たぶん、日記

*2004年映画log*へ戻る スクール・オブ・ロック

 

20040505

 

日比谷映画(2週間だけみゆき座の「イノセンス」と入れ替え、大劇場でラッキー!)

 

所詮、金と音響刺激を交換するだけのもので、消費者以外に普及させる意義のある文化とかでは、(昔はともかく)MTV〜ライブエイド以降のロックはなくて。だって、意義っていうか正義があるんなら、ロックが滅びたはずないじゃん、と嘗ての渋谷陽一信者は教義と現実との折り合いを付けるのに苦労している筈ですが、そういう人の感想です。

 

「ハイ・フィディリティ」の「そんなん買っちゃだめだ、まずこれを聴け」店員役のジャック・ブラックが、「ハイ・フィデリティ」ラストで見せた実は歌えるというポイントを大フューチャーして「『こわれもの』のキーボードソロを聴いてこい」と宿題を出す教師役になる、という同系キャラでの70年代ロックがサントラ映画です。が、反抗モチーフを説明し易いので、かろうじて70年代末のパンクとピストルズについては言及あるものの、80年代以降については何も触れられません。それって回顧ロック型価値観では定番ではありますが、本作でそうなのはもう少し残酷な理由です。

 

物語の中で、夢を諦めなかった主人公は、曲作りの才能で結局子供に抜かれてしまい、リーダーを止めて子供達のバンドとなったところで、バンドが完成してギグを始めて物語は、完結します。後日談エンデイングがありますが、主人公、社会的位置付けがどう変わったのかについては明らかにされないまま、放課後のギグを楽しそうに演奏しています。それは、もう、彼のバンドではなく、つまり、彼の夢ではないのです。

 

彼は、トランプをさせる仲間を怒るエピソードからみても、子供に対して、教師としてのみ接しているため、子供との心の交流は、ないのです。子供たちは彼に言われたとおり「バンド」を大切にしているだけなのです。主人公のアナザーサイドともいえる気弱家主の挫折についての台詞で触れられますが、彼の夢とかは挫折していて、それを、繋がりのない子供たちが受け継いだ様子はなく、主人公、つまり、ロック側に対するフォローの視点はない。その点で夢をあきらめないドンキホーテが幸せをつかむスポ根系統(「少林サッカー」「ギャラクシークエスト」)ものとは、一線を画しています、

 

ロックに未来はないが、子供には未来がある、というテーマは、それが心にどれだけ痛いか、でだいぶ受け取り方が変わる映画です。ロッキンオン的文系自己表現用イデオロギーからも、ヘビメタ型技術至上主義からも、ミュージックライフ的美形外タレ崇拝からも、全く無視されたAC/DC、モーターヘッド、(キャッチーなメロを余計な要素として外してみれば)ラモーンズあたりのハードブギーが結局ロックっぽいロックとして残り、それ以外の上記ごたくが、無意味化したっていう現状認識であるからこそ、この映画はAC/DCのアンガス・ヤングの半ズボンコスプレ落ち(ブライアン・ジョンソンに主人公が似てるからという説もあるけれど。台詞でもfor those about to rock(we salute you)って歌詞引用がありましたね、と邦題「悪魔の招待状」のCDを引っぱり出して聴きながら、サントラよりこっちがお薦めかも。単調で、飽き易いのが欠点だけれど。千倉真理のミスDJリクエストパレードみたいな普通系番組でもかかったりして、そこそこメジャーだったと昔話。)で締め、なわけです。

 

そりゃ「MTVでロックが滅びた」はギャグだと思いますけれど、好きなアーチストでC・アギレラ、P・ダディ、とR&Bアイドル、ヒップホップのアーティストを挙げられて、ロックでは、と云う言葉で返すのが、現役のオフスプリングでも(スモールビルではチケット入手困難な位人気の)レディオヘッドでも、現役70年代系とも言いうるエアロスミスでもなく、現役じゃないL・ツェッペリンというのは、ロックで対抗出来るものはない、という「残酷」な認識が前提になっているからです。だから黄金時代の後、死に向かうだけの80年代以降のロックは参照する必要もなく。あ、でも21世紀懐古オルタナティブロックこと「WHITE STRIPES」のメグについては「女声ドラマーといえばシーラ・Eとメグ、お前はそれより下手」みたいな言及有ったなぁ、あれはどうこじつけようか、、、ロックでもドラムでもないファンクパーカッションのシーラ・Eは別として、「WHITE STRIPES」の「elephant」聴いてれば解るメグの超単調なリズムボックスみたいなドラムより下手って悪口だった、ということで。

 

えーと、ロック関係、気にしなければ、ちょっとご都合主義的なまでの挫折の少なさと、子供の感情が単純な分だけ、楽器マネギャグ入ったハッピーエンドコメディとして良い出来なのでは。わたしは笑えなかったですけれど、ギャグ音痴なのでいつものことですし。

以下、改稿版

 

「ハイ・フィディリティ」の「そんなん買っちゃだめだ、まずこれを聴け」店員役のジャック・ブラックが、生徒に「『こわれもの』のキーボードソロを聴いてこい」と宿題を出す教師役になる、という、またもロック押しつけキャラの映画です。

 

楽器口マネで笑わせるところこそあるものの、音楽うんちくでニヤリ、っていうよりは、ギャンブルしてる子叱ったり、引っ込み思案の子を勇気づけたりする、一種の熱血教師話で、ハッピーエンドコメディとして良い出来なんではないでしょうか。GW公開のせいか「字幕読めなかったぁ」なんて言ってる子供さんの観客も多いのに、結構笑い声も多かったですから。

 

ただ、わたし的には映画館を出るとき、ややブルー。ギャグ音痴だってこともあるんですが、世代のせいか、教師側(っつうか、才能なきダメ人間オヤジ世代)に肩入れして観てしまったんで、teacher's pet批判の歌詞を、才能有る生徒が書き、教師に歌わせる(そのバンドは教師が作ったものだったのだが)、という皮肉にカタルシスがないので。新しい才能に追い抜かれていく悲劇ってのは、大昔に観たB・ストライザンド版「スター誕生」とかありましたが、あれには、オープニング曲の繰り返すエンディングが、けれども、歌い継がれていくものは確かにあるんだ、という、敗者へのフォローになってた気がします。が、本作の場合、ロックがポップカルチャーの最前線から撤退した時代を反映してか、単なる才能勝負以外の理念というか、敗者のダメオヤジをフォローするものはないんで、残酷だなぁ、と。

 

わたしが甘ちゃんなだけか。

 

 

 

 

 

 

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執筆:ogarin

 

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