| 日記 2003年8月 |
| [鑑賞] 2003年8月31日(日) 夫がお休みだとなんでもできる。たとえば午前2時に深夜営業の本屋に行くことだってできる。雑貨屋で「成長する色つきファーストフード」を買った。2センチの「サンドイッチ」。トマトとレタスがはさまっている。箱の裏には「本品は水の中に入れてじょじょに大きくなるさまを鑑賞して楽しむものです」と書いてあった。ほう。さっそくボウルに水を張って投入。 |
ひまにまかせて2時間ほどじっと見ていたがなにも変わらないので就寝。次の日見ると少しばかり成長していた。そして「サンドイッチ」は本当にじょじょに大きくなり3日目に6倍の大きさで止まった。確かに楽しめたがこれからどうすれば良いのかは書いてない。 |
| [毎度] 2003年8月30日(土) 夫が出かけてから生理痛の妻。おなかを抱え、意味もなく家の中を徘徊。椅子に腰かけてため息。寝室に戻って寝転び。などとうつうつとしていると先ほどのんだ「痛み止め」が効いてきた。その時妻はちょうどソファで丸まっていたのでそのまま眠りに。次に目が覚めるともう夕方だった。ソファで6時間も眠っていたのだった。こうして妻は「夫のいない大きなベッドをひとりでゆったりと使いながらおなかをいたわりつつ就寝」という素敵な機会を逃した。 |
| [浮かれぶり] 2003年8月29日(金) 明日は「愉快な車仲間の会」で早起き予定の夫。カメラや三脚や「その他妻にはわからない部品」などをかばんに詰めてそわそわとしていると思ったら急に「今、遠足の前の小学生のきもち!」と両手をあげて叫んだりしている。なんとなく走り出しそうな勢いで。ずいぶんと楽しそうだ。結構。しかしもう午前も3時だからそろそろ眠ったほうが良いと思うよ。 |
| [つんつるてん] 2003年8月28日(木) それでも洗濯はする。先日「アウトレットモール」でお安く手に入れた半そでのシャツ。初めて着たあとなにも考えずにぽいと洗濯機に放り込みぐるぐる洗った。洗濯終了後、なんとそのシャツはものすごく小さくなって出てきたのだった。それを発見した時の妻の顔たるや。びっくりするより先に笑いが。それくらいに見事なまでのちんちくりん具合。シャツの裏についている「洗濯表示」を見ると「レーヨン100%」と書いてあった。ああー。これは縮まないほうがおかしいね。ふうむとひとりで納得してから件のシャツを夫に見せていっしょに笑ったあと、ハンガーにかけて干しておいた。乾いたら夫と両端を持って引っ張ってみよう。 |
| [報知] 2003年8月27日(水) お昼ごろにピンポンと玄関のベルが。夫がむっくり起きて出る。すぐに戻って来た夫は「今から点検で『火災報知機』を鳴らすんだって」と言ってからふたたび眠った。妻も「そう」と返事をしてまた寝た。 それから妻は居間のインターホンのあたりから遠く聞こえてくる「ウーウーウー火事です火事です。安全を確認して非難してください火事です火事ですウーウー」とえんえんと繰り返す男性の良い声をバックに、ちょっとした悪夢を見た。 |
| [長期休暇の予定表] 2003年8月26日(火) 夫、3週間もの長い休暇に突入。そんなに長い間夫と連続していっしょに居たことがない妻なのでなにをして遊ぼうか考える。最初はぞんぶんに朝寝坊などをして、そのへんにある「じゃがいも」でも食べて暮らそう。元気になったら買い物に行ったり旅行に出かけたりするのだ。そして最後のほうはきっとお金が無くなってしょんぼりと家に居るのだろう。 決まった。休みのパターンといえばこれだ。 |
| [へんげ] 2003年8月25日(月) 夫が妻の頭を見て「あっ白髪があるっ」と言って驚いた。おお。まあ髪の毛はこんなにあるのだからそのうちの何本かが白くてもおかしくはない。夫が抜いてくれた白髪をしみじみ眺めてみると、毛先は黒いのに途中から白くなっていた。ひとはひどい衝撃を受けると一晩で髪が真っ白になったりすべて抜け落ちてしまったりするという話を思い出し、白い部分を指して「妻はこのへんから心配ごとがあったのですよ」と言ってみた。すると夫は抜いた妻の毛をじっと見て「でもこれ根元はまた黒くなってるよ」と言った。よく見ると本当に1本の髪の毛が黒、白、ふたたび黒、という辛気くさい国旗みたいになっていた。「きっとこのへんで平和に戻ったんだね」 妻は髪すらもわかりやすい。 |
