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2008.02.25
年間ベスト小冊子。ベストSF2006、ベストSF2005の時と、同じ繰り言は止めて、他の部分を。
なんといっても、表紙&4コマ4本に、COCO「今日の早川さん」の出張版、「SFが読みたい! の早川さん」を収録しているのが、本年度版の特徴です。おかげで、お買い得感があって良いのですが、一番どぎついSF自虐ネタを表紙にしている気がして…恐ろしい限りです。
ベスト自体は、海外作品で、読後感の良かったジョン・スコルジー「老人と宇宙」、アレステア・レナルズ「火星の長城」が入っているのが、嬉しかったです。
大御所作家の作品については、ジョー・ホールドマン「擬態―カムフラージュ」を読んだ時に感じた、合計点勝負の投票方法では、ネーム・バリューで決まるのかなぁ、という気分がひとしお。
刊行予定では、<<氷と炎の歌>>第4部に、喜びつつ。
2008.02.24
「生首に聞いてみろ」と同じ、名探偵:法月綸太郎を主人公とした、星座モチーフの犯罪ネタ短編集。
2分冊の前半ということで、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座まで。
各短編は、名探偵を登場させるべく、「警察組織の捜査力で解決する訳にはいかない状況」を作りつつ、それぞれ、星座の見立て犯罪になっていて、作者への縛りが厳しそうな造りです。作者はマゾでしょうか。もちろん、伝奇系の設定(犯人が怪人や異常心理者とか、)だったり、あるいは、時代物等、異世界を舞台にするなら、この縛りもすぐにクリア出来そうですけれど、本作では、動機を含めて、そういったものは一切ありません。パズルとしての公正さを考慮したのかもしれません。現代の日本(「冥府に囚われた娘」での、「脳内メーカー」ネタの描写には、思わず笑ってしまいました)を舞台として、合理的な人間ならではの犯罪ばかりなので、読んで、納得できる小説になっていて、読後感が良かったです。
まぁ、星座の見立てには、正直、苦しいところといいますか、駄洒落みたいな話、もありますが、”この”現代で、あえて、パズル的な犯罪小説を書こうとする作者の心意気には、感じ入るところがあります。(反面、既に「お約束」感のある「あとがき」での遅筆言い訳には、「やれやれ」感が炸裂ですが。)
本作は、2分冊の前半ということで、収録作(の星座)は、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座までの全6作。「双子座」モチーフなので、「あだち充」ネタが登場する「ゼウスの息子たち」、作中の「都市伝説メール」が、嘘臭いリアルさを醸している、最終話「冥府に囚われた娘」が、特に良かったです。
2008.02.23
アニメのサントラ。劇伴音楽好きでは無いので、アニメのサントラを、(キャラ・ソン目当てとかじゃなく、劇伴音楽を気に入って)聴くのは、佐橋俊彦「Theビッグオー」以来かも。
B.G.M演奏は、作曲者の村松健自身による、ピアノ、エレピ、奄美三線が殆どで、他には、ウクレレとドラムが混じる程度。事実上、村松健のソロアルバムといった感じです。
アニメ「スケッチブック〜full color’s〜」の本編自体、基本的には、癒し系でしたが、それだけではなく。個性派(というか、声のキャラクターで出落ち状態の)声優、金田朋子、中田譲治演じる、猫パートのコミカルさや、虫マニアの栗原渚(久し振りな感があった、田村ゆかりの低音キャラ)をはじめとした、変人サブキャラ描写が、のんびり癒し系の女子高生パートと、バランスしている構成で、視聴が楽しみな作品でした。
そんな作品の劇伴音楽も、癒し系叙情派一辺倒ではなく、「迷子の子猫」、「僕らの冒険」、「ハッピーアワー」といった、エレクトリックピアノ曲は、ちょっと、ボブ・ジェームスのエレピ曲を連想させるような、軽快な曲で、特に、気に入っています。
一方、生ピアノ曲による、「バルーンムード〜ピアノソロ」、「夕焼けを歩いたね」あたりは、曲単独では、甘ったるくて、苦手なタイプですが、まぁ、エンディング辺りでの劇伴音楽として、必要な曲ですし、美メロ曲ではあるので、これはこれで。
