

わたしは正確さを追い求めるという急性の病いにかかっていた。理解したいという物狂おしい欲求の極限を目ざし、みずからのうちに、注意力の臨界点を探しまわっていた。……
一般に秀れた人間と呼ばれているのは、思い誤った人間なのである。彼におどろくためには、彼を見なければならぬ、──そして、見られるためには、おのれを人眼にさらさなければならないのだ。そしてこの人間は、名前を知られたいという愚かしい偏執にとりつかれている姿をわたしに示すのである。
……
それでわたしはこんなことを夢想した。つまり、もっとも強力な頭脳、もっとも鋭敏な発明家、思想をもっとも正確に認識する人々とは、人に知られることのない、おのれを出し惜しむ人々、何ひとつ打明けずに死んでゆく人々であるはずだ、ということだ。
……
異常なものが大嫌いでね。この異常なものというやつは、弱い精神が欲しがるものさ。わたしが言うことを文字通り信じて欲しいね、いいですか、天才は容易なんだ、神は容易なんだ……