| [第2回踊り大会] 2003年8月24日(日) マンションの下で「踊り大会」がある。確か去年の今ごろもあった。貼り紙をみるとやはり「第2回踊り大会」と書いてあった。「踊り大会」。名前が変。お盆を過ぎたら「盆踊り」はただの「踊り」になるのか。真面目すぎる。夫と仲良く出かける。今年の夏の目標として「踊りの輪に参加する」というのがあったので浴衣を着て踊るひとたちを観察。見て盗め。必死で覚えて「これならなんとか」と勇気が出たところで次の曲。なんと曲によって踊りが違うのだった。夫とふたりで軽く動揺してあきらめムード。目標果たせず。 今年何杯目かのかき氷を食べて帰った。 |
| [四国旅日記] 2003年8月21日(木)〜23日(土) 母と兄と妻で四国の祖母の家に。たしか四国へは先月も行った。なんだか毎月恒例になってしまいそうな旅だ。とても暑い。最近涼しかったので妻は長袖の服を買ったりして秋のことばかり考えていたが世の中はまだまだ8月で、やはり8月は夏なのだ。 |
兄の運転はブレーキのタイミングや、加速の仕方やハンドルさばきなどがおしなべて妻のそれと違う。別に兄の運転が荒いというわけではない。けれどもそれはもう「良い」とか「悪い」とかではなく、単純に妻にはこわい。なので兄がやることなすことギーギー叫んで非難しているととうとう「うっさい!」と怒られた。妻は助手席でつらい。そして決して運転を替わってくれはしない。 |
出発から5時間後、なんとか無事に祖母の家に到着。祖母は大喜びし、「ばんごはんを食べると良い」と言っていそいそと準備を始めた。きっと我々をもてなすべく用意してくれていたのだ。感謝の気持ちで頂こうとすると「お刺身」と「栗まんじゅう」が出てきたのでたまげた。ばあちゃん。生魚にまんじゅうはどうなんだろう。兄とふたりで困惑。 |
本日は祖母の町の「地蔵盆」だった。町中に折り紙で作った「お誕生日会」みたいなが輪っかが飾り付けられていて、笹には願い事。一番変だったのは「ティッシュで作ったバラの花」がたくさん飾られている笹。笹にバラ満開。これはいったいなに祭りなのか。いつもひっそりとしている祖母の住む町が今日はひとであふれかえっていた。みんなどこに隠れていたのだろう。祖母を連れて見て回る。 |
道端になぜか発泡スチロールが敷き詰められていた。中央には「あざらし」のようなものが。近寄って見てみるとそれは「電気ポット」だった。母に聞くところによると、「地蔵盆」の恒例イベントとして町の商店は「店の売り物」を使って毎年「オブジェ」を作るのだそうだ。そしてこれが町の電気屋の自信作。タイトルは「タマちゃん」。ちょっとぼうぜんとする。 |
田舎は虫が多い。兄は妻と同じくらい虫が苦手なので部屋中に「蚊取り線香」をいくつも焚き、ドアをぴしゃりと閉めきって眠っていた。真似て妻の眠る部屋にも「蚊取り線香」をもくもくと焚いてみたがほどなく部屋は煙で真っ白になり目を開けていられない状態に。しみる。母も鼻声に。だめだ。虫の前に人間がやられる。しかし「カメムシ」は生きていた。電気を消すとぶーんと飛んだり壁に当たったりしている。妻はこわくて毛布をかぶり、汗だくになりながらじっとしていた。 眠れるわけがない。 |
翌朝祖父の墓参り。祖父の墓は山の中にあって、ものすごく細く険しい道を車で登っていかなくてはならない。道の横は奈落だったりする。じいちゃん。なにもこんなところで眠らなくとも。 祖父にあいさつをしてからお墓のまわりを掃除したりお線香を焚いたりする。お墓の横に彫ってあるご先祖の名前が「金太郎」だったので「良い名前だね」と言い合ったりもする。 |
