のエミリー・ワトソンもやはりうまい。とにかくこれでもかというほど悲しくつらいことばかり、雨の降りしきるアイルランド、リムリックの街の情景も暗いことこの上ない。しかしそこはアラン・パーカー、時代を語る魅力的な音楽を流し、フランクの一途な瞳と子供らしい感性をまっすぐ描くことで救っている。さらに厳しい学校の先生や、母方の祖母や伯母の人となりも丁寧に描き、 カトリックの厳しい戒律の中にある 人間として生きるための真実を炙り出すのにも成功している。ラスト、希望に満ちてアメリカに発とうとするフランクを見送る幼い頃のフランクの姿。それぞれ年齢にあわせてフランクを演じた男の子二人が登場しているのだが、ここがいいし泣ける。リムリックに残される幼い自分の面影とさよならする・・どんなに暗く悲しいものでも目を背けることは出来ない、そして決して恥ずべきことではない という誇り高きアイルランドの姿が見えてくる。

アンダーファイア UNDER FIRE

83年アメリカ
ニック・ノルティ主演ジーン・ハックマン出演
ニカラグアの内戦を取材していた三人のジャーナリストが 巻き込まれて初めて人民の苦しみに気づく

☆民衆による革命軍と弾圧しようとする政府軍の戦いを取材しながら、三人のジャーナリストの頭にあったのは、ジャーナリストとしての使命感と手柄や出世だった。革命軍のカリスマを追いながらも彼らは深入りしすぎて、一人が命を落とす。それを目撃した一人も命を狙われる。そうしてやっと 彼らは五万人もが命を落としたという民衆の心の痛みと苦しみを理解し、 武器を調達していたアメリカの立場の真実を知る。エド・ハリス見たさで見たのだけど、エドの出番は多くないし、なんというかガヤガヤしてて特定の誰かに感情移入しにくい部分があって、今一つのりきれなかった。アメリカ人とフランスのスパイばかりを中心にしすぎたせいなのかなぁ。作りすぎないドキュメントタッチの乾いた映像は結構よかったんだけど。 こういう社会的事実を主体にとらえようとする映画というのは、ドラマチックな部分との匙加減が結構難しいのかも知れない。

アンダーワールド UNDERWORLD

03年アメリカ
ケイト・ベッキンセール主演スコット・スピードマン出演レン・ワイズマン監督
数世紀にまたがり続いているバンパイアとライカン(狼男)の戦いが、一人の人間をめぐり再び火蓋が切られる

☆最初から続編を作るつもりで作られたんじゃないかと思うほど、導入編としてのまとまりを見せている。アクションやストーリーにコレといった新鮮味があるということはなく、まぁこんなモンでしょという印象ではあるけれど、何より私は映像美が気になってたので。徹底したゴシックホラーの様式美だ。殆どモノクロに近い色彩を絞り込んだ映像。色を感じさせるのは、抑えた暗い赤とクールで白っぽいブルー、そしてただ一つだけに使われるグリーン。余計な 色彩を一切使わないというのは決して色彩を粗末にしているわけではなく、むしろ厳選された色彩の持ち味を非常に大事にしているからではないかと思った。とにかくこういう映像美がとても好きなのです。だから二時間、映像観てるだけで楽しかった。ヒロインのバンパイア戦士セリーン役のケイト・ベッキンセールは今までお嬢さんぽいイメージが強かったけど、「月下の恋」の見事な脱ぎっぷりもあったし、案外とこういう役もイケる下地はあったのかな。 よく似合っていて美しい。アクションシーンでも暑苦しくならないのでパンパイアにピッタリでもある。これは大事です。髪振り乱して戦ってる時に汗や体温の上昇を感じさせるような人じゃアウトだもの。バンパイア好きの私としては、彼らの巣窟となっている屋敷内がよかった。ワイングラスの血をすすりながら享楽を貪るバンパイア達とセリーンのような戦士との違いも面白い。ライカンの方はあまりそそられなかったけど(^^;)。惜しむらくは、抑えられたのが色彩のみでなく 、艶っぽさや過激さも抑えられている印象だったこと・・それがこの作品の様式美なのかも知れないが、もう少しエログロの香り(そのものじゃなくて香りだけでいいから)が欲しかったかな〜なんて思ったりもしたのでした。

アンタッチャブル THE UNTOUCHABLES

87年アメリカ
ケビン・コスナー主演ショーン・コネリー、アンディ・ガルシア、ロバート・デ・ニーロ出演ブライアン・デ・パルマ監督
禁酒法時代、アル・カポネの暗躍に真っ向から捜査のメスを入れた財務捜査官エリオット・ネスと仲間達