2008.02.18
短編集。
「帰還」、「わが家のサッカーボール」、「ドレイクの方程式に新しい光を」といった、前半収録作は、説明無しに、登場人物も理解していない架空設定が出てきて、それについていけない主人公、といった構図のお話が続きます。ストーリーが、コミュニケーション断絶に苦しむ、悲しい話ばかりなこともあって、架空設定を「断絶」の象徴として、使っているだけに見えて、物語を楽しめませんでした。(「わが家のサッカーボール」は、短編一つとして読めば、不条理ものの一寸イイ話として読めるはずなので、短編集内で続けて読んでいるってことが、マイナスに作用している気がします。)
後半収録作は、表題作を含め、閉塞した世界の中で、同性愛に一瞬の安らぎを見いだす(?)ような話が連発します。相変わらず設定説明が少ないので、曖昧な読後感なのですが、その中では「転落のイザベル」が、ビジュアルイメージの明確さで、好印象でした。<10001世界>の伝説という体裁なので、設定説明が少ないってことに、納得しやすいからでもあります。
2008.02.17
弁護士と美容師のゲイカップルを主人公にした、「夫婦の会話」的日常話。作中に挟まれる、料理描写が、やけに詳細なのが特徴です。
題材への抵抗感を下げる道具として、食蘊蓄を利用ってのは、戦略が少々、あざとすぎるかな、とも思いましたが、料理描写+日常マンガといえば、本作と同じ、モーニング誌の「クッキングパパ」があったことを思い出して、日常描写の一種だと納得しました。
題材も、声高にゲイが云々という深刻さはなく、要は、同作者の「フラワーオブライフ」の不倫教師、シゲに通じる、マイノリティは辛いよ、の一変形なので、気楽に読めました。
情けなくも可愛い髭男、ケンちゃんのキャラが楽しい、パン屋の話が好きです。
2008.02.13
対象作は、一割も読んでいないのですが、ちょっと前に、友達ネタのエッセイ集「業界の濃い人」を読んで、句読点と自慢の多い、「いしかわじゅん」のエッセイ文体が好きだったことを思い出したので、読むことに。
取り上げているマンガの(数、分野ともに)多彩さは、印象的です。反面、ひとつひとつの文章は短く、細かい分析がある訳でも無いので、言及作品自体より、「非4コマギャグの衰退」とからめた、マンガ実作からの撤退話など、自分語りの印象が強い読後感でした。
TV番組「マンガ夜話」の名悪役「いしかわじゅん」らしい、切って捨てる断言も面白いのですが、なんといっても、巻末、(「失踪日記」、「うつうつひでお日記」の)吾妻ひでおネタの取材記事「吾妻ひでおの希望」が、泣けます。昔の、「いしかわじゅん」のエッセイ集「吉祥寺気分」で、70年代フーテンとかの話を書いていた頃のような、(一人称「ぼく」な感じの)感傷的な文章です。病気ねたの泣き落とし、みたいなものでもあるので、ズルくもあるのですけれど。
2008.02.12
iTunesMusicStoreでの無料配信版「Laurentech(PV.EDIT)」では、ポップ寄りな印象もありましたが、全長版の後半では、彼ららしいフレーズ鬼反復が魅力的です。「Bump」等、定番の反復路線もありつつ、変わった曲もありました。狭い音域で、手癖っぽいフレーズを弾くキーボードが、まんまフェラ・クティな、「APOLLO」には、特に、驚き。ホーン無しのアフロ・ビートが、気持ち良いです。
あと、(歌未満の)鼻歌が入る曲は、これまでもありましたが、本作は、「Ovelia」、「QUEST」等、特に多め。「Hankachi」などは、歌入りともいえるでき。
iTMSで、スタジオジブリ関連曲のカバー集「キラキラジブリ」から、1曲買いした、「君をのせて」のカバーは、メロディ主導の原曲と、彼らの反復体質が、今一、食い合わせが良くなかった印象でしたが、アルバムでは本領発揮といったところでしょうか。
2008.02.11
ドラゴンが飛行機代わりに使える世界で、ナポレオン相手に戦う英国軍人達の話。 ドラゴンの架空設定が、あっても英仏などの基本的な国家関係は、そのまま、という架空戦記ノリの小説です。なので、命令系統の違う軍内の不和とか、部下をこき使う上官の理不尽さとか、軍隊ものの定番的楽しさがあります。