山のふもとには「梨園」が。ただいま梨が鈴なり。夢のよう。兄と「梨園」の真ん中に座って梨を見上げ、「うわあー」という表情を作って写真を撮った。演出はだいじ。この「梨園」を運営しているひとは母の同級生だった。母が旧友と「同窓会をする時は呼んでね」などと話しているのを横で聞きながら、妻も「梨園」を運営する同級生が欲しいなと思った。きっと楽しいだろう。 |
それから車で山を登ったり下ったりして「滑床(なめとこ)渓谷」まで行く。「四万十川」の源流であるところ。川に沿って山を歩く。「最近腰が痛い」とぼやいていた祖母なので、愛情を持って「腰に悪いからあまり歩いてはいけないよ」と忠告したのに祖母は「だいじょうぶぜー!」と叫んで突然走り出した。まったく言うことを聞かん。「ばあちゃん!」と怒鳴って追いかけながらあの祖母の血を妻の母は確実に引き継いでいるだろうなと思う。そして妻にも。母も妻も、おそらく何十年後かにはあんな老人になるのだ。目に見えるようだ。 |
「滑床渓谷」には野生の猿がたくさん居た。襲いかかってくるかと思い身構えていたが猿はただ「ふーん」というかんじでそこに居るだけだった。しかしそのあと売店のおじさんに聞くと猿はものすごくかしこいらしく、猿2匹でのんびり「のみとり」をしているふうを装いながら売店から出てくるひとを狙っているらしい。油断していると売店で買ったものをばっと奪って逃げて行くのだそうだ。すごい。さりげなく「のみとり」の演技をするあたり妻よりもかしこい。 その話を聞いた兄は売店で買った「鍋しき」を必死で服のおなかの中に隠していた。 |
今回の旅でさまざまな角度から兄を撮ってきた妻。「兄と渓谷」を撮っている妻に向かって兄は「地面に寝転がったアングルで撮ってよ」と強要。こんな山の中の土の上にですか。妻が渋っていると兄は「プロはそれくらいするものだよ」と言った。にいさん。妻はただの主婦だから。それでも寝転がって兄を激写。「良く撮れた?」と兄が聞くので妻はうなずき、「インディーズバンドのCDのジャケット写真みたいなのが撮れましたよ」と言っておいた。きょうだい愛。 |
坂をたくさん歩いたので休憩。川の飛び石をぴょんとまたいで川の中ほどまで行き、靴を脱いで冷たい水に足をひたす。どう考えても祖母は飛び石を渡れないと思っていたのだけれど祖母は軽い足取りで石をぴょんぴょんと飛んでついてきた。これで82歳なのだからびっくりだ。 |
帰りに寄った「道の駅」で「とうもろこしアイス」を見つける。なんでも「とうもろこしの粒が『ごろごろ』入って」いて「楽しいアイス」なのだそうだが「おいしい」とはひとことも書いていなかった。しかもアイスが楽しくある必要はない。妻は少し前に「かき氷」を食べてしまったので「とうもろこしアイス」を食べることができなかった。まことに残念。 祖母の家に帰って就寝。例によって「蚊取り線香」を焚きまくる。畳の上を「やもり」が歩いています。 |
早朝祖母に別れを告げ、一路実家へ。結局兄はこの3日間ずっと運転をしていた。お疲れ。兄を労う。しかし高速道路を降りて実家まであと5分のところでそれは起こったのだった。 |
左折しようとした我々の車と向こうからやってきてこちらの道に右折しようとした車が衝突。妻が「あっ。あぶない」と言うと同時にぼがーんと派手な音を立ててぶつかった。すぐさまキキーと車を止め、かんかんに怒ったおじさんが飛び出してきた。あーあーあ。とりあえず妻が警察に電話。民家もない道だったのでくわしい住所がまったくわからず、あるのは「水上ゴルフ場」だけ。「なにか目印になるものはありますか」と言う警察のひとの問いにも「とにかく『水上ゴルフ』なのです」の一点張りでやりすごす。迷惑な一般人。 |
派手な音でぶつかったわりに相手の車は幸いかすったような傷だけで、おじさんにも我々にも怪我はなかった。良かった。しかしこちらの車はなぜかべこべこにへこんでいて、相手のおじさんにちょっとかわいそうな顔をされた。車を見て「べっこりだね」と思っている妻の横で兄は落ち込み、しばらくすると落ち込みが怒りに変わったらしくなぜかぷんぷんしていた。なぜ怒る。実家まで妻を迎えに来てくれた夫に「ものすごいオチがついたね」と言われて旅おわり。 |
