| 事例 |
不動産を売りたいと思い、権利証を探したのですが見当たりません。一緒に保管していた実印や印鑑登録証などと共にどこかにいってしまったようです・・・・・。 |
| 回答 |
紛失の原因が、単にどこかに紛れ込んでしまっただけというのであれば、必要以上に心配することはありません。権利証がない場合でも、保証書を添付することによって登記手続をすることは可能です。但し、登記をするためには実印と印鑑証明書は欠かせませんので、これについては新たに登録の必要があります。一方、これらが何者かの手によって持ち去られてしまった場合には、注意が必要です。これらのものがあれば、ご自分の知らないうちに不動産が第三者の名義に書き替えられてしまう可能性があるからです。ですから、権利証や実印はなるべく別のところに保管するべきでしょう。また、その後のトラブルを防止するためには、実印の再登録や警察への届出はもちろん、権利証が紛失した旨を最寄の司法書士会や司法書士に連絡しておくようにしましょう。 |
| 事例 |
父親の生前は仲の良かった兄弟ですが、以後、父の遺産をめぐってそれぞれが自分の都合で権利を主張し、兄弟喧嘩のような状態になってしまっています・・・・・。 |
| 回答 |
相続は、被相続人(亡くなった方)の意思によってその財産の処分がなされるのが本来のあるべき姿であるといえます。民法も、相続財産は第一義的には遺言によってその帰属者が決まるものとし、副次的に法定相続分や相続人間の分割協議によってこれを定めるものとしています。しかし、実際には被相続人の遺言もなく、遺産相続をめぐって、それぞれの相続人が自己の権利を主張し、中々話し合いがまとまらないケースが多いようです。相続において法律上各相続人が主張できる権利や内容について正確な知識を持った上で、お互いの立場を尊重し合いなるべく当人同士で解決するのが理想的です。そして、このようにして問題解決を図ろうとしても、どうしても当人同士では喧嘩のようになってしまい話し合いにすらならないといった場合には、いきなり裁判によって遺産分割をするといった方法ではなく、まず調停を申し立て、調停委員などの第三者も交えて客観的な形で話し合いを進めると良いでしょう。なお、遺産分割の調停の申し立ては、他の相続人全員を相手として、相手方の住所地の家庭裁判所に対してなすことになります。調停手続は非公開で行われ、通常家事審判官1名と2名以上の調停委員がこれにあたることで、円満な話し合いができるように配慮されています。そして、調停がまとまると、これが調書に記載され、この調書は確定した裁判と同じ効力を有するものとなります。 |
| 事例 |
父親が生前、事業に失敗したときに背負った借金を残したまま亡くなってしまいました。その後、その借金の債権者が現れ、子供である私にはその支払いの義務があるといってきました。父の遺産にはその借金を返済するに見合うものもなく、もちろん私にもそんな大金を用意することはできません・・・・・。 |
| 回答 |
被相続人の借金は、負の財産として相続人が相続することになります。しかし、いくら相続と言っても、ご自分の関与していなかった被相続人の借金をすべて背負わなければならないというのではこれもまた気の毒な話です。ですから、民法では、相続放棄(これをするとこの方は、法律上、始めから相続人でなかったものと扱われ、負の財産も相続しません)や限定承認(亡くなった方のプラスの財産の範囲でだけ借金などを返済すればよい)といった制度が設けられています。ただし、これらの手続をするには一定の期間や要件が定められていますから、なるべく早期に財産関係を調査し、必要とあれば司法書士などに依頼して相続放棄や限定承認の申し立てをするべきでしょう。 |
| 事例 |
遺産分割協議をしたいのですが、相続人の1人が音信不通の状態になっています・・・・。 |
| 回答 |
遺産分割協議は、相続人全員でなすことを要し、一部の者を除いてなされた分割協議では、効力を生じません。音信不通の状態の者であっても、法律上相続人である者である限り、これを除外して分割協議をすることはできません。このような場合に遺産分割をなすためは、家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任を申し立てる方法と、失踪宣告の申し立てをする方法が考えられます。不在者の財産管理人については、法律上は不在者の財産を維持・管理する権限を有するのみですから、遺産分割協議を不在者に代わってなすにはさらに家庭裁判所の許可が必要になります。また、失踪宣告については、生死不明の状態が7年(普通失踪の場合)が経過することが要件となり、宣告がなされると、その者は最後の音信の時に死亡したものとみなされることになりますので、この死亡したとみなされた者の相続人を加えて遺産分割協議をすることとなります。 |