ただ、もう一つのポイントであるドラゴンの話、要は、主人公の忠犬なのですが、こちらは今一でした。忠犬ものの場合、一方が口をきけず、信頼を言葉として確定できないという不自由の中での、確信というか思いこみが、美学だと思いますが、本作では、ドラゴンが喋れるので、解りやすく言葉にしてしまいます。婚約者との別れが、主人公にとって、どうでも良くなっていく過程と連動して、ドラゴンと主人公との相互信頼が、後半、どんどんベタベタになっていくため、関係性が、やおい的に見えてしまい、少し、気持ちが悪かったです。
この種の小説ではお約束、特殊能力発動で、第1巻は終わります。今後、一芸能力者バトルもののように、ドラゴンの性能蘊蓄を、(戦闘機アナロジーで)広げれば面白くなりそうですが、たぶん、話はそちらに向かわずに、より、ベタベタしていくんだろうなぁ、女性作家だし(偏見)、続きを読むかというと…
2008.02.06
同ツアーのCD版は、既聴済み。なので、テイク(表題曲での年齢ネタが、「62」から「63」になっていたり。)や、収録曲の一部が違うとはいえ、手を伸ばしにくかったDVD。
内容は、日本で行われたライブの拡大版、とでもいうべき造りの名曲祭り(ライブの時も思いましたが、DVDテイクは、CDテイクより声が出ている気が。)
コーラス入りバンド伴奏だった前のDVD「イン・コンサート」に比べると地味な、ピアノ+ギター×2という地味なアコースティック編成です。ただ、アコースティック編成ものにありがちな、演奏力自慢や、芸術路線には向かわず。キャロル・キングの楽しげな笑顔が、象徴的な、のんびり路線です。
MCも、「ホェア・ユー・リード(アイ・ウィル・フォロー)」再演の経緯説明など、興味深い裏話が多く、(歌だけでなく)楽しませよう、とする心意気を感じさせます。「男性は、シャイになりがちだけれど、この曲は歌って。」ってなMC直後に、女性一人称ソングの「ナチュラル・ウーマン」を始める、っていう客弄りには、思わず、笑ってしまいました。
そんな、見る側も楽しくなるような、DVDでした。
映像特典の「初級ソングライティング」は、各回コンサートで即興曲を作るコーナーを纏めたもの。即興曲でも、メロディが、キャロル節って感じなのが、興味深いです。
2008.02.05
ロバート・リード「十億のイヴ達」☆0
陰鬱な多元世界もの。ラストだけ、唐突にハッピーエンド。
エリザベス・ハンド「エコー」☆0
破滅もの、というよりは別居夫婦の隠喩?
平山瑞穂「十月二十一日の海」0
不倫旅行の失敗を、幻想に無理矢理からめて。
連載 朝松健「魔境」☆1
織田信長と真言立川流は、流石、伝奇物の定番。エロ幻想イメージ喚起力は強いです。
連載 山田正紀「イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ」☆0
また、時代物に戻るのかぁ?
コリイ・ドクトロウ「シスアドが世界を支配するとき」☆1
シスアドを主人公とした(ので、マイクロソフトの悪口を言ったり、とかがある)点以外は、オーソドックスな世界破滅もの。
小説以外では、連載 大森望「大森望のSF観光局」☆1
近作アニメ評に絡めて、例の、自虐ノリ入った書きぶりで、「本格SF」価値観、というか設定蘊蓄への愛について。
「天元突破グレンラガン」は、珍しく最後まで観たものの、正直、「ガオガイガー」的メタ熱血ばかりが鼻につき、「ガンダム」的な鬱屈する第3部のロシウや、ヒロイン役をニアに渡してからのヨーコとか、フォローして欲しかったかなぁ、等と思ってしまい、熱心に見ていたとは言い難いです。
設定説明台詞も、ドラマと縁が薄いこともあり、ピンと来ず。
2008.02.04
2008.02.02 (土)、会場の代官山 UNITは、代官山駅からすぐの場所(駅前の、高級ブティック群を抜けていくのは、やや敷居が高いのですが)にあるライブハウス。ほぼ、満員(400人ぐらい?)の入り。
予定通りの19:00にスタートして、途中休憩を挟んで、2時間のライブ。