| [また行く] 2003年8月20日(水) 東京に住む兄。ただ今夏の休暇で帰省中。兄は「明日から四国に住む祖母に会いに行きます」と宣言し、それを聞いた母は「じゃあ母も行く」と言い、結局「妻も来い」ということになった。父と夫はスケジュールが合わず、残念ながら今回は留守番。兄は常に「車に乗って遠くへドライブしたい」と思っており、「おまけに田舎でひとりで暮らす祖母の様子も見れたら最高じゃないか」とも思っていて、車で5時間の祖母の家はちょうどそんな思惑どおりの位置にあるのだった。 しかし妻はっきり言って年に2回の帰省時にしか車に乗らない兄の運転はこわいのだ。母を「お守り」として行ってくる。 |
| [遠くにいるひと] 2003年8月19日(火) 義母から電話。受話器を取るや否や義母は「今すぐベランダに出てっ」と言った。いったいどうしたことかと思って聞けば。妻の住むマンションから遠くに見えるホテルの最上階に義母は居て、友人とお茶をのみながらこちらを見ているらしかった。妻はすぐさまベランダに出、ベランダを走りまわったり踊りを踊ったりして我が身をアピール。ホテルに向かって「見えますか〜」と笑顔で手を振ると義母はキャッキャと笑いながら「なんか動いてる」と喜んだ。妻はひらめいて「ちょっと待ってください」と叫んで部屋の中に戻り「双眼鏡」を持ってふたたびベランダへ。それでもって遠くのホテルをのぞくと大きなガラス窓のそばに小さい小さい義母が。ほう。「オレンジ色のニットがとても良くお似合いで」と言うと義母はまた喜び、「双眼鏡」の中の義母はホテルの静かな喫茶室にもかかわらずガターンと立ちあがってこちらに大きく手を振ったのだった。楽しいなあ。 |
| [本気] 2003年8月18日(月) 盆もおわり。夫が朝会社に出かけた直後に実家の母から電話。ただ今帰省中の「東京に住む兄」とふたりで本日我が家に遊びに来るとのこと。お盆休みの間中夫とずっと遊んでいたがために掃除をまったくしていない我が家はひどいことになっていて、本日は1日かけてのんびりと掃除と洗濯でも。と思っていた矢先だった。「ぜひともいらっしゃい」とニッコリ笑って電話をじんと切ってから妻は意味も無く猛ダッシュ。兄と母がやって来るまでの60分の間に家中を片付けてトイレと洗面所を磨いた。おまけに服を着替えてお化粧までした。 いつも1日かけていたことが本気を出せばたった1時間で出来ることがわかってしまった。いつもの妻。「のんびり」にもほどが。 |
| [記念] 2003年8月17日(日) 夫の両親、兄夫婦とともにぞろぞろと街へ。6人の大人が大移動。昼間からダイナミックなお肉などをごちそうになる。愉快な会。しかしあまりにものめや食べろやだったので「今日は誰かのなにかのお祝いかしら」と思い義母に聞いてみると義母は「今日はねえ、盆記念」と言ったのでそうか「お盆」の「記念」なのかとばかみたいにそのまま反芻して納得したけれど「盆記念」ってなに。義母もきっとなんでも良いのだろう。なんでも楽しいのだろう。 |
| [夏] 2003年8月16日(土) 近所の夏祭りへ夫と。海のそばの広場には「やぐら」が立っていて、「特設ステージ」では「のどじまん大会」なんかもやっていてとてものどか。あたりは紅白色の幸せな空気が満ちている。夫と妻は屋台で「やきそば」と「たこ焼き」を買って芝生に座って食べた。ああ盆休み。 夫が「やきそば」をひとくち食べた途端「わあすごい」と言ったので妻も少しわけてもらう。わあ。これは。「輪ゴムだね」と率直な意見を述べると夫はうなずいてハッハと笑いながらその「ソースあじの輪ゴム」を全部食べていた。妻の「たこ焼き」はちゃんと「たこ」が入っていて丸かった。でももうなんでも良かった。なんでも楽しかった。 そんな盆休み。 |
