本年度世界分かりやすい映画大賞受賞作。
ターミネーター、ET、マトリックスと全くそのまんまなネタで、ただでさえ分かりやすいのにさらに説明。冒頭に台詞で「過去を改変して世界を救ってこい、加速装置あげるから」は説明が直球過ぎて、好悪分かれるところか。しわしわの蛙顔で指が長い宇宙人に理由なく「この子は悪い奴じゃなく宇宙に帰りたがってる」ってのも(難波弘之に「ET」はあの顔の宇宙人が侵略の意図がないと見せかけるためのプロパガンダだったって小説があったなぁ)映画的知識前提にしないと意味不明。それらを「パクリ」「ツッコミどころ」と受け取った人には激痛な話だろう。ただ、元ネタを批評するパロディ的視点がある訳ではない(パロディを説明する程愚かなことはないだろう)。また、自分が面白かったネタへのオマージュというほどネタに愛がなく使い捨ててしまう。SF設定を分かりやすく説明するためその3本をサンプリングしたと考えるべきだろう。ヒップホップでいう「フック」みたいなものか。サンプリングが結局金を払って許諾を取ることが可能な以上、スピルバーグやキャメロンが怒るならともかく、一観客ならそうして作られた映画を面白いつまらないで判断しても良い!
とは、思いますが。「宇宙船」誌の
しかし、樹々希林が「そういえばこれと似た話を聞いたことがある」と言ったときどの映画の名前を出すのか(ホントはそんな答えではないのだが)気にになってしょうがなかったよ。
そんなサンプリングを使ってまで伝えたかったメインの話は、「夏への扉」から「バックトゥザフューチャー」まで連綿と受け継がれる王道タイムスリップもので、好みなのである。
ストーリーより金城武inマトリックス(とCG)がウリ、みたいな宣伝だったけれど、彼のアクションにさほどの魅力がある訳ではない。美形でいい人だがカリスマに欠ける、という役どころは「冒険王」でリー・リンチェイの弟子なのにカンフーも使えないヘタレだったのを思い出しました。そのキャラを否定するのは金城の存在意義を全否定するようなもんだし、前髪で目隠ししたギャルゲー主人公みたいな都合のよさは感情移入が楽で私にはよかったけれど、やっぱりストーリーを楽しむ映画で役者の印象が薄い、というか物語り中での役割の方を強く感じるっていう「マンガ」的な省略をされた感じ。それもまた「わかりやすい」。
音楽は、ブルースやら、テクノやら、場所にあった使い方をするためにそうとう節操のない感あり。出自がロックでない故「70年代ロック」の正当性をわかりやすく主張せざるを得ないレニークラヴィッツの起用も、首尾一貫して「わかりやすい」。
(小)