☆面白いし、何度見ても見応え充分。デ・パルマは全体的には特に奇をてらった演出をしていないけれど、ネスとストーンが 証人となる帳簿係が街を出ようとするのを阻止するために駅にはりこんだところで、銃撃戦と転落するベビーカーをスリル満点にスローモーションで見せる 有名なシーンの鮮やかさは、決して記憶から消えることはないだろう。ここでのアンディ・ガルシアの かっこよさ(若くてすごい魅力的)はキマリまくり。対して渋さの光るショーン・コネリーは最高で、彼の出番の全てが見せ場。私はこれで惚れました。デ・ニーロはさすがの貫禄、バットで勇み足の仲間を撲殺するシーンの凄まじさが強烈。ボスたる者の恐ろしさとカリスマを大いに見せつける。さて、ネスを演じたコスナーですが、初めて彼を見たのがこの作品だったため、 コスナーってちょっと線細いかな〜という印象を受けたのだけど、まわりがすごすぎるから無理ないかもだし、彼のスマートな魅力だからこそ良かったのだとも思えるし。
☆音楽がエンニオ・モリコーネ。華麗さとエレガントを盛り込みながら緊迫感を出して盛り上げる。アル・カポネが「道化師」のアリアで泣いてたけど、マフィア物にはイタリアオペラのテノールのアリアが似合うのね。「奴らに深き眠りを」では「トスカ」の「星は光りぬ」が朗々と流れていたしね(ホセ・カレーラスの美声に聞き惚れた)。 もう一つ、衣装がアルマーニ。凄く素敵なんだ、これが。みんないいスーツ着てるし、コネリーとコスナーのマフラーとかコスナーのウエスト絞ったレザーのジャケットとか、証人としてつかまえた男の 襟がファーのコートとか、アル・カポネの手下にも似合う人が滅多にいないようなモノトーンジャケット着てた人がいたなぁ。

アンドリューNDR114 THE BICENTENNIAL MAN

99年アメリカ
ロビン・ウィリアムズ主演サム・ニール、エンベス・デイヴィッツ出演クリス・コロンバス監督
ある家庭に購入されたロボットが、一家の主の教育を受けるうちに人間に近づきたいと望むようになる

☆原作はアイザック・アシモフ。ああそうだろうってわかる感じがする。アンドリュー・マーチンと名づけられた一体のロボット、彼は感情を持っているという規格外の個性があり、それに気づいた主人によって教育を授けられ、人間らしく生きることに目覚めていく。アンドリューが追求する人間らしさというテーマの深遠さはいたってアシモフらしい。製作にウォルフガング・ペーターゼンの名が。これはやや意外かな。作風はいかにもクリス・コロンバス、 深遠なテーマを子供にもわかりやすく噛み砕いた内容にして見せており、ロボット姿をロビン・ウィリアムズが演じているというのもその効果かも知れない。ハートウォーミングなSFファンタジーになってます。でもね、なんだか話がキレイキレイしすぎちゃってるのが一つ、メカでは未来を表現しているし、時々挿入される未来都市映像もあるのだけど、それらが妙に浮いて見えるほど現代風な雰囲気。こだわりが中途半端な気がして、半ば目が覚めていながら 夢を見ているような居心地の悪さが感じられてしまった。・・すみません、このロボットのデザインが好きじゃないんだよ、たぶんそこが一番の元凶になってる(汗)。テーマは好きです。とてもいいと思う。語り口があまり気に入らないの・・個人的主観の問題ですが。

アンブレイカブル UNBREAKABLE

00年アメリカ
ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン主演M・ナイト・シャマラン監督
列車の脱線大事故でただ一人、しかも無傷の生存者となった男が自分の特殊な能力に目覚める

☆「シックス・センス」では、死霊が見える第六感を持つ少年。今回は、気がつけば病気もケガもない強靭な肉体を持って生まれ、ふれた相手の罪を見通す男。それに気づかせたのは、生まれた時から骨折していた「Mr.ガラス」と呼ばれる骨の異常に脆い男。今回もあっといわせる結末を期待してしまうから、見ながら実は・・?とかいろいろ気を回してしまったが、 う〜ん。わりと素直に導かれてしまって、驚かないで終わっちゃいましたね。逆さまに見るのが好きな子供達とか、鏡などに映った映像とか、やたら逆さまが多いのでそのあたりにストーリー上のキーポイントがあるのかと思ったけど、勝手に深読みしすぎちゃった。確かに逆さまな二人の男がポイントなんですが。
☆ブルース・ウィリスは強い肉体に頭がついていかない(これってもしかしてすごく失礼な言い方かも)男がよく似合ってるけど、サミュエル・L・ジャクソンの方はちょっと違うかなぁ。なんかぴんとこなかった。この二人、「ダイハード3」のコンビですね。ロビン・ライト・ペンは相変わらずスタイルいいわぁ。