| [意味なし] 2003年8月15日(金) 友人夫婦とお茶をのむ。友人が以前、「ラベンダーの蒸留水」を使った化粧水を北海道から取り寄せるというので妻もいっしょに頼んでおいたのだ。それが届いたと持ってきてくれたのだった。 妻はお礼を言って受け取り、代金を払おうとしたが友人は「この間の誕生日になにもできなかったからプレゼントさせてね」と言った。しかし妻はそんな友人の心意気があるとは知らず、調子に乗って化粧水を5本も頼んでいたのだ。そんな。そんなわけには。それから妻はひとりで「気持ちだけで」とか「いやしかし」とか言って「レジ前でもめるおばちゃん」みたいにうろたえていたが突然ひらめいて「あっでは、あなたが注文した分をわたしが払うというのはどうですかっ」と言ってみた。この提案、我ながらまったくもって意味不明。 |
| [ヌー族] 2003年8月14日(木) 妻は「抱きまくら」がわりにスヌーピーのぬいぐるみ(愛称ヌーさん)を抱いて眠る。客観的に見るとものすごくメルヘンなのだけれども横向きで眠る際などはいろいろと具合が良い。特にひじとかが。そんな「ヌーさん」を洗うときはいつも洗濯機でぐるぐる回して耳からぶら下げて干していたものだった。乾いたヌーさんは固まった毛布みたいにごわんごわんになるのだった。しかし今回は夫が「ぬいぐるみクリーナー」を買ってくれたのでヌーさんはふんわりとした。よかった。 |
| [やすみ] 2003年8月13日(水) お盆。ぼんぼん。お盆だというのに明日会社に行かなければいけない夫の携帯電話に会社の上司からの「明日はアレがナニなのでお休みにしましょう」という留守番メッセージが入っていたのに気付いたのは午前1時。先ほどまで「あー」とか「うう」とか言いながら「明日のお弁当用のお肉」をのろのろと冷凍庫から出していた妻は明日の休みがわかるや否やその「お肉」を再び冷凍庫に放り投げ、電光石火で「ビール」と「おいしいさきいか」を取ってテーブルに並べた。こういう時だけは早い。 |
| [クールダウン] 2003年8月12日(火) 台風一過の炎天下のなかで無防備にお肉を焼いたりそれを食べたりした夫。案の定日焼け。2日経ってもなお痛い痛いと言っている。鼻なんて赤くてぴかぴかだ。極限まで日に焼けると人間は光るのだね。感心している妻の横で夫は「冷やしま専科(8時間冷却)」を鼻の上にそっとのせた結果ハッカのにおいで目をやられて泣いたりしている。愉快に気のどく。本日は特に焼けのひどい手の甲に「冷やしま専科」を貼り、べらべらとめくれないように包帯で巻きつけてみた。夫はしばらく両手の甲に巻かれた包帯を眺めていたが突然ファイティング・ポーズを決め、きりっとした顔をして「ねえボクサーみたい?」と言った。しかし妻はそんな「1日中川辺で遊んで日焼けしたかんじのボクサー」はあまり見たことがない。 |
| [注意書き] 2003年8月11日(月) 昨日友人にもらった東京みやげを食べる。吉祥寺にある老舗和菓子店の「もなか」。濃い抹茶をたてておいしくいただく。箱の中には「本品について」の紙が入っていて、そこには 「原料本来の特色を生かし、砂糖の甘味をならす、言い方をかえますと、丸い味とすることが、和菓子を創る上の、究極の奥義かと信じます」 「みずみずしさは、練りの不足や邪道によってではなく、その時の気候や天候などを予測し、細心の注意を払って製造致しております」 などと書かれてあった。妻はその文が気に入り「もなか」を食べながら何度も読んだ。もってまわった言い方な上に、なにが言いたいのかさっぱりわからないところが特に良い。声に出してゆっくりと言い聞かせるように読んでみたり実際に書いてみたりしたがやっぱりわからなかった。言い方をかえますと、とにかくみずみずしいのだった。読点も多すぎだった。 |