後半は、浮遊系女性ボーカルを迎えてのアコースティック・ポップも趣がありますが、やはり、メンバーだけによる、打楽器2台編成らしい、ウルサイ曲が、魅力的です。
髪を振り乱しながら叩く、伊藤大地のドラムが、素晴らしいです。パーカッション的に多彩な音だけでなく、硬質でロック的な低音が共存しているドラムは、独自の魅力があります。2ndアルバム以上に使用される、メロディ楽器・口笛を、ドラムを叩きながら、披露するのには、正直驚き。ピンスポットが当たる中で、繰り広げる、アンコール曲のドラム・ソロも迫力がありました。
野村卓史の鍵盤を擦りつける、キーボード演奏には、やはり、キース・エマーソンを連想してしまいます。
2人とも、歌い手で無いせいか、ぼそぼそ声のMC(P.V.に出演している犬の話は良かったです)が、聞き取りづらかったのは、難点。
2008.02.02 (土)、代官山 UNITにて鑑賞。
2008.02.03
6th。
3th「sky」の時、4th「楽園」の時、5thの「嘘つきアリスとくじら号をめぐる冒険」の時と、ここ数作には、あまり強い印象はなかったのですが、本作は傑作。
バンド黒薔薇保存会のエルエルこと、担当ディレクターの尽力ゆえか、シングル「恋する天気図」が、綺麗なホーンと
センス・オブ・ワンダー組(難波弘之&そうる透)による終盤が、ベン・フォールズ風ピアノポップ「ずっと」や、鋭角的なカッティング・ギターのロック曲「伝えられない言葉」など、ドラム演奏者のクレジットがある、人力演奏曲は安心して聴けます。打ち込みだと弱点になる、一本調子な歌声が自然に聞こえてきて、この人ならではの、綺麗な声を満喫できます。
勿論、「ヒカリ」、「ラブリ♥エブリデイ」といった、景気の良いユーロビート路線も健在ですが、盛り上がりますし、これはこれで必要な曲。
2008.02.02
エロ・ゲームのラ・ノベ・ライズ2分冊。
未来の上海を舞台に、暗黒社会のサイボーグと、蘊蓄系剣術使いが、戦う話。ゲームは、2002年作とのことですが、1980年代、ブレードランナー美学が猛威をふるっていた頃のマイナー誌マンガに沢山あったような、懐かしい味です。ラストが、(和製サイバー&蘊蓄系拳法の代表作である)「攻殻機動隊」&「北斗の拳」ノリなのも、懐かしさを増幅しています。
「兄に
あと、作者は、ゲームと違って、挿入歌が無いことを、「後書き」で、残念がっています。ゲーム版スタッフへの仁義切り的な面もあるのでけれど、確かに、演奏好きなヒロインのキャラ立てに寄与している面があり、そのせいか、小説版は、キャラクター描写が弱い印象を受けましたし、頷けるところです。
2008.02.01
オルガンとベースの音が大きめで、耳障りの良いホーン隊+カッティング・ギターが入る、いかにもジャズ・ファンク、といった感じ曲を集めた編集盤。20曲入り2000円というお買い得感に惹かれたのと、ザ・ニュー・マスターサウンズ、スピードメーター辺りをリサーチ、という目的で、購入。
2000年以降録音の曲が、大部分だからでしょうか、1曲目のザ・ニュー・マスターサウンズ「ナーヴァス」をはじめとして、ブレイク・ビーツ臭といいますか、機械的なリズムの曲が多く、人力ソウル・ファンクらしい熱さが無く、耳障りな音が無いこともあって、B.G.Mとして、聞き流してしまいました。勿論、クラブ・ミュージック的には、この「不快感の無さ」こそ、正しいのかもしれませんし、読書B.G.Mとしては、有難い音なのですけれど…
タイトルや、CD中ジャケットに書かれた「R.I.P Mr.James Brown」には、強力ファンクを期待しましたが、名前負けの感があります。JBのインスト系楽曲集「ソウル・プライド」での、JB自身によるカバーの熱さと比べるのは、酷かもしれませんが、本作に収録された、ザ・バンブーズによる「タィトゥン・アップ」の小綺麗なカバーには、物足りなさが残ります。
そんなわけで、本作中では、ファンクというより、、オルガンを中心に、メロディを聴かせる、ボストン・ホーンズ「ピンク・ポリエスタ」や、キャロル・キング曲にプラス修正が入る、ジョー・パス「イッツ・トゥー・レイト」のカバーが、良かったです。