| 事例 |
意思能力の十分でない(半痴呆状態)父親の財産を、弟が父の代理人として勝手に処分してしまいました・・・ |
| 回答 |
このような事例では、弟さんにはお父様の財産についての処分権限がありませんから、弟さんのなした行為は無権代理行為となるものと考えられます。無権代理行為は、ご本人の追認のない限りは原則無効となりますが、次のような場合で、相手方が無権代理行為である事実を過失なくして知らなかったときは、表見代理が成立することになり、本人は無効を主張することはできません。
・ 本人が第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示していた場合
・ 基本となる代理権を有する者がその権限の範囲を超えて第三者と行為をした場合
・ 従前代理人であった者が代理権が消滅したにも関わらず代理行為をした場合
上記のように表見代理が成立した場合、本人に無権代理人のなした行為の効果が直接帰属することになる結果、たとえば既に他人の手に渡ってしまった財産を相手方から取り返すといったことはできなくなり、その後は無権代理人に対する損害賠償請求の問題という形で決着をつけるということになります。
ところで、ご相談の事例においては、ご本人は半痴呆状態にあるということですので、ご本人は自己の行為について法律上制限を受けることになるものと思われます。人が法律行為をする場合には原則として意思能力と行為能力が必要となるためです。このような場合、相談者のように本人の親族であっても当然に本人の代理人となることはなく、家庭裁判所の審判手続きを経て法定の代理人(成年後見人・保佐人・補助人)となって初めてご本人の行為についての同意権や契約の取消権、代理権を行使することができるようになりますので、既になされた弟さんの行為や今後生じ得る問題について対策を講じたいという場合には、まずしかるべき方を成年後見人等に選任してもらうための申し立てをする必要があります。
また、ご相談事例においては、ご本人は半痴呆状態ということですので、場合によっては完全に意思能力を回復(つまり、意識がはっきりしている)する時もあるものと考えられますので、このような場合には、医師の診断や立会いのもとに遺言書を作成しておいてもらう、ということも本人の死後における親族間の争いを未然に防止するという点において意義のあることだと言えるでしょう。
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| 事例 |
家屋の賃借人が、「敷金を返してくれなければ出て行かない」として賃貸借契約の期間満了後も明渡しを拒んでいます・・・・ |
| 回答 |
民法では、同時履行の抗弁権といって、ある債務と他方の債務が同時に履行されてしかるべき関係と認められる場合には、一方の履行がなされるまで、他方の債務の履行を拒否する権利が認められています。上記の賃借人からの主張は、家屋の明渡し債務と賃貸人の敷金返還債務の同時履行を主張しようとするものです。しかし、判例においては、敷金返還請求権とは、賃貸借契約の終了後、目的物の明渡しまでの間に生じる一切の債務(EX.未払いの賃料)を敷金から控除してなお残額がある場合に初めて具体的に発生・確定するものであり、目的物の明渡し債務と敷金の返還債務の関係は、家屋の明渡しが先履行であって、敷金の返還とは同時履行の関係にないものとしています。ですから、上記の賃借人からの主張は法的に認められず、期間満了等によって適法に賃貸借が終了している限り、賃貸人としては「まず明渡しをせよ」と主張することができます。ただし、このような主張ができるからといって、無理矢理家屋の中にある物をどこかに放り出す、というようなことはできませんから、話し合いによって解決が図れない場合には、裁判所に強制執行の申し立てをするということになろうかと思います。 |
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