| [初対面] 2003年8月10日(日) 東京からまだ見ぬ友人がやって来る。「ピンクのノースリーブを着ています」と事前に教えてもらっていたので妻はもう「ピンク」に過剰反応。待ち合わせ場所付近に居る「ピンク」の服を着た妙齢の女性はすべて彼女だと疑い、「濃いピンク」も「淡いピンク」もとにかく「ピンク」の女性すべてにカニ歩きでそっと近づいてニッと笑うという気持ちの悪いひとになる。 4人の「ピンク」に気持ち悪がられた頃にようやく本人と対面。至近距離で同時に「こんにちは!」と言ってふかぶかと頭を下げ、お互いの頭をゴチーンとぶつけてもんどりうつ出会い。それから妻と彼女はお茶をのんだりごはんを食べたりお酒をのんだりしながら恋の話や夏の予定の話やなぜか「矢沢永吉」の話などを楽しくした。彼女は妻の想像どおりの活動的でかわいらしいとても素敵な女性だった。しかし妻が「いろんな話を聞こうと欲張り話題を脈絡なく飛び散らかす」という余計なことをしているうちに時間切れ。駅までふたりで歩いて行って改札口で握手。最後に「妻はイメージとちがいましたか」と気になっていたことを聞くと彼女は「うんだいじょうぶ」と笑って帰って行った。そうかだいじょうぶか。 |
| [準備] 2003年8月9日(土) 「おでん」が縁で知り合い、メールなどで仲良くしていた東京在住の女性と明日会うことになった妻。お互いの顔もわからぬインターネットのひとと会うのは実は初めてだ。夫も寝静まった深夜。「お近づきのしるし」にと、例によって「プリンキャンドル」を作って固まるのをぼんやりと待っている間に明日の実感が突然沸いて来た。「いったいなにを話せば良いのか」「実物の妻を見てがっかりされまいか」「果たしてうまく神戸を案内できるのか」などがぐるぐると頭をよぎり台所で激しく動揺。とりあえず落ち着こうと夫が食べるのを楽しみにしていたお菓子を夜中にひとりで全部食べてしまった。ごめん。 |
| [10号] 2003年8月8日(金) 深夜。暴風雨。なにげなく見た窓の下から雨が部屋に流れ込まんとしているのを発見しびっくり仰天。窓枠には結露を外に流すための小さな排水溝があって、そこから大量の雨が逆流しているのだった。「台風情報」を見ると台風の中心はまっすぐ我が家に向かっている。このままでは「マンションの上階に居ながら床下浸水」などというわけのわからないことに。「大事件」と言いながら夫とふたりして家中の窓にタオルを敷きまくる。なぜこんなことに。早朝まで窓にへばりついてじっとしていると突然雨と風がぴたりと止んだ。雲が今までとはちがう方向へ。我が家は「台風の目」の中に入ったのだった。夫と「すごいね」とか「神々しいね」とか言って「台風の目」を楽しんだあと「静かなうちに寝てしまおう」という夫の提案にしたがってぐっすりと眠った。 |
| [テーマ] 2003年8月7日(木) 夫が通う美容院の担当さんは、夫の髪の毛をちょきちょきと切ったあと完成した髪形にテーマをつける。たしか以前は「テーマは『すいか』です!」と声高らかに言われたらしい。ずいぶんへんてこなひとだと思う。そして今日夫が仕事の帰りに美容院に行くというので今回はいったい何と名付けられどんな頭にされて帰ってくるのか考える。なんといっても「すいか」をテーマに髪を切るひとなので予想がつかない。くだものか動物か。「マンゴー」かもしれないし「尾長鳥」かもしれない。「良く走る馬」かもしれない。 帰って来た夫にさっそく聞いてみると「今回のテーマは『木村拓哉』だそうです」と言った。普通の人間だったことにまず驚いた。 |
| [演出] 2003年8月6日(水) 友人の会社の同僚が婚約したらしく、友人が「相手はどんなひと?」と尋ねると彼女はうっとりしながら「王子さまみたいなひと」と。聞けば。プロポーズはいきなり「ヘリコプター」でバラバラとはるか上空に連れて行かれ、夜景を見下ろしながら「この街でぼくたちは暮らすんだよ」とかなんとか言って指輪の箱をパッカーと開けたのだと。すごいや。王子だ。あとは「白いタキシード」と「シャンパン」なんかあれば言うことはない。 世の中にはいろんなひとがいるねと感心していると「タカマルさんはあんたにとって王子さま?」と友人が聞いたので妻は少し考え、「そうね阿蘇山で白い馬に乗った時の夫はちょっと王子っぽくて愉快でした」と答えたら笑われた。 |
| [吐息] 2003年8月5日(火) 我が家の「空気清浄機」には「汚れモニター」がついていて、現在の清浄度を教えてくれる。きれいな空気だと緑が点灯。汚れると赤。「空気清浄機」ががんばると赤の割合がだんだん少なくなっていくあんばい。しかしこの「汚れモニター」。あまり正確とはいえず、「清浄機」を少し揺らしただけで先ほどまでオール緑だったグラフが突然赤になったりする。そしてつじつまを合わせるように「さもがんばっているふう」を装い、じょじょに赤が減って行くのだ。おかしい。 そんな気まぐれな「空気清浄機」を掃除していた夫がためしに汚れを感知する部分に向かってフーと息を吹いてみた途端に赤ランプ(汚)が点灯したもんだから夫は驚き、しばらくしょんぼりとしていた。妻は一生懸命なぐさめた。 |
| [ドック] 2003年8月4日(月) 明日は「人間ドック」の夫だ。夫もとうとう「人間ドック」の年齢になったのだ。さよなら「健康診断」。前日は午後10時以降の飲食禁止。この夏のさなかに茶ものめぬ。 午後10時にこだわる夫は早く帰って「今日は早く眠ります」と宣言し、10時ぎりぎりまでおいしくごはんを食べた。話題にのぼるのは「バリウム」のこと。ふたりして今だかつて「バリウム」を体験したことがないのだった。あじはどんなだ。どろどろか。ぬるいのか。挙句炭酸をのまされてぐるぐるまわされるとかされないとか。 「最後には出せと無茶言われて下剤…」と妻が言いかけたところで夫はさえぎり、「この話はやめよう!」と言った。ぼくらには食事中の話題を選ぶ権利があるのだよ。とも言った。その通りだった。 |
| [日帰り] 2003年8月3日(日) 新聞に入っている旅行代理店の広告を見ていた夫が「四国八十八ヶ所お遍路の旅・・・」と読み上げたので妻は先月行った四国でたくさんの「お遍路さん」を見かけたことを思い出した。昔「弘法大師」が歩いた道筋を辿る1400キロの旅。歩いて巡ると1ヶ月以上かかるとか。着いたお寺でうっかりお経を間違えて唱えてしまい、横に居た師匠らしき男性にはり倒されていた「スパルタお遍路さん」だとか、山奥でやっと見つけた「自動販売機」の前でぐったり茶をのむ若い「お遍路さん」だとか。みな黙々と歩いている。じぶんを見つめる旅なのだ。歩ききったあとはなにかが変わっているはずなのだ。そんなことをしみじみと考えていると夫が「でもこのツアー。『日帰り』って書いてあるよ」と言った。日帰り。そのずいぶんと手軽な響きに妻は「弘法大師もびっくりだね」と思った。 |
| [まつり] 2003年8月2日(土) 義父母、義兄夫婦らとともにぞろぞろと近所の「町の夏祭り」へ。広場の中央には「やぐら」。浴衣を着た年輩の女性たちが無表情でそれを囲み踊りを踊っている。義母が「町内会のなんとか」でもらった金券(250円分)をくれたので妻と夫は喜び「スーパーボールすくい」をする。夫が持ち前の集中力でもって華麗に「スーパーボール」をすくっている横で、わりとなにも考えていない妻はたったの1秒で半紙で作られた「たも」をズボーンと破り、絶望と引き換えに夜店のおばさんから「なぐさめのスーパーボール」をひとつもらってしんみりしたりたりして夏を満喫。その間ずっと「やぐら」の上で太鼓を叩いている青年を真剣に見ていた義母が「わたしも叩いてみたいわウフフ」と言った。そこで妻は「やぐら」の上で雄々しく太鼓を叩く義母とそれを囲んで愉快に踊るタカマル一家を想像してみた。なかなか素敵な光景だった。 |
| [揺れない] 2003年8月1日(金) 仏壇用の「ろうそく」を溶かして好き勝手に色をつけて固め、素敵な「キャンドル作り」に挑戦する妻です。あれやこれやと作ってみたものの、どれもこれもいまいちな出来。もっとこう、パンチを。そこで妻はスーパーに行ってプチンとする「プリン」を買って来てむしゃむしゃと食べ、その容器で「プリン」そっくりなキャンドルを作ってみた。良いね。すごく良い。満足して皿に盛り、スプーンを添えて帰宅した夫に見せると夫は「ワッハ!」と笑って誉めてくれた。どさくさにまぎれて「妻は日本一ですか?」と聞いてみると夫は「うんうん日本一」とうなずいたのでよくわからないけれども妻はその夜なんらかの日本一になったのでした。 |